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ファンの店 第3回 Mr.Childrenファンが営む鮮度が自慢の居酒屋

5年以上前2018年12月08日 10:06

自らがファンであるという理由から、お店を好きなアーティストの色に染め上げてしまった“筋金入りの〇〇ファン”な店主たちがいる。ここには、同じアーティストのファンたちが全国から集まる。本企画ではそんな筋金入りのファンが集う飲食店を全5回にわたりレポートしていく。今回は北海道のミスチルファンが営む居酒屋に登場してもらった。

店内のイメージは雨のち晴れ

北海道札幌市、地下鉄南北線澄川駅徒歩1分のところにある雨のち晴れ~天ぷら寿司ダイニング~は、新鮮な野菜と魚介にこだわった居酒屋だ。芝生のように鮮やかな緑色の床と青空を描いた天井という印象的な内装は、雨が上がったあとの晴れ渡る景色を再現しているそうだ。

店主の小田健一さんは高校1年生のときにMr.Childrenの「innocent world」を聴き“ひと耳惚れ”をして以来、24年にわたりミスチルを追いかけ続けている。初めて「innocent world」を聴いたときの衝撃を「聴いた瞬間『なんだこれは!』って、一気に虜になった」と話す。すぐに過去の作品も合わせてすべてのCDを買い、それ以来小田さんは人生の大切な節目をミスチルの曲と共に迎えるようになったという。

店名は1995年に発売されたシングル「【es】~ Theme of es ~」のカップリング曲「雨のち晴れ」から。高校3年生の頃、将来自分のお店を持つという目標を持っていた小田さんは、当時リリースされた「雨のち晴れ」を聴き“イメージはいつでも雨のち晴れ いつの日にか 虹を渡ろう”という歌詞に感銘を受けた。そして「お客さんが日頃のストレスを発散して、晴れ晴れとした気持ちで帰っていける、そんなお店を作ろう」と決めた。今でもつらいときはこの歌詞を励みにしているのだそうだ。

初めてライブを観覧したのは19歳の頃に行われた「Mr.Children Tour ’99 DISCOVERY」だった。小田さんはその経験を「歌唱力もすごかったんですけど、それだけじゃなくて、なんだか“ズドン”ときたんです。理由はわからないけど心に届く歌声だった」と振り返った。毎回争奪戦になるミスチルのライブチケットだが、今年10月に行われた「Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸」の函館公演のチケットは手に入れることができた。抽選に外れることもあるが、そういう場合でも小田さんは当日券を狙って全国の会場に足を運ぶのだという。

雨のち晴れは、オープン当初は一般的な串揚げ屋だったらしい。「お店を始める前は寿司職人をしていました。2007年3月に自分の店を持ちましたがすぐには結果が出ず、もうダメかな……という状態でした」。そんな小田さんの転機となったのが、5月に行われた「Mr.Children HOME TOUR 2007」だった。その日のことを小田さんは「なんとなく頭から仕事のことが離れない状態で上のほうの席から遠くにいるミスチルを観ていたんですが、ライブが終わって会場が明転した瞬間、ここいる人たち全員をうちの店に取り込めたら……と思い気持ちが前向きになったんです」と振り返った。すぐにそれまで小田さんが集めたミスチルグッズを店内に飾り、曲を流し、普通の串揚げ屋だった店をミスチルファンの店に作り変えた。

そして9月に行われた「Mr.Children HOME TOUR 2007 -in the field-」の北海道での公演の日、何組かのミスチルファンが来店したそうだ。それを機に大々的に“ミスチルファンの店”というコンセプトを打ち出し、今では来店客の約半数をファンが占めるようになった。「ここまで皆さんが来てくれるようになったのはまだ5年前くらいなんです。2007年のツアーを観に行っていなかったら、とっくにあきらめていたかもしれませんね」と懐かしそうに話した。ミスチル好き同士が集まって濃い話をしているとき、小田さんは「続けてきてよかった」と感じるそうだ。

ミスチルの世界に浸りながら本格天ぷらを楽しめる

店内に飾られたグッズの中にはレアなお宝グッズも数多くあるらしい。中にはお客さんから「ぜひ飾ってほしい」と託されたものもあるそうだ。店にあるグッズの中で1つ見どころを挙げるとしたら、知人を介してもらった桜井和寿の直筆サインで、これが小田さんにとって一番の宝物なのだとか。

店の自慢は、北海道・十勝にある直営農場コダファーム(小田さんが経営している会社)から届く新鮮野菜と、十勝港の新鮮魚介を使用した本格的な天ぷらや寿司。小田さんは提供する料理について「敷居が高いイメージのある天ぷらですけど、うちはカジュアルに本格的な味を提供することを心がけています」と語った。

北海道でのライブ開催時は小田さんもお店のスタッフも会場に行ってしまうため、通常営業はせず完全予約制にしていて、ライブ終了後に予約客の対応を開始するのだという。ライブの日は8割が道外から、2割は札幌外からの来客で、中には九州や海外から来店する人もいるらしい。小田さんは「ミスチルファンが集まるお店は全国に何店舗かありますが、北海道ではうちかなって思っています」と誇らしげに話してくれた。

最後に小田さんは「いつか桜井さんが協力している『ap bank fes』に、Tempura.Children(小田さんが経営している(株)Koda Farm Managementが展開する屋台)を出店してみたいです。仕事で桜井さんの活動に協力できたら、ファンとしても経営者としてもうれしいですね」と楽しそうにこれからの夢を語った。

次回は東京・足立区にあるDragon Ashファンが集うラーメン店、陽はまたのぼるを紹介する。

店舗情報

住所:北海道札幌市南区澄川4条1丁目10-10 FARROCK澄川1F
電話番号:011-842-9353
営業時間:月~土、祝日、祝前日 OPEN 18:00 / CLOSE 23:00(ラストオーダー / 23:00)
日 OPEN 18:00 / CLOSE 22:00(ラストオーダー / 22:00)
曲のリクエスト:ライブ映像などのリクエスト可。(店内で流しているのは映像のみ)
今好きな曲:アルバム「重力と呼吸」の収録曲「皮膚呼吸」。

※記事初出時よりタイトルを変更しました。

取材 / 酒匂里奈(音楽ナタリー編集部) 文・構成 / 中村佳子(音楽ナタリー編集部) 撮影 / 上野公人

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