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カイ、感謝の思い伝えながら美学貫いたラストライブ「皆さんお元気で」

3年以上前2020年09月28日 7:01

カイが昨日9月27日に東京・WWWでラストワンマンライブ「to LA」を開催。約7年のアイドル活動に幕を下ろした。2部制で行われたラストライブのうち、この記事では第2部の模様を中心にレポートする。

2013年9月21日にベルハーことBELLRING少女ハートの新メンバーとして活動を開始し、今年デビュー7周年を迎えたカイ。極端に口数が少ないものの、時折見せるユニークなセンスや優しい笑顔が魅力的な彼女は、ベルハーの後継グループであるゼアゼアことTHERE THERE THERESが2019年2月に解散すると、TRASH-UP!! RECORDSに移籍し、恵まれた楽曲制作陣のもと、ソロアイドルとして、その歌唱力を存分に発揮してきた。またメインの活動の合間には、宇佐蔵べに、石川浩司とのアイドルグループ・えんがわ、自身がボーカルを務めるカイちゃんバンド、ヨネコ(ex. BELLRING少女ハート、ex. MIGMA SHELTER)とのユニット・new fashion food、SAKA-SAMAの寿々木ここね、朝倉みずほ(ex. BELLRING少女ハート、ex. THERE THERE THERES、ATOMIC MINISTRY)とのユニット・お祭りトリオなどでも活動。「カイちゃん」の愛称で多くの人々に親しまれた。

新型コロナウイルス感染拡大の影響が強く出始めた今年3月後半から一気に活動を減らし、ファンの前に姿を見せることがほとんどなくなっていたカイは、ラストライブの開催を8月末に突如発表。その後ライブまでの1カ月間にDJイベントや南波一海によるインタビューイベントなどに出演し、ライブ前日にはZoomでファンと交流したが、活動終了の理由などは語られないまま、ライブ当日を迎えた。2部制のラストライブには、カイに加えて、TRASH-UP!! RECORDSのレーベルメイトであるSAKA-SAMAの寿々木と朝倉がゲスト出演。カイらしくイベントは淡々と進んだが、第1部ではATOMIC MINISTRYとして登場した朝倉が、ベルハー時代からの付き合いであるカイについて「いつも笑ってくれたり、私が困っちゃったときに何も言わずに隣にぴゅっ!ていてくれたり、あんまり練習してるところとかがんばってるところを見せないけど、ステージの裏とかでずっとずっと練習してたりとか、そういう姿がカッコいいなと思って……(私は)いつもじーっと見てるか、邪魔するかしちゃうんだけど、いつも優しくしてくれて、いつも見守ってくれたりとかしてくれるところが大好きでーす……」と涙ながらに語っていた。

有料配信も行われた第2部のライブは、18:00にスタートした。ぬいぐるみが左右にポツンと置かれたファンシーなステージに自分で選んだという特別な黒い衣装で現れたカイは、鈴木慶一プロデュースのミニアルバム表題曲「ペーパー・ダイヤモンド」でラストライブの幕を開け、同じく鈴木が手がけたゲーム「MOTHER」の楽曲「POLLYANNA(I BELIEVE IN YOU)」を続けて歌唱。全編英語の歌詞を伸びやかな歌声でしっかりと聴かせる。またベルハーのメンバーとしてデビューした当初は、ほとんど体を動かさない異様なパフォーマンスで目を引いたカイだが、活動を重ねる中で見違えるほど生き生きしたダンスを見せるようになっており、ラストライブではこれまで以上に丁寧に1つひとつの動きに気を配って踊っているように見えた。

簡単な挨拶を交えつつ、ブレッド&バター「ピンク・シャドウ」やムーンライダーズ「悲しいしらせ」、真鍋ちえみ「不思議・少女」のカバーを含む6曲を披露したところでカイは一旦退場。「SAKA! SAMA! えいえいおー!」の掛け声から、ゲストの寿々木と朝倉がSAKA-SAMAとして現れる。カイの歴代生誕グッズを手がけてきたモニョチタポミチがデザインし、ファンが会場で無料配布した“KAICHAN THANK YOU Tシャツ”を着たSAKA-SAMAは、レーベルメイトとして多くのイベントを共にしたカイとの楽しい思い出をMCで振り返りつつ、「ダンスを止めるな」「わたしたちの地図」「空耳かもしれない」の3曲を披露。2人は涙を見せず、笑顔で明るく歌い踊るが、各楽曲の「次の朝が来ても 君はいない」、「残された時間はどれくらいあるの? 君といつまで笑えるの?」、「あなたの思い出になれたら」といった別れを思わせる歌詞が特別な意味を持って響いた。

SAKA-SAMAの退場後、鈴木慶一が手がけた「ガス抜き記念の日」でパフォーマンスを再開したカイは、野宮真貴「女ともだち」や本日休演「秘密の扉」のカバーに続けて、ソロデビューシングル収録のオリジナル曲「遊星よりアイをこめて」をクールにパフォーマンス。この曲は佐藤優介(カメラ=万年筆)が書き下ろしたテクノ歌謡で、雑誌「BUBKA」でアイドルソング時評「マブ論」を連載している宇多丸(RHYMESTER)に2019年のアイドルソング第1位として選ばれたことでも話題となった。カイの持ち曲も残り1曲となったところで会場は暗転。スクリーンにはカイとゆかりの深い面々からのビデオレターが映し出される。

まずカイと同日にベルハーに加入した柳沢あやの(グーグールル、CLOCK & BOTAN)は「何に対しても“わかりません”とか“特にないです”とかそういう返事ができるのは素直でとても素晴らしい」とカイのオーディション時の様子を振り返りつつ、「カイちゃんがやってるとすべてが正解に思えてくるのが本当にすごいパワーだなと思います」とコメント。ベルハーおよびゼアゼアで活動を共にしたレーレ(MIGMA SHELTER)は「カイちゃん、今でも餃子好き? また何かおいしいもの一緒に食べに行こうね」と呼びかけ、「これからもカイちゃんの日常がとてもよき日になることを祈っています」と伝えた。

えんがわの宇佐蔵は「カイちゃんの人柄とセンスに私はもともと憧れていたので、カイちゃんと一緒にユニットができたり、いっぱい遊んだりできたのは本当にうれしかったです。20年後とか10年後とか、もしよかったら“ドリーム・えんがわ”やりましょう!」と提案し、同じくえんがわの石川は「カイちゃん カイちゃん 不思議な子 カイちゃん カイちゃん かわいいな」という歌詞のコミカルなオリジナルソングを表情豊かに歌唱。new fashion foodでカイと2人で活動したヨネコは「全人類で誰もカイちゃんを嫌いな人なんて絶対いないと思えるくらい素敵な人です」とカイを称賛した。

最後に登場したのは鈴木慶一。「カイちゃん解散! じゃないや、本当に驚きました! ミニアルバムのプロデュースをして本当に一生懸命作りました。やり甲斐があった。やりカイか」と語って笑いを起こした鈴木は「ファンの皆さんがカイちゃんをアイドルと思ってる間は、ずっとアイドルだから。永遠にアイドルだよ。だから、それをときどき思い出してね」とカイにメッセージを送った。

「すごい。とてもうれしい。とてもうれしいです」とサプライズ演出を喜んだカイは、「今日は本当にありがとうございました」と語り始め、「SAKA-SAMAの2人も出演してくれてありがとうございました。SAKA-SAMAの2人とはよく一緒にライブしたり、いろんなところに遠征に行って、本当に楽しかったです。2人がいてくれて、本当に私は楽しく活動ができました」と寿々木と朝倉に感謝する。続けてカイは「今日が最後のライブなんですけども、本当にベルハーから始めて、ゼアゼアやって、ソロやって、あとはえんがわもやったし、ヨネコとnew fashion foodもやったり、バンドとかもやったりして、本当にいろんなことをやらせていただきまして、本当に楽しかったです。ソロは本当に素晴らしい方々に曲を制作していただいて、本当に素晴らしいソロ活動になりました」と7年間を振り返り、「応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました」と挨拶。長い活動の中でも、カイがここまではっきりと自分の言葉でファンに思いを語ったことはなかった。

そこへ寿々木と朝倉が再びステージに現れ、ファンからのメッセージと花束をカイに届ける。寿々木は「カイちゃんとは短い間だったけど、出会えて、一緒に過ごせて、本当にうれしくて。毎秒『わー! 幸せ! 楽しい! どうしよう! ヤバい!』って思うくらい楽しかった。忘れない日々でした」、朝倉は「カイちゃんがアイドルになってくれてとてもよかったし、ベルハーを選んでくれてメンバーとしてずっと一緒に活動できたり、ゼアゼアに私が入ったら仲よくしてくれたりとか、長い年月を一緒に過ごしてくれて本当にうれしかった。毎日毎日楽しかった」とそれぞれコメント。第1部同様、涙をこらえきれない様子の朝倉は、カイのベルハー加入前、自分と似たメンバーが入ってくるとディレクターから聞いて「えっ! なんでみずほいるのにみずほに似てる子入れるのって思ったのが第一印象で。なんだよ! ペッ!みたいな」と思っていたことを明かしつつ、「活動していくにつれて、カイちゃんが本当に優しくて、面白くて、どんどん仲よくなれたのがうれしくて。きっとこれからもずっと友達」と伝えた。

「じゃあ、最後の曲、歌っちゃおうかな?」と聞くカイに寿々木と朝倉が「歌っちゃって!」と笑ってステージを去り、ファンが会場に張り付けた電飾と手に持ったサイリウムを点灯させると、カイはソロデビューシングル曲「ムーンライト・Tokyo」を歌唱。この曲を手がけた吉田哲人は「凄く魅力的な歌声、豊かな表現、広いキーレンジ。カイちゃんの持つそれらに魅了されて『今までとまた違うバリエーションのメロが作れる!』と思い出来た曲が『ムーンライト・Tokyo』でした」と自身のTwitterでコメントしている。そして、すべてのパフォーマンスを終えたカイは「皆さんお元気で。バイバーイ。ありがとー」とファンに手を振って退場。ライブ本編ですべてを出し切るため、アンコールは好きではないと過去に語っていたカイが再び姿を見せることはなかったが、それを知っていてもファンはステージに拍手を送り続けた。

カイ「to LA」
2020年9月27日 WWW セットリスト

第1部

カイ

01. ムーンライト・Tokyo
02. 秘密の扉
03. 不思議・少女
04. POLLYANNA(I BELIEVE IN YOU)
05. アナクロノペテー
06. ガス抜き記念の日
07. ペーパー・ダイヤモンド
08. 悲しいしらせ
09. ピンク・シャドウ
10. 女ともだち
11. 遊星よりアイをこめて

寿々木ここね

01. 魚ごっこ
02. FEVER

ATOMIC MINISTRY

01. Electric Sheep
02. BIG LOVE

第2部

カイ

01. ペーパー・ダイヤモンド
02. POLLYANNA(I BELIEVE IN YOU)
03. ピンク・シャドウ
04. 悲しいしらせ
05. アナクロノペテー
06. 不思議・少女
07. ガス抜き記念の日
08. 女ともだち
09. 秘密の扉
10. 遊星よりアイをこめて
11. ムーンライト・Tokyo

SAKA-SAMA

01. ダンスを止めるな
02. わたしたちの地図
03. 空耳かもしれない

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