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愛する楽器 第25回 Gyoshi(Klang Ruler)の愛用ギター「Fender USA Stratocaster American Standard」

Gyoshi
2年近く前2022年07月06日 10:03

アーティストがお気に入りの楽器を紹介するこの連載。第25回はアレンジ、選曲のセンスやトーンの心地よさなどからYouTubeでのカバー演奏動画が人気のギタリスト・Gyoshi(Klang Ruler)を迎え、ギターに興味を持った理由や、愛用ギターであるFender Stratcaster American Standardのお気に入りポイント、バンドと宅録における音作りの違いなどについて語ってもらった。

取材・文・撮影 / 田中和宏

「けいおん!」あずにゃんに影響されて

Klang Rulerのギターを担当しています、Gyoshiです。YouTubeでカバー動画なども投稿していて、サポートでレコーディングやライブに参加させていただくこともあります。

私がギターを弾き始めたのは、高校時代に音楽の同好会に入ってからです。当時、アニメ「けいおん!」が流行っていて。あずにゃん(中野梓 / CV:竹達彩奈)は高校生なのにすごくギターがうまいんですよ。それを観て、あずにゃんと同じ赤いムスタングを買おうと思って楽器屋に行ったんですけど、私がそこで見てたのはムスタングじゃなくてストラトだったんです。島村楽器が初心者向けに出しているBUSKER'Sのストラトタイプですね。「赤い」というだけで形の区別が付かなくて、間違えて買いました(笑)。それ以来ストラトを使っています。

「けいおん!」の影響でいろいろな音楽に興味を持つようになって、当時は主にボカロ曲やアニソンを聴いていました。特に「涼宮ハルヒの憂鬱」の「God knows」(涼宮ハルヒ / CV:平野綾)はたくさん聴きましたね。それまでバンドに興味がなくて、普段聴いている音楽もK-POPとかだったんですけど、「けいおん!」を知って急にギターを弾きたいと思うようになったんです。ロックは高校生のライブイベントで対バン相手になった子たちが邦ロックをコピーしているのを観て知って、私はELLEGARDENさんとかを好きになりました。好きなバンドのルーツを漁っていったら、Red Hot Chili Peppersなど洋楽にも出会い、レッチリでギターカッティングにハマりました。「ああ! ジョン・フルシアンテ、カッコいい!」って(笑)。

Klang Ruler加入の経緯

Klang Rulerのメンバーは専門学校の後輩で、私は自分が加入する前からKlang Rulerのライブをしょっちゅう観に行っていた、言うならば古参ファンなんです。でも当時はバイトに明け暮れていて、学校ではめったにすれ違いませんでした(笑)。元メンバーのギタリストの子とは、たまに授業がかぶっていたので仲よくしてましたし、その子のこともすごく応援してたんですけど、ある日、脱退するという話を聞いて。当時私はYouTubeに動画を上げ続けていたのですが、yonkey(Vo)が私の動画を知っていてくれて、それがきっかけでバンドに誘われました。最初はサポートで1年くらい関わって、2021年の7月に正式加入しました。

ロックばかりだったけど、トム・ミッシュにハマり……

話が前後しますけど、私は4年くらい前まで、ロックしか聴かないような人間だったんです。でもトム・ミッシュにハマり、それがきっかけでネオソウルを熱中して聴くようになりました。動画投稿を始めたのは2019年、トム・ミッシュにハマってから1年経った頃。その後、動画投稿に本腰を入れようと思ったのは、コロナ禍の影響が大きいですね。「とにかく1人でも何か発信したい」と考えて、動画をアップするようになりました。なかば自己満足ではありましたけど、私の成長記録を誰かに見てもらえたらいいなって。

私のチャンネルで一番再生されている動画は、2021年1月に公開したRedbone「Childish Gambino」のカバーなんですが、こんなに伸びるとは思いませんでした。現時点で約320万回も再生されていますけど、この動画は「あの曲、弾いてみよう」と思い立ってから動画を作るまで2時間くらいでできたものなんです。1カ月かけて練習した演奏動画よりも、勢いで弾いた動画のほうが伸びたのでびっくりです(笑)。私の演奏を真似してくれる海外の方がたくさんいるのは、本当にうれしいことですね。

演奏曲の候補はSpotifyで見つけることが多いです。トム・ミッシュのSpotify Radioを聴いたり、Spotifyが自分用にオススメの楽曲をまとめてくれたプレイリストとかを聴いています。あとはYouTubeの関連動画からいろんな曲を発見することもあるし、Pickup MusicのInstagramアカウントでピックアップされたアーティストもチェックしてます。

楽器屋で1本のギターを見て「買おう!」

今日持ってきたギターは、人生で2本目のギター、Fender USA American Standardのストラトキャスターです。このギターは上京してすぐに買ったんですけど、別にビンテージとかではなく、現行品です。ジェフ・ベックが使っていたストラトを見て「こんなかわいいギターがあるんだ」と思っていたとき、渋谷の楽器屋にふらっと入ったらたまたま似たような色のこのギターを見つけたんです。店員さんが丁寧で、私があまりギターを弾けないとわかったら、代わりに弾いてくれた記憶があります。値段は20万円くらいだったんですけど、弾き比べることもなく、これ1本だけを試奏して「買おう!」と決めて、いきなりローンを組みました(笑)。

ちなみに人生で最初に買ったBUSKER'Sのギターは今でも好きで愛用しています。SSH(シングル-シングル-ハムバッカー)配列のリアピックアップの音が気に入っていて。でもFenderのギターにしてからは、フロントPUから鳴らすシングルPUの音にハマって、今ではすっかりフロント使いのギタリストになっちゃいました(笑)。ギターのトーンは奥が深いですね。最近はJazzmasterを手に入れて、曲によってストラトと使い分けています。

このストラトはネックがつかみやすいし、渋めな音が出ます。Jazzmasterのほかにメイプル指板のテレキャスターも持っています。でも個人的にはやっぱりこのストラトが好きですね。ローズ指板のほうが温かい音がする気がします。

バンド、宅録、音作りの違い

バンド活動のときと動画を撮るときでは、ギターの音作りを変えています。動画ではギターの音色を一番に聴かせたいので、ギター中心の音作りというか、ネオソウルっぽい雰囲気に合ったこもった感じのトーンにしてます。ギター本体のトーンは絞ってないけど、イコライザーはベースを少し上げて、トレブルを絞って、“聴かせるトーン”を意識して音作りをしています。カバー動画のときはだいたいLogic Proでプラグインを使って音作りをしています。コーリー・ウォンが好きで、彼と同じプラグイン、ハーフトーン、コンプレッサーを組み合わせることもありますね。Klang Rulerのときは、アンプはFenderのTwin Reverbで、コンプよりコーラスを使った音のほうが全体のサウンド感に馴染むので、そちらをメインにした音作りにすることが多いです。

バンドで音源をレコーディングするときはyonkeyに音色を任せることも多いです。バンドのギタリストでいるときは、Klang Rulerとして一体感のある音を出したいなと思っているので。最近はありがたいことにバンド活動が忙しくなってきて、だんだん動画投稿ができなくなってきました(笑)。どっちもがんばらないといけないですね。

Klang Ruler(クラングルーラー)

AAAMYYY、Ace Hashimoto(ex. Odd Future)、足立佳奈など、さまざまなアーティストをフィーチャーした楽曲をリリースし、また88risingから全米デビューしたATARASHII GAKKO!の1stシングル「NAINAINAI」や山本彩など数々のアーティストの楽曲プロデュースも手がける、Z世代の気鋭プロデューサー / トラックメイカーyonkey(Vo)を中心にSimiSho(Dr)、かとたくみ(Bs)らによって結成されたバンド。ライブをメインに活動を続け、2019年にYouTubeにて動画シリーズ「MIDNIGHT SESSION」をスタート。同世代アーティストとともに名曲をカバーするこの企画は、過去の名曲をカッティングエッジなサウンドでアレンジする動画が評判となり、ヒットコンテンツとなっている。2020年には初シングル「iCON」、空音をフィーチャーした「Be Fin(feat. 空音)」など計4曲のオリジナル楽曲を次々とリリースした。同年12月には東京・WWWで自主企画ライブ「Magnet+」を開催した。2021年の夏、「MIDNIGHT SESSION」でも共演したアーティスト / ファッションデザイナーのやすだちひろ(Vo)と、サポートギターとしてバンドに参加していたGyoshi(G)が正式加入した。11月、Rin音をフィーチャリングに迎えた「ビビビバビビ」でメジャーデビューを果たした。

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