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a flood of circle×UNISON SQUARE GARDEN、盟友2組がお台場で火花を散らす

a flood of circleとUNISON SQUARE GARDEN。(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])
約1か月前2024年02月21日 13:03

a flood of circle主催のライブイベント「A FLOOD OF CIRCUS 2024」の最終公演が、2月14日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で行われた。

「A FLOOD OF CIRCUS」は2016年にスタートしたa flood of circle主催の対バン企画シリーズ。今回は都内を舞台に行われ、LiSA、ドミコ、時速36kmといったa flood of circleの歴史を語るうえで欠かせないアーティストたちが参加した。ファイナルにa flood of circleが招聘したのは、15年以上の付き合いという同世代バンドのUNISON SQUARE GARDEN。2時間を超える対バンは、互いへのリスペクトと愛にあふれると同時に、火花を散らす刺激的な内容となった。

UNISON SQUARE GARDEN

先攻を務めたのは、ゲストのUNISON SQUARE GARDEN。深い青で染まった仄暗いステージに斎藤宏介(Vo, G)、田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)の3人のシルエットが浮かび上がり、ライブの始まりを告げる。鈴木がけたたましく鳴らすドラムの音を機に、斎藤はまくし立てるように「サイレンインザスパイ」を絶唱。田淵もベースを抱えながらステージを右へ左へと躍動し、アクセル全開のパフォーマンスを展開する。その後も3人は、「スロウカーヴは打てない(that made me crazy)」や「天国と地獄」などエッジの効いたスリリングなロックチューンを畳みかけ、フロアをびっしりと埋め尽くすオーディエンスの興奮を煽り続けた。

近年はステージ上で多くを語らない斎藤だが、この日はa flood of circleが相手とあって思い出話が尽きない様子。「a flood of circleとの付き合いはめちゃくちゃ古くて……」と切り出すと、対バンの打ち上げで佐々木亮介(Vo, G)に好きな音楽を問いかけた出来事を回想。「20秒くらい考え込んで『スピッツ』って答えたんだよね」と佐々木のチャーミングな一面を紹介し、彼がとあるライブで「鬼ころし」に並々ならぬ愛着を示したことも明かす。「そのとき、すげえこの人好きかもって思ったんだよね」と笑う斎藤だったが、ノスタルジーに浸る様子はなく「最新のUNISON SQUARE GARDENで勝ちに行きたいと思います」とa flood of circleに宣戦布告。その言葉を体現するように最新ナンバーを叩き込み、百戦錬磨のライブバンドとしての底力を発揮した。

「桜のあと(all quartets lead to the?)」「もう君に会えない」が紡いだみずみずしい空気の中、斎藤は「もうちょっとだけ昔話を」と再び口を開き、15年前、a flood of circleとの対バンに向けて用意していた「mouth to mouse (sent you)」について触れる。「さよならが聞きたいんじゃなくて また会えると言ってほしい」という一節が登場するこの曲。ポジティブなメッセージが印象的だが、2009年当時のa flood of circleと言えばギタリストが失踪したばかり。UNISON SQUARE GARDENのメンバーは、なんとも言えない気持ちでその曲を演奏していたという。「今はその曲をまっすぐに歌える気がします」と笑いを取った斎藤は、インディーズ時代に作ったナンバーをうれしそうに奏でた。ライブの定番曲「場違いハミングバード」、複雑怪奇な展開でリスナーを翻弄する「カオスが極まる」を投下したのち、3人が届けたのは「フルカラープログラム」。色とりどりの照明で華やかに彩られたステージで、晴れやかなアンサンブルを奏でるUNISON SQUARE GARDENと、その音を全身で受け止め、思い思いの形で楽しむオーディエンスたち。幸福な余韻を残しつつ、UNISON SQUARE GARDENは盟友a flood of circleにバトンを渡した。

a flood of circle

真紅に染まったステージに現れたa flood of circleは、転換中にまったりしていたオーディエンスを叩き起こすかのごとく「美しい悪夢」を豪快に奏で、キラーチューン「Dancing Zombiez」であっという間にフロアに狂騒を生み出す。「友達の歌やりまーす」。佐々木が何気ない調子で口にした言葉に続いて始まったのは、UNISON SQUARE GARDENが演奏したばかりの「フルカラープログラム」だ。奔放さを打ち出した豪胆なアレンジ、佐々木の野性味のある激しい歌声が、a flood of circleとUNISON SQUARE GARDENの個性の違いを浮き彫りにしていく。ユニゾンファンの心をがっちり捉えたところで、佐々木はマイクをつかむと今度はフロアへ足を踏み入れる。渡邊一丘(Dr)が叩くギャロップのようなビートに乗せて始まったのは「Sweet Home Battle Field」。佐々木は観客に支えられ、自身の“Battle Field”の中心で熱唱する。途中でその足元が崩れる場面もあったが、彼は観客の状況を気遣いながらもパフォーマンスを続行。さらに、中断されたサビをやり直すことを提案すると、HISAYO(B)、アオキテツ(G)、渡邊は阿吽の呼吸で演奏を続け、チームワークのよさを発揮した。

「今日も楽しんじゃおうと思って」と言いながらお茶割りの缶を傾けたのち、佐々木は「みんなにチョコレートを」と「ホットチョコレート」を柔らかな声で歌い上げる。HISAYOと渡邊の佐々木に寄り添うようなコーラスも相まって、ほろ苦くも甘いサウンドスケープがライブハウスに広がっていき、観客はa flood of circleからの“バレンタインプレゼント”を、体を揺らして心地よさそうに受け止めた。

斎藤のMCを受けて、佐々木も「なるべく、くだらないことを話そうと思って」とUNISON SQUARE GARDENとの仲のよさをうかがわせる20代の頃のエピソードを披露。「死ぬまでUNISON SQUARE GARDENにジェラシーと感謝を抱いていくと思います。15年経って気付いたことは、これしかないってこと」とステージを力強く踏み締め、「プシケ」「シーガル」とバンドの礎を築いてきた初期の楽曲を激しくプレイ。さらに本編のクライマックスで田淵プロデュースの「ミッドナイト・クローラー」をパフォーマンスし、会場の熱気をどこまでも引き上げた。

アンコールで佐々木は今回の対バンで競演したアーティストたちに謝辞を述べ、当初は亡きチバユウスケが在籍するThe Birthdayも内定していたことを吐露。敬愛する先輩の不在に寂しさをにじませつつ、「生きている人で転がっていくしかないってこと」と決意を新たにする。そして、マイクオフのアカペラで「本気で生きているのなら」を歌い出した。佐々木の振り絞るような絶唱に渡邊、HISAYO、アオキテツの奏でる音が重なり、骨太なバンドサウンドを紡ぐ。次第にステージは眩い光に包まれ、ライブハウスには「本気で生きているのなら これでいいんだ」という佐々木の声と爆音が響きわたった。

セットリスト

「A FLOOD OF CIRCUS 2024」2024年2月14日 Zepp DiverCity(TOKYO)

UNISON SQUARE GARDEN

01. サイレンインザスパイ
02. kaleido proud fiesta
03. スロウカーヴは打てない(that made me crazy)
04. 天国と地獄
05. ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ
06. いけないfool logic
07. 世界はファンシー
08. 桜のあと(all quartets lead to the?)
09. もう君に会えない
10. mouth to mouse (sent you)
11. 場違いハミングバード
12. カオスが極まる
13. フルカラープログラム

a flood of circle

01. 美しい悪夢
02. Dancing Zombiez
03. フルカラープログラム
04. Sweet Home Battle Field
05. ホットチョコレート
06. まだ世界は君のもの
07. アンドロメダ
08. キャンドルソング
09. プシケ
10. シーガル
11. ミッドナイト・クローラー
12. Honey Moon Song
13. 月夜の道を俺が行く
<アンコール>
14. 夏の砂漠
15. 本気で生きているのなら

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