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アーティストを作った名著 Vol.22 寺嶋由芙

4年以上前2019年12月27日 12:05

アーティストたちに自身の創作や生き方に影響を与え、心を揺さぶった本について紹介してもらうこの連載。今回は知性派として知られる寺嶋由芙が、中学生の頃から憧れているヒロインの物語や安心感をもらったという1冊、作詞を依頼するほど大好きだという作家の著作を紹介してくれた。

01. 風と共に去りぬ(新潮文庫)
著者:マーガレット・ミッチェル(大久保康雄 竹内道之助 訳)

永遠の憧れ

中学生の頃、ドラマ「白夜行」にハマった。ヒロイン雪穂が図書室で「風と共に去りぬ」を読む回想シーンに憧れ、私もいそいそと図書室へ。きっかけはミーハー心だったが、1巻を読んだだけで面白さに引き込まれ、「全巻手元に欲しい! だけど雪穂ごっこもまっとうしたい……!」。結局、最終巻を読み終わるまでひたすら図書室に通い詰め、その後、改めて本屋で買いそろえた(今思えばあれは私なりの中二病……?)。

新しい時代への変化に翻弄され、古い時代の考えに足を引っ張られ、その真ん中で、“Tomorrow is another day.”と何度でも立ち上がり、強く賢く美しく生き抜くスカーレット・オハラ。物怖じせずに自我を押し通すわがままお嬢様のようで、実は自分の本当の気持ちがいつも置き去りになっていて、しかもその自覚がないところがどうしようもなく切なくて愛おしくて、どんどん惹かれていった。もちろん、彼女を取り巻く男性たちとのロマンスにも夢中になり(断然レット・バトラー推し)、読み進めるごとに憧れが募り……中学生ゆっふぃーのトレンドは、雪穂ごっこからスカーレットごっこになった(花瓶は投げてません)。

大人になってからも、スカーレットは永遠の憧れ。折に触れて読み返しては学び、勇気をもらう1冊である。

02. 女子をこじらせて(ポット出版)
著者:雨宮まみ

ずっと“かかりつけ”でいてほしかった

早稲田大学の学生としてトミヤマユキコ先生の講義(「非文字媒体論」という、少女マンガを通して女性の労働について考える講義だった)を受講していた頃、ゲスト講師としていらしたのが雨宮まみさん。せっかくお会いできるならと、予習のつもりで購入した「だって、女子だもん!!」に引き込まれ、「女子をこじらせて」も手に取った。

「そうか、私はこじらせていたのか」。自分が感じていた息苦しさや、原因不明で悩んでいた症状にポンと名前を付けてもらったような衝撃。もやもやが解きほぐされる安心感に驚いた。謎の体調不良には不安が募るけれど、あなたはこの病気ですよ、と診断してもらえれば、原因がわかる。原因がわかれば対処法もわかるのだ。雨宮さんの言葉はまさに、そんな前向きな安心感をくれる存在。もはや医療。ずっと私たちのかかりつけでいてほしかった。「こじらせ女子」という言葉が浸透してひさしいが、この言葉は本来、悩める女性が症状を自覚し解決に向けて動き出せるように、雨宮さんが優しさと知性をもって付けてくださった診断名だと思っている。さらには、仲間を見つけるための目印でもあるのだ。自分が嫌になったときに開くと、この本の向こうに同士がたくさんいる気がしてまたがんばれる。お守りのような1冊である。

03. いつか終わる曲(祥伝社文庫)
著者:加藤千恵

音楽が呼び起こす、さまざまな記憶と感情

登場人物を甘やかさず、だけど絶対に優しい加藤千恵さんの作品が大好きだ。大好きすぎて、1stアルバムのリード曲の作詞をお願いしたことがある。完成した歌詞「わたしになる」をいただいたときの感動といったら……ままならないことも含めた現実を受け入れ愛しながら、ほかの誰でもない「わたしになる」ために生きていく。人生の指標として、死ぬまで大切に歌っていきたい曲である。

私はこの曲を歌うたびに、これまでの活動を走馬灯のように思い出す。音楽って、本当に素敵で、ときに残酷だ。その曲を聴くたび無意識にスイッチが入り、酸いも甘いもさまざまな記憶と感情が呼び起こされる。

「いつか終わる曲」は、1話1曲、実際にリリースされている楽曲を題材に物語が描かれる短編集。

私のオススメは、「東京ハチミツオーケストラ」(チャットモンチー)にまつわる3人の女性のエピソード。それぞれが置かれた状況によって、同じ曲でも刺さるフレーズが違い、感じ方も、思い出すエピソードも違う。だけどそれはあくまでも同じ曲がスイッチとなっているのだ、という点に、音楽と記憶の不思議を感じる1冊である。

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