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令和のアーティストとファンベース 第5回 Gaudiy石川裕也に聞く、NFTがエンタメ業界に起こす革命的変化

2年以上前2021年12月02日 8:04

SNSが日常生活に根付いた今の時代において、アーティストがファンとどのように関係を築いていくべきかを探る本連載。第5回では、株式会社Gaudiyの石川裕也CEOへのインタビューをお届けする。NFT(※Non-Fungible Token:非代替性トークン。ブロックチェーン上で発行・流通するデジタルデータの一種で、デジタルコンテンツの固有性や所有権を証明できる)への関心が音楽業界でも高まる中(参照:まふまふ、NFTマーケットプレイスに出品意欲「画期的なシステムを伝えたい」)、NFTを使った新たなサービスを提供しているのがGaudiyだ。今年10月には「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」にて「TIFコミュニティ」を提供したことでも話題になったが、具体的にどんなことをしているのか。ファンエコノミーを形成したいと語る石川氏の発言から、エンタメ業界のこれからを探る。

取材 / 宮本浩志、丸澤嘉明 文 / 丸澤嘉明 撮影 / KOBA

Gaudiyが提供するのはコミュニティを中心としたソリューション

──まずは2018年にGaudiyを設立した経緯を教えてください。

もともと自分は周囲からちょっと浮いている人間だったんですけど、コミュニティに救われてきた自覚があって。コミュニティが自分の居場所になったり、エンパワーメントしてくれたりしていたので、そういうものを作りたいとずっと考えていたんです。それで2017年にDApps(※Decentralized Applications / 分散型アプリケーション。中央管理者が存在せず、オープンソースで提供され、利用者の合意によって仕様変更や改良が行われるアプリケーション)というブロックチェーン(※取引履歴[ブロック]が暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつながる形で記録され、多数の参加者に同一データを分散保持させる仕組み。データの破壊や改ざんが困難で、障害によって停止する可能性が低い特徴を持つ)を用いた概念が出てきたときに「これだ」と思ったんですね。そのDAppsはエンタメと相性がいいと思いました。今のエンタメ企業の課題を解決できるので事業として成り立ちやすいし、自分の目指していた世界観を作るのにも合ってると思ったのでベットしている感じです。

──そのエンタメ企業の課題というのは具体的に言うと?

一番の課題はプラットフォーム依存なところですね。プラットフォーム側にデータもお金も取られてしまってクリエイターに還元されない状況を打開できるなと。GAFA(※Google、Amazon、Facebook、Apple)がいらなくなるなっていう。それに加えて、エンタメ業界はいい意味でも悪い意味でもみんな自分の城を作りたがるんですよ。ミュージシャンも自分たちのレーベルを立ち上げますよね? こだわりがあるのはいいことでもあるんですけど、運用まで自分たちだけでやろうとするので、例えばECサイトや分析ツールなど同じようなシステムがいっぱい出てくるわけです。横のつながりがなくて、同じ会社でほかのチームに流用できるシステムがあるのにIDがいっぱいある状態ってエンタメ企業でよくある話なんですけど、そういう複数あるIDをうまくつなげることもブロックチェーンはできます。ブロックチェーンは網目状につながっている複雑な構造を統合するのではなくて、そのまま共存させる仕組みなので。

──シナプスみたいなイメージですか?

そうですね。よく「統合」ではなく「ブリッジ」と言われますけど、そういう技術なので今のエンタメ界の構造の中にも入りやすいなっていう。

──GaudiyはFPaaS(エフパース)というサービスを提供していますが、これはどういったものでしょうか?

Fan Platform as a Serviceの略なんですけど、コアユーザーが集まるファンプラットフォームのことで、コミュニティを中心としたソリューションを提供しています。

──FPaaSは、どういうところが同業だったりライバルになってくるんでしょうか?

FPaaSの同業はいないですね。そもそもIP(※Intellectual Property / 知的財産)を有する企業はそういう概念でやってると思いますけど。あるブランドに対して映画というソリューションに書き出したり、ゲームというソリューションに書き出したりしていますよね。そういったものをシステムに置き換えた感じ。要は、人と人が話すという構造に対して対面でなくても会話ができる電話という解決策ができたとか、手紙という伝達手段に代わるものとしてEメールができたように、既存の構造に対してFPaaSというソリューションを提供しています。エンタメ業界の構造はまだソリューションができてない。それぞれが持っているサービスをうまくつなげて掛け算で戦っていくという意味ではMicrosoftやAdobeは近いかもしれないですね。

──AdobeはPhotoshopやIllustrator、Premiere Proなどのクリエイターツールを提供していますね。

それらのサービスの互換性で戦いにいく感じ。Microsoftもサービスとしては最低限のポジションを取ってるわけですよね。オンラインミーティングをするならZoomのほうが使いやすいし、コミュニケーションツールとしてはSlackのほうがいいけど、「これさえできていればいいよ」という最低限のサービスを提供して、それを掛け算することで価値を拡張している。

「TOKYO IDOL FESTIVAL」で提供した初めての体験

──10月に開催されたアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」では「TIFコミュニティ」を提供しましたが、具体的にどういうものだったか説明していただけますか?

TIFのオンライン周りを全部ひっくるめたサービスを提供させていただきました。背景としては、去年初めてTIFがオンラインで開催されたんですけど、そのシステムが非常に使いづらかったんですよ。フェスだから何会場もあるのにプラットフォームに配信周りをお願いしていたので、画面の切り替えがスムーズにできなかったり、IDもいっぱいあったり。ユーザー体験があまりよくなかった。それで今回うちに話が来て、Gaudiyがやったことは、プラットフォームに依存していた状態をやめて「TIFコミュニティ」というTIF単体のサービスを提供することからスタートしました。

──プラットフォームというのは、配信サービス業者だったりチケット販売業者だったり?

はい。お客さんの入り口になっているところですね。今回我々が提供した「TIFコミュニティ」で何ができたかというと、まずはチケッティングですね。NFTチケットで配信が視聴できるということを最初にやりました。NFTチケットはソニーとGaudiyが共同で特許を取っていて、これまでのチケットと違って転売されたとしてもちゃんと収益が運営に返ってくるようなシステムを入れています。ほかにも「オンラインで参加したんだけどオフラインでも観たい」と思ったときに、同じNFTチケットで切り替えることができるシステムを導入しました。それと「NFTサイン会」という取り組みもやりました。(「TIFコミュニティ」のアプリを立ち上げて画面を見せながら)アイドルが会場でサインを書いてくれて、そのサインが視聴者のアプリに飛んできて受け取ることができるという。

──そのサインがリアルタイムに「TIFコミュニティ」のアプリに格納されるわけですね。

そうです。プラットフォームの仕様から逆算すると、こういう体験って作れないんですよ。例えばYouTubeだったらYouTubeの仕様に依存せざるを得ないわけです。エンタメ界の人って面白いことを考えるのが得意なのに、何かの枠にはめられて表現させられていることが多くて、そのことでユーザー体験が狭められてしまっている。コンテンツと僕たちが提供するソリューションを掛け合わせることによって、ファンの人たちに「こんな体験初めてだ!」と思ってもらえることを実現しました。

NFTが可能にした2つの利点

──NFTチケットという言葉が出てきましたが、NFTを言葉の字面としてはわかっていても体感的に理解できていない人も多いと思います。

NFTが可能にしたのは“所有”という概念と、“移転のプログラミング”です。今までデジタルコンテンツは閲覧しかできなかったわけです。例えば僕が友人に写真画像をLINEで送ったら、自分のデータベースの画像をコピーして送っている状態。だから僕のデータベースにも写真は残っています。だけど所有という概念は、写真を送ったら自分の手元にはなくなります。この概念をデジタル上に作ることができたのがNFTですね。

──なるほど。

これが起こると何がいいかと言うと、シンプルに金額が上がります。基本的にレンタルと所有って値段が違うんですね。住居にしても賃貸だったら毎月10万円とかだけど分譲マンションを購入しようとしたら数千万円するし、DVDもレンタルだったら300円程度だけど買うなら数千円します。所有の概念があるデジタルコンテンツと所有の概念がないデジタルコンテンツだと前者のほうが高くなるのはわかりますよね。そういう話なので、デジタルというものの価値が一段階上がったのがまず1ついいところ。2つ目の移転のプログラミングができるという話は……例えばテーブルの上に置いてあるペットボトルを左から右に移動したとします。これって物理として動いているのは理解できると思いますけど、ここに関してのルールメイクってできないんですよ。もっとわかりやすい例で言うと、読み終わった本を古本屋に売っても、別の誰かにお金が入るというルールメイクはされてないじゃないですか。

──著者に印税は入らないですね。

契約をすればいけるかもしれないですけど、現実的には厳しい。友人同士の移転だったら追いかけられないし。でもNFTを使えば移転にプログラミングができるようになるので、例えばプロダクトが別の場所に移動するときに10円入ってくるというルールメイクができるようになります。そうするとクリエイターへ還元できるようになるし、移転可能な場所を制限することもできる。コンテンツを作っている人は、これまで最初に売った金額、プライマリーセールのみが収入でセカンダリーは入ってこない。ゴッホはまったく儲かってないわけですよ。だけどNFTによって移転が行われるたびに作者に報酬が返ってくるようにできるので、エンタメコンテンツを作っている人により還元される社会を作れるのが移転をプログラミングできる利点ですね。

──今の話を伺うと、デジタルコンテンツは今後どんどんNFTに移管されそうですね。

そう思います。あとはちょっと難しい話になってしまうんですけど、トークングラフという概念があります。トークングラフというのは、先ほど所有の概念の話をしましたが、この所有の絶対量を示したものになります。お金のようにどれくらい発行されているかがわかる。運転免許証って本来は車を運転できる権利を証明するものですが、身分証明としても機能しますよね。NFTでもそういう役割を担うことができるわけです。例えば「このNFTの価値が世の中の市場としては100万円だから、このNFTを担保にお金を借りる」というような。NFTfiというサービスがあってそういうことができるので、例えばゲームのアイテムなどのデジタルコンテンツを資産として計上できます。今までは土地とか高額なものだったら担保にできたと思うんですけど、小額のものは担保として認められなかったですよね。計算するのがめんどくさいので。でもデジタルなのでその計算も一瞬でやってくれる。ソシャゲで破産したという話もありますけど、逆にソシャゲで持っているアイテムを担保に家を建てることもできる。ゲームアイテムが資産になるわけですね。

──その価格は需要と供給のバランスで変動するんですよね?

基本的には物理的な物と一緒ですね。

──アーティストの場合、ファンには知ってもらいたいけどファン以外の人も見るオープンプラットフォームでは発表したくないセンシティブな話題もあると思うんですが、ファンだけ見ることができて外に出ることを防ぐこともNFTを使ってできるんですか?

「この権利を持っている人しか見られない」という制御の仕方もできるので、例えば「ファンクラブ会員証のNFTと閲覧のNFTの2つを持ってないと閲覧できない」といったルールメイクはできます。

Gaudiyが目指すのはファンエコノミーの形成

──アーティストがNFTを活用するときに想定されうることと、Gaudiyが今やろうとしていることの連携はどのようなところになってきますか?

アーティストが何をやろうとしているかに関してはわからないですけど、僕たちがやろうとしていることはエコノミーを作ることです。ファン国家とかファンエコノミーと言っているんですけど、例えば「Axie Infinity」というベトナム発のゲームがあって、それで儲けて家を建ててるユーザーがいるんですよ。これってすごくいいことで、ゲーム会社が儲かるだけじゃなくてファンの人たちが儲かっている。でも実際その人たちが「Axie Infinity」を引っ張ってきたわけです。こういう事例を僕たちは作りたいと思っています。例えばジャニオタ、ドルオタといった言葉がありますけど、これがファンの通称ではなくて職業になってほしいんですよね。YouTubeに対してYouTuberという職があるのと同義。ファンの人たちが消費者になるのではなくて、NFTを使って一緒にそのコンテンツを作り上げる共創者になり、その人たちに還元される社会を作りたい。

──それを実現するためにはアーティストの肖像権や著作権をどこまで認めるかが大事になってくると思いますが、ある程度委ねたうえで活性化させる?

そうです。だからこそコミュニティがすごく重要になってきます。コミュニティでありバーティカルであるというのが重要なこと。いまだにCtoC(※Consumer to Consumer:個人間取引)って普通にありますよね。例えばアイドルのグッズを作って友達同士で取引するとか。それを商売にしてはダメで、そこで出てくるのがFPaaSです。あるコミュニティの中でやってもらって、例えば手数料として20%が返ってくるなら運営はおそらくどんどんやってほしいですよね。自分たちがコンテンツを作らずに収入があるわけですから。だけどちゃんと制御することもできます。例えば20万円以上はダメとか、こういうアイテムは自分たちで作ろうと思っているので作っちゃいけないというガバナンスも効かせられるわけです。

──NFTの技術があれば、そういった管理ができるということですね。

そうです。Twitterで公式マークがありますけど、ああいう感じの管理になるはずです。「これは公式マークが付いていてちゃんと運営に還元されるからOKだよね」という認識がファンの間で広まり、それ以外のアイテムは消費しないという。

外部タッチポイントの重要性

──バーティカル、つまり縦軸の視点という意味で、コミュニティ外部との連携も重要になってくると思いますが、そのあたりはどうお考えですか?

これまで話したのはIPを軸としたコミュニティでできる横の幅をどんどん増やしていこうということでしたが、バーティカルな軸での拡張もどんどんやっていくべきだと思います。エンタメ消費は可処分所得の5%程度と言われていて、今まではそこを取り合っているだけだった。でも家賃とか保険代とか、残りの95%からでもエンタメの人たちは取れると思うんですよ。これはソリューションではなくてロイヤルティ(忠誠心)があるからです。

──自分が使える100%のお金のうち、エンタメ消費以外の95%の中からなんらかの手数料が入るように。

そうです。IP側に入るような切り替えをする感じですね。例えばYOSHIKIさんデザインのクレジットカードがあるんですけど、これはすごいです。消費に応じてポイントがもらえて、そのポイントを使ってグッズと交換できたり、ライブの先行予約に申し込めたりするんですよ。クレジットカードとYOSHIKIさんって本来なんの関係もないけど、YOSHIKIさんのファンはそのカードを使って消費をしますよね。そういう感じでサービスの連結部分をうまくやれば、TIFクレカ、TIF不動産、TIF保険といったものもできると思います。

──「楽天証券」とか「楽天生命」とかいろいろありますけど、“楽天”の部分がIPの名前に変わるイメージですね。アーティストのファンクラブはこれまで、ライブのチケットが買いやすくなる、会報が届くといった決まったフォーマットの中でのビジネスでしたが、新しい形のファンエコノミーとしては生活のすべてのタッチポイントに入り込んだうえでアーティストを応援できるようにする感じでしょうか?

「YOSHIKIカード」がまさにそんな感じですよね。既存のファンクラブはIPがあってそれを応援する人たちが消費する感じですけど、自分たちの考えるコミュニティはファンの人たちが主役なんですよ。ひろゆきの切り抜き動画をイメージするとわかりやすいと思いますが、ファンの人たちがちゃんと稼ぐ余地をコミュニティの中で持たせることが大事だと思います。よく投資の世界で「お金に働かせろ」と言いますよね。言い方は悪いですけど、ユーザーに働いてもらうんですよ。実は今回の「TIF」は広告宣伝費がゼロなんです。トータルで20万UU(※Unique User / サイトにアクセスした訪問者数)近い数字が出てますけど、そのうち約80%がリファラル(※SNSなどでの紹介による流入)なんですよ。

──それはなかなか聞いたことがないですね。

「SNSでシェアしてくれたらNFTをあげる」という施策をやったんです。今まで広告代理店にお金を払っていたけど、ユーザーにインセンティブを渡しました。そうするとみんなシェアしてくれて人が集まるんですよ。広告会社にお金を払うよりユーザーが口コミでシェアしてくれるほうがどっちもウィンウィンじゃないですか。「TIF」というコンテンツの価値が上がれば自分の持っているトークンの価値も上がるし。

──「TIF」は歴史があってIPとしてすでに認知がありますが、ローンチしたばかりのIPは広がりを作りづらいところもあると思います。今回「TIF」でやったような取り組みが向いてるのは大きいところなのか、もしくは小さいところでもやり方次第でどんどんグロースさせていくことができるのか、どちらでしょうか?

規模がマスであるかそうでないかではあまり関係なくて、熱量がどれくらいあるかだと思います。その中で1000 True Fansという有名な理論がありますけど、1000人の熱狂的なファンがいることがボトムで、それだけいれば成り立つと思います。これが10万、100万となるとこれはもはや都市なのでその規模をやる。僕たちはファン国家を目指しているので、国レべルの大きいことをやっていきたいと思っています。

クリエイターを応援する人たちを儲けられる世の中に

──ファンエコノミーで言うとBTSが最勢力でしょうか?

BTSについて僕もnoteで書きましたけど、本当に面白いですね。お金がないファンの人たちに楽曲を購入するお金を貸してあげるファンドとかがあって。そういうことをコミュニティの中でちゃんとできる状態を作ってあげれば、BTSに限らず、同じアーティストのファンというだけでCDを買うお金がない人たちを支えてあげる人たちが出てくると思うんですよ。

──これまでいわゆるトップオタと呼ばれる人たちは崇められるなど精神的な充足感を得るだけだったけど、彼ら、彼女らの行為に対してリアルにお返しができるような世界になっていく?

そうです。これまで還元できていなかったのは、構造をシステムにできなかったからです。でもYouTubeはちゃんとシステムを構築したのでトップYouTuberは稼いでいますよね。トップYouTuberのおかげでYouTubeはどんどん大きくなってるわけです。この構造をエンタメの中にもちゃんと入れていくことが大事だと思います。ただ、今のクリエイターエコノミーは能力のある人がよりお金をもらいやすい設計になっています。それは実際に文献があって上位1、2%の人しかできない。それはそうで、僕が歌ったって誰も投げ銭してくれないわけですよ(笑)。でもオリジナルソングは聴いてもらえないけどカラオケだったら聴いてくれる。オリジナルの絵を描いても見向きもされないけど、「ONE PIECE」のキャラクターの絵を描いたら「うまいね」と言ってもらえる。これは自分の創作物をもともとのコンテンツがエンパワーメントしてくれるからです。こういう経済圏をでかくすることが自分たちの考えるクリエイターエコノミーです。一部の人たちはすでに十分生活できているので、そうではない人たちが誰かの力を借りながらクリエイティブを回すことによってより大きな経済圏を作りたい。クリエイターが儲かる仕組みを作りたいわけじゃなく、クリエイターを応援する人たちを儲けさせたい。僕は全人類がクリエイターだと思っているので。

──それは結果的にクリエイターにも還元されて経済がより回っていくという。

そうですね。トップYouTuberのおかげでYouTubeが儲かってるのと同じですね。すごくシンプルだと思っています。そもそもカラオケとかコスプレとか、IPを使って二次創作によりエンパワーメントしていく文化ってめちゃくちゃ日本っぽいんですよ。だからこそ日本からやる意味があると思っています。

──コミケもそうですよね。

そうですね。バイデン米大統領が大統領選の際に「あつまれ どうぶつの森」の中に選挙本部を開設し、「ポケモンGO」がアメリカで社会現象になり、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は世界45カ国以上で上映され興行収入が500億を突破する。この前もテスラCEOのイーロン・マスクに対して「おすすめのアニメはなんですか?」と質問している人がいて、全部日本のアニメを答えてましたね

──それは面白いですね。

7個答えてましたけど、全部日本の作品でした。やっぱり文化はすごく大事。この日本の文化はたとえ1兆円注ぎ込んでもGoogleには作れない。この文化で競争優位に立つのが大事で、そのための勝ち筋を見つけてくれたのがブロックチェーンだと思います。

石川裕也

2018年にブロックチェーン・スタートアップGaudiy(ガウディ)を創業。2020年に3億円の資金調達。現在、Sony Music、集英社、アニプレックスなどエンタメ企業とブロックチェーン事業を展開している。LINE Payや毎日新聞などで技術顧問も兼任している。

株式会社Gaudiy
Yuya Ishikawa / Gaudiy Inc. (@yuya_gaudiy) | Twitter