すれ違いのビッケブランカとAwesome City Club、互いの期待に応えた初ツーマン

1年以上前2022年07月29日 9:05

ビッケブランカとAwesome City Clubのツーマンライブ「ライブナタリー “ビッケブランカ × Awesome City Club”」が7月24日に神奈川・KT Zepp Yokohamaで開催された。

2組の対バンは本公演が初。両者は事前に対談を通じて距離を縮めたうえでこの日に臨んだ。先攻を務めたのはAwesome City Club。3人は「Life still goes on」でさわやかにライブの幕を開け、「アウトサイダー」で観客を踊らせる。次に始まったのは近年のライブでは演奏されていない、1stフルアルバム「Awesome City Tracks」のリード曲「4月のマーチ」。PORINのクリアな歌声と、モリシーのノイジーなギターサウンドが会場に響き渡った。続いてPORINとatagiのハーモニーが美しい「夏の午後はコバルト」が披露され、観客はクラップを繰り返しながら、この季節にぴったりのナンバーを堪能した。

PORINはビッケブランカが好きな楽曲として「4月のマーチ」を挙げたことからこの曲をセットリストに組み込んだことを明かし、atagiも「本当にひさびさだった。初々しさがあったよね」と感慨深げ。「ビッケさん観てくれてるんですかね？」と言うPORINに対し、「めっちゃよかった！」と、客席後方でライブを観覧していたビッケブランカから称賛が飛ぶ。「あんまり演者が客席にいることないんじゃないの？（笑）」とatagiは彼のマイペースぶりにツッコんでいた。続いて新旧の冬のナンバー「青春の胸騒ぎ」「雪どけ」が披露され、場内は清涼感に包まれる。「ランブル」では夕暮れのような照明が哀愁のあるメロディを引き立てた。

対談時、好きなビッケブランカの楽曲として、PORINとモリシーが「Ca Va?」、atagiが「Divided」を挙げていたことを振り返ったatagiは「ひょっとして、今日やってくれたらうれしいよね」と期待を寄せる。PORINも「私たちは一生懸命『4月のマーチ』を練習しましたよ！」と冗談交じりにビッケブランカへプレッシャーをかけ観客を笑わせた。その後、Awesome City Clubは最新アルバム「Get Set」のオープニングナンバー「On Your Mark」でライブにラストスパートをかける。モリシーのギターソロがフロアを沸かす「息させて」に続き、大ヒット曲「勿忘」で観客を盛り上げた3人は、アルバム「Get Set」を締めくくる楽曲「またたき」を伸び伸びと披露し出番を終えた。

ビッケブランカはバンドメンバーがステージに出そろい、ドラムがビートを刻む中で登場。客席を隅々まで見渡してからゆっくりとギターを手にし、勢いよく「Moon Ride」の演奏を始めた。ギターからハンドマイクに持ち替えた彼は「Slave of Love」「ファビュラス」といったナンバーを、低音と高音を自在に操りながら歌唱。「Want You Back」では「AHA?」のフレーズに合わせてハンズアップで観客と一体になり、とびきり楽しげにステップを踏んだ。

「Awesome City Clubは昔同じ事務所に所属していたり、すれ違ってはいたんですけど、意外にちゃんと話したこともなかった。ツーマンができて光栄です」と話し出したビッケブランカ。続けて彼が「『4月のマーチ』を聴けたことは僕に感謝すべきだと思うよ！めっちゃいい歌やん！」と力説すると、客席から賛同の拍手が起こった。ポップでキャッチーな「アイライキュー」を演奏したビッケブランカがキーボードの前に腰掛けると、それまでの朗らかなムードが一転してシリアスに。そしてatagiの好きな楽曲「Divided」の弾き語りと、バンドも加えた「まっしろ」が続けて披露された。ビッケブランカに小声で「座っていいよ」と呼び掛けられ、着席した観客はこれらのバラードナンバーにじっくりと耳を傾けた。

ビッケブランカはコロナ禍以前のようにライブができる状況が、少しずつ近づいてきているという所感を語り、「早く来てほしいなと思います。こういう場所を与えてもらえて僕は幸せ者です。今日ここに出られてよかった」と感謝の気持ちを述べた。またPORINの衣装がヘソ出しであったことから、それに対抗してハンズアップするとお腹が見えるトップスを選んだことも明かし、場内を笑いに包んだ。そしてライブが終盤であることをアナウンスした彼は「座っていられるんですか？」と観客を煽り、最新曲のサマーラブソング「This Kiss」を歌唱。そのままアッパーチューン「ウララ」「Ca Va?」をシームレスにつなぎ、観客を一斉に飛び跳ねさせた。演奏後、彼はすぐにステージ裏へ走って行ったが、一瞬だけ姿を現すと観客にお腹をチラリと見せ、ユーモアたっぷりにライブを締めくくった。