清竜人が最新シングル「平成の男」を携え東名阪3都市を回る単独ツアー「清 竜人ツアー 2018夏」を行った。ここではツアー2本目となった7月30日の東京・WWW X公演の模様をレポートする。
2009年のデビュー以来、作品ごとに大きく異なるアプローチでリスナーに新鮮な驚きを与え続けてきた竜人。新作「平成の男」ではミッキー吉野(ゴダイゴ)ら昭和の時代から活躍する音楽家をアレンジャーに迎え、オーセンティックな歌謡ポップスに挑戦している。このツアーでは「平成の男」収録曲を軸としながら、長らくライブで歌っていない初期の懐かしいナンバーも織り交ぜた選曲で来場したファンを楽しませた。
ライブのオープニングは「平成の男」から、竜人の哀愁漂う歌声にむせび泣くギターが絡みつく井上鑑編曲の「Love Letter」。ステージセットはラグジュアリーな1人掛けソファとワイングラスが置かれたサイドテーブルのみで、竜人は昭和のスターを彷彿とさせる黒いダブルスーツでクールに決める。原田真二編曲の「抱きしめたって、近過ぎて」ではポップな曲調にあわせて軽やかにステップを踏み、観客の声援に応えて笑顔で手を振ったりとサービス満点。新曲が2曲続いたかと思うと、次は2009年発売の1stアルバム「PHILOSOPHY」からの楽曲「素晴らしい」が歌われ、イントロから大きな歓声が沸いた。今回のツアーでは、清 竜人25やTOWNといった別プロジェクトでの活動も含め過去のライブでほとんどMCをしなかった竜人が、合間合間にトークを挟むのも特徴の1つ。竜人は「7月25日にここ(WWW X)でツアーを始めたんですけど、2009年のデビューからのトータルMC時間を1日で超えたと思う」とはにかんだ。
デビュー当時にプロモーション活動の一環として行ったミニライブについて振り返ると、竜人はここでデビューシングル「Morning Sun」を披露。2010年発売の2ndアルバム「WORLD」収録の「それぞれそれぞれ」、「平成の男」と一連の流れで制作されたCD未収録のバラード「涙雨サヨ・ナラ」とじっくり聴かせるナンバーが並び、ステージ背面には楽曲をドラマチックに盛り上げる映像が映し出された。新曲が歌われた流れで、竜人は現在進めているというアルバム制作について話す。制作は順調で「8割方進んで、もうゴールは見えている」と明かした竜人だが、順調すぎて下半期の予定が予想以上に空いてしまったという。「ふと思って会社の人にも話をしたんですけど、アルバイトでもしようかなと。よく考えると僕は17からこの仕事をしていて、ほかの仕事をしたことがないので。何かオススメありますか?」と素のトーンで観客に語りかける竜人に、フロアは大きな笑いが起こった。
次のブロックでは過去のナンバーから「ぼくらはつながってるんだな」「パパ&ママ愛してるよ!」、ジャズ歌謡テイストの新曲「馬鹿真面目」とグルーヴィな楽曲が続く。観客は音楽にあわせて体を揺らしたが、その後「All My Life」「痛いよ」「よくやった」のバラード3連発では一転、うっとりと竜人の歌声に聴き入った。本編ラストは未発表の新曲「私は私と浮気するのよ」と、ミッキー吉野編曲のニューシングル表題曲「平成の男」で締められ、竜人は往年のスターさながらに手を振りステージを去った。アンコールでは、5月31日に行われたワンマンライブ「清 竜人 新曲発表会」でも歌われなかった新曲「TIME OVER」を初披露。来るニューアルバムへの期待を高めた。そして竜人はさらにもう2曲、2011年4月発売の3ndアルバム「PEOPLE」から「きみはディスティニーズガール」「ホモ・サピエンスはうたを歌う」と懐かしい楽曲を届けた。また竜人はツアー全公演で終演後に来場者限定の握手会を行い、ファンとの触れ合いを楽しんだ。
このあと8月26日には、東京・東京キネマ倶楽部にて竜人と吉澤嘉代子によるツーマンライブ「清 竜人 歌謡祭」が行われる。
清 竜人ツアー 2018夏
2018年7月30日 WWW X セットリスト
01. Love Letter
02. 抱きしめたって、近過ぎて
03. 素晴らしい
04. Morning Sun
05. それぞれそれぞれ
06. 涙雨サヨ・ナラ
07. ぼくらはつながってるんだな
08. パパ&ママ愛してるよ!
09. 馬鹿真面目
10. All My Life
11. 痛いよ
12. よくやった
13. 私は私と浮気するのよ
14. 平成の男
<アンコール>
15. TIME OVER
16. きみはディスティニーズガール
17. ホモ・サピエンスはうたを歌う
清 竜人 歌謡祭
2018年8月26日(日)東京都 東京キネマ倶楽部
<出演者>
清竜人 / 吉澤嘉代子