生ハムと焼うどんの東理紗が実の兄弟姉妹と共に結成したバンド・東東東東東(イーストファイブ)が、昨日5月30日に東京・ロフトプラスワンで“お披露目前”ライブ「さよなら家族」を開催した。
長女の理紗、次女かれん、三女ノエル、そして双子の長男太陽と次男一成という血のつながった5人で2017年11月に結成された東東東東東。1年以上の準備期間を経てのデビュー戦となった今回の“お披露目前”ライブでは、気まぐれな次女かれん不在の中、演劇ともライブパフォーマンスともつかない独特のステージが約70分にわたって繰り広げられた。
まずは双子の太陽と一成がステージに上がり、2人だけでファンキーにリズムセッション。するとそこに理紗とノエルが割り込み、「うちらダンスの練習してるんだけど」「うるさくて全然集中できない。どっかいってくんない?」と双子を追い払う。家庭内のケンカをそのままステージに上げたようなひと悶着は、理紗と一成がキスをするダチョウ倶楽部のようなオチで決着。ステージに残った理紗とノエルはビリー・アイリッシュの「bad guy」に乗せて激しいダンスを踊った。ノエルは「やっば! もうこんな時間!? ちょっと大事な用事があって!」とすぐに立ち去ってしまうが、理紗はノエルが落としたラブレターを目ざとく拾い上げ「あー、なるほどね」とほくそ笑む。理紗からラブレターを受け取ったノエルは、告白シーンをダンスで表現。しかしあえなく振られてしまい、ノエルはラブレターを2つに破いて立ち去った。入れ違いでステージに戻った理紗がドスの効いたハスキーボイスで歌う倉橋ヨエコのカバー「友達のうた」には一成がラップで参加し、2人は並んで「アシュラ」ポーズを決めた。
「ということで始まりました!」と理紗はここで初めてオーディエンスに挨拶。改めてメンバー全員を呼び込むが、次女かれんの姿はない。太陽と一成は「かれんだからしょうがない」と平然としていたが、理紗は「代わりにかれんの友達が来てくれていて……」と、かれんと理紗の共通の友人・せいなをステージに招き入れた。せいなはかれんから預かってきたという手紙を読もうとするが、封を開けてみると手紙は白紙。4人はうろたえながらも「せいなはかれんの友達じゃん? かれんのこと一番知ってるんでしょ? じゃあもう半分かれんじゃね? 半分かれんってことは、それはもうもはやかれんだ!!」と謎の論法を展開し、かれんのお面をせいなに被せてパフォーマンスを続行することに。なんとか5人になった東東東東東は、ホウキ、モップ、パスタ、蛍光ペン、ブラジャーを手に、オケも使用しないエアバンド編成で「どっちだっていい」を演奏した。
楽しくエア演奏していた5人だったが、「やってらんねえんだよ! 俺らがやりたいのは本当の音楽だ!」「TikTokやりたい」と理紗以外はステージを去ってしまう。1人取り残された理紗は「私は長女失格だな」とアカペラで「ダメ人間」を歌った。さらに「人がいなくなるかもしれないと思って、今日はメトロノームを大量に持ってきたの。これを家族だと思って歌おうと思う」と、ステージの上に大量のメトロノームを並べ始める。そして、バラバラにリズムを刻むメトロノームの音をバックに、理紗は人間の価値観と生きる価値を問う「カチ価値カチ」を感情むき出しで熱唱。迫真のパフォーマンスに静まり返る場内で、理紗は「いやあ、すごい空気になっちゃった。ママもすごい顔してる。ママ、私ってやっぱ価値ないのかな」と舞台袖で見守っていた東家の母に声をかける。母は「そんなことないよ! 大丈夫」とかぶりを振ると「太陽、一成、ノエル! 戻ってこい!」と立ち去った子供たちを呼び戻した。すんなり戻ってきた太陽、一成、ノエルは「やっぱりママにはかなわないや」と母の偉大さを再確認。ステージに呼び込まれた母は「私はシングルマザーで5人を育ててきたんだから。 ママをナメんじゃねえぞー!」と叫んだかと思えば、突然山本リンダの「どうにもとまらない」を歌い、観客にタオルを回すよう促した。
「やっぱママにはかなわねえや。ウチら負けじゃない? 負けてるよ絶対。こうなったら今度はウチらの番じゃん」と理紗は弟妹を奮起させ、母の日に贈ったオリジナルソング「ぱぱにはなれないけど」を4人で演奏。一成はドラム、太陽はギター、ノエルはタンバリンとそれぞれ本物の楽器を奏で、理紗は母への思いを目の前で届けた。さらに理紗は「一成とノエルはTikTokしてていいよ」と太陽だけを残し、当日コードを付けたばかりだというできたての新曲「スッピンに紅」を初披露。最後は4人で「おつかれさま」を演奏し、なごやかなムードで“お披露目前”の初ステージを終えた。
東東東東東 お披露目前トーク&ライブ「さよなら家族」
2019年5月30日 ロフトプラスワン セットリスト
01. 友達のうた(オリジナル:倉橋ヨエコ)
02. どっちだっていい
03. ダメ人間
04. カチ価値カチ
05. どうにもとまらない(オリジナル:山本リンダ)
06. ぱぱにはなれないけど
07. スッピンに紅
08. おつかれさま