The Cheseraseraが主催するイベント「over the fence」が11月9日に東京・新宿LOFTおよび新宿LOFT BAR LOUNGEにて開催された。
この日はBentham、KAKASHI、Copernix、Amelie、This is LAST、WOMCADOLE、POETASTER、ユアネス、The Songbards、the quiet room、ofulover、ircle、No Buses、そして主催者であるThe Cheseraseraの全14組が出演。LOFTステージとLOFT BARステージで交互に白熱したライブが繰り広げられた。時間の被りがないこのタイムテーブルには、全バンドを観てほしいというThe Cheseraseraの思いが込められており、開場から開演までの間に行われたThe Cheseraseraの宍戸翼(Vo, G)による弾き語りのオープニングアクトを含めると、イベントは9時間近くにも及んだ。
出演者たちはThe Cheseraseraの楽曲のワンフレーズを演奏したり、MCで馴れ初めや思い出を語ったりと、それぞれの“ケセラ愛”を披露しながら、イベントのラストを飾るThe Cheseraseraへとバトンリレーをしていく。その都度、チケット完売で満員となったフロアでは、観客たちが右へ左へと2つのステージを往来。場内では仲間のバンドマンの協力を得てフードの提供が行われた。
そしてイベントスタートから8時間が経とうとする頃、The Cheseraseraのステージが幕を開けた。弾けるビートと颯爽と走り出すメロディが印象的な「東京タワー」がスタートすると、彼らの登場を待ちわびた観客たちの手が一斉に上がる。「今日は僕たちにとって大事な始まりの日です」という宍戸の言葉から始まった「ファンファーレ」で会場は祝祭感で満たされた。
「No.8」の前のMCで宍戸は「答えが出るような歌は、一生歌えないと思う。だって答えなんて出ないから」と吐露。物悲しくも美しいギターフレーズとタイトなリズムで、ヒリヒリとした緊張感をもたらした「No.8」を終えたところでセットリストは折り返し地点を迎えた。束の間のインターバルを経て、宍戸はおもむろにオフマイクで「幻」の冒頭部分を歌唱。続いてオーディエンスの大合唱が沸き起こり、そこに美代一貴(Dr)と西田裕作(B)のリズム隊によるグルーヴが加わって、壮大で包容力のあるゴスペル調のサウンドが会場を1つにしていく。
バンドを長く続けてきた中で失ったものの多さに落胆することもあると語った宍戸だが、その後、目の前にいる観客たちとこの先の未来を目指すことを約束しつつ「最後の恋」を歌唱。宍戸は「このドアを開けたら なにもないまっさらな朝日が 新しい僕らを照らすんだ」とまっすぐな声で歌い上げた。
ラストに演奏されたのは、美代によるパンキッシュなビートにより力強いアレンジになった「I Hate Love Song」。宍戸は最後にイベントタイトルに触れて「ちっちゃなフェンスは越えてしまえばいいと思う!」と観客に伝えた。アンコールでは「ワンモアタイム」「Drape」の2曲を披露。イベントの閉幕を惜しみながら3人はステージをあとにした。
なおThe Cheseraseraはこの日のMCで、2020年4月に東名阪で主催ツアーを行うことを告知。各会場にゲストを2組ずつ迎えてライブを行う。
The Cheserasera主催東名阪スリーマンツアー
2020年4月4日(土)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
2020年4月5日(日)愛知県 APOLLO BASE
2020年4月25日(土)東京都 下北沢GARDEN
撮影:釘野孝宏 / チズワリナ / 石原汰一 / 佐野和樹