さる6月30日にシャムキャッツが解散を発表した。彼らは2010年代の東京インディーロックシーンを語るうえで欠かせないバンドであり、音楽ナタリーも常にその動向に注目してきた。本稿では王舟、川辺素(ミツメ)、高橋翔、どついたるねん、原田晃行(Hi,how are you?)といった5組の盟友にシャムキャッツへの思いをつづってもらった。
王舟
「初めて見たシャムキャッツのライブは、荒々しいのに優しくて最高だった」
2009年くらいに、下北沢440で初めて見たシャムキャッツのライブは、荒々しいのに優しくて最高だった。サウンドは丸みを帯びているけどその中に棘っぽいのがいっぱいあって、熱狂とその熱狂からの避難所となるような隙間もグルーヴの中にあった。そういうバンドに出会ったのは初めてだったからとても新鮮で、まるで放蕩気味でパーティ好き、だけどおれが踊り疲れたらそのときは一緒に休んでくれるような思いやりもある友人に出会った気がした。
ライブ中、夏目くんは何かをけしかけるわけじゃなくて自分が気持ちよくなりたくて叫ぶから、それはワクワクできたし、バンビーは定位置からまったく動かないのにバンドの演奏が最高潮に達したときはあからさまにノリに乗ってて、ベースがうまかった。菅原くんがエコーとノイズがかかったギターを「ギュイーーん!」ってやるときにはモノクロがカラーになるのが見えて、その後ろで藤村くんは建造物を叩き壊してる最中かってくらい、狂気というか豪傑さをドラムで体現していた。4人共堂々としてて、ステージに大きくて変な模様の柱が4本打ち込まれてるみたいだった。
それから成り行きは覚えてないけど、シャムキャッツとはわりと紆余曲折なく、気がついたら仲よくなっていて、何回か一緒にツアーもしたりした。移動中の車や打ち上げでの世間話はいつも楽しいけど、ツアーで日常を離れた解放感でテンションが高潮したときのシャムキャッツのライブはグッとくるし、すこぶる気持ちよくて、最高な瞬間にまた何度も立ち会えた。
「AFTER HOURS」以降、たぶん長い変化期を経ながら、シャムキャッツの演奏は初期の荒々しさが薄れていき、リズムの抑揚と跳ねの要素が少なくなったかわりに、タイトなリズム、メロディと歌詞がより目立つ楽曲、ギターのサウンドが豊かになって、佇まいにも落ち着きが出てきて、大きなステージで見たときに様になるような、初期とは全然違うよさが出てきたと思う。それはそれでやっぱりカッコよかったから、素敵な変化なんだなと思った。この先もバンドを続けていくための意識的で自然な変化。それから解散するって知ってびっくりした。
たぶん世の中が止まってなかったら、出てこなかった選択肢かもしれない。メンバーに会えてないので解散の理由もわからないけど、今、解散するのもシャムキャッツっぽい気がする。わかりやすい1つを貫き通すんじゃなくて、流れに身を委ねて少しずつ変化を獲得するっていう姿勢でやってきたように見えるし、そういう当たり前かもしれないことを、これからも大塚夏目藤村菅原にはカッコよく続けてほしい。酒の席でシャムキャッツの話題がなくなるのは寂しいけど。
去年末のスタジオコーストのワンマン、アンコールで古い曲を昔みたいに少し荒々しく演奏するバンドを見て、440の記憶が蘇った。最高だ!と思うと同時に、戻れない一瞬を音楽が見せてくれたような気がして、なんだか四次元の世界に来たみたいだって若干入り組んでるけど、静かな感激を覚えた。
王舟が選ぶ1曲「落ちつかないのさ」
ほかにも挙げたい曲はあるけど、ベスト盤に入ってないこちらで。ライブで見ると激しさとクールさが同居しているけど、メロディは子守唄のようにも聞こえるし、歌詞の内容はめちゃめちゃ情けない。そして何よりリズムが最高。踊らせてくれるのか、くれないのか、はっきりしない。「いろんな見方をしてくれていいよ」ってスタンスを提示できるのが、シャムキャッツのよさ、好きなところだったりする。
■王舟中国・上海出身のシンガーソングライター。2014年にゲストミュージシャンを迎えバンド編成で制作した1stアルバム「Wang」を発売後、2016年に宅録で完成させた2ndアルバム「PICTURE」、2019年5月に宅録とバンド演奏を交えた3rdアルバム「Big fish」を発表。2020年6月にコロナ禍で生まれた音源をまとめたアルバム「Pulchra Ondo」を配信リリースした。
川辺素(ミツメ)
「シーズンを重ねてきたドラマが急に最終回を迎えてしまったような喪失感」
シャムキャッツが2020年に活動をしないことは去年夏目くんからなんとなく聞いていましたが、解散するとは思っていなかったので驚きました。僕にとっては部活の先輩のような存在です。
出会ったのは2011年で、ミツメとしては数えるまでもなく今までで一番多く共演させてもらったバンドです。国内のいろんなところや、韓国にも一緒に行きました。お互いのメンバー全員がそろっての打ち上げも多く、酒を浴びるほど飲んで騒いだこともありました。ときにはミツメの活動の相談をしたり、反対にシャムキャッツの状況を聞かせてもらったりしてきました。そんなこともあってか、特にここ数年はシャムキャッツの曲を聴くと曲そのものが頭に入ってくるより、すぐ近くに4人の姿がくっきりと浮かぶようになっていたように思います。でも解散の報せを受けて改めて楽曲を聴いていると、1つ壁を隔てたもう触れない遠い向こう側のものに感じられて、いくつもシーズンを重ねてきたドラマが急に最終回を迎えてしまったような、どうにもできない喪失感を持っている自分がいます。
シャムキャッツはメンバーが結成当時から変わることなく続いていました。それと最初は誰もプロでもなんでもなく、友達同士から始まったところがミツメと大きく共通していたと思っています。そのことは自分にとって大きな心の支えになっていました。思い返せばまだミツメがノルマを払ってライブをしていた頃、夏目くんに「やったらいいじゃん」とアドバイスしてもらうまで、事務所にもレーベルにも所属していない自分たちが渋谷のO-nestでワンマンライブを開催できるなんて夢にも思っていませんでした。ほかにも何かにつけ物事を考えるときアドバイスをもらってはシャムキャッツのメンバーが言うんだから大丈夫と安心材料にしていました。バンドメンバーを中心としたバンド運営のよいところと難しいところ、友達としてなんの仕事意識もなく始めたバンドに起きる問題の数々はシャムキャッツの背中を見て学び乗り越えてきたように思います。
これは機会があるたびに言ったりに書いたりしていることなのですが、シャムキャッツ、昆虫キッズ、ceroの3組でやった2011年の渋谷WWWでのライブは自分の価値観を変えた大きな日でした。真似事ではない新たな表現を1から作ろうという気概が自分とそれほど年齢の変わらない人たちである3組からほとばしっていて、すごく興奮して影響を受けました。「このバンドに青春の全てを捧げた事を誇りに思います」という解散にあたっての夏目くんのコメントの締めくくりを読んで、そのライブは自分にとってもう決して再現されることはない重要な青春のワンシーンなんだという感覚が浮かんできました。あまり青春というものを考えたりして来なかったので今は不思議な気持ちでいます。
自分はまだまだバンドを続けたいと強く思ってはいるけれど、これからミツメの活動をしていく中でシャムキャッツの解散は脳ミソにずっとこびり付いて「バンドはいつか終わるもの」ということを強く意識させ続ける出来事になりそうです。10年近くにわたってそう遠くないところで一緒に活動できたことに感謝しています。4人と早くまたどこかでご一緒したいなと思っています。
川辺素が選ぶ1曲「シンパシー」
シャムキャッツのライブを観に行くようになった2011年頃に演奏していているのを聴いて好きになった。大好きな映画のエンドロールが流れる際に胸が苦しくなる感覚を凝縮したような曲。4人にしかできない演奏、楽曲の独特さ、言葉の感覚、それらがどうにも説明できないバランスでそこにあって、憧れるシャムキャッツの姿そのもの。
■川辺素4人組バンド、ミツメのボーカルギター。東京を拠点に活動中。ミツメはアルバム2019年に「Ghosts」をリリース後、2020年4月より毎月連続してデジタルシングルをリリース中。ソロではカセットテープをアナログレコード化した「LP2」が最新作。
・ミツメ
高橋翔
「バンドって、始める理由もないんだから終わることにも理由なんかなくていいんじゃないかな」
今じゃスマホと指1本さえあれば世界中の音楽を聴けるようになった。おまけに毎月1000円足らずの料金で高値が付いて買えなかったレコードたちも余裕で聴き放題。
2020年。サブスクって言葉もすっかり世の中に浸透したけど、10年前の俺たちに聞かせたら安酒煽りながら両手叩いて笑ってたと思うんだ。
「んなことありえるわけねえだろ」って。
明け方の下北沢や高円寺で始発を待ちながらギターとエフェクターケースを抱えて若さを持て余していたあの頃。未来も過去もないおかしな時間の中で生きてたよな。
2009年3月、俺は昆虫キッズというバンドで初めての全国流通盤をリリースした。記念すべき1stアルバムってやつだ。
どこの馬の骨かもわからないバンドにレコード会社やレーベルが付くわけもないので、自分らで金を出し合ってレコーディングを行いCDをプレスした。
発売日に今はなき渋谷HMVに入るとインディーズコーナーに自分たちのCDがズラーッと並んでいる。隣には相対性理論のアルバムが置かれていて「変な名前のバンドだな」と思ったけど、逆の立場だったら同じこと思うよ。
それから1カ月後、新宿のタワレコにいつものように新譜チェックのパトロールに向かった。この日の目的はカレッジチャートやmixiの噂でよく目にしていたシャムキャッツの1stアルバムのチェックだ。
新譜ラックに並ぶビビットなブルーのジャケ。アルバムタイトル「はしけ」の意味する小舟が告げるように感じる“なにかが始まりそうな期待感”。
文学的センスを匂わす曲タイトルたち。
初めてまともに触れた面白そうな同世代のバンドの登場に俺ができることはCDを買わないという嫉妬とダサさが入り混じるLoserの態度だった。
数カ月経った夏の日。ライブハウスで夏目と初めて会うんだよな。
確かU.F.O. CLUBだった気がする。チェックのシャツに坊ちゃん刈りみたいな髪型でいかにも週3でディスクユニオン通ってますって風貌だったので安心したよ。お互い郊外の出身で、夏目は浦安で俺は川崎。それが関係してるかわからないが根底にあるレジスタンス精神がぐっと距離を近づけたのかもな。
ところで原稿には字数制限がある。ここまでですでにオーダーの2/3の文字数を書いたのにプロローグがようやく終わったところなんだ。
ってことで個人的なシャムキャッツとの思い出は割愛する。
そのうち、個人のnoteにもういやってなるほど書くよ。
おこがましいが自分の話だ。
2015年、昆虫キッズは活動を終了した。もう5年も前の話だしバンドのことを知らない人のほうが多いと思う。
事実上、解散ってことだけど、なんで解散したかってはっきりした理由はなかったんだよな。
些細なことが積み重なって衝動的に終わらせたくなったのもあるし、
ロックバンドがアルバムを4枚出すと、その次なにやっていいんだかわからなくなるんだ。そもそもバンドを続けることにこだわりがあったわけじゃないしさ。長い目で見てバンドを続けようって思ったら最初から昆虫キッズなんてバンド名付けないだろ? 頭おかしいだろ。
今の話がシャムキャッツの解散と直接関係があるわけじゃない。けどさ、
バンドって、始める理由もないんだから終わることにも理由なんかなくていいんじゃないかな。
毎日が言葉にならない日々だったからバンドを始めただけだったろ。
メンバーも20代を共に過ごし、変化し続ける環境の中を適応しながら自分らの音楽を進化させてきた。
マチュアさせるってことは、ただただフェイバリットな表現をやりゃあいいってもんでもない。
夢の季節は満ちて無邪気な花は散り、モラトリアムを羽織っていた関係性の中に社会が介入してくる。
毎週のスタジオに向かう足取りが重くなる日もあるし、
レコーディングの予算立てて、ツアーのハコ押さえて
あっという間に雑務に忙殺されることもある。
それでも自分たちで看板掲げてスタッフさん雇ってツアーも飛び回って
自力でやり切ったシャムキャッツにピースマークを送るぜ。
シャムキャッツから巣立ったバンビ、夏目、よりちゃん、すがちゃんがこれからどんな音楽やっていくか楽しみで仕方がない。
偶然訪れる幸運はあっても、強く思うことなく叶えられる夢なんかない。
次の未来でまた会おうぜ。
高橋翔が選ぶ1曲「不安でも移動」
よく共演してたとき、この曲最後によくやってたよね。
シャムの次の出番のときは裏でこの曲聴きながら気持ち作ったり
シャムがトリのときはビール飲みながら楽しんでたなー。
不安でも移動を演奏してるときのメンバーの投げやり感がまさにロックバンドの正解だったぜ。
2007年にのもとなつよ(B)、佐久間裕太(Dr)、冷牟田敬(G, Key)と共に昆虫キッズを結成し、2009年には1stアルバム「My Final Fantasy」を発表。計4枚のオリジナルアルバムをリリースし、2015年1月開催の東京・渋谷CLUB QUATTRO公演をもって約7年間の活動に幕を下ろした。昆虫キッズの活動終了後は、2017年にELMER、2018年に1000%SKYを結成してそれぞれアルバムをリリースする。現在はソロ名義であるsho takahashiとしてのフルアルバムを制作中。
・STUDY (@shotakahashi) | Twitter
どついたるねん
「音楽のことはよくわかんないけど4人のことは好きでした! 今度会ったらケツの穴にキスさせてください!」
ワトソン
どいつもこいつも偽善者だ! おれは自分でバンドを解散させたことないからよくわかんないんだけどどういう気持ちなんだろう? おれはバンドマンだから正直全然わかんないなー。チンコ切り落とします!とかバイトやめます!とかそういう感じ?
だとしたらすげー決断だしたいしたことないことなのかも。
そんなことよりはやくライブいきたいなー。ガチガチのミニマルでも代々木公園でたまにやってるレゲエフェスでもなんでもいんだけどでっかい音きいて踊りてぃ。
昔シャムキャッツのライブ観てカッコいいなーと思ってどついたるねんで「GACHI」っていうガバの曲を作った。海援隊みたいに「G!A!CHI!ガチ!」ってフリ付けてやるだけなんだけど笑。
ライブでもすげー盛り上がった。くだらないよね。そのくだらない曲をおれらのトリビュートでシャムキャッツがカバーしてくれた。暇か!(ありがとうございました)
こないだのおれらのツアーにもでてくれていっしょにガチやって夏目くんが山村の乳首を擦りまくって真っ赤になってたの笑ったなー。
ていうか夏目くんこないだおれらの皇居マラソンのあとに日比谷公園で歌ってくれたよね。
むっちゃ優しい奴やん!おれなんもしてないな。みんなに世話になってばっかで。いつか刺されるだろう。。
ロック好きだわ~(バイト中暇すぎて急に思った 15時くらい)
うーちゃん
今路上でとり皮塩、肉にんにくタレで缶ビール飲みながら書いてます! ヤーマン! 夏目くん、よりまさ、バンビ、菅原くんお疲れちゃ~ん!
昔1年間だけドラムスのよりまさと一緒に住んでた時期があります。引越し前日にラーメン大食べてどつハウスにゲボ撒き散らして翌日逃げるようにパソコンだけ持ってタクシーで引越して財布も忘れてタクシー代すら払えなかったドブネズミ以下の俺を優しく受け入れてくれました。
一緒に住んでわかったのは男としての器もでかければ金玉もでかい! アイツはマジもんの男(DAN)ですよ。。
いっぱい鍋したしカレー作ったしバンドの話もしたし音楽聴いたし楽しかったなー。酔っ払ってビートルズ聴いてるときに夏目はこの曲が好きなんだよってよりまさがかけたの今思い出した。なんの曲だっけか? なんか渋くてよかったなー。
あの頃にシャムキャッツが「AFTER HOURS」出してうちらも同じ日に「grandmother's milk」ってアルバム出したんだけどうちらのお店での扱い小さすぎて身勝手にブチ切れてたなー。そのアルバムにはよりまさの偉大さを歌ったエレポップの金字塔、「コントロール」って曲が入ってるからチェックよろしく!
あといつかなんかの特典でリミックス頼まれて「SWEET DREAMS」のリミックスしたんだけど結局いろいろあって出なかったやつ今聴いたら可愛かったんでよかったら聴いてちょ!
じゃあまた!いい夢見ろよ!
三鷹のイアン・カーティスことうーちゃんより
先輩
バンドマン耐久ロックンロールレースはどうやら俺たちの勝ちみたいだな!
ハイパークレイジー君ことふじむらくんに腕相撲で負けたのが唯一の心残りです!
実際会うと思ったよりでかいでおなじみナツメくん!どつでRCの「ラプソディ」
みたいなLIVEアルバム出しなよって言ってくれたけどまだ聴いてないっす!
すがわらくん初対面でケツ触ったら耳殴ってきたの忘れません!
ばんびちゃんはいつまでもかわいいままでいてね!
音楽のことはよくわかんないけど4人のことは好きでした!
今度会ったらケツの穴にキスさせてください!
日本のリヴァプールこと船橋より愛をこめて どついたるねん先輩
浜公氣
まだどついたるねんの存在を知らなかった頃、シャムキャッツの「GUM」というCDが大好きで、O-nestにライブを観に行った。大好きな「サンシャイン」や「渚」の2サビ前のベースフレーズなどが生で聴けて興奮しながら帰ったのだが、一緒に観に行った奥さんとは「ドラマーの演奏中の顔が怖かった」という話で持ちきりだった。確かに、狂気がこぼれちゃってるみたいな真顔で怖かった。
藤村さんは、自分にとって数少ない“ドラマーの先輩”だ。自分が他バンドのドラマーとの交流がほとんどないというのもあるが、常に機材に関して試行錯誤しているし、ライブ観てくれたときは必ず藤村さんからアドバイスや感想をくれるし、何よりずっしりとした存在感というか漢気というか、自ずと、先輩!と慕いたくなってしまうような色気が好きだ。どつのみんながしきりに、「藤村さんの金玉がデカい」と言うけど、それもなんだか納得できる。
解散を知ったときはショックだったけど、レーベルの運営が継続されることはすごくうれしかった。TETRA RECORDSを立ち上げたときの意気込み、すごくカッコいいと思ったから。そして4人共カッコいいプレイヤーだから、TETRAを通して発信される音源やパフォーマンスが楽しみです。
最後に余談ですが、夏目さんの着てる服は大体好き。どついたるねんのツアーに出てくれたときに、夏目さんがオリーブ色のスラックスと赤い靴下を合わせてるのがめちゃ渋くて、俺もそのあとオリーブ色のスラックスを買った。赤い靴下も合わせて真似てみたけど、自分にはあまり似合わなかった。
冷牟田敬
昆虫キッズやってた頃、シャムキャッツとよく対バンしました。昆虫キッズとの共通点、違うところが今のほうがわかる気がする。等身大の変な青さは同じくあったけど、彼らならではの人を巻き込む力や明るいユーモアは自分たちにはないもので、眩しく見えた。終わり方は少し近いものがあるような。5年長く続いた分シャムキャッツのほうがずっと強いバンドだったんだと思います。
山中治雄
ドラムのフジムラくんと渋谷で話したの楽しかったです!
どついたるねんメンバーが選ぶ1曲
ワトソン「なんだかやれそう」
ロックンロール!
うーちゃん「忘れていたのさ」
気持ちいい!
先輩「なんだかやれそう」
カラオケで歌ってます!
浜公氣「マイガール」
聴いた直後、曲に感動して友達にメールしたのを覚えている。夏目さんの声はいつ聴いてもハッとする。サビ3小節目のコードやアウトロのグルーヴィな演奏も大好き。
冷牟田敬「変な帽子」
初期のCD-Rのこの曲が何か好きでした。
■どついたるねん2006年にワトソン(Vo, Dr)と先輩(Vo, G)が前身バンド・キーマカリーズを結成し、2007年にバンド名をどついたるねんに変更。数多くのメンバーの加入・脱退を経て、現在はワトソン、先輩、うーちゃん(Vo, G)、浜公氣(Dr, Per, Vo)、冷牟田敬(G / blgtz、ex. 昆虫キッズ)、山中治雄(B)の6人で活動を行っている。2020年6月に新作ミニアルバム「たんこぶちん」をオフィシャルストアと物販で発売した。
・どついたるねん (@dotuitarunen) | Twitter
原田晃行(Hi,how are you?)
「DON’T WORRY BE HAPPY」
大体今から6年前、当時コバンザメのようにHomecomingsのツアーについて行かせてもらっていた自分は、愛媛でシャムキャッツと知り合いました。その日以前にもライブを観たりCDを聴いたりしたことはあって、“砂の気持ちになったよ”なんて歌詞を書く人がチョイ上の世代にはいるんだ……とじわじわ感動していたことを思い出します。その頃の自分たちは少しずつ都内でライブに誘ってもらえるようになった時期で、当時は(←前置き重要)「君、佇まいが夏目くんに似てるねえ」なんて共通の知人に吹かされ、またまたあと言いつつ内心ほくそ笑んでいました。
顔なじみになって以降のメンバーの印象は、やや年上の気のいい従兄って感じで、初対面時から私の頭の中の上野樹里が 「なんか、いぐねいぐね!?」と錆び散らかしたテナーサックスで「Hello ハロー / いとこの来る日曜日」(フリッパーズ・ギター)をジェームス・チャンスばりに爆吹きしていたほど(すなわち大興奮と言いたい)。あの日、妙に広いホテルの一室で共に川の字で寝た、Homecomingsの福富さん、畳野さん、恐らく別室のほなバウも同じ胸の高鳴りだったと思います。
音楽的なことを言うと的外れになりそうなんで、シャムキャッツから連想するバンドを羅列してみます。The Beatles、The Kinks、Orange Juice、ユニコーン、Blur、The Who、The Stone Roses、Squeeze、RCサクセション、Ride、The Lemonheads(中後期)、Echo & The Bunnymen、Talking Heads、The Apples in Stereo、The Lotus Eaters。
Hi,how are you?としては、シャムキャッツ主催イベント「easy」に呼んでもらったり、シャムキャッツのツアーでHomecomingsと一緒に福岡と広島に行ったり、挙句TETRA RECORDSからリリースさせてもらったりと相変わらずコバンザメのような調子のよさ。「easy」開催にあたり、夏目さんが発表した出演者についてのコメント「頑なだけど気楽な、気楽なような頑ななものに惹かれます僕。」ってのはなんかずっと残っています。馬渕リーダーと私原田が共通して好きなバンドってサザンオールスターズとシャムキャッツくらいしかないんじゃないか?とも思う。南池袋にあったライブハウス、ミュージック・オルグ(2014年12月閉店)の〆イベ「オルグスター感謝祭」で“シャムハワユー”として6人でGIGったのもエバーグリーンな記憶。
ここからはからくりビデオレター気分で。
バンビさんはドット柄が似合う。シャツも似合う。あとこっちが大して捻ってもいない軽口をたたいても十中八九返してくれる。去年自分たちのレコ発で数曲バンド編成にて演奏したのですが、自分の右手にバンビさんがいる感覚は僕のジョークにさらっとツッコんでくれる感じと似ていて、夏目さんってずっとこういう気分なのかもな、と勝手に独り言ちたものでした。僕らにとっての関口和之として引き続きよろしくおねがいします。
夏目さんは会うたびにキャパのデカさを感じます。一緒にピンでツーマンしたら「2億4千万の瞳」のものまねメドレー時の設楽統さんみたいにネタ振りしてくれるし、こっちから「飯行きませんか?」と誘っても「ま、今日はラッキーってことで~」なんつって奢ってくれる。映画やバラエティや音楽のインプットも視野が広くて、日々さまざまなことでなんかしらの機微を感じると、「とりあえず夏目さんに連絡しとくか~」とぼんやり思うこと週に3回はある。誰かが夏目さんのことを言ってた「歌詞に牛乳という単語を盛り込んで似合う男≒ポスト忌野清志郎」というのは同感。「FAILBOX」んときの民生も連想する次第です。これはディスではなくじわっときた瞬間なんですが、山形でライブがあり、うちに夏目さんが泊まったとき、玄関にスポーンと脱ぎ捨てられた夏目スニーカーが無造作に転がっていて、「これが団地マナーなのか!?」となんかうれしくなりつつ、靴をそろえた自分がおりました。僕が言うのもなんですがそういう魅力ありますよね。次回は僕が奢ります。
藤村さんは自分にとってジョン・ボーナム(Led Zeppelin)でありキース・ムーン(The Who)であり小畑ポンプ(すかんち)でもある、どこをとってもでかい漢です。一見無頼に見えつつ情に厚い、名は体を表す、正に「頼正」。高橋翔さんたちが飲んでいた大久保の中華屋に連れて行ってくれたのも藤村さんで、あんとき翔さんは哀川翔に、藤村さんは宇梶剛士に見えました。心の男気ジャンケン無敗の漢、藤村頼正とまたコーヒーカップに乗りたい。
菅原さんはやっぱりグレアム・コクソン(The Blur)。時折見え隠れするアート・リンゼイのような奇妙さもツボです。京都でピンで一緒にやったとき、なんとなく「眼鏡なしでツーショ撮りましょうよ!」と頼んだら、嫌がりつつも撮ってくれたのなんかいい思い出です。僕が地元に戻る直前のライブにも顔出してくれたり、僕と馬渕さんだけが持ってる幻の“ハイハワユートリビュート”(畳野さん企画考案)にも手の込んだカバーを送ってくれたりと、さりげない気遣いにいつもやられてます。「ジェニーはご機嫌ななめ」(ジューシィ・フルーツ)みたいな曲をいつか菅原さんと共作したい。エチオピアも一緒に行きたい。奢ってください!!!
1年前、Hi,how are you?としての5枚目のアルバムを録り終えたけれど発売するレーベルが決まらず宙ぶらりんになっていたとき、「うちから出しちゃえば?」とジャニーさんの如くサラっとことを運んでくれたメンバーの面々。あの流れは人生でそう何度と訪れない熱い胸さわぎでした。そんなこと断じてないとは思いますが、もし今後TETRA RECORDSとナタリーが揉めて襲撃に発展するようなことがあれば、「先陣を切る原田」としてバツが悪そうに最後にエレベーターに乗り込みます! 痛快なりゆき再結成希望!! 「ロンバケ」(ドラマ「ロングバケーション」)を観るたびにシャムキャッツぽいと思っていた1文がこの文の題だ!!! いい夢見させてもらったよ! あばよ!
原田晃行が選ぶ1曲
「SUNNY」と「KISS」
(1曲は無理です!)
MY“そんなシチュでそんなん言われたら私の心のあずきちゃんがホの字曲”2選!
「SUNNY」はシャムキャッツのBlur的な側面が爆裂した1曲だと思います。
ブリットポップな能天気さと適量のあざとさ、実は「ドラえもん」モチーフという仕掛けを含め大好きな1曲です。
「KISS」の歌詞の「答え合わせの間違いが~」や「君のマフラーを~」のくだりはそっくりそのまま「あずきちゃん」の名シーンにありそうな描写で、参ったなあこりゃ! という生涯生唾ソングです!
馬渕モモ(Key, Vo)との男女ポップデュオ・Hi,how are you?のギターとボーカル担当。2013年にROSE RECORDSより8cm短冊シングル「バンホーテン」を発売し、以降も楽曲制作とライブ活動を積極的に行う。2019年にシャムキャッツ主宰のTETRA RECORDSより5thアルバム「Shy, how are you?」を発表。2020年6月にライブ映像作品「Hi,how are you? one man show"I'm fine thank you!" in武蔵野公会堂」をリリースした。