劔樹人(あらかじめ決められた恋人たちへ)原作による映画「あの頃。」の完成報告会見が本日1月18日に東京・神楽座で行われ、キャストの松坂桃李、仲野太賀らが登壇した。
映画「あの頃。」は、ハロー!プロジェクトへの熱い思いや、大切な仲間たちとの出会いと別れを描いた劔の自伝的エッセイマンガ「あの頃。 男子かしまし物語」の実写化作品。松坂は、大学院受験に失敗しどん底の生活を送っていたが松浦亜弥「▽桃色片想い▽」のミュージックビデオをきっかけにハロプロにハマっていく劔を演じ、仲野は“ミキティ”こと藤本美貴推しのコズミン役を務める。イベントには松坂、仲野とともに、キャストの山中崇、若葉竜也、芹澤興人、コカドケンタロウ(ロッチ)、監督の今泉力哉が出演した。
松坂は最初に出演依頼を受けた際、思わず「松浦先輩!」と脳裏に浮かんだと説明。「僕が中学1年生だったときに、松浦さんが同じ中学の3年生だったんです。遠目から見ていたあの頃の記憶がよみがえり、これはやるしかないなということで」とオファーを快諾した旨を明かした。司会から「中学時代の松浦亜弥さんはどんな様子でしたか?」と質問されると、松坂は「歩くたびにキラキラしたものが残り香のように残っていくというか。『ああ、スターってこういう輝き方をするんだな!』と思ったのを鮮明に覚えています」と返答。また当時先輩の松浦にサインをもらおうと話しかけるも、やんわりと断られてしまったというエピソードを笑いながら披露した。一方仲野は、撮影時を振り返り「和やかとはこのことだというくらい、みんな和気あいあいとしていて。短い撮影期間でしたが本当に居心地のいい現場でした」とコメントした。
イベント中盤、各々が今熱中している“推し”を発表するコーナーでは、松坂はマンガ「SLAM DUNK」、仲野は車、山中はネパールカレー、若葉は白山眼鏡店、コカドはベランピング、今泉監督は女子卓球選手の石川佳純について熱く紹介。“推し”としてエッセイストの上原隆を挙げた芹澤は、「今回の映画は、心が折れた劔さんがハロプロと出会って立ち直っていく様子を描いているんですが、上原さんはそういった経験をした方に取材したり、生活をともにして文章を書いている方。僕の人生の教科書として読んで勉強させていただいています」と語った。またコカドは司会から俳優業への意欲について質問されると、「今回は関西弁の役だったので自分のまま自然に演じられた。現場が楽しかったので、今後も今泉さんの作品には出演したいです!」と今泉監督にラブコールを送った。
終盤で仲野が、ちょうど1年前に行われた撮影を改めて振り返る。言葉を選びながらも、「『あの頃。』はただ昔を懐かしんでノスタルジーに浸る映画ではなくて、それを経て今の大切さを感じられる作品になっています。映画を撮影していた1年前とは今はかなり状況が違いますけど、映画を観てくださった方々が、今という時間を大切に思ってもらえたらなと思っています」と真剣に述べた。続いて松坂は、「試写を観終わったあとに思ったのは、この作品はすっごく心の栄養になるなということ。今はこういった大変な状況の中ですが、『あの頃。』の甘酸っぱい青春の群像劇というか、そのとき好きだったものを共有していたあの時間を観たり感じるだけでも、心の中に優しい風が通るというか。そういう温かさをこの映画に感じました。皆さんに観ていただけると幸いです」とまっすぐに語った。
この松坂の言葉をもってイベント終了かと思いきや、コカドが突然「あの、ちょっとだけいいですか?」と発言。「もう、芹澤さん、あなた自分で言いなさいよ! スーツの中からチラチラ見えてるんですよ!」とコカドの声が響き、それを受けた芹澤がおもむろにジャケットの内側を開いてみせる。するとそこには懐かしいハロプロメンバーの写真が大量に。最後にコカドが、記者陣のフラッシュを一斉に浴びる芹澤に対し「仕込んできてるのに何を恥ずかしがって座ってるんですか! 会見終わるとこやったよ?」とツッコミを入れ、会場に笑いが沸き起こる中イベントに幕を下ろした。
映画「あの頃。」は2月19日に全国公開される。
※「▽桃色片想い▽」の「▽」は白抜きハートマークが正式表記。
※記事初出時、本文の一部に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
(c) 2020「あの頃。」製作委員会