桑田佳祐の楽曲「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」が、10月1日公開の映画「護られなかった者たちへ」の主題歌に決定した。
「護られなかった者たちへ」は、中山七里の同名小説を映画化したヒューマンミステリー。東日本大震災から10年目の仙台で起きた不可解な連続殺人事件を軸に、その裏に隠された切なくも衝撃的な真実が描かれる。殺人事件の容疑者として追われる主人公・利根泰久を佐藤健、利根を追う刑事・笘篠誠一郎を阿部寛が演じるほか、清原果耶、倍賞美津子、吉岡秀隆、林遣都、永山瑛太、緒形直人といった面々が出演。監督を瀬々敬久、脚本を瀬々と林民夫が担当する。
主題歌「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」は、桑田が2011年にリリースしたアルバム「MUSICMAN」の収録曲。桑田が東日本大震災の被災地にエールを送るために同年9月に宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで開催したライブ「宮城ライブ~明日へのマーチ!!~」のアンコールで披露された。なお同会場は震災当時、被災地最大の遺体安置所として使用されており、「宮城ライブ~明日へのマーチ!!~」が一般利用再開後初のライブとなった。当時のライブを観覧していた制作陣の「震災から10年目の宮城を舞台にした本作で、是非桑田さんに主題歌で参加いただきたい」というオファーに、桑田が応える形で主題歌に使用されることが決定した。
YouTubeでは、「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」を使用した映画の予告映像を公開中。
瀬々敬久 コメント
震災のあった3月11日の夜、被災地のあちこちで星空がものすごく綺麗だったという証言が多くあった。「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」を聴いて、まず頭に浮かんだのがそんな光景です。桑田さんのこの曲は追悼の歌のようでありながら、生きることの大切さをさりげなく差し出している。震災の直前に出された楽曲でありながら、震災以降の自分たちの心情にピタリと当てはまる気がする。「時代(とき)時は移ろう この日本(くに)も変わったよ」だけど、――「現在(いま)がどんなにやるせなくても 明日(あす)は今日より素晴らしい」。震災からコロナ禍、まさに今を生きる多くの人々を支えてくれるこの楽曲が、映画に大きな想いを授けてくれたと思っています。
筒井竜平プロデューサー コメント
この度、桑田佳祐さんの「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」を主題歌とさせていただくことが出来ました。
東日本大震災から半年後の2011年9月10,11日に宮城県はセキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)で開催された、「桑田佳祐 『宮城ライブ ~明日へのマーチ!!~』」。
遺体安置所となっていた場所の再開であり、また桑田さん自身の病気からの復活の場でもあったあのライブのアンコールで、「故郷」(ハーモニカ演奏)からの「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」という象徴的なブロックは、深く深く心に染みわたるもので、その後も忘れえぬ体験となりました。
あれから10年という時が経ようとしている中で、宮城を舞台にしたこの映画の開発をスタートした時から、映画化が成就した暁には、桑田さんに主題歌での参加をぜひお願いしたいと考えていました。2011年2月にリリースされたアルバム「MUSICMAN」に収録されているこの楽曲は、この10年という月日の中でたくさんの人に聴き継がれ、たくさんの想いが寄せられ、この先もずっと愛されていく楽曲であると思います。映画の物語にはもちろんのこと、観ていただく観客の皆様にも、そっと寄り添ってくれる存在です。
ままならないことが多い世の中で、それでも前を向いて歩いて行こうとする私達にとって、最高のエールとなるこの楽曲を映画の中でも堪能いただければ幸いです。