THE RAMPAGE from EXILE TRIBE・RIKUさんの連載「音楽大陸」Vol.8後編には、引き続きMACOさんが登場。お互いの新曲についてたっぷりと語り合った前編に続き、後編ではラブソングを多く手がけるMACOさんの恋愛観をRIKUさんが深掘りします。RIKUさんが社会人生活を気持ちよく送るために編み出した独自のルールや今後のMACOさんとのコラボの構想など、濃厚な内容となった後編もお楽しみください。
取材 / RIKU 文 / 清本千尋 撮影 / 曽我美芽
すべての恋は初恋
RIKU MACOさんの音楽性についてもお話を伺いたいんですけど、ご自身の音楽についてどう思っていますか?
MACO YouTubeで「この人いつまで高校生みたいなラブソング書いてるの?」ってコメントをもらったとき、すごくうれしかったんです。私はいつまでも未熟な恋愛ソングを書いていいと思っているので、そういうところが伝わったのかなと思って。MACOはaikoさんが大好きなんですけど、aikoさんはどんなにときを重ねても“aiko節”がある。MACOもaikoさんみたいに自分らしい世界を大切にしたいんです。
RIKU 「高校生みたい」って、普通はマイナスに捉えそうなコメントですよね。でもMACOさんは未熟な恋愛ソングを書いていたいという思いがあって、ターゲット層が明確だからこそ、そうやってプラスに捉えられたんでしょうね。でもやっぱり器がデカいなと思いました。僕がMACOさんと同じようなポリシーを持って音楽をやっていてそういうコメントがあったら「あなたが40歳になったときにこういうふうに表現できるんですか? できないでしょ?」ってきっと思っちゃう(笑)。
MACO あはは(笑)。MACOの書く歌詞は実体験がもとになっているから同じ境遇になることはあんまりなかったとしても、その中で「ここの歌詞が好き」って少しでも思ってくれたらそれでいいんですよね。MACOが吐き出せる場所は音楽の中にしかないから。
RIKU そうなんですね。
MACO 女子同士の恋愛トークみたいなのも苦手で……信頼できる子には話せるけど、自分の恋愛を話のネタにはしたくなくて。話すのが下手なので、歌にしたほうが絶対に伝わる自信があるし。
RIKU MACOさんの恋愛観を本にしたら売れるんじゃないですか?
MACO 詩集みたいな?
RIKU 万葉集じゃないですけど。
MACO 万葉集(笑)。さっき「未熟な恋愛ソングを書いていい」ってMACOは話しましたけど、書いていいというよりそれしか書けないんですよね。初々しい恋をしている人に向けて書いているんじゃなくて、自分が思ったことをそのまま書くと、こうなる。きっと何歳になっても恋をするのも恋の話をするのも恥ずかしいし、恋をしている最中は切ない気持ちになる。私、すべての恋が初恋だと思ってるんです。
RIKU 名言来ましたね。
MACO 例えばRIKUくんが誰かに恋をしたとして、それが何度目の恋だとしても絶対ドキドキするだろうし、くすぐったい気持ちになると思うんです。そういう感覚自体は何歳になってもきっと変わらない。
RIKU MACOさんは心がきれいすぎますね。
MACO えっ! RIKUくんはあんまりそうは思わない?
RIKU そういう考え方ってすごく素敵だと思うんですよ。でも僕は自分の人生において経験が大きく影響していくものだと思っていて。例えばまず初恋をした経験があって、緊張してしゃべることができない、手をつなぎたいけど付き合ってないからまだそんなこともできない、そもそも連絡先も知らない……とか付き合うまでの過程がたくさんあるじゃないですか。その初恋の相手と一度は付き合えたけど結局別れてしまって、次の恋をしたときって、前回の恋でうまくいかなかった点をブラッシュアップしちゃうと思うんですね。それってまっさらな恋ではないんじゃないかなって。恋愛だけじゃなくて仕事で出会う人との関わり方もそうなんですけど、「きっとこの人はこういうタイプだからこう接したほうがうまくいきそうだな」とか作戦を練るようになっちゃう。
MACO それはそう! あれ? もしかして毎回初恋ではない……?
RIKU MACOさんの美学が簡単に変わっちゃった(笑)。
MACO でもでも! そうやって1人ひとりに対して「こうしたほうがいいかな?」って考えるその気持ち自体はピュアなんじゃないかなって。
RIKU おおー、じゃあ僕もピュアということで(笑)。
MACO うん。RIKUくんはピュア。人と関わっていく中で、その人の新たな一面を知ってハッとする瞬間ってあるじゃないですか。それこそがMACOは初恋だなと思っているから、あの瞬間は何度経験してもいいなって。
RIKU 僕は昔はちょっと苦手かもと思う人がいたら、いいところはないのかなとめっちゃ探してたんです。嫌い!ってシャットアウトしちゃうのは、なんかもったいないじゃないですか。それこそMACOさんの言葉を借りるなら、会えたこと自体が運命なわけだし。
MACO そういうお話、ナオト・インティライミさんとしてましたよね。Vol.7読みましたよ。ちなみにどういう人が苦手なんですか?
RIKU 自分の意見を押し付けてくる人。どう見ても黒なのに「これは白だろ!」って言ってくるような人は苦手(笑)。あと周りの人を大事にできない傲慢な人ですかね。学生時代は気の合う奴らだけでつるんでいてもよかったんですけど、社会人になったら避けたくても避けられないときがありますよね。だから自分が気持ちよくお仕事をするために苦手な人のいいところを探すようになって、自分自身の気持ちが楽になったんです。
褒めてくれる人もいる一方で……
RIKU ここ2、3年で日本にもサブスクリプションサービスが定着して、音楽の聴き方が変わりましたよね。YouTubeで音楽を聴く人も増えたし。SNSでもカバーが流行っているけど、MACOさんはYouTuberという言葉がない頃からYouTubeで音楽を発信して称賛を得ていたように思います。YouTubeで音楽を発信しようと思ったきっかけはあるんですか?
MACO MACOチームで話して「洋楽にオリジナルの歌詞を付けて歌ってみよう」「公開方法はYouTubeが一番いいよね」という話になったからです。始めた頃はまだ上京して間もなくて右も左も分からないまま、もともとある日本語訳を見て自分なりに解釈して書いた歌詞を歌っていました。
RIKU 「テラスハウス」で流れていたテイラー・スウィフト「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない~We Are Never Ever Getting Back Together」のカバーでMACOさんの人気に火が付きましたよね。
MACO そう。私のカバーは原曲から歌詞もアレンジも変えるから、批判もたくさんあったんです。でもそれ以上にいいねって言ってくれる人も多かったのでそこでアンチの人への耐性が付きましたね。何かを世に出して人目に触れると必ず賛否が生まれるんだなって知りました。
RIKU 何事にも賛否は必ずありますよね。僕がライブで思うようにパフォーマンスができるように筋トレをして体を大きくすると、褒めてくれる人もいる一方で「ゴリラみたい」って言う人もいるんですよ。褒めてくれる人もいれば反対の意見もあるんですよ。
MACO RIKUくん、そんなことないですよ。MVも素敵だったし。
RIKU 僕のライブ映像やライブ写真って、ほかのメンバーに比べ顔が必死なんです。ライブ中の表情とかプロとして気を付けなきゃと思いますよね(笑)。でも体を鍛えることでライブ中にフルで歌って踊っても疲れない肉体を手に入れて、パフォーマンスをしながらお客さんとコミュニケーションを取れるようになって本当によかったなと思ってるんです。もともと歌うことが好きだったのに嫌いになっちゃいそうなくらいパフォーマンスが苦痛だった時期もあったから。ここ数年でライブがすごく好きになったんですよ。
MACO 素敵ですね。
MACOさんって日本刀みたいですね
RIKU MACOさんの音楽はJ-POPど真ん中かなと思うんですけど、そんなMACOさんから見て昨今の日本の音楽シーンはどうですか? 活動しやすいですか?
MACO K-POPも流行っているし、流行りの移り変わりがすごく早くてなかなか追いつけないなと思うところもあります。でも自分が好きなこと、自分がワクワクすることをやっていたらそこには必ずエネルギーが宿ると信じてやっています。すると生きづらさや、やりづらさはあんまりないのかなって。今も自分のYouTubeチャンネルなどを使って音楽を発信しているけれど、数字にとらわれなくてもいいんじゃないかなって思いながらやってますね。
RIKU いいですね。MACOさんは「自分の好きなことをやるといい」と今おっしゃいましたけど、僕がMACOさんに対して思っていることと一致していました。いい意味で音楽をやることを仕事っぽくしていないというか、ライフスタイルの一環として音楽を作って発信して……というスタイルですよね。僕らはコロナ禍で思うようにライブができなくなって、チーム一同すごく気分が沈んだんですよ。メンバーもみんな「あれ、俺らって何をやってる人だっけ?」みたいになっちゃって。今はライブも徐々に再開していますが、MACOさんは自粛期間はどうやってモチベーションを保たれていましたか?
MACO いくらでも家で歌えるじゃんと思って、自分の歌だけじゃなく自分の好きな歌をたくさん歌いました。歌い手は歌を歌うことくらいしかできないから「私が笑顔で歌っている映像をSNSで発信すれば、きっとみんなが喜んでくれる」と思っていろいろSNSに上げたら、いろんな反応があって楽しかったです。だからコロナ禍の生活ではそれほどダメージを受けてないかも。
RIKU MACOさん、強いっすね。めちゃくちゃ優しい声でカッコいいことをおっしゃるなと。
MACO あはは(笑)。ちょっとどこか男勝りなところがあるのかなと思うことがあります。そういう一面は人と話すと出てくるんですよ。
RIKU 曲がらない信念があって、日本刀みたいですね。
MACO 私RIZEが大好きなんですけど、「日本刀」っていう曲があるんでよければ聴いてみてください。
RIKU はい! この取材が終わったらさっそく探して聴いてみますね。では最後の質問です。今回は対談をして、特別編の動画では一緒にMACOさんの「Your Love feat. Matt Cab」を歌いましたが、今後また僕とコラボをするならどんなことがしたいですか?
MACO うーん、「RIKU NO KAORI」第2弾を一緒に作るのはどうですか? さっきいただいた香水もすごく好きだったし、きっとRIKUくんと私は香りの好みが似ているので。家の玄関に置いてあるディフューザーの香りととても似ていてびっくりしたんですよ。
RIKU MACOさんの意見を取り入れたら史上最強の香水ができますね。僕と曲を共作するとしたらどんな曲がいいですか?
MACO RIKUくんは R&Bが好きなんですよね? もしMACOが今R&Bをやるなら原点回帰なんですよ。RIKUくんは「22」(2014年発売のアルバム)が好きだと言ってくれましたけど、まさにその頃はR&B寄りだったので。
RIKU トラックの音数をめっちゃ少なくして、歌声で曲の全般を引っ張っていく音楽が好きなんです。
MACO ああ、だから「Your Love」を希望してくれたんですね。
RIKU そうですね。いつかまたコラボしてもらえたらうれしいです。
MACO ぜひ。
MACO
1991年5月10日生まれ。北海道函館市出身のシンガーソングライター。テイラー・スウィフト「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない~ We Are Never Ever Getting Back Together」の“テイラー公認”日本語カバーで人気を博し、2014年にメジャーデビュー。テイラーのカバーは、第29回日本ゴールドディスク大賞の新人部門を受賞した。2019年にソニー・ミュージックへ移籍し、同年末から行った全国11都市でのアコースティックワンマンツアー「My Acoustic Tour 2019-2020」のチケットはソールドアウトを記録した。2021年は3、4月に東京と大阪のBillboard Live、6、7月に埼玉と福岡の結婚式場でライブを開催するなど、積極的にライブを開催中。7月14日に配信シングル「運命」をリリースした。
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RIKU
1994年8月10日生まれ。THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカル。2014年4月に行われたLDH主催オーディション「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 4 ~夢を持った若者達へ~」に合格し、THE RAMPAGEのボーカル候補生となる。同年9月に行われた「武者修行ファイナル」で正式メンバーに昇格。2017年1月にシングル「Lightning」でメジャーデビューを果たした。2021年2月に3rdアルバム「REBOOT」をリリース。6月末にニューシングル「HEATWAVE」をリリースした。7月から東京・東京ドーム2DAYS公演を含むアリーナツアー「THE RAMPAGE LIVE TOUR 2021 "REBOOT" ~WAY TO THE GLORY~」を開催している。RIKU個人としては毎週金曜日にメンバーの陣と共にスペースシャワーTV「ライブを100倍楽しむLIVE YEAH!!!」、bayfm「WEEKEND THE RAMPAGE」にレギュラー出演中。
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RIKUが撮ルンです
※「音楽大陸」夏の特別編は8月6日(金)公開予定。7月30日には予告編映像を公開します。