2022年の幕開けに合わせて音楽ナタリーでは、さまざまなアーティストに「2021年にもっとも愛聴した3曲」を聞くアンケート企画を実施。回答者のジャンルごとに分けた全8本の記事を公開していく。今回は「シンガーソングライター編」として、Aisho Nakajima、あの、小林私、SIRUP、mekakushe、諭吉佳作/men(50音順)が選んだ2021年の3曲を紹介する。
構成 / 高橋拓也
Aisho Nakajima
アジーリア・バンクス「Fuck Him All Night」
トロイ・シヴァン「Angel Baby」
シザ「Good Days」
・アジーリア・バンクス「Fuck Him All Night」
Bad bitch ハウスラップレジェンド アジーリア・バンクス。
ビートも歌詞もフロウもヤバすぎて叫びたくなります。
朝イチやジムで聴いて1日をスタートすることが多いです。
・トロイ・シヴァン「Angel Baby」
リリースされてから毎日聴いてます。
80'sを感じるラブソングです。
同じクィアアーティストとしてトロイの進化を年々見ていて尊敬はもちろん、出すものすべてにいつもインスパイアされてます。
・シザ「Good Days」
音楽セラピー。
この曲を聴くと上を向いて目をつぶりたくなります。
どんなときに聴いても落ち着く大好きな1曲です。
ビートからメインボーカル / バックボーカルが天国。
シザありがとう。いつか会える日を楽しみにしてます。
プロフィール
Aisho Nakajima(アイショウナカジマ)
東京を拠点に活動するクィアアーティスト。19歳でオーストラリアに移住し、帰国後2020年から音楽活動をスタートした。2021年はシングル「Needed」「Love me for me」、3曲入り作品「Sleeptalk」を配信リリース。同年8月には青山テルマの楽曲「Yours Forever」に客演として参加した。
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あの
石崎ひゅーい「スワンソング」
クリープハイプ「ナイトオンザプラネット」
Mom「終わりのステップ」
今年リリースされた楽曲の中ではこの3曲をよく聴きました。石崎ひゅーいさんの「スワンソング」は先行配信されてすぐに聴きました。どの時代でも素敵な曲だなと思えるようなメロディや詩で何度も聴きました。突き刺すような痛みもあるけどそばに置きたくなるような温かい1曲でした。
クリープハイプさんの「ナイトオンザプラネット」はこれまでのクリープハイプさんの魅力と現代や未来を感じさせるようなアレンジや曲調に新鮮さも懐かしさも感じれてとても好きです。言葉遊びも言葉の置き方も気持ちよすぎてずっと聴いてられます。
Momさんはアコースティックで聴きたくなるようなきれいなメロディとトラックの合わせが最高で、「終わりのステップ」は1日の終わりに聴いて疲れやさまざまな気持ちを浄化してくれるような、じわーっと体内に入り込んでくるような曲で何度も聴きました。
プロフィール
あの
2020年9月に「ano」名義でソロアーティストとしての音楽活動を開始。アーティスト活動の傍ら、映画やドラマ、バラエティ番組などさまざまなフィールドでマルチに活躍している。ソロ活動と並行し、2021年8月よりバンド・I'sとしても活動している。
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小林私
the トラウツ「センチメンタル」
サブ・アーバン feat. オーロラ「PARAMOUR」
アメリカ民謡研究会「死ねというのだ。」
締め切りの前日に頼まれても受けちゃう男、小林私です。
だからって出先のジョナサンで書かなくてもとは僕も思うのですが…。
さて、今年愛聴した3曲となるとこれまた大変なお題を頂いてしまいました。
できれば2021年リリースもので、という依頼でなければ加山雄三「霧雨の舗道」やDAGames「Build Our Machine」なんかを挙げていたところですし、Ado「阿修羅ちゃん」や和田アキ子×フレデリック「YONA YONA DANCE」、Official髭男dism「Cry Baby」なんか飽きるほど聴いていたのですが、せっかくの機会に「お前らこの曲知ってっか!?」と、そういう場にしていきたいわけです。
・the トラウツ「センチメンタル」
湘南在住のバンドということしか知らないのだが、まず歌詞がいい。
「俺はゆく まだ知らない季節の中で」
という出だしに真っ先につかまれる。
普通だったら「まだ知らないどこかへ」とか「誰も知らぬ場所へ」みたいなことを書きたくなってしまうところに、
「まだ知らない季節の中で」。なんだそれは。カッコよすぎる。
その後に続く、
「転ばぬ先の傷にうなされ」だとか
「約束は約束のまま流れてゆく」とか、
この聞き逃してしまいそうなくらいのわずかな違和感が心地いい。
それらを支えるメロディとバンド、Music Videoも必見。
・サブ・アーバン feat. オーロラ「PARAMOUR」
かっちょえーー。
常々考えていることなのだが「洋楽の歌詞は単純明快だ」などと言われることがある。これにはたびたび違和感を覚えていて、例えば「can't」「can not」「cannot」の意味合いの機微を我々が感じることはできているのか?と問われると、
He can't pray. He can not pray. He cannot pray.
どれも直訳してしまえば「彼は祈ることができない。」
だからネイティブでない私が英語詞にとやかく言うのは野暮なのでは?なんてことを考える。
それでも「Tell me / Is your father a good man?」「Oh god! / You're just a child!」といった歌詞にドキリとさせられる。
サブ・アーバンのかすれたような低音とオーロラの少女じみた歌声とがこの不気味なサウンドの中で高揚とも恐怖とも違うドキドキをくれる、いい曲だ。
・アメリカ民謡研究会「死ねというのだ。」
歌詞の解像度がとんでもない。
「景色はいつも、私が目を離した隙にいなくなる。」
こういった抽象的な心理描写は少なからずある。アメリカ民謡研究会の持つ言語化の力量はその先に出る。
「それはいつの間にか名前を変えたお花屋さんや、」
「玄関をゴミで埋めることにした床屋さん。」
スッゲ。
店が変わった、でなく名前を変えた。というのがいい
玄関がゴミで埋まった、でなく埋めることにした。というのがいい
いいリリックが、紲星あかりと結月ゆかりによる朗読めいたボーカルと浮遊感のあるトラックの中でより一層発揮され、じんわりとときめかせてくれる。
プロフィール
小林私(コバヤシワタシ)
1999年東京都あきる野市生まれのシンガーソングライター。多摩美術大学在学時より本格的に音楽活動をスタート。自身のYouTubeチャンネルではオリジナル曲やカバー曲を配信し支持を集めている。2022年3月9日には2ndフルアルバム「光を投げていた」をリリース。現在J-WAVE「SONAR MUSIC」内のコーナー「SONAR'S ROOM」にて、毎週月曜日のパーソナリティを担当している。
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SIRUP
347aidan、ケニー・ビーツ「IDWK」
Goldspace「Bad Love」
brb.「talking to myself」
主にSpotifyで聴いた曲で選曲してみました。
SpotifyではPlaylistを聴いていろんな音楽を聴くことが多いんですが、その中でもお気に入りにして何回か聴いてたな、という3曲です!
「IDWK」はとにかくめっちゃ上がるし、「Bad Love」は後半の緩急の付け方のうまさでサウンドプロダクションにグッときます。「talking to myself」はいつ聴いても気持ちよくスムースで好きですね。
プロフィール
SIRUP(シラップ)
R&Bやヒップホップなどをルーツに持つシンガーソングライター。2017年にTokyo Recordings(現:TOKA)がサウンドプロデュースを手がけた楽曲「Synapse」でデビュー。2021年3月に2ndフルアルバム「cure」、9月にはデジタルシングル「Change」をリリースした。
SIRUP
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mekakushe
cosmomule「発光」
betcover!!「羽」
笹川真生「異邦人」
2021年一番聴いた曲はcosmomuleの「発光」でした。たまたまSpotifyで見つけたのですが、cosmomuleは2021年に出会ってよかったなと思ったアーティストです。繰り返し繰り返しループしていました。
和声進行が大好きで、それを引き立たせるようなシンプルな音像、サビが長回しでロマンチックに広がっていくところ、淡々と吐き出されていくような気だるいボーカル、そしてこの楽曲の持つ懐かしさやあたたかさ、すべてが理想の音楽です。
betcover!!も2021年に知ったアーティストです。本当に衝撃的で、初めて聴いたときは呼吸を忘れて苦しくなったほどです。「中学生」というアルバムは全曲を通してミックスが素晴らしいと思いました。特に「羽」の1:50「それじゃ僕は嘘つきじゃないかい」からがとんでもないです。
笹川真生さんの「異邦人」は歌謡曲を想起させる親しみやすく美しいメロディと、それと裏腹に容赦なくカッコいいアレンジのバランス感が素晴らしいです。歌詞も叙情的で、情景が浮かぶようです。これはいつも思うのですが、笹川さんの歌詞は声に出して読みたくなる日本語だと思います。
こうやって3曲を振り返ってみると、身体の内側にじんわりとこもるようなあたたかなギターの音を求めていたのかもしれません。実際、この曲たちはどれも温度感が心地よくて、身体の中にすっと入り込んでいくようでした。
プロフィール
mekakushe(メカクシー)
幼少期からクラシックピアノを学び、高校3年生の頃からシンガーソングライターとしての活動を開始。主に配信で楽曲を発表し、2021年4月にはフルアルバム「光みたいにすすみたい」、11月には6曲入り作品「はためき」をリリース。近年ではTomggg、Kabanagu、笹川真生とのコラボや、Spotify公式プレイリストのカバーを飾ったことで話題を集めた。リルネードなどアイドルへの楽曲提供、テレビCMや映画の音楽制作も手がけている。
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mekakushe (@_mekakusi) | Twitter
諭吉佳作/men
SHINee「Don't Call Me」
バクバクドキン「ソーダの夢」
Vacations「Avalanche」
今年の特に後半は、K-POPをよく聴きました。
音楽性もそうですが、韓国語の発音にも興味を持ちました。
SHINeeの「Don't Call Me」は、日本の音楽番組で知りました。
独特に上下するメロディやシンプルながら異質な驚きのトラック、僕に電話をかけてくるなという歌詞、とても面白いと思いました。
この曲をきっかけに、K-POPというジャンル自体を積極的に聴き始めたと思います。
ラジオを聴き始めたことで知り、愛聴した曲もいくつもありました。
ジングルや、オンエア曲の中に好きなものを見つけられるのがうれしかったです。
バクバクドキンの「ソーダの夢」もその1つでした。
リリースは10年ほど前のようですが、ラジオで知ることができて、たくさん聴いていました。
柔らかいボーカルに対して太いドラムの音、ふわふわと絶妙に夢のようで、全部が心地よいです。
Vacationsの「Avalanche」は、家族と出かけた店でBGMとしてかかっていた曲です。
普段よく聴く曲調とはまた違うと思いましたが何かすごくピンときたのですぐに調べて、その日から頻繁に聴いています。
今はもう何度も聴いて確信を持って、ボーカルの冷静なような勢いのあるような清々しさや、切ない和音とメロディがとても気持ちよいと感じます。
プロフィール
諭吉佳作/men(ユキチカサクメン)
2003年生まれのシンガーソングライター。iPhoneのみで制作された独自の楽曲で注目を集め、2021年にはデビュー作品「からだポータブル」「放るアソート」を同時リリースした。これまでにでんぱ組.incへの楽曲提供、崎山蒼志や長谷川白紙らとのコラボ曲の制作も行っている。
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