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店長たちに聞くライブハウスの魅力 番外編2 あれから2年、ライブハウスの状況はどう変わったのか?全国13店舗の店長に改めて聞いた

2年以上前2022年04月30日 12:06

2020年初頭より新型コロナウイルスが蔓延し始め、同年4月7日に政府は7都府県を対象にした1回目の緊急事態宣言を発出。多くのアーティストがライブの中止を余儀なくされる中、全国のライブハウスも苦境に立たされた。その状況を受け、音楽ナタリーは連載「店長たちに聞くライブハウスの魅力」に登場してもらった店の中から全国のライブハウス15店舗の店長にアンケートを実施し、率直な思いを聞いた(参照: ウイルス感染拡大で苦境に立つライブハウスの現状を、全国15店舗の店長に聞いた )。

この記事の公開から2年が経ち、コロナ禍は3年目に入った。依然としてライブイベントの開催やキャパシティの制限がある中、音楽ナタリーは改めてライブハウスの店長にアンケートを実施。計13店舗の店長に現在の店の状況や、2年間の中で変化したことや行った施策などについて答えてもらった。

構成 / 酒匂里奈

目次

大阪・LIVE HOUSE Pangea 吉條壽記氏

(参照:連載第2回 大阪・LIVE HOUSE Pangea)

現在の状況

公演数は徐々に戻ってきています。
キャパはまだ50%のままですが緩和していく方向で考えています。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

メインスピーカーとアンプを入れ替えました。
さらに音響がパワーアップしたのでひさしぶりに来られる人は楽しみにしておいて下さい。

この2年の間に新たに行った経営施策

先ほども書きましたがメインスピーカーとアンプを入れ替えて、音響のパワーアップを図りました。
あとは去年Pangeaが10周年だったこともあり、Pangeaやライブハウス以外の場所でのイベントを意識して行いました。
・Pangea&HOLIDAY! RECORDS presents「COME TOGETHER MARATHON 2021」
https://livepangea.com/live/event-12023
・新世界FESTIVAL2021
https://livepangea.com/live/event-12262
・”AGARTHA SPECIAL”
https://livepangea.com/live/event-12546

現状を踏まえての展望や要望

最終的には元の3密ライブハウスに戻ってほしいので、情勢を見ながらキャパを徐々に戻していければと思っています。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

ライブハウス、イベンター、レーベル、アーティスト、お客様などこの状況で動いている人たちは、よりお互いのことを気遣い合っていくようになった気がします。
まさに「情けは人のためならず」を感じております。

ライブハウスを愛する人へ

これから徐々に元のライブハウスの姿を取り戻していく流れになると思います。
多種多様な価値観が混在し喜怒哀楽が入り乱れる場所。
ある意味今の状況のほうが居心地がよかったと思う人もいると思いますが(笑)。
皆様のおかげでコロナ禍を乗り越えられそうです。

北海道・札幌PENNY LANE24 菅原織氏

(参照:連載第3回 北海道・札幌PENNY LANE24)

現在の状況

売上としてはコロナ前の50~60%減。
2年前と比較すると戻ってきた感はありますが、まだまだ厳しい状況が続いております。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

コロナ後初めての有観客公演と、コロナ後初めてのスタンディング公演。

この2年の間に新たに行った経営施策

・機材の新規導入や入れ替え
・行政による補助事業等の活用

現状を踏まえての展望や要望

店を潰さないようにがんばります!
コロナが収束して以前のようにライブハウスで音楽を楽しめるようになるまで、出演者にもお客さんにも、もう少しだけ我慢してほしいです。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

もともとですが、適応力や対応力が高く、協力し合う業界であったと感じます。
本来であれば同業他社はライバルであるはずですが、連絡を取り合ったり情報共有したりすることが、今まで以上に多かった2年間だと思います。

ライブハウスを愛する人へ

いつも感染対策と感染拡大防止にご協力いただき誠にありがとうございます。
「ライブハウス」という音楽を自由に楽しめる場であったのに、いまは我慢を強いてしまい、本当に申し訳ありません。
きっとまた前のように音楽を楽しめるようになる日まで、もう少しだけご協力ください。

京都・磔磔 水島浩司氏

(参照:連載第4回 京都・磔磔|築101年目、元酒蔵ライブハウスのこれまでとこれから)

現在の状況

経営的には相変わらず厳しい状況は続いております。全国のライブ業界的にはむしろこれからの方が厳しくなるかもしれません。
が、2年前と違ってライブ自体は開催できているので、気持ち的にはしんどさはあまりないですね。
この状況でも工夫して面白いことをやっていくことしか考えていません。

この2年の間に新たに行った経営施策

配信ライブにはかなり力を入れている方かと思います。
ここ1年半ほどは、
・映像はハンディカメラ2~3台を含む、高画質カメラ最大11台
・音声は配信のある日はPAを2人にして、1人は別ミキサーを使って配信音声のためのmixを担当
という体制で毎月10~15本ほど有観客配信も行っております。

すべて磔磔のスタッフでやっておりますが、おかげさまで映像も音声も評判がよく、配信映像を後日そのままDVDとして販売するバンドや、「最近は磔磔のときだけ配信する」というバンドの声も聞くようになってきました。

「生のライブが一番」というのはもちろんですが、画面越しだからと言って、ただライブの映像を流せば観ていただけるという時期はとっくに終わったと思っております。
音声・映像ともに、「まるで磔磔の最前列でライブに参加しているような臨場感」を擬似的にでも感じていただけるようスタッフ一同で力を入れておりますので、ぜひ観ていただけたらうれしいです。

キャパシティの制限が続き、お客さんもなかなか戻らない中、特に全国をツアーするミュージシャンは苦境にさらされています。
そんな状況で出演者の金銭的な助けになったりお客さんの楽しみになったりすればうれしいですし、それにいわゆる老舗と思われがちな磔磔が、配信という新しいものに関してこれだけ積極的に取り組んでいるというのはちょっと面白いかなと思います。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

ひと口にライブハウスといっても、それぞれの店ごとに事情もルールも違いますが、磔磔はけっこう厳しめに感染対策をしている方かと思います。
やっぱり多くの方に安心して来ていただくのが一番だと思ってますし、そこにはお客さんだけでなく、出演者や磔磔のスタッフも含まれます。
その中で、お客さんや出演者に協力していただくお願い事もいくつかあるのですが、皆さんが感染対策にしっかり協力してくれているというのがありがたかったです。

そしてもう一つ。
身体が不自由だったり、育児や家族の介護、あとは距離的な問題等でこれまでライブハウスから足が遠のいていたたくさんの方たちから、ライブ配信への感謝の気持ちを伝えられることが、強く印象に残っています。
思えば「ライブに行きたいのになかなか行けない」人がコロナ禍の以前から多数いたという当たり前のことに気付かされるとともに、その人たちにも喜んでいただけたのはうれしかったです。
また、「生のライブも観たけど、家に帰って配信アーカイブで再度楽しむ」というお客さんも増えてきていますので、コロナ禍が落ち着いても、需要があればときどきは配信もやっていきたいと思いました。

現状を踏まえての展望や要望

こればっかりは世の中がどう変わっていくか分からないので、状況に合わせてその都度変えていくしかないですね。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

この状況でも何とかやっていくしかない以上、どの店もミュージシャンもいろいろ考えたり工夫することが増えたと思います。
ただ我慢するだけでなく、ある部分では強くなった店やミュージシャンも多いのではないでしょうか。

ライブハウスを愛する人へ

いつもありがとうございます。
ライブに来ていただいている方、今はライブに来られなくてもそれぞれの方法で音楽を楽しんでいる方、いろんな方の思いや行動が励みになります。
これからもよろしくお願いします。

あと、余談ですが2024年に磔磔は50周年を迎えます。
そのときに世の中がどうなっているかわかりませんが、楽しいことをできたらいいですね。

千葉・千葉LOOK サイトウヒロシ氏

(参照:連載第5回 千葉・千葉LOOK|勤続30年目の店長が語る“愛で成り立つ”ライブハウス)

現在の状況

「大変!」と言いたいですが、そう言っちゃうとありがたいことに必要以上に心配される方も多いみたいなので「よくはない」ですっ!

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

営業できない日々が続き製氷機のコンセントを抜いたこと(超悲しい)。
営業できない日々が続き「期限切れになったら大変!」な在庫BEERをすべて独りで飲み干して冷蔵庫が空になったこと(プチ達成感)。
営業できない日々が続き心配の声をたくさんいただいたこと(超感謝)。
営業できない日々が終わり大きい音がひさびさに戻ってきたときのこと(超高揚感)。

この2年の間に新たに行った経営施策

当方リアルバカチンチンなので変に動いてもろくなことがないので「やせ我慢」「忍耐」「笑顔」。
結局薬局郵便局、策が浮かばず「無策」でございました汗。

現状を踏まえての展望や要望

シンプルに自分が思う「ライブハウス」でいたいと思う気持ちがより強くなりました。でも自分が思う「ライブハウス像」なんて所詮エゴなので、皆さんに「こうしてほしい!」なんて思っても言えません。本当は言いたいけど!笑

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

お付き合いの薄い方に多いのですが、簡単にキャンセルできると勘違いしてるプロダクションやプロモーターが増えた。

ライブハウスを愛する人へ

20世紀型ライブハウスですが「千葉LOOK」もヨロPクでございます! 超ペコリ。押忍!!

兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎 風次氏

(参照:連載第6回 兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎|真面目にふざける“音楽動物園の園長”)

現在の状況

2年前の4月は「COMING KOBE20」の中止を発表しました。
完全休業でステイホームに反抗して「ステイライブハウス!」と言いながら、頭を丸めて眉を剃り落として、ステージにテント張って暮らしていました…。

今は音鳴らせて、ライブハウスやれてるんで、演りに来てや! 観に来てや!
「COMING KOBE22」も5/22神戸メリケンパークでやるねん。来てや!
バイトとか誰か代わり見つけえや!

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

あんなに休みなく働かされてたのに、バリ休みもらえた!
打ち上げを堂々と行わず、どんなけ盛り上がってもSNS等にも載せずにやる「闇打ち上げ」なるものが生まれた。

この2年の間に新たに行った経営施策

太陽と虎 独自配信システム
【 虎視配信-太陽と虎 音楽動物 -Online Program- 】
https://stream.taitora.com

【 太陽と虎 OFFICIAL GOODS -Online Shop- 】
http://shop.pinefields.jp/?mode=cate&cbid=2593711&csid=0

メキシコ人の弟子(juan)をとり共同生活。
姉妹店music zoo MEXICO TAITORAをメキシコにOPENさせる予定。
(※日本からメキシコに向けての配信ライブなども開催)

music zoo MEXICO TAITORA(準備中)
https://twitter.com/musiczoomexico

現状を踏まえての展望や要望

太陽と虎二代目店長見習いを育てようと思ってます。今から募集します。神戸に住み込みで風次に弟子入りできる人連絡ください(部屋は用意します)。fu-ji@taitora.com まで。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

当たり前のことが当たり前じゃなくなって予定調和が崩れて大変だけどおもしろなってきた。
先の見えない未来に不安もあるが楽しみと感じている。

「ライブハウスが悪い所」と言われるのも個人的には歓迎!

なんでもかんでもコロナのせいにしすぎ。

ライブハウスを愛する人へ

変なバンドのしつこいコール&レスポンスとかもないし、酔っ払って絡んでくる客もいないし、モッシュ&ダイブもなく今はゆったりとライブ観れるんで、今は今のうちに楽しんでいこや。

福岡・Queblick EGACCHO(SHIMA)

(参照:連載第7回 福岡・Queblick|SHIMAのボーカリストと店長を両立させながらの5年間)

現在の状況

人数制限がやはりネックではあります。
歯に衣を着せぬ言い方をすると、とても鬱陶しいです(笑)。
2年前はわけわからなすぎて「どうしよう?」という状況でしたが、
今は「何ができるだろう?」を考えながら日々歩んでいます!

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

「ライブハウスで無観客配信」という、コロナ禍前では考えたこともなかったような衝撃的なこともあり、大きく変化した世の中ではありますが、変わらずライブは素晴らしいものだと実感する毎日です。
ライブでしか感じられないものがあると改めて感じましたし、ライブは代え難いもの。
今後も続いていくものだと確信したことです。

この2年の間に新たに行った経営施策

YouTubeチャンネル開設、配信ライブができる環境整備、オリジナルグッズ作成、などです。
https://www.youtube.com/channel/UCjNOwAPO11YSnuUG99J0UKg

現状を踏まえての展望や要望

「ライブハウスは楽しい!」を変わらず発信していきたいです!
皆はただライブハウスに遊びに来てください(笑)。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

言い出したらきりがありませんが、この状況を経て各ライブハウス同士との距離が近くなったように感じます。
ネクストステージに活かせていけたらと思います。

ライブハウスを愛する人へ

ライブハウスに足を運んでいただいている皆さん、出演アーティストの皆さん、ライブハウスを愛する皆さんがとにかく最高すぎます!

茨城・mito LIGHT HOUSE 稲葉茂氏

(参照:連載第8回 茨城・mito LIGHT HOUSE|地元アーティストに魅了された店長が語る30周年目前ライブハウス)

現在の状況

まだまだ厳しい部分もありますが、
ライブがあれば元気も出るし自ずと景気も上向くと思うので、踏ん張るのみ!

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

ライブがまったくなくなった時期を経て再び音が鳴った日のライブは印象に残ってます。
地元のバンドやソロシンガーを筆頭に「気持ち」をもらったライブはどれも印象的です。

この2年の間に新たに行った経営施策

精神修行。

現状を踏まえての展望や要望

バンドやろう! ライブやろう! ライブハウスに行こう! もっと呑もう!

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

ありますが、根本的な部分は以前と変わらないようにしていきたいですね。

ライブハウスを愛する人へ

好きなバンドとライブハウスを信じて、生のライブへGO!

静岡・Shizuoka UMBER 南谷吉光氏

(参照:連載第10回 静岡・Shizuoka UMBER|地元アーティストとタッグを組む、居心地のいいライブハウス

現在の状況

コロナ前までとはいきませんがイベントの本数も増えてきています。
もうまん防とか勘弁してください。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

ライブがない期間があったことによって、みんな本当に音楽、ライブ、ライブハウス、ライブハウスで出会う仲間・友達、そしてお酒好きなんだなと痛感しています。
ライブを続けてくれているバンド、遊びに来てくれるみんなの笑顔に救われてます。
ただ近所の一部の方には「コロナの巣」と呼ばれてるみたいです(笑)。

この2年の間に新たに行った経営施策

地方のライブハウスなのでブッキングあるのみです!

現状を踏まえての展望や要望

そのへんにごみを捨てたり近所に溜まったりさえしなければ好きに遊んでください。
意見(提案)があればどんどん改善したいので気兼ねなく言ってほしいです。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

最近結成してコロナ禍でしかライブをやったことがないバンドが出てきました。
逆にモッシュ・ダイブ等を知っているがゆえに苦悩しているバンドもいるし。
ただ正直声も出せない、酒も飲めないライブハウスなんてつまんないと思ってるのでそろそろ振り切るしかないんじゃないかと個人的には思ってます。

ライブハウスを愛する人へ

SNS上でのあーだこーだ、いざこざはやめしょう!

岡山・YEBISU YA PRO 丹正功一氏

(参照:連載第11回 岡山・YEBISU YA PRO|失敗から学んだのは、本当に好きな音楽だけで勝負すること)

現在の状況

2年前は、本当に先が見えず数カ月後に資金が尽きるという恐怖と対面しておりました。
2度のクラウドファンディングでたくさんの方からご支援・ご協力いただき今日まで営業を続けさせていただいております。
まだまだ経営状況は厳しいままですが、昨年から文化庁(AFF)に申請し、野外音楽フェスを開催することができました。
これまでクラウドファンディングや雇用調整助成金などを頼るしかなくスタッフのモチベーションも下がる一方でしたが、AFFのおかげで収支的に成立しない野外音楽フェスにもチャレンジすることができスタッフのモチベーションも上がりました。

ライブハウスはまだまだ人数制限があり、お店の営業だけで存続するのは非常に厳しい状況なので、今後もAFFのような前向きな助成金を申請しお店の存続に努めていきます。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

2年前では考えもしなかった感染対策でしょうか。
すべての来場者の方々に、検温・手指の消毒、問診票の記入をお願いしています。
皆様のご協力には本当に感謝しています。

この2年の間に新たに行った経営施策

今年で14年目の開催となる「STARS ON」という野外音楽フェスを主催しておりますが、昨年から野外キャンプフェス「EXTRAVAGANZA」も開催しております。
https://extravaganza.jp/

現状を踏まえての展望や要望

YEBISU YA PROは、ライブ営業・CLUB営業で成り立っています。
ライブ営業は、アーティストを観に来るお客さんが大半ですが、CLUB営業は、お店の常連のお客さんが大半です。コロナ禍で新規のお客さんの来店が減少し、常連の方に本当に助けていただいております。スタッフ1人ひとりがそのことを自覚し、地元の方に愛してもらえる店にしていきたいです。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

岡山で言うとライブハウス同士のつながりがまったくありませんでしたが、コロナ禍をきっかけに岡山ライブハウス連絡会ができ他店と相談しあえるようになりました。

ライブハウスを愛する人へ

お店としてできる感染対策をして、皆様のお越しをお待ちしています。
ライブハウスで忘れられない思い出をたくさん作っていただきたいです。

宮城・仙台MACANA 佐藤岳史氏

(参照:連載第16回 宮城・仙台MACANA|地震被害から復活して8年、生まれ変わった老舗ライブハウスの今)

現在の状況

2年前の2020年4月はちょうど無観客配信をYouTubeとツイキャスで始めた頃で、同年6月にお客様を入れての営業が徐々にスタートしました。始めは宮城県内のミュージシャンを中心にイベントを行い、そこから徐々にですが県外のアーティストさんにも来ていただけるようになりました。現在では体感6割くらいには戻っている気がします。とは言っても入場制限や、そもそもの仕事や家庭等の状況によりライブハウスに足を運んでいただけるお客様が減っている状況にありますので、まだまだ道のりは長いと思っています。
https://www.youtube.com/channel/UCxhwBIUnpdUqeWfhs-buvlg
https://twitcasting.tv/SENDAI_MACANA

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

ひさしぶりに仲よくしている県外のミュージシャンが来てくれて、演者・お客さんが制限されている中でも熱くなっている様子に「俺たちの日常が帰ってきた!」と感動したことを覚えています。お客様が感染予防対策を徹底してくれていることには本当に感謝しかありません。

この2年の間に新たに行った経営施策

2020年4月よりライブ配信(YouTube・ツイキャスなど)を行っており、視聴者から投銭・ドリンク差し入れ機能を合わせることにより、制限のある中でも遠方から楽しんでいただき、出演者にも還元できるようにしています。ぜひMACANAで検索していただいて過去の動画を観てもらえるとうれしいです! あとは今後発表できる楽しいこともありますよ!

現状を踏まえての展望や要望

地元バンドが向かうべき先が見えづらい状況もあると思いますので、ライブハウスからの提案はもちろんですが、アーティストからもどんどんアイデアを掛け合わせてもらって、仙台の音楽シーンをよりよいものにしていきたいです。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

イベントや宣伝告知がコロナ禍になる前のやり方だとリスナーに届きづらくなっていると思っています。ミュージシャン・ライブハウスだけではなく、フェス等も。時代に合った内容、手段でより楽しいものを作っていかなければいけないと強く感じています。

ライブハウスを愛する人へ

ライブハウスでいつでも待ってます!
チャンネル登録・高評価よろしくお願いします!

奈良・奈良NEVER LAND 奥田レオナ氏

(参照:連載第17回 奈良・奈良NEVER LAND|人口減少が進むローカル都市で、間口を広げた経営を志す)
※ 前店長の向井真吾氏が退職したため、現副店長の奥田氏にアンケートを実施

現在の状況

当店ではわりと早い段階で、イベントの本数自体は帰ってきました。 キャパシティの制限などの影響はありますが、ご贔屓にしていただける皆様のおかげで月に20本前後、毎回イベントが開催できていると思います。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

関西の隣接県が軒並み、緊急事態宣言やまん延防止措置の影響でアルコール類の提供を停止したり、時短営業を余儀なくされている際に、奈良県ではそういった指示はほぼなされなかったので(一部時短営業申請があった程度)、ライブハウスや夜の遊び場を求めている皆さんが集まり、すごい熱量のイベントが何度もありました。

この2年の間に新たに行った経営施策

最初に行った施策はアパレル業でした。近隣のショップや県内のプリント業者、ブランド、デザイナーとコラボレーションを行い、文化的に近い人たちとどんどんグッズを制作しました。少しリリースのペースは落ちましたが、いまだに街でネバーランドのグッズをみかけることが多いです。並行して、音響スタッフの寺本が中心となり撮影・配信のチームを立ち上げました(参照:FeedBacK(@feedback_nl)|Instagram)。現在ではMV制作やイベントの撮影、配信業務を中心に承っています。ネバーランド内でも生配信ライブや収録ライブのプラットフォームをSTUDIO MORGの門垣さん主体で提案していただき、現在も本数は少ないですが運営中です。ほかにもカレーの配送をスタッフの高原中心で始めたり(現在は店舗営業のみ)、バースペースを拡充してイベント以外の営業を試みたりと、本当にいろいろな人たちのお力添えをいただきチャレンジさせていただいた2年間でした。

現状を踏まえての展望や要望

とにかく遊びにきていただければ、今のネバーランドの面白さがわかっていただけると思います。ライブハウスは「守る」場所ではなく「遊ぶ」場所だと思っているので、変な責任感や、価値観は気にせず、いろいろな音楽が好きな人がフラットに遊べる場所になっていければと思います。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

マイナスなイメージも先行しますが、僕自身としてはよかったことが多かったと思います。今まで交わることのなかったジャンル同士のアーティストが交わったり、アンダーグラウンドのカルチャーがオーバーグラウンドの人たちの折れかけた心を救った場面を何度も目撃しました。去ってしまった人たちもたくさんいますが、より深いところでライブ業界がつながり合ったと思います。

ライブハウスを愛する人へ

全国の大好きな数々のライブハウスに負けず劣らずネバーランドも楽しくなってきています。奈良県に来ていただいた際にはぜひお立ち寄りください。1杯飲むだけでも楽しめるはずです、お待ちしております!

徳島・club GRINDHOUSE 長谷川洋星氏

(参照:連載第18回 徳島・club GRINDHOUSE|徳島で個性派アーティストが生まれる理由)

現在の状況

イベントがほとんどなかった2年前に比べると、月によっては以前と変わらないライブ本数が入ってる月もあるので、運営という視点ではだいぶ戻ってきたように感じます。
が、感染対策の影響でいまだキャパは以前の1/3以下、まだまだライブハウスは危険な場所だというイメージも根強いので、以前はソールドアウトしてたようなアーティストでも1/3以下のキャパですらソールドしない公演が多く、経営という視点ではまだまだ先行きが見えません。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

2021年末に市内のホールを借り、ゲストも多数呼んでのイベントを行ったのですが、そのとき出演してくれていた地元バンド3組が自分たち発信でGRINDHOUSEにてスリーマンライブを行ってくれました。しかもソールドアウト! ちょうど規制緩和のタイミングでキャパが増えたこともあり、コロナ禍以降一番お客さんが入った日が地元バンド企画だったのも感慨深いですし、コロナ禍に入ってから活動を始めたバンドがほとんどだったのでこの2年が無駄じゃなかったな、と、地元の若いバンドたちに背中押された気分でした。

この2年の間に新たに行った経営施策

配信機材をそろえたので、学生のホールレンタルなど、集客しづらいようなイベントでは配信も行っております。また地元バンドのMV撮影なんかも始めました。2年前に比べてライブハウスでの配信ライブというのは非常に需要が減った感は否めないですが、せっかく機材もそろえたので、幼稚園や保育園、子供の習い事なんかの発表会とかに撮影、配信で伺えたらなーと動いております。

あと、ライブのない日にフロアを開放してバー営業も行ったりしてます。地元バンド同士の交流の場になったり、以前はあまり話すことなかったお客さんなんかとたくさん話す機会が増えました。バー営業自体の売上は微々たるものですが、今後につながっていくような、絆が深まっていってる実感はあります。

現状を踏まえての展望や要望

コロナ禍に入って、ライブハウス以外にも先行きが見えないような状況が続いたこともあり、以前より「今しかできないことを、今できることを精一杯やる」といった若者が増えてきたように思います。「ライブハウス=デビューへの登竜門」的なイメージも薄れてきて、ライフワークとして音楽活動を続けていく子たちも最近は多いです。
そんな若い子たちが世間に胸を張って遊びに来れるように、もっともっとカルチャーの発信基地としての地位を高めていきたい、と最近は強く思います。

なんで、遊びに来る子たちにも世間から後ろ指さされないように、「バンドマンだから」とか「ロックだから」を言い訳にせず、人としてカッコよくなってほしいです。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

ここ数年は野外フェスやサーキットイベントの増加に伴って、少しバブル的な状況が続いてたように感じます。ので、コロナ禍に入った今が本当の業界の姿なのかな?と。
きっと業界全体が以前のように戻るというのはまだまだ先だと思いますし、それまでに各地域、各店舗ごとでの格差はドンドン広がっていくんじゃないかという不安はずっとあります。ので、振り落とされないように踏ん張っていきたい次第です。

ライブハウスを愛する人へ

いつも遊びに来てくれてる皆さん、本当にありがとうございます。まだまだ楽しいこといっぱいしましょうね。
最近は遊びに来れてない皆さん、まだまだ先は見えませんし、声を出せなかったり、距離を取ってたり、あの頃とずいぶん変わりましたが、それでもやっぱりライブハウスで過ごす時間は楽しいし、胸がドキドキする瞬間がたくさんあります。
また気が向いたらぜひ遊びに来てくださいね。

香川・DIME バンドーエイジ氏

(参照:連載第19回 香川・DIME|映画館をライブスペースに作り変え、香川アーティストの全国進出願う

現在の状況

元映画館DiMEは2022年3月21日の四星球ライブで終わり、新しい場所での再スタートライブイベントは、2022年3月26日に地元バンドの古墳シスターズから始まる予定でした。
ところが、開催前日に四星球も古墳シスターズもメンバーに体調不良者が出たため、両方とも8月に延期となってしまいました。。。厳しいですね~!
記念に残るイベントだと思っていましたので、残念でした。現在の経営も入場人数を絞っての営業なので、赤字営業ですね。シン・ダイムになってからキャパシティが増えたのですが、やはり間隔を空けての人数なのでつらいですね。家賃も上がりしましたし!!
でも、2021年に比べたらライブの数は増えてきた感じがします。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

建物を解体するから出て行ってほしいと言われたのが、最大の出来事ですね。
新型コロナでこれから未来がどうなるかわからない中でしたので。。。
移転先を探すといっても、広いスペースや苦情が来ないところとか、ライブハウスを営業していく場所はいろいろハードルが高いですからね。現在の場所を見つけるまでに、1年2カ月かかりました。。。

この2年の間に新たに行った経営施策

配信ライブも少しはやったのですが、やはり映像では物足りない。
売り上げも少ないからスタッフ代を払えば赤字でした。
クラウドファンディングを勧められたけど、あまり好きではないので。。。
日本政策金融公庫から借金をしました、20年間払いでね!
あと、ライブハウスを支援する方からの寄付がかなり助かりました!
一生、頭が上がりません! ありがとうございました!

現状を踏まえての展望や要望

新型コロナウイルスから解放の出口がまだまだ見えない中、渾身の思いを込めて作った新しいライブハウスDiMEです。ぜひとも、皆さんに雰囲気を味わいに来てほしいですね!

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

何があってもこの業界での生活を続けていきたいという気持ちが、ライブ業界の関係者から伝わってきますね!
皆さんの言葉や行動が励みになっております。

ライブハウスを愛する人へ

モッシュやダイブを経験したことがない若い方に、いろいろ教えてあげてほしいです。
ライブハウスの楽しみ方を、お客さんやバンドマンでつながって語ってほしいね!