八木海莉が2月11日と12日の2日間にわたりワンマンライブ「polydam」を東京・日本橋三井ホールにて開催した。この記事で2日目の模様をレポートする。
20歳の誕生日である2022年9月5日の東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE公演以来、八木にとって約半年ぶりのワンマンライブとなった「polydam」。静かに場内の灯りが消え、水温をフィーチャーしたSEが響く中、彼女は西野恵未(Key)、ひぐちけい(G)、カワノアキ(B)、岡本啓佑(Dr / 黒猫チェルシー)からなるバンドを従えて姿を見せた。
青く柔らかな光に照らされたステージの真ん中に立ち、エレキギターを抱えた八木が歌い始めたのは最新曲「健やかDE居たい」。バンドの軽快なアンサンブルに乗せて、透明感のあるまっすぐなボーカルが重なり、ホール内はたちまち八木が作り出すみずみずしい世界観に染め上げられた。アーバンな空気が立ち上る「ゾートロープ」を歌い終えたあと、八木はギターを置き「今日は一緒に楽しんでいってください」とはにかむ。そして、ポップしなないでが作編曲を手がけた「君への戦」を、チャーミングな振付を踊りながらパフォーマンス。ライブが始まった頃は緊張感を漂わせていた彼女だったが、時間が経つにつれて歌声も次第に伸びやかさを増していき、それに伴い客席の空気もほぐれていった。
水泡が弾けるような音のベースや、海中を思わせるエメラルド色の照明が印象的だった「海が乾く頃」、甘やかで切ないボーカルを引き立てるアレンジが光ったRADWIMPS「セプテンバーさん」のカバー、岡本の刻むタイトなビートの上で奔放に歌う「SELF HELP」と異なるタイプの楽曲を続けて歌唱した八木。軽やかな雰囲気のポップチューン「のうのうた」を届けたのち、彼女はテレビアニメ「Vivy -Fluorite Eye's Song-」で歌姫ヴィヴィとして歌唱した「A Tender Moon Tempo」「Harmony of one's heart」を情感たっぷりにパフォーマンスし、その高い歌唱力で観客を惹き付けた。
その後も、八木はボカロP・ふるーりが手がけた起伏の激しい展開の「ダダリラ」を難なく歌い上げたり、全身からエネルギーを発しながら「僕らの永夜」を熱唱したり、曲によってさまざまな表情を見せていく。本編のラストナンバー「さらば、私の星」を歌う前に彼女は、この曲の制作背景をトーク。宮崎駿監督の短編アニメ「星をかった日」にインスパイアされたこと、苦手だった故郷への思いが離れてから変わったことを語り、「皆さんも肌に合う場所で健やかに生きてください」と呼びかける。そしてすうっと息を吸い込むと、葛飾出身が手がけたミュージックビデオを背に凛とした歌声をホール中に響かせた。
「やっとアンコールできる曲数になりました」。そう笑いながら観客の前にTシャツ姿で戻ってきた八木は、久保田真悟(Jazzin'park)がアレンジを手がけたスタイリッシュな新曲「セレナーデ」をお披露目。さらに少女のようなあどけなさと、大人のしなやかさの両方を感じさせる声でデビュー曲「Ripe Aster」を歌い上げて、「polydam」を晴れやかに締めくくった。
なお、このライブで披露された「セレナーデ」は2月15日に配信リリースされることが決定。同日22:00からAWAでは八木がチャットに参加する「AWAラウンジ」が開催される。また八木は21歳の誕生日である9月5日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでバースデーライブを行う。
八木海莉「八木海莉 One-Man Live『polydam』」2023年2月12日 日本橋三井ホール セットリスト
01. 健やかDE居たい
02. ゾートロープ
03. 君への戦
04. 海が乾く頃
05. セプテンバーさん
06. SELF HELP
07. のうのうた
08. A Tender Moon Tempo
09. Harmony of one's heart
10. お茶でも飲んで
11. ダダリラ
12. 刺激による彼ら
13. Sugar morning
14. 僕らの永夜
15. さらば、私の星
<アンコール>
16. セレナーデ
17. Ripe Aster
八木海莉 Birthday Live -21-
2023年9月5日(火)東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE