ライブナタリーが主催・企画するeastern youthとサニーデイ・サービスのツーマンライブが“ロックの日”である6月9日に東京・UNITで開催された。
吉野寿(Vo, G / eastern youth)曰く、曽我部恵一(Vo, G / サニーデイ・サービス)とは以前から顔見知りだったとのことだが、この2組の本格的な競演は意外なことに本イベントが初めて。初の組み合わせとなるツーマンを見届けるべく集まった満員の観客を前に、2組は期待を裏切らぬ熱い演奏を繰り広げた。
先攻を務めるサニーデイは姿を現すや否や「花咲くころ」を演奏。ゆったりとしたテンポながらも重厚感のあるサウンドでライブの幕開けを飾る。続けて初夏の訪れを感じさせるナンバー「江ノ島」が披露され、熱気で満ちた会場にさわやかな空気が呼び込まれる。曽我部が「憧れのバンドと対バンということで、昨日から寝られなかった。一睡もしてない……一睡もはウソだけど(笑)。本当に楽しみにしてました」と笑顔で語り、その後3人は疾走感あふれる「さよなら!街の恋人たち」からゆったりしたバラード「白い恋人」へと続け、緩急の利いたセットリストで観客を魅了した。
ここまで2000年の解散以前の楽曲が5曲連続で披露されたが、後半で再結成以降の近年の楽曲が立て続けに演奏されると、場内の空気は徐々に変容。3人はメロウなナンバー「桜 super love」で観客の体を軽く揺らしたのち、「春の風」でストレートなロックサウンドをぶつける。さらに「コンビニのコーヒー」のアウトロで曽我部と田中貴(B)、大工原幹雄(Dr)は髪を振り乱しながら激しい音を鳴らす。続く「セツナ」では、近年のサニーデイのライブでは定番になっている轟音でのセッションが長らく続き、ボルテージの高まりきった会場に音の洪水を巻き起こした。ハードコアな演奏でロックバンドとしての一面を見せつけたサニーデイは、少し間を置いて最新アルバム「DOKI DOKI」の収録曲「風船讃歌」を朗らかに披露。最後に「eastern youthはずっと影響を受けてきた大好きなバンド。またいつか一緒にできるように力をつけて戻って来ます」と語り、一夏の淡い恋を歌った「サマー・ソルジャー」でパフォーマンスを終えた。
しばしの転換時間を経て、ライブはeastern youthのパートに突入。吉野、田森篤哉(Dr)、村岡ゆか(B)の3人は力強くも美しさをたたえたサウンドで「夜明けの歌」を奏で、観客の体を動かしていく。さらに「街の底」へシームレスにつなげると、オーディエンスは拳を高く掲げて全身でイースタンのサウンドを堪能した。その後吉野は「皆さんの夢のようなお時間にお邪魔をして大変心苦しいんですけど、きれいなお花にも毒はありますよ。言い換えると、毒のある生き物にも旨味があるんですよね」と独特なMCを披露したのち、「サンセットマン」「たとえばぼくが死んだら」などを連続で演奏。シンプルながらも分厚いサウンドと、魂の叫びのような歌声で満員のオーディエンスを釘付けにしていく。中盤では吉野が「サニーデイ・サービスの曲は夢のような歌の数々で、素敵だなって思ってるんですけど、毒みたいなものも感じてしまうんですよね。毒性の強い人間だと僕は思ってます」とサニーデイへの印象を明かした。
ライブ後半に「ソンゲントジユウ」で鬼気迫る熱演が繰り広げられると会場の揺れは増幅。ラストに3人は躍動感みなぎる「夏の日の午後」をパフォーマンスし、本編を締めくくった。アンコールで「素晴らしい世界」が全身全霊で演奏されたあとも、さらなるアンコールを求める拍手は止むことがない。再び登場した3人は吉野の「我々のみならず、曽我部くんですら裸足で行かざるを得ない」という言葉を契機に、「裸足で行かざるを得ない」を演奏。性急なビートに吉野のたぎるような熱さの歌声が乗せられ、会場は興奮の渦に包まれる。3人はすさまじい勢いの演奏で熱をほとばしらせ、ツーマンライブのラストを駆け抜けていった。
「ライブナタリー“eastern youth × サニーデイ・サービス”」2023年6月9日 UNIT セットリスト
サニーデイ・サービス
01. 花咲くころ
02. 江ノ島
03. 夜のメロディ
04. さよなら!街の恋人たち
05. 白い恋人
06. 桜 super love
07. 春の風
08. コンビニのコーヒー
09. セツナ
10. 風船讃歌
11. サマー・ソルジャー
eastern youth
01. 夜明けの歌
02 街の底
03 サンセットマン
04 小さな友人
05 たとえばぼくが死んだら
06 矯正視力〇・六
07 ソンゲントジユウ
08 夏の日の午後
<アンコール>
09. 素晴らしい世界
<ダブルアンコール>
10. 裸足で行かざるを得ない