中島みゆきの新曲「心音」が、9月15日に全国公開される劇場アニメーション作品「アリスとテレスのまぼろし工場」の主題歌に決定した。
「アリスとテレスのまぼろし工場」はテレビアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の脚本を手がけた岡田麿里が監督、アニメーションスタジオ・MAPPAが制作を担当するオリジナル劇場アニメーション作品。突然起こった製鉄所の爆発事故によりすべての出口を失い、時が止まってしまった町を舞台に、変化を禁じられた住民たちの姿が描かれる。主人公で中学3年生の正宗が、謎めいた同級生の睦実と、話すことのできない少女と出会い物語が展開していく。
岡田は2022年秋に中島に主題歌についてオファー。そして中島は、岡田が監督した「アリスとテレスのまぼろし工場」の台本を読んで主題歌を担当することを決めた。中島が劇場アニメーション作品に楽曲を提供するのはこれが初となる。彼女は本作の台本や岡田について「ゲームもアニメもさっぱりわからない中島に、御注文をくださるとは、なんでなの?と謎な気持ちで、届いた台本をおそるおそる読み始め、最後まで読み終わらないうちに、どっぷり、岡田麿里様のしもべとなっておりました。岡田麿里様は、中島の絶大なる『推し』です!」とコメントしている。
中島みゆき コメント
ゲームもアニメもさっぱりわからない中島に、御注文をくださるとは、なんでなの?と謎な気持ちで、届いた台本をおそるおそる読み始め、最後まで読み終わらないうちに、どっぷり、岡田麿里様のしもべとなっておりました。岡田麿里様は、中島の絶大なる「推し」です!
スタジオで初めて岡田麿里様にお目にかかった日は、ただもう中島は物陰から、じぃっとお姿を拝見するばかり。一瞬だけ駆け寄って「この台本、好きです!」と言うのが精一杯でした。まるで中学生の片想いレベルです。
岡田麿里 コメント
『アリスとテレスのまぼろし工場』の主題歌が完成したとご連絡があり、スタジオにお伺いしました。
期待で前夜は眠れなかったうえに、その場にみゆきさんがいらっしゃったことで
興奮と緊張は限界に達し、挙動不審かつドライマウスの私に歌詞の紙が渡されました。
そこには、『心音(しんおん)』と書かれていました。
『心音(しんおん)』が流れてきた瞬間、正面から、強い風がぶわっと吹いた気がしました。風にあおられて、緊張だけでなく、スタジオの景色がすべて吹っ飛んでいきました。そして、この物語の主人公である正宗と五実、睦実の姿が見えました。彼らはしんと冷たい世界の中で、腹の底から叫び、走っていました。
2023年6月現在、『まぼろし工場』の制作は順調です......とは正直、言えません。映画の内容と同じく、さまざまな困難にぶちあたり、倒れそうになることもあります。でも、そのたびに『心音(しんおん)』がどんどんと心臓を叩いてくれ、蘇生させられています。みゆきさん、瀬尾さん(*中島みゆき音楽プロデューサー)をはじめとした『心音(しんおん)』チームの皆さん。この素晴らしい主題歌が流れる、エンディングを迎えるために。『まぼろし工場』とアニメスタッフは最後まで駆け抜けていきます。本当にありがとうございました。
(c)新見伏製鐵保存会