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ART-SCHOOL、5年ぶりのフルアルバム携えたツアー終幕 5人の強靭なサウンドで見せた進化

「ART-SCHOOL TOUR 2023『luminous』」東京・Spotify O-EAST公演の様子。(撮影:中野敬久)
約1年前2023年07月16日 14:07

ART-SCHOOLが7月14日に東京・Spotify O-EASTでライブツアー「ART-SCHOOL TOUR 2023『luminous』」ファイナル公演を開催した。

ART-SCHOOLは6月に約5年ぶりのフルアルバム「luminous」をリリース。本作を携えて東京・新代田FEVER、大阪・梅田CLUB QUATTRO、愛知・名古屋CLUB QUATTRO、Spotify O-EASTの4カ所を回った。

木下理樹(Vo, G)、戸高賢史(G)、サポートメンバーの中尾憲太郎(B)、藤田勇(Dr / MO'SOME TONEBENDER)、やぎひろみ(G / NITRODAY)の5人をオーディエンスが大きな拍手で出迎える。藤田のドラムカウントを合図に彼らはアルバムの1曲目「Moonrise Kingdom」の演奏をスタート。疾走感のあるビートとともに美しいシューゲイザーサウンドが場内を心地よく満たしていった。木下がフライングVを掲げて歓声が沸き起こると、間髪をいれず彼らはそのまま「ブラックホール・ベイビー」へ突入。中尾が刻む芯の強いベースの音を軸に、前のめりでなだれ込むように演奏を繰り広げた。長くライブで披露されてきた「real love / slow dawn」のようなナンバーも、昨年からの5人編成によってライブを重ねるごとにアップデート。阿吽の呼吸で音が絡み合い、強靭さを増したサウンドがフロアの熱を引き上げていった。

「Adore You」では木下のどこか寂しげで儚い歌声と、メロディアスなギターが情緒的な世界観を生み出す。そして彼らは柔らかな光に照らされたステージで「BUTTERFLY KISS」「14souls」を開放的な空気を漂わせながら演奏した。戸高が「『今日何かしゃべるんですか?』って(木下に)聞いたんですけど、『楽しんで帰ってね、くらいじゃない?』って」と口下手な木下に視線を向けると、フロアから「しゃべって!」という声が。そのリクエストに応えて木下は「アルバム『luminous』を作れたというのがすごく大きかったですよね」と話を切り出し、「最近は自分の音楽がどうやったら聴いてくれる人を幸せな気分にできるんだろうかってけっこう考えてるんですけど……そんな感じのMCです」と不器用ながらにまっすぐに思いを伝えた。

ライブ中盤に披露されたのは、戸高がメインボーカルを担う楽曲「Teardrops」。透明感のある優しい歌声とキャッチーなメロディに誘われるようにフロアに一斉に拳が突き上がった。「In The Lost & Found」を勢いよく放ったあと、そのまま彼らは衝動に身を任せるように「アイリス」を演奏。さらに「MISS WORLD」を投下し、オーディエンスの心を駆り立てていった。たおやかに奏でられた「SWAN DIVE」を経て、5人は「End of the world」をドラマティックに紡ぐ。「Heart of Gold」ではメインボーカルを務める戸高の歌声に、木下の心地のいいコーラスが重なって響き渡った。

戸高は「O-EASTでライブをするのは、めちゃくちゃひさびさですよね。僕が(ART-SCHOOLに)入って初めてのライブがここだったんです」と懐かしそうに話し、「思い入れのある会場に、今日こんなに集まってくれて本当にありがとうございます」と感謝の思いを述べる。そして「飛ばしていくので、楽しんで帰ってください」という彼の言葉を合図に、5人はライブ終盤を駆け抜けるように「Just Kids」「ジェニファー'88」「UNDER MY SKIN」と次々と楽曲を投下してフロアをヒートアップさせた。ラストナンバーはアルバムのリードトラック「Bug」。美しいメロディと希望を宿した轟音を響かせ、5人はステージをあとにした。

アンコールを求める拍手に呼ばれてメンバーが再びステージに登場。戸高が「『木下生誕祭』的なことやりたいなと思ってて」と5年ぶりの「木下理樹生誕祭」の開催を告知するとフロアから大きな拍手が沸き起こる。観客のリアクションを受けて、戸高は「超人気あるじゃん。マジか。全員来てくれるだろうな?」と、会場が東京・Zepp DiverCityであることを発表。さらに「何組か出てもらおうかなと思っていて。強烈なバンドが決まっています。親和性が非常に高い。木下さん、お願いします」という戸高の振りを経て、木下が「syrup16gです」とその名前を口にすると、場内は割れんばかりの歓声に包まれた。うれしい発表にオーディエンスの興奮がさめやらぬ中、ART-SCHOOLは「BOY MEETS GIRL」「スカーレット」を爽快にプレイ。そしてエネルギーを爆発させるように「FADE TO BLACK」を放った。

5人がステージを去ったあとも拍手は鳴りやまず、メンバーはステージへ。木下は「これでツアーが終わっちゃうのは寂しい感じがするんですけど、またライブがあるので来てくれたらうれしいです」と挨拶。戸高は「木下さんがすごく愛されてることがよくわかりました。これからもがんばっていい音楽を作り続けていきます」と宣言して拍手を浴びた。そして5人は「しとやかな獣」を優しく奏でる。最後には「SWAN SONG」を晴れやかに届け、温かな空気が広がる中でツアーを締めくくった。

ART-SCHOOL「ART-SCHOOL TOUR 2023『luminous』」2023年7月14日 Spotify O-EAST セットリスト

01. Moonrise Kingdom
02. ブラックホール・ベイビー
03. I remember everything
04. real love / slow dawn
05. Adore You
06. BUTTERFLY KISS
07. 14souls
08. 2AM
09. YOU
10. クロエ
11. Teardrops
12. In The Lost & Found
13. アイリス
14. MISS WORLD
15. SWAN DIVE
16. End of the world
17. Heart of Gold
18. Just Kids
19. ジェニファー'88
20. UNDER MY SKIN
21. Bug
<アンコール>
22. BOY MEETS GIRL
23. スカーレット
24. FADE TO BLACK
<ダブルアンコール>
25. しとやかな獣
26. SWAN SONG

KINOSHITA NIGHT 2023 ~木下理樹生誕祭・SHIGONOSEKAI~

2023年10月15日(日)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
<出演者>
ART-SCHOOL / syrup16g / and more

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