與真司郎(AAA)が本日7月26日に東京・LINE CUBE SHIBUYAにて「與真司郎 announcement」と題した無料イベントを開催。この中で自身が同性愛者であることをカミングアウトし、アーティスト活動の再開を発表した。
與は2005年9月にAAAのメンバーとしてデビュー。グループでの活動のほかソロアーティストとしても活動してきたが、AAAの活動休止を控えた2020年11月に翌年末をもってアーティスト活動を休止することを発表した。その後は自身のライフスタイルを幅広く表現するブランド 「446 DOUBLE FOUR SIX」のプロデューサーとして、日本とアメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動。今年6月にはエイベックス・マネジメントとの専属契約を満了してエージェント契約を締結し、独立することを発表していた。
今回のイベント「與真司郎 announcement」は、與が「新たな出発を機に、“僕の人生をかけた挑戦”に関して、個人的な願いにはなりますが、皆様の顔をみながら直接伝えさせていただければと思っております」として、ファンを無料招待して開催された。
スーツ姿で登壇した與はひさびさに再会したファンに向けて「みんな元気? 緊張してるよね、絶対。今から何言うのか」と挨拶し「今日たぶん、芸能界デビュー前からも含めたら20年くらいかな? 一番緊張してるかもしれない」と自らの緊張も固い表情で明かす。観客が固唾を呑んで見守る中、與は「本当にびっくりするだろうけど、みんなのことを心から愛してるということを思って聞いてほしいです」「普段はステージ上で手紙とか読まないんだけど、間違って伝わると嫌なので手紙を読ませてもらいます」と話し、マイクに向かった。
「これから僕が話すことは皆さんが期待して望んでいる内容ではないかもしれません。中には理解するのに時間がかかる人がいるかもしれないけど、僕が話すことがきっかけでこのことについて理解が深まり世界が変わってくれることを願っています」と話し始めた與は、今回SNSやプレスリリースを通じてではなくファンと対面して話すことを望んだため席数に限りがあり、会場に来られなかったファンを思いやりつつ「今日はどうしても皆さんの顔を見ながら直接伝えるべきだと思いました」と思いを明かした。
そして與は「僕自身、長い間この不安と戦ってきました。本当に何年もの間、自分の一部を受け入れることができませんでした。それでもさまざまな葛藤を乗り越え、今やっと皆さんにこのことを打ち明ける決意ができました。それは僕がゲイであるということです」と真摯な表情で告白。「すごく驚いていると思うし、でも最後まで聞いてください」と話し、カミングアウトを決意するまでに時間を要したこと、自分も自分のセクシャリティを受け入れられなかったこと、世の中が自分をアーティストとして認めてくれないのではないかと悩んだことなどを赤裸々に語り「でも悩みに悩んだ結果、ファンの皆さんをはじめ僕が大切にしているすべての人たちへ、そして僕自身のためにもこのことを受け入れ、伝えることが僕なりの誠意だと思いました。そして僕と同じ境遇に置かれている方々にも勇気を持つきっかけにしてもらいたかった。自分がひとりではないということをわかってほしかったんです」と話した。
本来の自分を隠してエンタテインメントの世界にいるか、その世界を退いて世間から隠れて暮らす選択肢しかないと考えていたという與は、公表したうえでこの世界で生きることを決めたと話し「ありのままの自分で生きていくことで、大好きなエンタテインメントの活動をあきらめたくなかったんです」と話す。そんな與は自身がゲイであることを理解するまでに時間がかかったと幼少期を振り返り「テレビではLGBTQ+のことを面白おかしく扱っている時代でした。自分のセクシャリティについて疑問を持っても『自分が間違っているんだ、自分はおかしいんだ』と……」と話しながら声を詰まらせる。客席からの拍手や声援に励まされ、與は自分の感情を押し殺しながら芸能界に入り、多忙な日々の中で「自分はひとりぼっちだ」と思いながら過ごしていたと語った。
メンタルへの影響を考えて海外への移住を考えたという與は、街中で男性同士がキスしている光景を見て「そのとき初めて自分はひとりじゃないんだとほっとしました」「LGBTQ+であろうと、どんな人間でも幸せに自分らしく生きる権利があるんだということに気付かされました」と希望を持ったと明かし、自らも自分らしく生きることを考え始めたという。そしてLGBTQ+の人々がハラスメントやいじめ、世間的なプレッシャーに悩み、命を絶つことも考えている人も多いことを「理解されずに自分のことを攻め続けている人がこれだけ多く存在することを、1人でも多くの方に知ってもらいたいです」と真剣な眼差しで語りかけた。
與は今回のカミングアウトをきっかけに、自らの公式サイトにLGBTQ+に関するリンクを開設したと発表。「これを機に知らないところで苦しんでいて、助けを必要としている人がいるということを多くの方に知ってもらいたいと思いました」とファンに呼びかけ、「もしこの会場の中にも自分のセクシャリティに悩んでいる方がいたら、僕のホームページをぜひご覧ください。あなたは絶対に1人じゃない。僕もあなたのことを全力で応援します。今は誰もいないと思っていても、周りに支えてくれる人は必ずいます」と語りかけた。
さらに與はAAAの活動休止後、ソロアーティストとして活動する意味を考えてきたが「悩んでいる人を1人でも多く救いたい」という思いが芽生え、カミングアウトを決意したことにより発信したいメッセージが明確になったとしてアーティスト活動の再開を発表。大喜びするファンに向け、新曲「Into The Light」をレコーディングしたことを明かし「この曲の売上の一部をLGBTQ+の支援団体に寄付します。僕と同じ境遇にいる人に理解を深めるきっかけになってくれたらうれしいです」と話した。
最後に與は現在アメリカ・ハリウッドで自らの人生を題材にしたドキュメンタリーが制作中であることも発表した。プロデューサーは「グリーンブック」「メリーに首ったけ」といった映画を手がけたピーター・ファレルと、「ショート・サーキット」などで知られるフィッシャー・スティーヴンス。與は「ハリウッドで活躍している方々が僕に共感してくれました。この機会に感謝するとともに、自分ができることに精一杯取り組みたいと思います」と決意を新たにし、手紙の全文を読み終えた。
長い告白を終えた與は、ようやく緊張が解けた様子で演台の前に進み出て「みんな、驚かせてごめんね」とファンに呼びかける。「おかえり!」「がんばれ!」「ありがとう!」といった声援を受けた彼は、泣き笑いの表情で「どんだけいいやつやねんお前ら! まさかの展開すぎてどうしたらいいのか」と感謝を叫んだ。自身を支えた家族や友人、スタッフへの思いを語ったあと、與は「今日、メンバーがみんな来てくれてて……」と客席にAAAの西島隆弘、宇野実彩子、日高光啓、末吉秀太がいることを紹介すると、会場中が大きくどよめいた。最後方で大きく手を振る4人に、與は冗談交じりに「絶対書かれるから言うけど、メンバーのみんなごめん! タイプじゃない(笑)。人間としては大好きだけど」と呼びかける。末吉が「俺は真司郎大好きなのに!(笑)」と返して会場が爆笑に包まれると、與は「本番前から『俺らがついてるから』って言ってくれて」とこの日支えてくれた4人に改めて感謝した。
最後に「みんなが悩んだときとか、何かあったら絶対助けるから。死ぬまで一緒に生きていこう」とファンに呼びかけた與は、客席の明るい反応に「俺、今日終わったらこんなんなるのかなと思ってたから……」と落ち込ませるかと危惧していたことを明かし「もっと早く言えばよかった! アーティストとしてステージに戻ってくるよ!」と改めて活動再開を明言。最後に「Into The Light」のミュージックビデオを披露し、イベントを締めくくった。