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SPYAIRが新体制で富士急に帰還、晴天に誓ったさらなる前進「来年も再来年もまたここに」

SPYAIR(撮影:鳥居洋介)
9か月前2023年08月12日 2:06

SPYAIRの夏の恒例野外ライブ「JUST LIKE THIS 2023」が、メジャーデビュー記念日である昨日8月11日に山梨・富士急ハイランドコニファーフォレストで開催された。

「JUST LIKE THIS」は2015年より富士急で開催されてきた恒例ライブ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う中止を経て2021年に2年ぶりに行われたが、2022年は前ボーカリスト・IKEの脱退を受けて再び中止を余儀なくされた。そして今年4月、オーディションで選ばれた新ボーカリストのYOSUKEが加入。今回が全国から集まったファンに向けて新体制を本格的にお披露目する舞台となった。

2年前を思い起こさせるような晴天の下、ステージにはKENTA(Dr)、UZ(G)、MOMIKEN(B)、サポートメンバーのTASUKU(G)が順番に姿を現す。最後にYOSUKEが現れると、オーディエンスの大歓声はひときわ高くなった。1曲目、YOSUKEが高らかに歌い上げたのは「Rockin' the World」。青空を見上げなら熱唱するその姿に観客も引き込まれ、力強く拳を挙げた。

「富士急!」とYOSUKEが叫んで始まったのは「轍~Wadachi~」。観客は歓喜の声を上げて高々とジャンプし、ステージとの一体感を楽しむ。そんな様子をUZ、MOMIKEN、KENTAも笑顔で見つめながら熱演を続けた。YOSUKEが「ようこそ、SPYAIRのライブへ!」とおなじみの挨拶を叫んだあとは「アイム・ア・ビリーバー」へ。花道からセンターステージに進み出て全身を使ったパフォーマンスを見せるYOSUKEに、オーディエンスも大合唱で応えた。

最初のMCでYOSUKEは「『JUST LIKE THIS』初めてって人います?」と客席に呼びかけ、手を挙げた観客に「俺と一緒ですね(笑)。よろしくお願いします」と挨拶。「新生SPYAIR、最後まで全力で演奏します!」と意気込みを語り、「WENDY~It's You~」を軽やかに歌う。この曲ではUZとMOMIKENもセンターステージへ飛び出し、富士急の観客たちとアイコンタクトを楽しんだ。

続く「JUST ONE LIFE」ではMOMIKEN以外のメンバーがサングラスをかける恒例のパフォーマンスで、楽曲のハードボイルドな世界観を表現。「現状ディストラクション」間奏のギターソロではYOSUKEがUZの肩を抱き、客席に歓声を沸き起こした。その後は「My World」そして「サクラミツツキ」へ。YOSUKEの哀切さを帯びたややハスキーな歌声が、徐々に傾き始めた日差しとあいまって美しい情景を作り上げた。「せっかくのこういう機会なので、ちょっと違うアレンジで」というYOSUKEの紹介から始まったのは「Last Moment」。UZはアコースティックギターをかき鳴らし、情熱的な音色でオリジナルとはまた違うムードを作り出した。

中盤ではメンバー4人がセンターステージへ移動し、アコースティックスタイルでのパフォーマンスを披露する。雨に見舞われることの多い「JUST LIKE THIS」だが、今年は前回に引き続いて雨の気配が皆無とあり、YOSUKEは「いい感じに曇ってますね」と空を見上げる。しかしKENTAは「雨を望んでる人が(観客の中に)6割くらいいるかもしれない」、UZは「YOSUKEはまだわかってないね、富士急の雨の心地よさを」と、もはや「JUST LIKE THIS」の風物詩となった降雨に対する余裕を見せてオーディエンスを笑わせた。

和やかなやりとりのあと、KENTAは「去年の7月ですか、『(富士急で)やるぜ』と言って会場を取ったのは。まさかまたセンターステージに立てるとは……みんなのおかげだし、YOSUKEのおかげです」と、新ボーカリストオーディションよりも前に「JUST LIKE THIS」開催を決めた1年前を振り返った。そして夕暮れが近付き、涼しい風が吹く中で披露されたのは「BEAUTIFUL DAYS」。UZのアコギ、MOMIKENのベース、KENTAのピアノ、そしてYOSUKEの情感豊かな歌声が重なった柔らかなアンサンブルに、オーディエンスはうっとりと聴き入った。

メインステージへ戻った4人は「INSIDE OF ME」でパフォーマンスを再開。激しいロックサウンドで再び会場の熱気を上昇させていく。センターステージで「踊れるか富士急!」とYOSUKEが煽ったあとは「What is Love」の攻撃的なパフォーマンスを叩き付ける。その後も「We'll Never Die」「RAGE OF DUST」とハードなロックチューンを連投。骨太なサウンドとYOSUKEの力強いデスボイスで観客のテンションをさらに上げていった。

YOSUKEは「皆さん楽しんでますか? 人生で一番楽しいです、僕」と初めて「JUST LIKE THIS」のステージに立った心境を明かし「もうそろそろラストスパートですよ。1曲1曲噛み締めて楽しんでいってくれるかな?」と観客に語りかける。その後披露されたのは、今回の「JUST LIKE THIS」のテーマソングとして書き下ろされた新生SPYAIR初の楽曲「RE-BIRTH」。新たなスタートへの思いを込めたこの曲を4人はまっすぐ前を見据えながら丁寧に届け、オーディエンスも力強いシンガロングで支えた。「イマジネーション」、そしてオーディエンスが全力でタオルを振り回した「サムライハート(Some Like it Hot!!)」ではYOSUKE、UZ、MOMIKENがフロートに乗り込んで会場後方を1周し、会場中から起こる声援に笑顔で応えた。

本編の最後に4人を代表し、UZは「JUST LIKE THIS」に対する思いを語る。「こうやって久しぶりに富士急のステージに、『JUST LIKE THIS』に戻ってきて『SPYAIR、帰ってきたんだな』って心の底から思いました」と語ったUZは、彼らの原点でもあるインディーズ時代に行っていた公園での野外ライブを振り返る。メジャーデビューを経てあっという間にアリーナクラスの会場でライブを行うまで上り詰める一方、メンバー間の関係性にも変化が出てくる中で「バンドの軸を取り戻したい、大きなものを目指したい」という考えのもとに富士急での「JUST LIKE THIS」を始めたとUZは話した。

昨年、残る3人でSPYAIRとしての活動を続けるべきなのか悩んだというUZは「『JUST LIKE THIS』をもう一度やりたい。なんとしても絶対にあのステージに立つ」という思いからバンドの継続を決めたと語る。そして迎えた新メンバーのYOSUKEに「まだ若くてたくさんの可能性を持ったボーカリストだと思っています」と希望を託し「この4人で新しいSPYAIRとして進んでいきます。来年も再来年もまたここに戻ってこられるように続けていこうと思っています」と力強く語った。その言葉を受け、YOSUKEは「つないでいくぜ、『JUST LIKE THIS』!」と宣言。4人はこのライブでしか披露しない大切な楽曲「JUST LIKE THIS」を真剣な表情とともに届けた。

オーディエンスがアンコールの代わりに歌う「SINGING」の合唱に応え、メンバーは再びステージへ。YOSUKEは「俺がここに立てているのは、次にやる曲があったからです」とかつての思い出を振り返った。ある映画を観たとき、エンディングに流れていたSPYAIRの楽曲にハマったというYOSUKEは、自身の音楽活動に迷いが生じていた昨年末、YouTubeで再びこの曲を聴いたときに関連動画の中にボーカルオーディションの告知を見つけたと明かす。「だったら今日、やるしかないよね!?」とYOSUKEが笑顔で続けた曲は、映画「アメイジング・スパイダーマン」の日本版テーマソングだった「0 GAME」。YOSUKEは自身の夢や思いをぶつけるように、富士急の夜空にエモーショナルな歌声を響かせた。

「この『JUST LIKE THIS』、すげえ最高なものだって俺は感じました。こんな景色を来年も再来年もつないでいきたいです」とYOSUKEが叫んだあとに披露されたラストソングはもちろん「SINGING」。アウトロでは「歌え、富士急!」というYOSUKEの声に応え、オーディエンスが笑顔で大合唱を続けた。花道をダッシュしたYOSUKEがステージ中央で大ジャンプしたあと、会場の空には大輪の花火が打ち上がり、新生SPYAIRの門出を華々しく彩った。

SPYAIR「JUST LIKE THIS 2023」2023年8月11日 富士急ハイランドコニファーフォレスト セットリスト

01. Rockin' the World
02. 轍~Wadachi~
03. アイム・ア・ビリーバー
04. WENDY~It's You~
05. JUST ONE LIFE
06. 現状ディストラクション
07. My World
08. サクラミツツキ
09. Last Moment
10. BEAUTIFUL DAYS
11. INSIDE OF ME
12. What is Love
13. We'll Never Die
14. RAGE OF DUST
15. RE-BIRTH
16. イマジネーション
17. サムライハート(Some Like it Hot!!)
18. JUST LIKE THIS
<アンコール>
19. 0 GAME
20. SINGING

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