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Mrs. GREEN APPLEが初のドームライブで計7万人動員 伝説の帝国アトランティスへ

「Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis”」の様子。(撮影:田中聖太郎写真事務所)
約1年前2023年08月18日 6:05

Mrs. GREEN APPLEが8月12、13日に埼玉・ベルーナドームでワンマンライブ「Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis”」を開催した。この記事では13日公演の模様をレポートする。

今年結成10周年を迎えたミセスは、5thアルバム「ANTENNA」をリリース。7月8日から8月4日にかけて自身最大規模のアリーナツアー「Mrs. GREEN APPLE ARENA TOUR 2023 "NOAH no HAKOBUNE"」を行ったばかりだ。「NOAH no HAKOBUNE」と題されたアリーナツアーの舞台は、巨大な船だった。ライブのエンディングでは海中深くの映像と「To Be Continued To ATLANTIS」の文字がスクリーンに浮かび上がり、物語の続きを指し示した。ドーム公演のタイトルに冠された「Atlantis」は、9000年前に海中に没したと言われている伝説上の帝国。ステージにはこの帝国を彷彿とさせる巨大な神殿がそびえ立っていた。ドームには1日あたり約3万5000人のオーディエンスが集結。初のドーム公演でミセスがどのような物語を描き出すのか、期待に胸を膨らませていた。

会場が暗転し、スクリーンに映し出されたのは金色の懐中時計。すると時計の針はどんどん巻き戻っていき、「Welcome to ATLANTIS」の文字ともに、そこにはアトランティス帝国の最盛期の豊かな景色が広がった。ステージには青と紫の美しい羽衣のような衣装を身にまとった藤澤涼架(Key)、若井滉斗(G)がせり上がりでステージに登場。最後に大森元貴(Vo, G)が姿を現し、アルバムのタイトルトラック「ANTENNA」でアトランティスの物語の幕を開けた。ドーム会場に似合うスケール感のあるサウンドに乗せて、大森は柔らかな表情で「どこまでも行ける そんな気がしてる」と開放感たっぷりに伸び伸びと歌い上げる。若井が奏でるギターのタッピングのサウンドも、藤澤が紡ぐきらめくような鍵盤の音色も、心地のいい風をまとうようにドームに軽やかに響き渡った。「アトランティスへようこそ! 楽しむ準備はできてますか?」と大森が告げ、「ねえ聞かせて」と歌い始めたのは1stシングル曲「Speaking」。フェーズ2では初披露となったが、3万5000人のハンドクラップも「Yeah」のシンガロングも自然と重なり、広いドームがたちまちひとつになっていく。この曲が持つ親しみやすいメロディと言葉は、ドーム会場でも距離を感じさせることなく、観客1人ひとりの心に優しく寄り添った。

今回のライブには100トンの水を使った夏らしい演出も多々取り入れられた。夏の楽しさをギュッと詰め込んだ2ndシングル曲「サママ・フェスティバル!」が披露されると、ウォーターキャノンがセンターステージで次々と噴射。羽衣を脱いで鱗のようなキラキラとした衣装にチェンジした3人は、十字路型の花道の先に散らばり、とっておきのサマーソングをにぎやかに届けて観客と夏を楽しんだ。「アンラブレス」ではパズルのピースをはめるように、それぞれの音があるべき箇所にカチッと美しくハマっていく。そんな盤石のプレイを経て、「1、2、3、4!」という掛け声を合図に勢いよくスタートしたのは「アボイドノート」。スケール感のあるギターロックサウンドを衝動のままに場内に響かせ、大森は「最高です! ありがとう!」と声を弾ませた。

「Love me, Love you」では神殿の庭園に場面がチェンジ。古代人の装いをした大勢のキャストがステージに登場し、噴水が上がる舞台で楽しげに舞踏会を繰り広げた。続いて教会のようなステンドグラスが映し出され、「umbrella」が演奏される。深い青に染まった舞台で大森が慈しむように言葉を紡ぐと、最後にはステンドグラスに光が差し込んだ。そして会場が暗転し、暗闇の中で3本のスポットライトに照らされながら、3人がそっと届けたのは「Soranji」。終盤に向けて強くなっていく白い光の中で、生と希望を歌い、「我らは尊い。」と天を指差す大森の姿は見る者の目を奪った。

自己紹介では「いつものやつ見せてください。ドカンと盛り上がる、あのいつものやつ」と大森に無茶振りされた藤澤が「みんな元気ですかー!」と声を裏返らせながらも咄嗟に会場を盛り上げ、「藤澤・チャンス・涼架。略してりょうちゃんです」と茶目っ気たっぷりに挨拶した。ミセスのライブでは若井が「岩井」と間違えられるくだりが恒例となっているが、大森は今回「えっと……」と溜めたうえであえて「若井滉斗です!」と本名で紹介。拍子抜けしてしまった若井は「ちょっと待って、違うじゃん。これで終わっちゃうじゃん」と戸惑い、「岩井じゃないですからね。僕から訂正させてもらうけど、岩井じゃなくて、若井だよ!」と自らアピールしてみせた。大森は「水の都に存在してました、私が大森元貴です!」と“大森教ポーズ”を披露し、得意の“縦眉毛”も惜しみなく連発。ドームでも変わらない和気あいあいとしたやりとりと「夏、始めますよ!」という言葉を経て、「青と夏」では3万5000人の生き生きとした大合唱がドームに響き渡った。

「ロマンチシズム」ではときめきあふれるアンサンブルに駆り立てられるように、キャストたちが花道を走り、センターステージで輪になって踊った。続いてミセスの3人はセンターステージへ。「ドーム規模ならではの遊びを、美しい景色とともに」と大森が告げると、彼らは「フロリジナル」を披露。十字路の花道の至るところにキャストたちが2人ずつペアで登場し、ロマンティックにダンスを繰り広げた。

オレンジ色のライトがセンターステージの彼らを照らし出すと、広いドームに3人だけの特別な空間が生み出される。3人が向かい合ってじっくりと演奏したのは、若井と藤澤に宛てて大森が言葉をつづったと言われる楽曲「BFF」。飾り気のない歌声とアコースティックサウンドには、大森の描く未来図を目指して10年間走ってきた彼らの揺るぎない絆と、お互いへの感謝の思いがあふれていた。「せっかくなのでもう1曲、スペシャルバージョンでお届けしてもよろしいでしょうか」と大森が述べ、そっと歌い始めたのは「僕のこと」。藤澤が繊細なタッチで紡ぐメロディアスな鍵盤の音色に乗せて、生命力に満ちた剥き出しの歌声が響き渡った。ワンコーラスが終わったところでバンドサウンドが加わる。空に光が差し、蕾が開き、草花が生い茂る壮大な自然の映像をバックにみずみずしいアンサンブルが場内に広がった。その後ミセスはスモークの柱が立つメインステージで「私は最強」をパワフルにプレイ。その強大なエネルギーは、まさにアトランティスの繁栄を想起させた。

しかしメンバーが一度ステージを去ると、スクリーンに嵐の映像が映し出され、不穏な空気が場内を漂う。海底へと沈んでいく映像を経て、暗い深海にメンバーが登場し演奏したのは、最新アルバムの中でももっともダークなナンバー「Loneliness」。激しいレーザーライトが飛び交い、スモークが吹き荒れる混沌とした光景の中で、大森は絶望に満ちた痛ましい思いを海底から叫んだ。続く「絶世生物」でその混沌とした空気はさらに濃いものになっていく。時折膝をつきながら、ゆらゆらと海底を歩く大森の姿は、狂気とも言える迫力を見る者に感じさせた。大森がセンターステージにたどり着くと、彼を乗せて舞台が上昇。大森がバッと両手を開くとセンターステージを囲む形で一斉に噴水が吹き上がり、まるで彼が水すら操っているかのようなカオティックな光景が描き出された。

その後、スクリーンに流れたのは深海から海面へと浮上する映像。地上へと降り立ったミセスはフェーズ2の代表曲の1つ「ダンスホール」をキャストたちとにぎやかに届けた。藤澤と若井はそれぞれソロダンスと鍵盤ソロ、ギターソロを流麗に披露して会場を大きく沸かせる。大森もキャストを引き連れて軽快にステップを踏むと、青色のテープが勢いよく発射されてドームを舞った。ライブのラストを飾ったのは最新曲「Magic」。光の粒が広がるドームに「Hey!」と3万5000人の一体感のある掛け声が響き渡り、すさまじい高揚感に満たされてライブはエンディングを迎えた。

アンコールを求める盛大な拍手に応えて、再びステージに登場したミセス。藤澤は「10周年というタイミングでこうやって昨日、今日とドームで2日間やってるのって改めて考えるとやばいね。すごいよ、本当に。今日遊びに来てくれたみんなの顔を見て、すごくうれしくなったし楽しくなったし、もっとこれからみんなに喜んでもらえるものを届けたいなと本当に思いました。ありがとうございます! また遊びにきてね!」と満面の笑顔を見せ、若井も「ミセス結成10周年という記念すべき年をこうやってたくさんの方々と一緒の空間で祝えることが本当にうれしいです!」と喜びいっぱいに語った。大森は「本当に楽しかったですし、もっともっと楽しいことを作っていきたいなと思っています。みんなと一緒に素晴らしい景色を見たいなと思うし、見せたいなと思いますし、とても僕ら自身が力をいただける日でした。音楽って素晴らしいなと思いました。ありがとうございます!」と語り、「会場規模とかそういうことじゃなくて、こうした素晴らしい景色……僕たちにとっては人がたくさんいるから素晴らしいわけじゃないんですね。心から今日を楽しみにしてくれた人たちが最高の笑顔で今日を迎えてくれた、その笑顔が本当に素晴らしい景色だなと思っています」と感慨深げに会場を見渡した。

「今日は一緒にいてくれてありがとう! 出会いに感謝です」と告げた大森。彼はインディーズ時代から演奏し続けてきた「我逢人」で、3万5000人のオーディエンスとともに人との出会いの尊さを歌い上げた。さらにミセスが演奏したのは、フェーズ1前半のライブで終盤に披露されることの多かった「庶幾の唄」。「りょうちゃん行ってこい!」と大森が藤澤を送り出すと、藤澤が花道に駆け出し、フルートを楽しげに吹く。最後には大森が「また会いましょう」というフレーズを笑顔でオーディエンスに贈った。

この10年を振り返り、藤澤は「10年っていう数字がすごく不思議に感じるよね。あっという間のようで、振り返ってみるといろんなことがあった。何にも言い表せない10年だなって。でも、本当にかけがえのない10年だったなと思います」としみじみと話し、若井は「りょうちゃんも言った通り、いろんなドラマがあったけれど、それもここに集まっている皆さんもそうだし、ミセスの音楽を愛してくれている皆さんがいなければここまで来れなかったし、10年も活動できなかったなと思うので、本当に感謝しかないです」と思いを伝えた。大森は「休止もしましたけども、こうして楽しみに遊びにきてくれる人たちがいるというのが救いで、励みで、活力で、原動力。本当にありがとうございます」と感謝の思いを口にし、「僕もすごく敏感だから、思うこともあるし、わかるんだけど、10年もやっていたら形態も変わったり、価値観だったり考え方ももちろん成長とともに変わる。あの頃がよかったとか、いつの何がよかったとか、10年やっていたらそういう声も必然的に出てきます」とバンドの形態や音楽性の変化に言及。そして「僕らは変わったりはしていない。でも多面的になろうとしたし、多面的になったんだなと思います」と述べ、「バンドの活動に限らず、変化が伴っていくのが人生。一番僕らが大切にしなければいけないのは、慎重に扱わなければいけないのは今の僕らで。それは過去を大切にするために、過去を愛するために必要な決断だったりもしました。これからを生きるために、今を愛するためにがんばります」と決意を語った。

「ここまでの道のりがすごく愛らしく、今日が愛おしくて。これから先も愛せるように、感謝の気持ちと祝福を乗せて、最後に歌いたいと思います。いつか必ず、たどりつく場所があると信じて」と大森が述べ、美しいアトランティスの景色をバックに高らかに歌い上げたのは「ケセラセラ」。オーディエンス1人ひとりの人生を祝福するように、カラフルな花火がステージを鮮やかに彩った。3人は最後に手を振りながら花道を歩き、手をつないで挨拶。大森は「物語には終わりがあるように、みんなは今日アトランティスに遊びに来てくれたわけですけども、どうやらこのアトランティス、未来では沈んでしまっているそうですね。でもきっといつか、大きな荒波によって、あなたの心や気力が削がれて流されて、気持ちが海の底に沈むような経験もされると思うんですけど、僕らは高々に『大丈夫』と今謳っておきたいと思うんです。あなたは1人じゃないし、いつか誰かが見つけてくれると、そう信じています。いつかたどり着きます」と確かな口調で話し、「愛してるよ、またいつか必ず会いましょう!」と告げてアトランティスの物語に幕を閉じた。

3人がステージを去ったあと、スクリーンに巨大な塔の映像とともに「To Be Continued To BABEL no TOH」という文字が映し出された。「EDEN no SONO」から「NOAH no HAKOBUNE」、そして「Atlantis」へと紡がれてきたミセスの壮大な物語は続いていく。

またミセスは12月から2024年3月にかけてファンクラブホールツアー「Mrs. GREEN APPLE 2023-2024 FC TOUR "The White Lounge"」を開催する。彼らはこのツアーで全国12会場を回り、計20公演を行う。ツアーのチケット情報は、ミセスのオフィシャルサイトで確認を。

Mrs. GREEN APPLE「Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis”」2023年8月13日 ベルーナドーム セットリスト

01. ANTENNA
02. Speaking
03. サママ・フェスティバル!
04. アンラブレス
05. アボイドノート
06. Love me, Love you
07. umbrella
08. Soranji
09. 青と夏
10. ロマンチシズム
11. フロリジナル
12. BFF
13. 僕のこと(Atlantis ver.)
14. 私は最強
15. Loneliness
16. 絶世生物
17. ダンスホール
18. Magic
<アンコール>
19. 我逢人
20. 庶幾の唄
21. ケセラセラ

Mrs. GREEN APPLE 2023-2024 FC TOUR "The White Lounge"

2023年12月20日(水)東京都 J:COMホール八王子
2023年12月21日(木)東京都 J:COMホール八王子
2023年12月26日(火)大阪府 フェニーチェ堺
2023年12月27日(水)大阪府 フェニーチェ堺
2024年1月7日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
2024年1月8日(月・祝)宮城県 仙台サンプラザホール
2024年1月12日(金)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
2024年1月13日(土)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
2024年1月25日(木)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
2024年1月26日(金)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
2024年2月3日(土)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2024年2月4日(日)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2024年2月11日(日)長野県 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
2024年2月12日(月・祝) 新潟県 新潟県民会館
2024年2月16日(金)広島県 広島文化学園HBGホール
2024年2月18日(日)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
2024年2月26日(月)大阪府 フェスティバルホール
2024年2月27日(火)大阪府 フェスティバルホール
2024年3月2日(土)東京都 東京ガーデンシアター
2024年3月3日(日)東京都 東京ガーデンシアター

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