シンガーソングライターの松本千夏が8月13日に東京・Club Mixaで「ワンマンライブ“歌って”」を開催した。
松本は高校2年生のときに女性2人組のアコースティックデュオ・みかんサイダーとして活動を開始。2019年にソロ活動もスタートさせて神奈川・溝の口駅を中心に路上ライブを行い、2021年にキングレコード内レーベル・SONIC BLADEよりメジャーデビューを果たした。Club Mixa公演は彼女にとってメジャーデビュー後初、過去最大キャパのワンマンライブとなったが、会場は見事満員に。大樋祐大 (Key)、ウインナーボーイJAPAN (G)、松ヶ谷一樹 (B)、中島瑞貴(Dr)といった面々を迎えてのフルバンド編成でパフォーマンスが届けられた。
拍手に包まれながらステージに登場した松本は、「love story」を1曲目に歌唱。彼女が鳴らすアコースティックギターの音色にバンドのアンサンブル、観客のクラップが重なり、場内に心地よい高揚感が広がっていく。「向日葵」ではしっとりとした伸びやかな歌声が響き、3曲目「となりあわせ」のサビでは演奏に合わせて松本が軽快にダンス。観客も彼女の動きを真似して思い思いに体を揺らした。「(ライブまでの)3日間ずっと歯がガタガタ鳴ってたんですけど、みんなが温かくて、今日は絶対に大丈夫だと思いました」と心境を明かした松本は、「ソールドアウトしました!」とこのライブのチケットが完売したことを笑顔で報告すると、「帰り道、スキップして帰りたくなるようなライブにしたいと思います」とフロアに語りかけた。
次に披露されたのは、小学生の頃の友達とひさびさに再会した体験がもとになっている楽曲「さえたろう」。何をするにも完璧で、昔から尊敬しているという友達“さえたろう”とのエピソードを語った松本は、そのリアルな思いを歌声に乗せる。さらに幼馴染みのコムドット・ゆうたと共演したミュージックビデオの再生回数がYouTubeで160万回を突破した「あいつの犬」、チルな空気感が漂う「ガソスタ -TOSHIKI HAYASHI(%C)Remix-」が立て続けに届けられ、ライブ中盤には未発表曲「キッチン」が初披露された。「キッチン」は、松本が好きな本、吉本ばななの小説「キッチン」のことを考えている中でできあがったという楽曲。一筋の照明に照らさながら弾き語る松本の情感あふれる歌声に、観客はじっと聴き入った。
続く「めんどくさい」ではコール&レスポンスが繰り広げられ、「Smile in your face」では音源でLITTLE (KICK THE CAN CREW)が歌っているラップパートを、松本が初めてフル歌唱。軽やかな歌と演奏に合わせて観客が腕を左右に振る。そして18歳の頃に人生で初めて作った楽曲「優しすぎる君が嫌い」や、ピアノを中心とした跳ねるようなサウンド、言葉を詰め込んだラップ詞が特徴の「ふがいない」と畳みかけたところで、松本は「今日は人生の中で最多のお客さんなんですよ! 一歩一歩前に進めているなって思えました」と自身の胸の内を言葉に。「まだまだ叶えたい夢がいっぱいあるので、それをみんなと叶えていきたいなって思ってます!」と宣言して盛大な拍手を浴びたのち、今回のライブタイトルになっている楽曲「歌って」を力強く響かせた。
アンコールではグッズTシャツに着替えて再登場した松本が、影響を受けているアーティストのライブを観たときの「この高まる気持ちを曲にしたい」という思いから生まれた新曲「あなたのライブ」を弾き語る。この曲は松本がパーソナリティを務めるFMヨコハマ「YOKOHAMA RADIO APARTMENT『ちょいと歌います』」「ちょいと歌います」内で初披露されたが、フル尺でのパフォーマンスはこれが初めて。場内が息の合ったシンガロングと温かな空気で満たされた。
その後のMCでは、ライブ翌日の8月14日が誕生日の松本にサプライズでバースデーケーキが贈られる場面も。バンドメンバーからAmazonギフトカードも受け取り、喜びの笑顔を浮かべた松本は、最後にライブの定番曲「KEMURI」を歌唱。大盛況のうちにワンマンをフィナーレへと導いた。
松本千夏「ワンマンライブ“歌って”」2023年8月13日 Club Mixa セットリスト
01. love story
02. 向日葵
03. となりあわせ
04. さえたろう
05. あいつの犬
06. ガソスタ -TOSHIKI HAYASHI(%C)Remix-
07. キッチン
08. めんどくさい
09. Smile in your face
10. ばかみたい
11. 優しすぎる君が嫌い
12. ふがいない
13. 歌って
<アンコール>
14. あなたのライブ
15. KEMURI