超特急のカイこと小笠原海と、リョウガこと船津稜雅の2人によるトークライブ「稜海しました!」の東京公演が、本日10月14日に東京・有楽町朝日ホールで行われた。
超特急の“先頭車両(年長)”としてグループを引っ張る2号車のカイと3号車のリョウガは、ライブ中にMCとしてメンバー9人のトークを回すコンビでもある。グループのリーダーとして、さまざまな場面で“超特急の口”になるリョウガと、いつもリョウガの右隣でリーダーをサポートする頼り甲斐のある存在ながら、奔放な発言で場をかき回す自由さも併せ持つカイ。「おしゃべりモンスター」の異名を持つ2人が小笠原海と船津稜雅として行う初のトークライブは開催決定時から8号車(超特急ファンの呼称)の大きな注目を集め、海いわく「倍率だけで言うとTWICEさんと一緒」のチケット応募があったという。大阪と東京の2会場が用意された公演は、いずれも超満員という盛況の中で開催された。昼夜2部制で行われた東京公演のうち、この記事では第2部の模様をレポートする。
オープニングトーク、25分
開演時間の17:00を回ると、ステージ奥のスクリーンにオープニングムービーが映し出される。ボルドーのスーツに黒い革手袋とサングラス。ハードボイルドなバディムービーを彷彿とさせるような、海と稜雅のツーショットに「フゥー!」という興奮とも冷やかしともつかないような歓声が上がったところで、2人はファンの前に姿を見せた。映像の中のスタイリッシュな格好とは打って変わって、壇上の2人はえんじ色のジャージに黒い軍手、便所サンダルといういでたち。ファンの予想を裏切るペアルックについて、海はすかさず「なんでジャージかって? 予算不足です」と、ビジュアル撮影に費用を注ぎ込んでしまったことを明かす。さっそく観客の笑いを取ったかと思えば、稜雅は唐突に「今日ペンライト持ってきてる人いる?」と客席へ向けて質問。「なんでかって言うとね、1部が終わったあとに僕の父……孔明(ニックネーム)がね、『ペンライト持ってきてる人がいるかだけ、聞いてあげて』って(笑)」と、親からのアドバイスを忠実に実践したことを告げて掴みをしっかり取ってみせた。
サングラスと軍手を即座に外した2人は、素舞台に立ちっぱなしというラフすぎるスタイルで近況を話し出した。どこか神妙な面持ちの海が明かしたのは「スマホのキャリアメールに、最近羽生結弦くんから相談のメールが届く」というもの。「プロに転向して悩みがあるので、もしよかったら相談に乗ってもらえますか?って。羽生くんとは接点がないんだけど、でも俺、けっこうがんばって仕事しているし、今の俺なら羽生くんからメール来たりするのかなって……!」と真剣に悩む海に、稜雅も「返したの? 返せって」と真摯に耳を傾ける。話が進むうち、ほかの著名人からもメールが届いたことがあると海が明かすと、今度は稜雅が「じゃあ俺も、あれ本当だったのかな。新垣結衣さんからメール来て。俺は絶対に迷惑メールだと思ってたから……」と告白。海が「あー! だから星野源さんと結婚しちゃったんだよ!」と稜雅が逃した“チャンス”を指摘すると、観客も一斉に落胆の声を漏らす。海と聴衆の反応を受けた稜雅は頭の上で両手をチカチカさせる、うろ覚えの“恋ダンス”を突如踊り出し、海から「恋が始まらなそうな恋ダンス」と評されていた。なお、稜雅は「(返事を)返していいのは海だけ。皆さんはダメですよ」と著名人を名乗る迷惑メールについて、しっかりと注意喚起もしていた。
一方の稜雅が明かした近況は、ハートウォーミングな家族の話題。「いまだに生態がつかめていない」という父・孔明さんの日常を切り取った話題で客席の笑顔を誘う。そののち客席へ目を向けた2人は、一番遠い場所からトークライブを観に来た人を探すことに。北海道、内モンゴル、そしてタイからこの日のために来日したファンを見つけると、稜雅は「これのために来たの? バカ!(笑)」とひと言。満員の観客との軽快なやりとりに会場が十分に温まったことを確かめた海は「そんなこんなで、『稜海しました!』初めていきましょうか」とトークライブの幕開けを告げる。そのときの時刻は17:55。2人の登場からは、25分が経過していた。
キリンの首、黒崎一護、志村玲於
ここからは、用意された企画に沿ってトークを進行していった稜海。最初の企画は、さまざまなお題に対して2人が独断と偏見でベスト3を決めていく「稜海の勝手にBest3」というものだ。1つ目に「コンサート中に体の一部が動物になってしまいます。どの動物のどこの部分がいい? Best3」というお題が掲げられると、2人はお題のクセの強さに頭を悩ませながらも真剣に言葉を紡いでいく。「手が大きくなったらみんなにたくさん手を振れる気がするからゴリラの手。でも手のひら灰色か……」と頭を抱える海、「かわいさを出したいから、パンダの顔」とイメージを膨らませる稜雅。それぞれが思案する中で、稜雅の口から飛び出したのは「『a kind of love』(超特急)のサビの最後の振りのときだけ、キリンの首!」というアイデア。首を小刻みに横揺れさせる振りがキリンの首でできたら「見た目の迫力がすごそう」という提案で、海と観客はこれに大爆笑する。その後、海から「唇がフラミンゴのピンク色になったらメイクなしですごいきれい」というアイデアと「感動的なMCのときに、ウミガメの瞳が欲しい」という希望が飛び出し、ベスト3は1位から順に「キリンの首」「ウミガメの瞳」「フラミンゴのピンク色」に決まった。
「歩いていて転びそうになった時の誤魔化し方Best3」というお題では、転んだときの様子を実演しながら答えを探していく稜海のおふざけが加速。「転んだとてカッコよく見られたい」と言う海が、「キムタクさんだったらこうするはず」と、コケたあとに振り返りながら口笛を鳴らし、“障害物を称える”動きを披露すると、稜雅はこの動きを「ピュ~ウィ♬」と名付けてホワイトボードに記録する。その稜雅は、転んだあとに「くっ……」と片足を引きずりながらも諦めない意志を見せる「(BLEACHの)黒崎一護みたいな動き」を披露し「JUMPキャラになる」というアイデアを提示。壇上で何度も転びながら大盛り上がりで最適解を探す2人が最終的にたどり着いたのは「“転び続ける”。もう、そういう歩き方だよねっていう(ドタバタした)歩き方をする」というもので、このお題のベスト3は1位から順に「転び続ける」「JUMPキャラになる」「ピュ~ウィ♬」という結果に着地した。
「超個人的に無人島に持っていくもの」というお題がスクリーンに映し出された際、「Best3」が「Beat3」と誤表記されているのを見つけた稜海は「四つ打ちかな?」「無人島をライブ会場にしちゃおうぜ(笑)」と即座に反応。2人の瞬発力と阿吽の呼吸が図らずも垣間見えた瞬間で、この流れるようなやりとりは心地よい笑いのグルーヴとなってホールの熱気をまた一段引き上げた。このお題では、ファンと対話しながら答えを探っていった稜海。客席から「ドラえもん!」という声が上がると、「それは禁止カードです!」と言いつつも海をドラえもん役、稜雅を漂流者役に「Netflixで始まったサバイバル番組」という設定で即興芝居を始めて会場を盛り上げる。観客からは「SUPER★DRAGONの志村玲於くん。筋肉がすごいからいろいろやってくれそう」「超特急のタカシくん。料理を作ってくれそう」と、EBiDANの仲間を連れていくという意見が多数挙がり、これに2人は「(メンバーを)働かすな!(笑)」とツッコミ。そんな中で海は「俺シャンプー持っていきたい。ベタつくじゃん」と自身の希望を伝え、稜雅はこれに「マジか。そういうの気にするんだ」と反応する。念入りに“シチュエーションコント”を重ねた結果、稜海は3位に稜雅提案のキャンプセット、2位に海が所望する「シャンプー、リンス、ボディソープ、スクラブ、洗顔」を選出。そして1位には後輩の「志村玲於」をしっかりと選び、客席を大いに沸かせていた。
怒涛の“天丼”スキルで伏線回収
トークライブの最後に用意されていたのは、事前に来場者から集められた質問に稜海が答えていく「稜海! 質問コーナー!」。2人は、用紙がぎっしりと詰め込まれたボックスから無作為に質問を選び、淀みのない返しでテンポよくQ&Aを重ねていく。「次に行きたい県は?」という質問を「『稜海しました!』で次に行きたい県」と受け取った稜海は「海外行っちゃうか?」という稜雅の提案に大盛り上がり。稜雅は「旅行会社でツアー組んでさ。道中みんな一緒で、ずっとしゃべってるから、こういう(ライブの)場ももはや設けない(笑)」という斬新な海外ツアープランを披露する。また「超特急のみんなでカラオケ。1曲目は何の曲にして、誰が歌う?」という質問に、稜雅が「ボーカルが最初に歌うとハードルが上がっちゃうから……」と言うと、2人は「(歌うのは)ユーキだな(笑)」と声を合わせる。「アラフォーママにエールを送って」というリクエストを引いた際、「ママってだけですごい、えらいよなあ……あ、ママ以外もえらいよ!」と言った稜雅には海がすかさず「リスクヘッジ速いな!(笑)」と反応。2人の頭の回転の速さを感じる応酬に、客席からも思わず歓声が上がった。
「一番好きな秋のものはなんですか?」というほっこりとした問いかけに、稜雅が「食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋……どんだけ秋が独占すんねん!ってね。でもそういうところが好きかな。わがままなところがかわいい」と、海が「おいもおいもー」と答えた穏やかなひとときを経て、稜海に波風を立てたのは「ゆいちゃん」からの質問。「別荘持つならどこに持ちたい? 海くん大好き! あ、稜雅さんもね」というメッセージを読み上げた稜雅は用紙を投げ捨て「どこにいるかなー?」と目を見開いてゆいちゃんを探し「(別荘を持つなら)ゆいちゃんちの隣。あ、何もしないよ?(笑)」と不穏な笑みを浮かべる。ここから2人は、クライマックスとばかりに怒涛の“天丼”スキルを発動。「地球最後の日だったら誰を何をする?」という質問に、客席から「絶対に娘と過ごします」と声が上がると、稜海は「“ウミガメの瞳”来い……!」と嘘泣きをしようとし、稜雅はニヤリと笑って「僕はゆいちゃんと過ごします」と付け加えた。
衝撃の緊急告知、そして稜海は続く……
特別な演出も作り込まれた企画もない、ひたすらストイックなトークライブ。2人のトークスキルと抜群のコンビネーションを堪能する時間はあっという間に過ぎ去り、エンディングのBGMとともに「稜海しました!」はフィナーレへ。稜雅は次回開催の可能性について「このユルい時間を皆さんと過ごすことを、事務所が目をつむってくれるなら、続けていきたいですね(笑)」と希望を語る。海が「来年またやるでしょ! 1月か2月くらい?」とリクエストする場面もあり、稜海ファンの未来への期待感がふくらんだところで稜海は質問ボックスとテーブルを2人で抱えながら舞台袖へと姿を消す。2人がいなくなったステージ上、スクリーンには「緊急告知!」「打ち上げに行ってきます!」という“ビッグニュース”と「to be continued…」の文字が浮かび上がり、稜海のカムバックを示唆していた。