DUSTCELLのワンマンライブ「DAWN」が12月7日に東京・豊洲PIT、9日に大阪・なんばHatchで開催された。本稿では東京公演の模様をレポートする。
一分一秒を大事に音を紡ぐ、新曲続々
定刻になると大音量のSEの中、バンドメンバーの待つステージにEMAとMisumiが登場。「会いたかったよ東京! 声出してけ!」とEMAが叫び、「CULT」でライブが始まった。初期曲を続けたのち、DUSTCELLは4曲目で新曲「FRAGILE」を初披露し、自分たちの最新のモードをファンに見せつける。観客はライブ演出の一部になったかのように、ペンライトを楽曲のイメージに合った色に変え、だだっ広い豊洲PITのフロアに壮観を生み出した。
“DUSTCELLファミリー”であるバンドメンバーと、前回のワンマンから半年ぶりにステージに立てた喜びを語ったEMAは、ファンから「髪型かわいいー!」と言われると、「ふふふ」と照れくさそうに笑い「Misumiっちもいまーす」とバトンを渡す。Misumiは「今年一番楽しい」とライブの感想を述べ、観客の歓声を浴びた。「一分一秒を大事にしたいと思います。ついてきてね!」というEMAの宣言に続き、ライブは「Void」で再開。バンドメンバーを送り出した2人は「SOPPY」でフロアに合唱を巻き起こし、初披露となった新曲「可笑しな生き物」では、ラストに待ち受ける今までにない高音パートで聴衆を圧倒した。「火焔」からは深く暗い場所へ潜っていくように、ダークな世界観をどんどん強めていくDUSTCELL。2人が放つ攻撃的なシャウトが観客をヒートアップさせた。
その後、バンドメンバーを再び迎え入れた2人は和やかにトークを展開。「どこから来たの?」と観客に恒例の質問をしたり、バンドメンバーの割れた腹筋を自慢したり、しばしファンとの交流を楽しんだ。そしてライブは最終ブロックへ。「独白」「過去の蜃気楼」といった、セットリスト終盤に配されることの多い楽曲が披露され、フィナーレへの準備が着々と進む。壮大なサウンドが感動を誘う「ONE」を経て、EMAは次に歌う新曲について語り出した。今年実施したツアー「ROUND TRIP」のファイナル公演にてEMAが伝えたメッセージを、Misumiが楽曲にしたという。タイトルは「優しい人でありたい」。その曲を最後に初披露し、2人は颯爽とステージをあとにした。
つらくなったら今日を思い出して
アンコールは最新曲「フラッシュバック」でスタート。ノスタルジックなミュージックビデオとDUSTCELLのシルエットが一体となり、エモーショナルな空気が広がった。EMAはDUSTCELLを始めてから自分の性格が明るくなったと語り、Misumiも「めちゃくちゃ変わったよね」とそれに同調。続けてバンドメンバーやスタッフへの感謝の気持ちを口にし、ファンに対しても「もっとパワーアップしたDUSTCELLをお見せできるようにがんばりたい」「あなたたちがいなければライブは成立しないので、本当にありがとうございます」と頭を下げ、Misumiも一緒にお辞儀をした。
さらにEMAは「お仕事とか学校とかって思い返せば楽しいこともあると思うけど、現在進行形では気付きにくい楽しさばっかりだと思ってて。どうしても自分の環境って視野が狭くなりがちというか、生きてるとつらいことが多いじゃん。それは私たちも一緒だよ、というのを伝えたい。ライブではパワーの交換をしてると思ってる」とコメント。さまざまな名義で活動してきた過去を振り返り「どれも意味があったと思うけど、DUSTCELLが終着点なんだなって」「新しい出会いを大事に、死ぬまでDUSTCELLを続けていきたい」と決意を明らかにした。
そして「つらくなったら今日を思い出して、がんばらなくてもいいから、少し前を向いてみんなが生きられたらいいな」「また必ず会いましょう」というEMAの言葉を合図に、DUSTCELLは「STIGMA」を叫ぶように情熱的に届け、この日のライブに幕を下ろした。
本公演の模様は3月27日にライブBlu-rayとしてリリースされる。
セットリスト
「DUSTCELL LIVE 2023『DAWN』」2023年12月7日 豊洲PIT
01. CULT
02. アネモネ
03. PAIN
04. FRAGILE
05. 漂泊者
06. Void
07. Caffeine
08. izqnqi
09. albino
10. SOPPY
11. 可笑しな生き物
12. 火焔
13. DOMINATION
14. DERO
15. Mad Hatter
16. ORIGINAL
17. 独白
18. 命の行方
19. 過去の蜃気楼
20. ONE
21. 優しい人でありたい
<アンコール>
22. フラッシュバック
23. STIGMA