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死んでたまるか!angelaツアーファイナルで療養中のKATSU復活

angela。熱唱するatsuko(左)と復活したKATSU(右)。(撮影:釘野孝宏)
9か月前2023年12月15日 3:05

angelaのライブツアー「angela Live Tour 2023『Welcome!』」が12月10日に東京・豊洲PITでファイナルを迎えた。この日のライブでは病気療養のため出演を見合わせていたKATSU(G)がアンコールでサプライズ出演。復帰後初めてファンの前でパフォーマンスを披露した。

atsuko、KATSUの等身大パネルとともに

KATSU不在の中、atsuko(Vo)がバンドメンバーを従えて1人で切り盛りしてきた本ツアー。最終日となるこの日もサポートギタリストはあえて使わずにギターの音は同期で鳴らすスタイルを採用し、さらにステージ上手のギターアンプ手前にはKATSUの電飾付き等身大パネルが設置されていた。曲目によっては黒子スタッフがこのパネルを抱えて動き回る演出も。ギターソロの際にはatsukoがパネルのギター該当部分にマイクを向けるなど、KATSUの不在を感じさせないにぎやかなステージが展開され、あくまでもangelaらしく、陽気でハッピーなライブ空間が形成されていった。

オープニングナンバーに選ばれた「Welcome!」をはじめ、今年10月リリースの最新アルバム「Welcome!」収録曲を中心としたセットリストでライブは進行した。世界各地の民族音楽の要素が詰め込まれ目まぐるしく曲想が変化していく「アロハTraveling」では、atsukoが真骨頂たる変幻自在のボーカル表現で聴衆を魅了。歌詞を忘れて土下座のうえで歌い直した「Start again」では精密なビブラート表現で伸びやかな歌声を存分に響かせる。もちろん最新アルバム曲のみならず、「イグジスト」「叫べ」などの人気曲も惜しみなく披露。「明日へのbrilliant road」でのオーディエンスによる大合唱や、「全力☆Summer!」におけるフロアを左右に2分割してのせわしないコール&レスポンスなど、演者と客席が一体となって会場全体のボルテージをみるみるうちに上昇させていく相互協力的な光景も頻繁に繰り広げられた。

スペシャルゲスト、蒼井翔太

ライブ中盤、2年ほど前から練習を始めたというアコースティックギターを奏でながら「今でも…」「Alone」の2曲をしとやかに歌い上げたatsukoは、続く「DEAD OR ALIVE」で空気を一変させたのち、おもむろに「今日はスペシャルゲストが来てくれております!」と高らかに告げる。angelaとはレーベルメイトで親交も深い蒼井翔太が呼び込まれ、蒼井のオリジナル曲「BAD END」、angela×蒼井翔太名義の新曲「晴れのちハレルヤ!」、さらにangelaの「乙女のルートはひとつじゃない!」と、アニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」関連楽曲3曲を立て続けに披露。2人の極上のハーモニーと息の合った掛け合いで、客席に悲鳴にも似た歓喜の絶叫を巻き起した。

ゲストコーナーを終えて蒼井が深々と一礼してステージから退くと、ライブはラストスパートに突入。atsukoによる手厚い振付解説やウェーブ指導、「1曲通してジャンプし続けられる?」といった無理難題の要求なども交えながら「KINGS」「RECONNECTION」「アンダンテに恋をして!」「Shangri-La ~THE BEYOND~」が畳みかけられ、最高潮のままにライブ本編は締めくくられた。

盛大なアンコールに応えてatsukoとバンドメンバーがツアーTシャツ姿でステージに再登場すると、まずatsukoの口から海外公演を含む全8カ所を回ってきた本ツアーの感慨が語られる。「angelaを結成して30年、デビューして20年。まさか1人でツアーをやることになるなんて思いもよらなかったけど……毎回毎回、集まってくれるみんながKATSUさんです!」と大胆な比喩を用いた独特の表現でぢぇらっ子(angelaファンの呼称)への謝意を表明した彼女に対し、観客は一瞬ハテナマークを浮かべつつも「あえて言おう、KATSUであると!」コールなどで温かく応えた。

KATSU、復活!

そしてatsukoの「みんながアンコールをくれたので、さっそく歌いたいと思います」の言葉に続いてバンドが演奏を開始すると、それに合わせて舞台袖からKATSUパネルも再登場し、のそのそと歩みを進めて所定の位置についた。しかし、後ろで支えている黒子役が先ほどまでの黒ずくめではなく、どうやら真っ赤なスーツを着用している。そのことに気付いた客席がざわついていたそのとき、おもむろにパネルから顔を覗かせたのは、なんとKATSU本人。エレキギターを抱えて照れくさそうな笑みを浮かべながら「KATSU、復活!」と韻を踏むKATSUに対し、ぢぇらっ子たちは割れんばかりの喝采と絶叫をもって迎え入れた。

思わぬサプライズ登場に会場がどよめく中、KATSUは「この曲をやんないと、死んでらんないんだよね」と言い放ち、郷土愛あふれるオリジナルご当地ソング「OK! 岡山」をほがらかにプレイ。アウトロを弾き終えて「ただいまー!」と絶叫するKATSUに対し、オーディエンスが「おかえりー!」と大音声で唱和するなど、会場の隅々までがピースフルなムードで充満した。しかし続く「KIZUNA」では、突如としてatsukoが声を詰まらせてしまう。「End roll が流れないように 精一杯 Fight, Fight 戦ったんだろ?」「どうか一人にしないでくれ」といった歌詞に気持ちがリンクしすぎたのか、思うように歌声が響かない様子。そんな姿を目の当たりにしたぢぇらっ子たちは、とっさに機転を利かせて彼女の代わりに大合唱を開始した。

「生きろ!」「死んでたまるか!」

歌い終え涙目のatsukoは「メイク落ちた!」と照れ隠しのように笑い、うまく歌えなかったことの謝罪と代わりに歌ってくれたぢぇらっ子たちへの感謝を述べる。「事務所でも会うし、ラジオとかほかの仕事も一緒にやってるから『なんだ、来るんだ?』くらいに思ってたのに……ステージ上で『あー、いるー!』と思って、ちょっと感極まってしまいました」とKATSUへの率直な心境を吐露。そして「どうしてもこのライブツアーの『Welcome!』というタイトルをKATSUさんも一緒に回収したいので! 『Welcome!』を最後にもう1回歌わせてください!」と高らかに告げ、オープニングチューンとしても演奏したシアトリカルでハッピーなスウィングナンバーをKATSUを含む編成で再びパフォーマンスした。

すべての曲目を終え、atsukoが「30年も経つのにKATSUさんとはいまだに全然噛み合わないんだけど(笑)、やっぱりこれがangelaなんだなって」と相方・KATSUが同じステージにいてくれる喜びを改めて表現すると、一方のKATSUも「ICU(集中治療室)に3日間入ったんですよ。そこに入ったらね、自分の命とか生きるってことを考えさせられる時間がめちゃくちゃあって。俺、生きてる中で……知ってはいたんだけど改めて気付いたのが、俺の一番大事なものってやっぱりangelaだったのね」と述懐する。さらに客席に向かって「atsukoを一番支えてくれたのは、君たちKATSUです!」と呼びかけ、「本当にangelaを守ってくれてありがとうございます!」と頭を下げた。そして、半ば唐突に「俺が『生きろ!』と言ったら、みんな『死んでたまるか!』って返してもらっていい?」と斬新なコール&レスポンスを提案。その言葉通りにぢぇらっ子たちと「生きろ!」「死んでたまるか!」の応酬を万歳三唱よろしく3回繰り返したKATSUは、満足そうに「また遊ぼうぜ!」と言い残してatsukoとともにステージをあとにした。

セットリスト

「angela Live Tour 2023『Welcome!』」2023年12月10日 豊洲PIT

01. Welcome!
02. 明日へのbrilliant road
03. アロハTraveling
04. AYAKASHI
05. 全力☆Summer!
06. Start again
07. イグジスト
08. 叫べ
09. 今でも…
10. Alone
11. DEAD OR ALIVE
12. BAD END
13. 晴れのちハレルヤ!
14. 乙女のルートはひとつじゃない!
15. KINGS
16. RECONNECTION
17. アンダンテに恋をして!
18. Shangri-La ~THE BEYOND~
<アンコール>
19. OK! 岡山
20. KIZUNA
21. Welcome!

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