Chevonが12月16日に北海道・札幌PENNY LANE24で自身初の対バンツアー「大行侵」のファイナルを開催。クジラ夜の街をゲストに迎え、ツーマンライブを行った。
Chevonは2021年6月に札幌で結成された、谷絹茉優(やぎぬまゆう / Vo)、Ktjm(G)、オオノタツヤ(B)の3人からなるバンド。谷絹の変幻自在な歌声、センスフルかつ表現力豊かなバンドサウンドで多数の楽曲を生み出し、地元・札幌のみならず各地で人気を博している。
クジラ夜の街
客電が落ちると、アンプやドラムに張り巡らされた暖色のイルミネーションが光り輝き、歓声が上がる。髪色から衣装まで赤で統一したスタイルの宮崎一晴(Vo, G)は、「さあ、狂乱の夜を一緒に作りましょう。これから皆さんが体験するのは、異世界そのものです」と開演を宣言し、「マスカレードパレード」でライブをスタートさせた。クジラ夜の街は「ファンタジーを創るバンド」をキャッチフレーズに活動しており、ライブを通して観客を非日常的な世界へ誘った。「BOOGIE MAN RADIO」では佐伯隼也(B)、山本薫(G)のソロパートがありつつ、緩急の利いた演奏に乗せて宮崎がお立ち台に上って熱い歌声を観客に届けるなど、ファンタジーの表現のみならずライブバンドとしてのアグレッシブさも見せつける。続けて北海道に来るのは2回目だと話した宮崎は、滑舌よく早口で次の曲のストーリーを説明した。バンドは「あばよ大泥棒」で観客を夢中にさせ、「裏終電・敵前逃亡同盟」「オロカモノ美学」を続けて演奏。美しいアンサンブルで心温まる空間を生み出した。そして「ラフマジック」では「ハレルヤ 幸あれ 災難降りかかる事なかれ」と美しい言葉を紡ぎ、フロアに感動的なムードをもたらした。
Chevonについて「素敵なバンドだなってずっと思っていて。呼ばれたことがすごくうれしい」と述べた宮崎。続けて「それぞれがただライブをして終わりじゃつまんなくて。1組目が鳴らした音の余韻と、2組目のバンドが鳴らす音の波動が組み合わさって、1つの大きな音なのか、なんなのかよくわからない、“魔法のような何か”が生まれる。それが会場中のみんなの心の中に溶け込んでいく。幸せな気持ちになる。『この2バンドだからこんなに素敵な夜になった』と思ってもらうためには、先攻の僕たちがとびっきりかまさないとね。だからクジラ夜の街は今まで通り、そして今まで以上のファンタジーをここで作るよ。ただの曲じゃないんだ。紛れもなく僕たちにしかできないパフォーマンスをするよ。一生忘れられない残りの10分間にしようか」と述べ、指揮者のように大きく手を動かすと、秦愛翔(Dr)、高田真路(Support Key / chef's)、山本、佐伯がだんだんと音を重ねた。ライブ終盤には照明をほぼすべて落とし、静寂と暗闇の時間を共有するという演出が光った「ヨエツアルカイハ1番街の時計塔」が届けられたあと、秦のドラムソロから始まるインスト曲「夜間飛行」を経てアッパーチューン「夜間飛行少年」へ。彼らは情感たっぷりのパフォーマンスでフロアの盛り上がりをピークに高めたところで、Chevonにバトンを渡した。なお宮崎は来年2月25日に北海道・Sound Lab moleでワンマンライブを行うことを告知した。
Chevon
Chevonはツアータイトルにもなっている新曲「大行侵」で威風堂々とライブ開始の狼煙を上げた。怪獣をモチーフにしたこの曲は、生きる道を示し、自ら生きる意志を表現した重厚なロックチューンで、谷絹は力強い視線をフロアに向けつつ、怪獣の如く大きく足踏みをしてみせた。続けて谷絹の力強い歌声が突き抜けるように響く人気曲「Banquet」では、心血を注ぐかのように熱いパフォーマンスを見せるChevonに呼応するように、観客が盛大な「Banquet」コールをステージに届けた。この日の札幌は氷点下だったが、ライブハウスはすでに熱気でいっぱい。Chevonは今年6月にここ札幌PENNY LANE24で行ったワンマンライブのときと同じく気合い十分だったが、約半年前よりも洗練されたパフォーマンスを見せていく。「サクラループ」を明るく届けたあと、ファンキーなギターフレーズが心地よい「ノックブーツ」につなげ、谷絹がハイトーンで官能的な歌詞を歌い上げた。
続いてChevonはバンドの代表曲である「No.4」を歯切れよく届け、「セメテモノダンス」へ。明るいサウンドとは裏腹にエモーショナルなメッセージが詰まったこの曲では、「きっと、これからもずっと変わってくリズムで その時々のメロディに 抱えているだけの言葉をぶつけて 歌い続けてゆくのだろう」と歌っているうちに谷絹が感極まる場面もあり、観客も目を潤ませた。この場面について、谷絹は観客が同曲を歌っている姿を目の当たりにして、思わず涙したとのちに語った。Chevonは歌い手のkamomeに提供した楽曲「antlion」のセルフカバーを届け、真冬の札幌でひと足早く春を感じさせる「春愁い」を披露した。そしてライブ終盤には「アイシティ」でタオルを振り回して盛り上がったあと、勢いを保ったままKtjmが小気味よいスラップベースのソロ演奏を披露してから、キラーチューン「光ってろ正義」へ。爆発力あるパフォーマンスに、オーディエンスは腕を突き上げて熱狂し、フロアいっぱいの合唱を響かせた。
アンコールの声に応えて再びステージに上がったChevon。谷絹は「真冬の北海道でこんなに熱いって素敵だね!」と笑顔を見せつつ、2月21日に15曲入りのニューアルバムをリリースすること、東京・LIQUIDROOM公演を含むワンマンツアーを行うことなどを告知した。なお6月に行われたワンマンライブでは終演後、観客に「白い恋人」がプレゼントされた。その情報を知った札幌市内にある白い恋人パークから「白い恋人」が提供されたとのことで、今回の公演でも観客は終演後に「白い恋人」を受け取れることになった。また1月24日には新曲「ダンス・デカダンス」をリリースされることが決定。谷絹は「むっちゃでかい告知が来年あるってこともまずはここで解禁しておきますね」と、ファンの期待を煽った。そして早速、Chevonは新曲「ダンス・デカダンス」をお披露目。この曲は谷絹の説明通り、アップテンポでキャッチーなダンスチューンとなっており、初披露にもかかわらず、会場を大いに沸かせた。そんな新曲に続けて、Chevonは「革命的ステップの夜」を演奏し、熱気が渦巻く中で最後にもう1度、「大行侵」を投下。盤石の演奏に身を任せ、谷絹が「“大行侵”できるか北海道! かかってこい北海道!」と勇ましく煽り、力強いシャウトを響かせる。最後は「よくできました北海道!」と観客の盛り上がりを称えた。終演後、「大行侵」がBGMとして流れている間、観客はライブが終わったことを惜しむかのように合唱を続けていた。
セットリスト
Chevon 東阪札ツアー「大行侵」2023年12月16日 札幌PENNY LANE24
クジラ夜の街
01. マスカレードパレード
02. BOOGIE MAN RADIO
03. あばよ大泥棒
04. 裏終電・敵前逃亡同盟
05. 序曲
06. オロカモノ美学
07. 詠唱
08. ラフマジック
09. 再会の街
10. ヨエツアルカイハ1番街の時計塔
11. 夜間飛行
12. 夜間飛行少年
Chevon
01. 大行侵
02. Banquet
03. サクラループ
04. ノックブーツ
05. No.4
06. セメテモノダンス
07. antlion
08. 春愁い
09. アイシティ
10. 光ってろ正義
<アンコール>
11. ダンス・デカダンス
12. 革命的ステップの夜
13. 大行侵
ツアースケジュール
Chevon「冥冥」
2024年7月17日(水)北海道 cube garden
2024年7月20日(土)宮城県 Rensa
2024年7月22日(月)東京都 LIQUIDROOM
2024年7月25日(木)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2024年8月7日(水)岡山県 YEBISU YA PRO
2024年8月9日(金)大阪府 梅田CLUB QUATTRO