YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで1月5日から1月11日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文 / 真貝聡
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングには、THE FIRST TAKEのパフォーマンス動画から3本が初登場。6位にSixTONESの「こっから」、12位にきただにひろしの「ウィーアー!」、70位に櫻坂46の山崎天による「五月雨よ」がランキング入りしている。
60位にはGigaの「Beyond the way ft. Miku・Rin・Len」がランクイン。この曲はスマホゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」に登場するユニット・Vivid BAD SQUADへの提供曲のボカロバージョンだ。MVでは独特な世界観を持つ、ろるあのイラストも話題に。なおVivid BAD SQUADバージョンは2月リリースのアルバム「Vivid BAD SQUAD SEKAI ALBUM vol.2」に収録される。
また突然の訃報を受けて、八代亜紀の代表曲「舟唄」のMVが94位にランクアップ。コメント欄にはこれまで八代の音楽に支えられてきた人の思いや、彼女との思い出が多く寄せられた。アイドルソング、ボカロ曲、アニソン、演歌と幅広い楽曲が並んだ今回は、下記の3曲をピックアップした。
SixTONES「君がいない」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場26位
1月10日にリリースされた4thアルバム「THE VIBES」の通常盤に収録されている「君がいない」。そのMVは全編アニメーションとなっており、イラストレーションはNovelbrightの「面影」のジャケットとMV、なとりの「フライデー・ナイト」のジャケットを手がけたピカタが担当。アニメーションは松村北斗×高地優吾「真っ赤な嘘」やSixTONES「共鳴」などのMVでもお馴染みの、えむめろが手がけた。
SNSやYouTubeのコメント欄を見ると、曲名の印象から多くの人がバラードを予想していたようだが、実際は重低音のベースとドラムが効いたセクシーなダンスナンバー。個々のスキルフルな歌唱力を存分に味わえる歌割りになっていて、全員で歌うサビや「Uh」や「Ah」などのフェイクも含め、細部までカッコいい。「何度も聴きたくなるスルメ曲」という声が多いのも納得の仕上がりだ。
作詞と作編曲をしたのは、この曲が作家デビュー / アーティストデビュー作となったzembnal。詳しい素性はまだ明らかになっていないが、1作目からこのハイクオリティな楽曲を発表したことで「いったい何者なのか?」と話題になっている。
1月17日には、THE FIRST TAKEでSixTONESが同曲をパフォーマンスした動画が公開されているので、そちらもぜひご覧いただきたい。
RIIZE「Love 119」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場35位
昨年10月に発表した「Talk Saxy」以来、約2カ月ぶりとなるRIIZEの新曲が到着。イジのヒット曲「Emergency Room」をサンプリングし、甘美なピアノサウンドにビート感のあるドラムを合わせたことで、幻想的な雰囲気が生まれている。
楽曲もさることながら、注目すべきはMVだ。日本で撮影されたこのMVは、高校生に扮したメンバーが、それぞれ違う時間帯・場所で同じ1人の女子高生と出会い、恋に落ちていくドラマ仕立て。冒頭のシーンでソヒが寝ているときにラジオから流れる「人工衛星が落下する」というニュースや、駅のホームでウォンビンが女子高生に“何か”を伝えたシーンの意味など、ファンの間で物語の真相についての考察が盛り上がっている。
ちなみに、メンバーがMVを鑑賞する動画も上がっており、そちらも興味深い。6人の携帯にメッセージが送られきた場面で画面に表示された「1月5日6時 君は恋に落ちる」は、「Love 119」のMV公開日を示しており、これについてメンバーは「BRIIZE(RIIZEファンの呼称)がこのMVを観て恋に落ちる」という意味なのではないかと考察している。
ChroNoiR「VVS」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場37位
にじさんじ所属のバーチャルライバーの叶と葛葉によるユニット・ChroNoiRの2ndアルバム「Wonder Wander World」の収録曲。作詞作曲はChroNoiRの「シュガーヘイト」や叶のソロ曲「Jam Jam」、葛葉がボーカルで参加したCrazy Raccoon「奇縁」の楽曲提供もしたnqrseが担当。nqrseの退廃的でダークさを感じる楽曲に、2人の気だるい歌唱が見事にマッチしている。
MV監督を務めたのは、YOASOBIの「ハルジオン」「ミスター」、宇多田ヒカルの「Kiss&Cry」など数々の話題作を手がけた篠田利隆。MVのキャラクターデザインとイラストは、木元哉多の小説「閻魔堂沙羅の推理奇譚」シリーズの装画、ゲーム「Fate/Grand Order」「刀剣乱舞ONLINE」のキャラクターデザインでも有名な望月けいが担当した。楽曲と映像ともに豪華な布陣で制作されたこの作品は絶賛をもって迎えられ、MV公開から1週間で100万回再生を突破した。
さらに1月15日からは、同じく2ndアルバム「Wonder Wander World」から、キタニタツヤ作詞作曲の「Torpor」のMVも公開中。こちらも現在再生数を伸ばしている。
※山崎天の崎は立つ崎が正式表記