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松田晋二(THE BACK HORN)が痺れる“ロックドラム”は

松田晋二(THE BACK HORN)
約1か月前2024年03月14日 9:04

楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。第15回は神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールでのワンマンライブ「THE BACK HORN 25th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE」を3月23日に控えるTHE BACK HORNの松田晋二さんが登場。結成から25年を過ぎてなお、ロックバンドとして第一線を走り続ける松田さんが選んだ楽曲は。

構成 / 丸澤嘉明

ドラムフレーズが好きな曲とその理由

Nirvana「Scentless Apprentice」

イントロのドラムフレーズがとにかく痺れます。ロック好きなら言わずもがな知られているデイヴ・グロールの伝説的名フレーズです。このアタック感の衝撃とキックをシングルで4発鳴らす男らしさがカッコよすぎます。シンプルなフレーズでありながら、そのあとに来るギターフレーズとユニゾンするという構築具合もハイセンス。音符通りに叩いても成立しないフレーズとこの強度はロックドラムの象徴です。

Muse「Showbiz」

Museの1stアルバム「Showbiz」。現在のデジタルと壮大さが融合したサウンドプロダクツとはまた違って、このアルバムはギター、ベース、ドラム、ボーカル、のシンプルな楽器のアンサンブルが魅力的な作品です。バンド結成当時に狂ったように聴きました。中でもこのタイトル曲は、エネルギーが徐々に満ちてゆくようなヒリヒリ感と、感情が沸点に達したときの超新星爆発のような開放感とエモーショナルさが特に痺れます。その解放される直前の一番ヒリついているバースで入ってくるドラムパターン(1:58~)。歌メロのタイミングに合わせつつ、小節を跨ぎながらトリッキーに耳をつかむハイセンスなフレーズです。2:48~も連続で登場しているので必聴です。

Daft Punk「Fragments of Time」

オマー・ハキムが叩いている楽曲ですが、まず驚くのがイントロのタタッというスネアで、曲のグルーヴが完璧に提示されているすごさです。スネアのあとに向かうシンコペーションの間に、16分のハットを入れているのもまた渋いです。楽曲自体がカッコいいのもありますが、音数は極力少なめでありつつ16分のキックやハットを随所に絶妙に絡ませながら、心踊るグルーヴを奏でています。そしてまたこのドラムサウンドも最高です。ドラム本来の鳴りとダイナミクスを存分に感じられる、グッドな楽曲です。

Red Hot Chili Peppers「I Could Die for you」

チャド・スミスは大好きなドラマーの1人ですが、独特なハネ具合いと音の歯切れのよさ、パンチがありながら流れるようなグルーヴが唯一無二です。「Can’t Stop」はそのグルーヴのカッコよさを味わえる楽曲ですが、この楽曲は静かな温度の中にもチャドらしさを感じさせてくれます。特に0:50~のこのフレーズは、絶妙なタイミングの入りでダイナミクスもありながら、次の場面へ気持ちよく誘ってくれる最高のフィルです。シンプルなフレーズですが、フィルにもしっかりグルーヴがあるというのを教えてくれる教科書のような楽曲です。

THE BACK HORN

手間味噌ですが、自身の作品からもいくつか紹介させてください。

「戯言」00:12~

ハッとさせつつ、スネア前の16分キックで勢いをつけているフィルインです。

「疾風怒涛」00:25~

4拍目の16分裏からなだれ込んでくるトリッキーかつど派手なフィルインです。

「羽根~夜空を超えて~(Rearrange)」04:26~

エンディングへ向けて盛り上げつつ流れを損なわぬように、タムとキックを絡めた渋めのフィルインパターンです。

自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること

個人的には楽曲の役割をしっかりと捉えたうえでシンプルかつ、ハッとするようなフレーズが好きです。リズムパターンは楽曲の骨格にあたるので、キックの位置やフィルの派手さ加減をメンバーの作曲者と共有して構築しますが、グッと抑えながら楽曲を導いていく温度と、開放されたときのエモーショナルな温度を大事にしています。感情で乱れないように感情を表現するドラムとでも言いますでしょうか。
ドラムフィルに関しては、トリッキーさが必要か、場面転換が必要か、流れるようなさり気なさが必要か、など楽曲の構成に合わせて構築しながら、楽曲がより生きるドラミングを目指しています。

自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマーや最近気になるドラマー

今回紹介させていただいたデイヴ・グロールからはロックの衝動的なカッコよさ。チャド・スミスからはグルーヴの気持ちよさとドラミングの自由さ。ドミニク・ハワード(Muse)からは、楽曲構成におけるドラミングのセンスに影響を受けました。そのほか、新しくFoo Fightersに加入したジョシュ・フリーズのドラミングは、Nine Inch Nailsや吉井和哉さんのレコーディングでも叩いていてずっと聴いていましたが、パンチのあるしっかりとした打点を描きながら、流れるようなグルーヴがとても素敵で、美しくエモーショナルで邪魔せずに存在感のあるドラムを奏でるアーティストとして注目してます。

それと、最近はロックドラマー以外にもフュージョンやR&B系のドラマーの映像を観て勉強していますが、たまたま映像で観たアーロン・スピアーズの動画のスネアのタイミングとハットの切れ味の鋭さに度肝を抜かれました。もちろんテクニックもすごいですが、それだけではなくグルーヴの心地よさと時空を歪ませるようなアバンギャルドさの両方を兼ね備えた、まるで宇宙を奏でるようなドラマーです。

松田晋二

1998年結成のロックバンド・THE BACK HORNのドラマー。2001年にシングル「サニー」でメジャーデビュー。コンスタントに作品を発表し続け、結成25周年を迎えた2023年6月にリアレンジアルバム「REARRANGE THE BACK HORN」をリリースした。そして2024年3月23日にアニバーサリーを締めくくるスペシャルライブとして、バンド初となる神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールでのワンマンライブを実施する。THE BACK HORNの活動以外に、山口隆、渡辺俊美、箭内道彦という福島県出身のメンバーとともに結成した猪苗代湖ズや、箭内とのアートユニット・ゆべしスとしても活動している。
THE BACK HORN オフィシャルサイト
THE BACK HORN (@THEBACKHORNnews) / X
THE BACK HORN OFFICIAL (@thebackhorn) - Instagram
松田晋二 information (@matsuda_s_info) / X

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