いれいすのワンマンライブ「いれいす One Man Live in 日本武道館『Irregular Dice』」が2月12日に東京・日本武道館にて開催された。
ついに日本武道館に来ました!
結成当初から目標に掲げていた武道館の舞台に約3年というスピードでたどり着いた彼ら。その歴史的瞬間に立ち会うべく、九段下には約1万人のファンが詰めかけた。また、本公演の模様を同時中継するライブビューイングが全国143館の映画館で実施され、約4万6000人を動員。合わせて約5万6000人と、ドーム規模に匹敵する数のリスナーがこの記念すべき一夜を見守ったことになる。館内の座席はアリーナ、1階席、2階席はもちろん、チケットのソールドアウトを受けて急遽用意された“見切れ席”および“ステージバック席”まで含めすべて満席。そのほぼ全員が片手に6色ペンライトを携え、落ち着かない様子で今か今かと開演を待ちわびていた。
定刻を迎えると場内の明かりが落とされ、待ってましたとばかりに四方八方から悲鳴のような歓声が上がる。するとメインスクリーンに動画サイトのユーザーインターフェース画面を模した映像が映し出され、いれいすの歴史をたどるカウントアップムービーの上映が始まった。現在から過去へと時系列をさかのぼっていく映像に見入りながら、これまで彼らを応援し続けてきた記憶がフラッシュバックしたのか、早くも感極まるリスナーが続出。映像の最後で「さあ、約束の時間だ。」との文字列が浮かび上がると、ステージ上に設置された踊り場に、横一列に並んだメンバー6人がリフトアップで出現した。オーディエンスの絶叫が場内を覆い尽くさんばかりの勢いでこだまする中、不意に「何十年未来だって 君で満たされたいんだ」と甘い歌声がユニゾンで響く。いれいすの始まりの曲「恋の約束」で、いよいよライブの幕が切って落とされた。
1曲目から早くも涙で声を詰まらせる-hotoke-の姿に会場の全リスナーが母性本能を暴走させる中、6人は間髪いれずに「推しが見つかる3分ちょい! 2023ver.」「推せ推せ!いれいす応援団!」といったアッパーなパーティチューンを連発。盛大なコール&レスポンスなども交えながら、否応なしにフロアの熱気を上昇させていく。冒頭3曲を歌い終えたところでリーダーのないこが「約束したあの日から3年。ついに僕たちいれいす、日本武道館に来ました!」と高らかに宣言。喝采とともに場内が祝福ムードに包まれる。続いて1人ずつの自己紹介が行われ、この日を迎えた感慨や意気込み、体重の増減などがそれぞれの目線で語られていく。そのひと言ひと言に客席から温かなリアクションが届けられ、いれいすらしいアットホームな空間が形成されていった。
ペアインタビュー&ソロコーナー「ここまで連れて来てくれてありがとう!」
ライブは、セットリストの節目に設けられた衣装チェンジタイムにメンバーのペアインタビュー映像がインタールードとして挟まれる構成で進行。ポップな王道ナンバーを中心に展開した序盤を終えたところで、まずは-hotoke-と初兎のインタビュー映像が上映される。これが明けると、ライブは「Place to be」に端を発するハードなダンスナンバーブロックへと突入した。そして、りうらと悠佑のインタビュー映像を挟んだあとはソロコーナーへ。今年1月にリリースされたばかりのメジャー2ndアルバム「IRREGULAR BULLET」に収録された各人のソロナンバーがダイスナンバー順に披露されていった。続いて、ないことIfのインタビュー映像が上映されたあとは「恋星エトワール」を皮切りに各人が作詞とセンターを務めた楽曲のブロックがスタート。ないこがセンターを務める「僕らが導く約束の物語」では、曲中のセリフパート「絶対に叶えよう 僕らの物語の約束を」の前後の箇所を「ないこー! ここまで連れて来てくれてありがとう!」「ここまでついて来てくれてありがとう!」という掛け合いに変更する演出も施された。
その後バンドメンバーの紹介コーナーを経て、ライブはいよいよ怒濤のラストスパートへ。ファンへの感謝をつづった「Stage!」と「Seventh!」を1曲にまとめたメドレー、結成1周年記念曲「Celebration」、結成2周年記念曲「君のために生まれてきた」、さらに武道館ライブ開催決定を受けてまふまふが書き下ろした「星降るフェアリーテイル」と、アニバーサリーソングをこれでもかと連発。ゲームで言えばそれまで倒してきた中ボスが全員再登場するファイナルステージのような“圧倒的クライマックス感”が創出され、約2時間半におよぶライブ本編をほぼMCなしで完走した6人はさっそうとステージから姿を消した。
涙のアンコール、僕らの物語は武道館では終わりません
アンコールでは、まず「ENCORE!!」「Never & Roll」の2曲がさわやかに披露される。その後、ここでようやくこの日2回目のまとまったトークタイムが設けられた。ないこは「すごいね。武道館ライブ、やってしもうたね」と冗談交じりに深い感慨を吐露。「僕らからしたら、叶うはずがない夢だったんですよ」と付け加え、夢の舞台に立てた喜びと感謝を口にした。続いてりうらが「今日の日までりうらとしていれたこと、本当に幸せです」と語り始め、リスナーへ向けて「そんなりうらとしての軌跡の隣にはいつも君がいました。君が僕の中で変わることのない一等星です。『愛してる』じゃ足りないくらい愛しています」と思いを告げる。すると-hotoke-は、2021年に一度いれいすを脱退していたという知られざる事実を涙ながらに告白。泣きじゃくりながら「本当は自分の道に進もうとしていたのに、みんなの声が僕の夢をあきらめさせてくれませんでした。夢の武道館に立ったら、この5人にありがとうを伝えようと思っていました」とメンバーへの感謝を述べると、ファンに対しては一転して晴れやかな表情で「泣き虫な僕に夢を与えてくれて、叶えさせてくれて本当にありがとうございました!」と頭を下げた。
初兎も若干思い詰めたような面持ちで「僕も3年間いろいろあって、いむくん(-hotoke-)と同じくらいしんどいときもあって。そこで踏ん張れたのは、自分のことのように僕の幸せを願ってくれるみんながいたから。少しでも恩返しをしようと思ってここまでやってきました」と振り返り、「俺はまだまだ辞める気ないって言いきれるし、もっとがんばりたい。これからも初兎を、いれいすをよろしくお願いします!」と気丈に前を向いた。Ifは年長組らしく落ち着いた様子で「感無量です!」とほがらかに言い放ち、「推し活ってのはWin-Winな関係であるべきだと僕は思っています。今日、僕たちは君らのおかげで夢を叶えられました。でも夢を叶えるのは僕たちだけじゃない。僕は心の底から君らリスナー1人ひとりに幸せになってほしい」と持論を展開。そして悠佑は「もうみんながあらかた話し尽くした感じもしますけど」と笑わせつつも「歌で人は救えると思ってずっと歌ってるんですよ」と不意に真顔になり、とある不登校の少女がいれいすをきっかけに友達ができ、学校へ行けるようになったという話を聞いて涙したエピソードを披露。「歌っててよかった。幸せです、俺は」と顔をほころばせた。
最後に改めてないこが「全人類にひと言、言わせてください。俺たちいれいす、不可能な夢叶えたぞー!」と絶叫してこの日一番の大歓声を巻き起こし、「僕らの物語は武道館では終わりません。まだまだ先があります。もう僕の残りの人生も全部みんなに捧げるから、これからも僕らについて来てください」と結んだ。場内が感動ムードに包まれ、至るところから鼻をすする音がひっきりなしに響く中、「僕らの夢の武道館ライブも、もう残り1曲になります」との言葉に続いて結成3周年記念ソング「僕らが描いた夢のその先に」のパフォーマンスが厳かに、かつ華やかにスタート。そして歌い終えた6人がステージを去ると、メインスクリーンにはこの日のライブのダイジェスト映像が映し出される。いつの間に編集したのかと全リスナーが驚きを隠せずにいたが、名シーンが映るたびに大歓声が上がるなど、次第に和やかなムードが醸成されていった。
ひとしきり映像の上映が終わり、公演終了のアナウンスとともに客電が灯るはずと誰もが思っていたタイミングで唐突に6人が再登場。新曲がサプライズで発表された。「Irregular Dice」と名付けられたその楽曲は、軽やかなストリングスが流麗に響くピアノロックテイストの王道四つ打ちポップナンバー。「夢は約束へ変わり そして約束はまた現実になる 君と僕らだから叶えられる」とのメッセージが歌われ、その場に居合わせたオーディエンスは驚きと喜びの入り交じった極度の興奮状態に。こうして3時間半を超える特大ボリュームの初日本武道館公演は、歓喜の狂騒に包まれたままその幕を閉じた。
なお、本公演翌日の2月13日にいれいすは突如として活動休止を発表。「改めて自分たちの活動と向き合い、十分な時間をかけて今後の活動方針や目標を定めていく」とアナウンスした。
いれいす 日本武道館ライブ終演後コメント
りうら
始まってしまえばあっという間、まさに夢のような時間でした。この光り輝く最高の景色を見るために、結成したその日から今日まで走り続けてきました。3年前「日本武道館」を目標に掲げたその日の僕は何も持たない高校生で、そんな僕を傍でずっと支えてくれた君には感謝しかありません。「りうら」として歩いた軌跡の隣にはいつも君がいました。今日のライブをもって、初めて本当の意味で1つ目の恩返しができたなと思います。これから先も、どこまでも君と歩いていきたいです。本当にありがとうございました。
-hotoke-
さいっっっっっこうに楽しい時間でした!!! 素敵な時間を本当にありがとうございます!! ぼくの人生の中で1番輝けたなって思います!笑 ライブの前から泣きそうだなと思っていましたが、案の定泣いてしまいましたね。最後のMCでも伝えさせていただいたのですが、今日この日本武道館でライブを出来たことも、君がぼくらに出会ってくれたことも、あの時ぼくがいれいすを辞めずに続ける選択をしたことも、全てが奇跡で、その奇跡の上で成り立っている、最高のライブだったなと思います! 君の一生に残るような思い出になれたら嬉しいです! 今日は本当にありがとうございました!
初兎
「この日の為に活動を続けてきた」と言っても過言ではないくらい、日本武道館ライブは僕の中で一つのゴールでした。 いれいすを結成した日から今日まで、「初兎」でいていいのか何度も悩むことがありました。その度に「日本武道館ライブ」という最初にした約束に支えられてきました。そして今日、ライブが始まった瞬間、約束が叶ったと実感した瞬間、全てが報われたような感覚になりました。他の誰でもない、これを読んでくれている君に、これまで支えてくれた君に伝えたい。僕をいれいすの初兎でいさせてくれてありがとう。これからも一緒に色んな景色を見に行こうね。
ないこ
僕らの3年間のすべてを出し切った3時間半でした。この舞台に3年という短期間で立つことができたのは、泥臭い努力を続けてくれたいれいすメンバー、いれいすを支えてくださった関係者の皆さん、そして何より、僕らを信じてついてきてくれたリスナーのみんなの力あってのことです。だから、この全員で武道館ライブを叶えられたことは僕の人生で間違いなく一番の誇りであり、武道館で過ごしたあの時間は生涯忘れることのない一生の宝ものになりました。本当にありがとうございます。叶わない夢を叶えるのが僕たちいれいすだから、これからも、いつまでも、何度だって夢を叶えていこう。
If
日本武道館ライブ、宣言していた通り間違いなく過去最高の、僕の、僕たちの出せる最高を出し切ったライブになったかと思います。おかげ様で本当に美しい約束のステージを、会場だけでなく、全国のリスナーさん含め一緒に創り上げることができました。いれいすに出会えて、君に出会えて良かった。今の僕は、世界一幸せ者だと言い切れます。本当にありがとうございました。
悠佑
俺の人生で間違いなく一番【生きてる】を実感しました。メンバー全員夢も目標も何もかもバラバラな中 グループを組んで初めて一丸になって夢見た「日本武道館」でのライブができて感無量です。俺たちの夢を一緒に叶えてくれてありがとう。支えてくれてありがとう。一緒に走ってくれたから、君と俺たちだから叶えられたんだよ! このライブは間違いなく一生の思い出に、宝物になりました。
セットリスト
「いれいす One Man Live in 日本武道館『Irregular Dice』」2024年2月12日 日本武道館
01. 恋の約束
02. 推しが見つかる3分ちょい! 2023ver.
03. 推せ推せ!いれいす応援団!
04. Irregular Quest
05. 言いたいことがあるんだよーーー!!
06. Brave
07. 恋の方程式
08. Place to be
09. Paparazzi
10. Clutch
11. メドレー(Advance ~ RAID OF DICE ~ ジダンダーナイト ~ DOG BOY ~ Crazy Dice ~ DICE)
12. 一等星 / りうら
13. 踊るスカイハート / -hotoke-
14. ReinE / 初兎
15. レグルス / ないこ
16. Sky Blue / If
17. 夜想歌 / 悠佑
18. 恋星エトワール
19. Blue Moon
20. It's Showtime
21. ONE
22. 逆境STORY
23. 僕らが導く約束の物語
24. Stage! ~ Seventh!
25. Celebration
26. 君のために生まれてきた
27. 星降るフェアリーテイル
<アンコール>
28. ENCORE!!
29. Never & Roll
30. 僕らが描いた夢のその先に
<ダブルアンコール>
31. Irregular Dice