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MAZZELの新境地を開く高難度ダンス / SPYAIR新曲に盛り込まれた歴代「ハイキュー!!」曲オマージュ

再生数急上昇ソング定点観測
2か月前2024年03月01日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで2月16日から2月22日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、「THE FIRST TAKE」にて一発撮りで披露した「Kawasaki Drift」が12位に入ったのをはじめ、BAD HOPの楽曲が新たに6曲も初登場した。その結果、彼らの楽曲がトップ100に計11曲もランクインしている状況に。2月19日に東京ドームで解散をした今もなお、音楽シーンを賑わせているBAD HOPはさすがだ。

4位にはLE SSERAFIM「EASY」がランクインした。この曲は、初週10万7000枚を売り上げて2月27日発表のオリコン週間アルバムランキングで1位を獲得し、海外アーティスト今年度最高週間売上を樹立した3rdミニアルバムの表題曲。MVは公開から約13時間後に1000万回再生を突破して、自身最速での1000万回到達となった。MVはファンタジー映画のようなムードや、カッコよさ、艶っぽさなど1曲の中でさまざまな雰囲気を堪能できる映像になっている。

31位に“伝説のポケモン”と言われているルギアをテーマに制作されたOrangestarの「Encounter」、73位に水の都の護神・ラティアスとラティオスへの思いを詰め込んだまらしぃの「むげんのチケット」と、「ポケットモンスター」と初音ミクがコラボした企画「ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs」の楽曲が2曲ランキング入りした。

54位にランクインしたのは、櫻坂46の8thシングル「何歳の頃に戻りたいのか?」に収録されているカップリング曲「何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう」。こちらは三期生の楽曲で、村山美羽がセンターを務めている。誰かに恋をする様子を描いたラブソングは星の数ほどあるが、この曲はそれとは一線を画す。「僕も LOVE SONGの歌詞を書いてみたくなった 思い通りにならない気持ちの行き場 それはきっと怒りに満ちてるだろう」のフレーズに見られるような、ラブソングの概念を表したような歌詞が斬新だ。

62位はMARETUの「いのちのおどり」。この曲を聴いた人たちの間で「曲中に何度も出てくる『踊ろう』は性行為を示しているのではないか?」と、歌詞に込めた意味についての考察が盛り上がっている。口ずさみたくなるキャッチーなメロディに対して、ヘビーなワードを合わせているところも面白い。

ヒップホップ、アイドルソング、ボカロ曲と幅広いジャンルの楽曲がランクインした今週は、下記の4曲をピックアップ。

MAZZEL「Waterfall」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場16位

3月20日発売の1stアルバム「Parade」から先行配信された「Waterfall」のMVが16位に登場。重たいビートにアジアンテイストな楽器を重ねたサウンドの上で、メンバー8人のキレのあるラップが炸裂する。

個人的には歌唱力だけでなく、ハイクオリティなダンスパフォーマンスに心を奪われた。振付を担当したのはSHINee「Heart Attack」、ITZY「WANNABE」、NCT 127「Fact Check」などK-POPを中心に数々のヒット曲を手がけているYUMEKI。繊細な首や足の動きまで全員のダンスがそろっているところや、フォメーションが激しく変わるところは見応えがあり、それだけでなくソロでも1人ひとりの見せ場がある。

「Waterfall」の配信記念YouTube Liveで、NAOYAは「ダンスにすごくこだわった」と言っていて、RYUKIは「今までのMAZZELで一番勢いのある振付」とコメントしている。そんな高難度な振付をよりわかりやすく観ることができる「Waterfall」のダンスプラクティス動画も公開されているので、ぜひそちらもチェックして、彼らのパフォーマンスに魅了されてほしい。

SPYAIR「オレンジ」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場20位

現在公開中の映画「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」は、2月16日の公開から10日間で興行収入41億8000万円、観客動員数約290万人を記録し、2週連続で観客動員数1位となった。そんな話題作の魅力を2倍にも3倍にも増幅させているのは、SPYAIRが書き下ろした主題歌「オレンジ」だ。SPYAIRと「ハイキュー!!」のコラボは4度目となり、メンバーのMOMIKENがX(Twitter)で「バレーボールは繋ぐスポーツ 歌詞でバレーボールを表現したくてハイキュー!!に関わった俺たちの曲の歌詞をオレンジの中に繋ぐ事で表現してます」とポストしている通り、今作は歴代テーマ曲を踏襲したアンサーソングのような内容となっている。

「すべり出す汗と 響いた声 叩き合えた肩」は第1期「ハイキュー!!」の初代OPテーマ「イマジネーション」の「滑り出す汗 響きあう声 叩き合う肩」のフレーズを引用しており、「息を切らし ただ走り続け追いかけてたのは胸の熱さだろう」は「ハイキュー!! セカンドシーズン」第2期OPテーマ「アイム・ア・ビリーバー」の「息を切らしながら走り続けて 追いかける日々と胸の熱さ」とリンクさせている。

ほかにも「ハイキュー!! TO THE TOP」第2クールEDテーマ「One Day」の「確かなことはいつか わかる時が来るから 間違ったっていいさ いま想いを止めないで」を元ネタにした「確かな事だっていつか分かるから 間違っても良いよ怖がらないで」という歌詞も。歴代テーマ曲からそのまま引用したフレーズや対になっている言葉が盛り込まれた歌詞が、楽曲をよりドラマチックにしている。

83位にはTHE FIRST TAKEで披露した一発撮りの「オレンジ」も公開されているので、MVと合わせてチェックいただきたい。

HoneyWorks「同担☆拒否 feat. ちゅーたん(CV:早見沙織)」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場23位

「同担拒否」とは、自分が推している対象を応援するほかのファン(同担)を嫌悪し、交流を拒否すること。この曲はもともと2021年に頒布された同人アルバム「告白実行委員会 -FLYING SONGS- 愛してる」に「同担☆拒否(feat. かぴ)」として収録され、ちゅーたん(CV:早見沙織)バージョンは2023年3月リリースの「ねぇ、好きって痛いよ。~告白実行委員会キャラクターソング集~」のために制作された。そして今回、この2バージョンのアニメMVが公開された。

曲中に「リアコ拗らせて」というフレーズがある。リアコとは「リアルに恋してる」の略で、推しへの思いが強いあまり、単なるファンではなく恋人として付き合うことや結婚を望んでいる状態を指す。この曲においても、主人公が男性アイドルを本気で好きになり、リアコになっていく姿や感情が鮮明に描かれている。推しが自分以外の人に向けるファンサ(ファンサービス)に嫉妬し落ち込んで、人気が出てさらに遠い存在になっていくことに、しんどさを覚える場面もリアルだ。

そもそも、人はなぜ気持ちの浮き沈みを繰り返しながらも、推し活を続けるのか? それは推しこそが生きる理由だから。そんな強い思いを歌ったこの曲は、推し活をしたことがある人なら「わかるわかる」と深く頷くこと間違いなしの強烈な共感ソングなのだ。

乃紫「全方向美少女」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場85位

昨年末頃から、10代や20代を中心にTikTokで大ブームとなっているのが「全方向美少女」だ。aespaのカリナ、MISAMOの3人、NiziUのRIKUとRIMA、あの、AKB48の柏木由紀など、日韓のさまざまな著名人がこの曲を使用した動画を投稿して、ネットミーム化した。TikTok内での楽曲総再生回数は14億回を突破し、Billboard Japan TikTok Weekly Chartでは3週連続1位となった。

何がヒットの要因かと言えば、サビの「正面で見ても 横から見ても 下から見てもいい女」という歌詞の、TikTokとの相性のよさだろう。投稿者は自撮りのカメラのアングルや顔の向きを曲に合わせて変えるだけで真似することができるし、その映像は観ている側にとっても病みつきになるようなキャッチーさがある。それに加えて、同じくTikTokを中心に大ヒットしたHoneyWorksの「可愛くてごめん」や、ぺろぺろきゃんでーの「話題のGAL」、FRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」にも通じる“自己肯定感”を高めるフレーズであることも楽曲が広がったポイントかもしれない。

そんな盛り上がりの中、バレンタインデーの2月14日にMVが公開されると、こちらも再生数が急上昇。MVは乃紫自身が監修し、タカラトミーの協力でリカちゃん人形とコラボした、かわいさの詰まった映像になっている。

アジア各国のバイラルチャートをこの曲が席巻する中、2月28日には韓国語バージョンもリリースされており、今後ますます海外でのブームも拡大していくことになりそうだ。

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