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原口沙輔「イガク」が「人マニア」に続いて話題席巻 / 福岡移住したくなる?裏命ちゃんの強引過ぎる説得

再生数急上昇ソング定点観測
約1か月前2024年03月15日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで3月1日から3月7日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、1位にCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」とテレビアニメ「マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編」のコラボMVが登場した。MV公開から10日間で2400万回再生を突破し、破竹の勢いを見せている。

11位には、テレビアニメ「葬送のフリーレン」第2期のオープニングテーマであるヨルシカの「晴る」がランクインした。森江康太が監督したアニメーションMVに登場するのは、巨大な壁により分断された場所で暮らす2人の親子。YouTubeのコメント欄ではこの映像についての考察も盛り上がっており、2分50秒のシーンで父親が水溜まりを見て何かに驚き、次のシーンから子供1人しか出ていないことについて「父親は自分が亡くなっていることに気付いたからではないか?」という説が挙がっている。

33位は3月20日にリリースされる、MAZZELの1stアルバム「Parade」の表題曲が登場した。メンバーのダイナミックなダンスはもちろんのこと、トラックやスポーツカー、バイクなど31台を使ったカースタントも見ものだ。

THE FIRST TAKEの一発撮り映像からは 、19位に「これは60歳の歌声じゃないでしょ」と視聴者を驚かせたNOKKOの「フレンズ」、52位に今年アーティスト活動15周年を迎える遊助の「ひまわり-応援花-」の2曲が初登場した。

新作がアップされるたびに高順位をマークしている、「ポケットモンスター」と初音ミクがコラボした企画「ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs」の楽曲。この週は35位にポケモンへの愛情を歌ったかいりきベアの「メロメロイド」、39位に「エスパー」や「ゲットしちゃうぞ」などポケモンの世界観に寄り添ったフレーズが登場するナユタン星人の「エスパーエスパー」と2曲がランキング入りをした。

アニメやゲーム関連の楽曲が多く登場した今週は、下記の3曲をピックアップ。

原口沙輔「イガク」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場15位

2018年に中学生トラックメイカー・SASUKEとしてメジャーデビューした原口沙輔は、2023年8月に自身初のボカロ曲「人マニア」を発表すると、ネット最大級のボカロイベント「ボカコレ2023夏」で11位に輝き、Billboard JAPANが発表するニコニコ動画ランキング「ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20」では15週連続で1位を獲得した。瞬く間に人気ボカロPとなった彼が今回発表した「イガク」は、2月に開催された「ボカコレ2024冬」で見事1位を獲得。疾走感のあるサウンドと、随所にアクセントでキメの音が入るのが気持ちいい。ちなみに、絶妙なタイミングで入っている「ユ!」という合いの手は、原口が2月14日に公開した「ミニ偏」という曲にも登場する。

「イガク」はサウンドとメロディだけではなく、批評性の高い歌詞も大きな魅力だ。例えば「簡単になれば 埋まった マター マター」や「音が → 機能になってしまう / 人が → 偽りに集まる」というフレーズは、楽曲を作ることが手軽になり次々に似たような曲が生まれていることに言及し、SNSでバズることを狙った楽曲が量産されている今の音楽のあり方に嘆いているようにも受け取れる。原口本人が歌詞の内容を明言しているわけではないので、あくまで個人的な解釈ではあるが、このように「この歌詞はどういう意味なんだろう?」と考えたくなるのは、彼のワードセンスが秀逸だからだ。

なお「イガク」が話題になったのに伴って、今回のミュージックビデオランキングでは「人マニア」も38位に浮上している。3月10日放送のテレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」に原口が出演して話題になったこともあり、「人マニア」の再生数はここからまたさらに伸びるかもしれない。

syudou「命綱」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場70位

「アナタが望むのなら / 金 夢 今 この人生 / 差し出してしまうの」というフレーズが表すように、syudouの新曲「命綱」は“アナタ”に依存する女性を描いた楽曲となっている。この曲が悲しいのは、曲中の女性は相手が求めるものをいくら捧げたとしても、自分は幸せにはならないとわかっているところだ。それでも「ねぇ今だけ忘れさせて生きる苦しみを / 神や悪魔も上回る様な / アナタにもたれて生きるのさ」と、彼女は一時の安らぎを得るために不幸の穴へ落ちていく。つまり相手は女性にとっての命綱でありながら、同時にその綱が自分の首を絞めているという負のスパイラルなのだ。

MVに映る男性の手は微動だにしないが、曲の終盤から女性がゴム手袋のようなものをしていることから、YouTubeのコメント欄では「男性はすでにこの女性に殺されて腕だけになっているのでは?」という説が多く見られた。観れば観るほど深いメッセージに食らってしまう、中毒性の高いMVとなっている。

南ノ南 FEAT りめちゃんとキャストの皆様「裏命ちゃんのフクオカトリップ奇騒曲」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場72位

「ボカコレ2022春」で7位に入賞して、YouTubeの再生回数が863万回と大ヒットした「可不ちゃんのカレーうどん狂騒曲」と、「ボカコレ2022秋」で2位に入賞し、YouTubeの再生回数1288万回という脅威の数字を出した「星界ちゃんと可不ちゃんのおつかい合騒曲」。この2曲の続編として生まれたのが「裏命ちゃんのフクオカトリップ奇騒曲」だ。

音楽的同位体シリーズである可不は2021年頃から、初音ミクにとってのネギと同じように「カレーうどんが好き」という非公式設定が自然発生的に広まっていた。南ノ南のこれら3曲はそのネタを踏まえて作られたもので、「カレーうどん狂騒曲」ではずんだもんが可不ちゃんから強引にカレーうどんを勧められ、「おつかい合騒曲」では可不ちゃんが食べたいと言ったカレーうどんの材料を星界ちゃんが買いに行かされる。

しかし今回は可不ちゃんが「カレーうどんを食べたい」と言っても裏命ちゃんは応じずに「ラーメンしかありえんばい」と一蹴する。なぜなら、この楽曲の舞台は博多ラーメン発祥の福岡県。1曲を通して、裏命ちゃんは福岡がいかに素晴らしい場所であるかをアピールし、福岡に移住するように可不ちゃんと星界ちゃんを強引に説得するのだ。

YouTubeのコメント欄には「裏命ちゃんの博多弁がかわいい」や「思わず福岡に住みたくなった」という声が多く挙がった。奇しくもこの曲の発表後、初音ミクたちバーチャルシンガーの3DCGライブと、創作の楽しさを体感できる企画展を併催したイベント「マジカルミライ」が初めて福岡でも開催されることが告知された。「マジカルミライ」で福岡へ行く前に、この曲のMVに登場する名所を訪れてみてはいかがだろうか。

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