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フジファブリックとアイナ・ジ・エンドが「アイナ・ジ・ファブリック」になった“伝説的”ライブ

フジファブリックとアイナ・ジ・エンドによるコラボセッションの様子。(撮影:西槇太一)
約1か月前2024年05月13日 10:01

フジファブリック、アイナ・ジ・エンドによるツーマンライブ「フジファブリック × ライブナタリー “FAB FUN” ~フジファブリック × アイナ・ジ・エンド~」が、5月9日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)で開催された。

ツーマンライブ初体験のアイナ・ジ・エンドが登場

本公演はフジファブリックが今年デビュー20周年を迎えることを祝うべく行われたもの。フジファブリックの強いリクエストにより出演することとなったアイナ・ジ・エンドは、ワンマンライブと同じくバンドメンバーとダンサーを従えて登場した。映画「変な家」の主題歌でもある最新シングル「Frail」でライブをスタートさせ、「Nana」のイントロで「初めまして、アイナ・ジ・エンドです。よろしく」と優しい口調で挨拶。大歓声が湧き上がる中、ジャジーなロックチューン「ZOKINGDOG」につなげたアイナは、ダンサーのReika、Hazuki、コーラスのゆかんぬとともに犬をイメージした振付で踊ってみせる。間奏では「わたくし、アイナ・ジ・エンドには夢があります! ここにフジファブリックを観に来たあなたと、アイナ・ジ・エンドを観に来たあなたが“犬”になることです! ナイスなドッグランにしましょう!」と話し、観客全員を巻き込んで犬のダンスを踊った。

なお本公演のステージには造花と生花を使った特別な装飾が施された。ステージ左右に置かれた花は生花で、アイナは「ほんまに花の匂いがします。こんなセットを作ってくれてうれしい」と笑顔を浮かべる。続けて「今日、実はアイナ・ジ・エンドの人生初めてのツーマンライブです」と切り出し、「私は8年間BiSHをやっていたんですけど、2022年に『RISING SUN ROCK FESTIVAL』に出られなくなったことがあって、そのときにフジファブリックさんが出てくれたんです。あのとき、会場にいた人はいるかな? 尊い1日だったと思います。本当にあの日はありがとうございました。ほかには『ARABAKI ROCK FEST』で奥田民生さんとのセッションのときにフジファブリックさんが演奏してくださって。BiSHメンバーみんなで歌った日がありました」とフジファブリックとのエピソードを振り返った。そして「今日は緊張もしてたんですけど、みんなすごく優しいね。歯が見えるよ! イーってしよう!(笑)」と笑い、「私もいっぱい口を開けて、体を広げて、Zeppを飲み込んでいきたいと思います」と述べてから「アイコトバ」を歌唱した。

アイナ、フジファブリック「陽炎」カバーも披露

アイナはその後、「家庭教師」をセクシーに披露。観客に手を掲げるように合図を出す場面もありつつ、ゆかんぬと並んでデュエットをしたり、“家庭教師”を彷彿とさせるコンテンポラリーダンスをしてみせたりと、エンタテインメント性に満ちたステージを展開する。続いてアイナはステージ中央のソファに座り、オートチューンを駆使した歌声が印象的なかわいらしい楽曲「Sweet Boogie」へ。ソファに寝そべるなど、女の子が部屋で過ごす日常を表現したかのようなパフォーマンスをしてみせた。そしてアイナと三船雅也(ROTH BART BARON)によるユニット・A_oの楽曲「BLUE SOULS」で彼女は「もっともっと自由に、楽しんでほしい」と話し、しなやかに舞い、たおやかに歌った。

「あぁ揺れてる」でも穏やかなムードだったが、そのあとに場面が一転。不協和音が鳴り響く中、髪の毛をつかむような動きを見せてから始まったのはTK(凛として時雨)提供による「Red:birthmark」。真っ赤な光に包まれる中、激情的なパフォーマンスでこの曲を表現し、大喝采を浴びた。その後、アイナはフジファブリックの音楽を聴くようになった時期がBiSHに加入した2015年頃だったと振り返り、「すごくすごく好きな曲がありました。歌詞の世界観がすごく好き。いつでも少女時代に戻れるような曲です。ホントただのファンなんですけど、煮詰まった自分をいつでも少女時代に戻してくれた、この曲を歌ってみようかなと」と語る。そしてフジファブリックが2004年に発表した「陽炎」をオリジナルのダンスを交えて披露した、ひと際大きな歓声を一身に浴びて「ありがとう」とつぶやいたアイナは、ハートウォーミングなミディアムチューン「宝者」を歌い始め、優しい空気でZeppを包み込む。そして投げキッスを観客に届け、アップテンポなナンバー「サボテンガール」へ。この曲はアイナの友人との何気ない会話をきっかけに生まれたナンバー。アイナは曲の最中に「一緒に踊ろう」とオーディエンスに呼びかけ、最後に「フジファブリックを一緒に楽しもうぜ! ありがとう!」と叫んでステージをあとにした。

フジファブリックが登場「アイナさんといい夜にしたい」

フジファブリックのライブではメンバーが定位置に着いたあと、暗いステージでまず山内総一郎(Vo, G)がしっとりと最新アルバム「PORTRAIT」の収録曲「ショウ・タイム」を歌い始め、ステージにメンバーのシルエットが浮かび上がる。サポートの伊藤大地(Dr)のずっしりとしたビートと加藤慎一(B)のプレイする豊かな低音に乗せて、山内のGibson SG CUSTOMから奏でられるミッドローがやや強めの歪んだギターサウンド、金澤ダイスケ(Key)の浮遊感あるシンセサウンドがオーケストラのように壮大なアンサンブルを生み出した。赤、青、緑のライトがムーディな雰囲気をもらたす中、フジファブリックは続いて金澤が作詞作曲を手がけた「楽園」を届け、ダークな世界観を表現。続けて山内は観客に手拍子を煽ってから「どうもこんばんは、フジファブリックです! 『FAB FUN』へようこそ!」と呼びかけ、ハンドマイクで「東京」を歌い、サビ前で自身のオリジナルモデルであるフィエスタレッドが眩しいストラトキャスターを構えて演奏。ファンキーかつクロスオーバーなロックでフロアを盛り上げた。

MCで山内は「今日はアイナ・ジ・エンドさんとの『FAB FUN』にお越しくださいましてありがとうございます。すげーよ、アイナ・ジ・エンド、マジで!」と拍手を送り、「アイナさんもステージで話してましたけど、いろんな絡みがありまして。ナタリーの方から『FAB FUN』を開催するにあたって、『どなたと競演したいですか?』と聞かれまして、『絶対にアイナ・ジ・エンドで!』と言っていました。実現して本当にうれしいです」とガッツポーズ。「今日はフジファブリック、かなり気合い入って来たんですけど、アイナ・ジ・エンドさんといい夜にしたいと思います」という山内の言葉のあと、彼らは夏の情景が浮かぶ名曲「若者のすべて」を届けた。邦楽ロックのスタンダードであるこの曲に、観客はステージをまっすぐに見つめながら、じっくりと耳を傾けていた。感動の余韻が場内に広がる中で、フジファブリックはドラマチックな楽曲「Green Bird」を演奏。徐々に熱を帯びていく展開にフロアが沸き立った。

フジファブリックが「続けること」への思い語ったライブ後半

山内は「アイナさんのライブでは、フジファブリックでは起こらない低い声の声援が上がってましたね。出ていったらどうなることかと思ったけど、温かく迎えてくれてありがとうございます」と来場者に感謝の言葉を伝えた。メンバー紹介をはさみ、「アイナさんも関西なんですよね。私も大阪なんで親近感があります。アイナさんも言ってくださってましたけど、『RISING SUN』でBiSHが出演できなくなったときに『フジファブリックどうですか?』って連絡があって、『出る出る出る出る!』ってことがありました(笑)。そのときにBiSHの曲を1曲でもできたらよかったなと思ったんですけど、急で時間が足りなくてできず。『ARABAKI』でもBiSHさんと一緒に演奏して、皆さんすごいなと思ったんですけど、特にアイナさんのキャラクターと声にノックアウトされまして。めちゃめちゃいい歌、歌わはるなってショックだったの。『こんなすごいの?』って。で、なんか一緒にやりたいと思っていたので実現してうれしいですし、先ほど『陽炎』をカバーしてもらったんですよ。アイナさんありがとう!」とアイナへの思いを語る。山内はさらに「すごく感動します。『少女時代を思い出す』とおっしゃってましたけど、ステージ袖で観ていたら、自分たちのデビュー当時の曲なんですけど、いろいろ思い出しました。西田(修大 / アイナバンドのギタリスト)くんの横顔とか観て、『そうそう俺ミュージックビデオでこうやってる!』とかね。河野(圭 / アイナバンドのキーボード)が弾くダイちゃんのフレーズとかもそうだし全部すごかったね! 作った当時、こういう形でアイナさんにカバーしていただくとか、こんな機会を設けてもらえるなんてまったく想像できなかったです」と話を続けた。

そしてフジファブリックが今年でデビュー20周年であることを伝えた山内。「20年だよ、俺たちマジですごい。20周年アニバーサリーライブは8月に東京であるので来てほしいんですけど、続けていると今日みたいなライブがあったり、アイナさんの『陽炎』が聴けたりする。僕らフジファブリックは志村(正彦)くんとともに進んでいるバンドですので、すごく喜ばしいことなんですよ。続けることって大事だなって」と、2009年にこの世を去ったフロントマン・志村正彦の名前を挙げつつ、バンドを続けてこられた喜びを明かした。山内は次の曲が最新曲であることを告げ、「自由ってのはなんなんだろうという真面目なテーマではあるんですけど、プログレッシブな曲なんで皆さんついてこれるかな?」とオーディエンスに確認し、最新アルバム「PORTRAIT」で異色を放つプログレッシブなナンバー「KARAKURI」へとつないだ。ヒートアップしたあと、フジファブリックは軽快なリズムとは裏腹に切ない雰囲気を帯びた「LIFE」を披露。観客が大きく手を振る様子が、暖色のライトで明るく照らされた。

山内は「次にやりたい曲は、激しめに振りが入ってるんだ」と観客に向けて振付を冗談を交えつつ指南。「今日の最高の思い出を作って持って帰ってもらいたいんですけどいいですか! ひとつになろうぜ!」という呼びかけから、ディスコティックなナンバー「ミラクルレボリューション No.9」が始まり、大きく盛り上がった。祭りばやしのようなビートが印象的な「Feverman」では、カチャーシーを踊る観客の盛り上がりに呼応するように山内がステージ前方で派手にギターソロを弾き、「最高だぜ! まだまだひとつになろうぜ! みんな両手を上げろ!」と呼びかけ、会場の空気をまとめ上げた。最後に山内は観客の温かい雰囲気に喜びつつ、「今日という特別な日のためにナタリーの皆さんがステージにお花とかさ、字とかを用意してくれて。すごくうれしかったんですよね。ナタリーの皆さんどうもありがとうございます。こうやってアイナさんとの初めてのツーマンという記念すべき日を祝ってもらえるのがうれしいです。バンドを続けてきて20年、学生の頃とか、終わらない青春を過ごしているような感じがします。バンドとかライブ活動は生きるのに必要なことだと思っています。次は終わらない青春をテーマに書いた曲です」とコメント。彼らは心を込めて、最後に新アルバムの表題曲「Portrait」を届けた。

“アイナ・ジ・ファブリック”アンコール

アンコールではまずフジファブリックのメンバーが「FAB FUN」のグッズTシャツを着てステージに上がる。山内は「すでに今日は伝説の1日になってると思うんですけど、どうですか。さらにこの伝説を高めていきたい、高めるって意味わかんないけど(笑)。もっとすっげえライブにしたいんです。こんな最高な日にアンコールしてくれたってことは、求めてるんでしょ? お呼びします。アイナ・ジ・エンド!」と呼び込み。すると「伝説高めに帰ってきたぜ!」とテンション高くアイナが登場した。そして山内が「これはアイナ・フジ・エンド?」と笑うも、観客の声をアイナが拾い、この日限りのユニット名は「アイナ・ジ・ファブリック」に決定。彼らはアイナの楽曲「STEP by STEP」でセッションを繰り広げた。アンコールでは動画撮影が許可されたため、SNSではハッシュタグ「#FABFUN」などでユーザーの撮影したライブ映像が確認できるはずだ。

続いてアイナが「次は大好きな曲、やっていいですか! アイナ・ジ・ファブリック、ラストいけるか! 伝説高めようぜ!」と叫び、ラストにフジファブリックの楽曲「SUPER!!」でセッションが展開された。山内が「奇跡のツーマン」と称した一夜の締めくくりにふさわしい豪華なコラボで、イベントは大団円を迎えた。

セットリスト

「フジファブリック × ライブナタリー “FAB FUN” ~フジファブリック × アイナ・ジ・エンド~」2024年5月9日 Zepp Haneda(TOKYO)

アイナ・ジ・エンド

01. Frail
02. NaNa
03. ZOKINGDOG
04. アイコトバ
05. 家庭教師
06. Sweet Boogie
07. BLUE SOULS
08. あぁ揺れてる
09. Red:birthmark
10. 陽炎(フジファブリックカバー)
11. 宝物
12. サボテンガール

フジファブリック

01. ショウ・タイム
02. 楽園
03. 東京
04. 若者のすべて
05. Green Bird
06. KARAKURI
07. LIFE
08. ミラクルレボリューション No.9
09. Feverman
10. Portrait
<アンコール>
11. STEP by STEP with アイナ・ジ・エンド
12. SUPER!! with アイナ・ジ・エンド

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