Kis-My-Ft2が7月5日から7日にかけてドームツアー「Kis-My-Ft2 Dome Tour 2024 Synopsis」の東京・東京ドーム公演を行った。この記事では昨日7日に行われた公演の模様をレポートする。
約33万5000人動員のドームツアー
キスマイが5月にリリースした約4年ぶりのオリジナルアルバム「Synopsis」を携えて、大阪・京セラドーム、東京ドーム、愛知・バンテリンドーム ナゴヤで全7公演を行い、約33万5000人を動員するこのツアー。これまでもキスマイはライブに観覧車型のウォーターマシンやベルトコンベアなど斬新なアイデアをライブに取り入れてきたが、今回は地上17mの高さのスーパークレーンや、国内ドーム初となるスケルトンLEDなどの演出を用いている。以降のテキストには公演内容のネタバレが多く含まれるので、これからツアーに参加する予定の人はご注意を。
ゲーム画面の中から登場
今回のドームツアーのコンセプトは“ゲーム”。観客はオープニングからエンディングまでを通して、1つのゲームのストーリーに没入したかのような気分を味わうことができる。ステージには冷蔵庫や電子レンジといった家電を模したセットが設置され、ゲームをプレイするリビングのような光景が広がっていた。
ライブはメンバーそれぞれが勇者や魔法使いなどのゲームのキャラクターに扮して戦うオープニングムービーでスタート。RPG風の壮大な映像が、オーディエンスをゲームの世界へとたちまち誘った。キスマイがボスと思われる敵と対峙し、それを倒すと「NEXT STAGE」という文字が表示され、画面の中央部分がスライドして6人が登場。まるでゲーム画面の中からキスマイが現れたかのような演出を経て、アルバムの“コンセプト楽曲”である「Loved One」で華やかにライブの幕が上がった。今回キスマイは14人のダンサーとともにライブを展開。オープニングからダンサーを引き連れ、この曲に込められた「過去も未来もいつだって『Loved One=大切な人』がいるから進んでいける」というメッセージを高らかに歌い上げた。
今回のアルバムでメンバー6人それぞれが「今、魅せたいキスマイ」をテーマに1人1曲、プロデュースと監修を担当し、選曲から歌詞、アレンジのオーダーまでを手がけている。千賀健永プロデュースのロックテイストのナンバー「Keep it 100」では次々とファイアボールが発射される中、「自分らしく走って行く」という信念をメンバーとダンサーが千賀振付による力強いダンスで表現した。その勢いのまま、彼らはアグレッシブなダンスチューンとしてファンからの人気も高い楽曲「A.D.D.I.C.T.」を投下。センターステージを舞台に、火花に囲まれながらダンサーとともに迫力のあるダンスを繰り広げて会場を大きく沸かせた。ライブ序盤からキスマイの真骨頂とも言えるギラついたパフォーマンスで観客を虜にした6人は、間髪をいれずに人気ナンバーのリミックスメドレーへ突入。ローラースケートやアリーナトロッコを使って、オーディエンスのより近くへと足を運んだ。
スケルトンLEDで作り出したシーン
メンバーが一度ステージをあとにすると、6人が小人になってリビングではしゃぐユーモアあふれる映像が流れる。しかし映像は途中で終了してしまい、キスマイファンにはおなじみのキャラクター・スクリーマーズが「ブレーカーが落ちてしまった」と告げた。「みんなから電気をもらおう」とスクリーマーズは、オーディエンスにペンライトの点灯を呼びかける。今回のツアーでは従来と比べて約8倍の光量のペンライトが販売されており、会場には鮮やかなレインボーの光が広がった。すると小人の世界からつながるように、ステージに置かれた電子レンジ、フィギュアケース、クローゼット、ラジカセ、冷蔵庫、洗濯機の中からメンバーが登場。ライブを意識して作られた二階堂高嗣のプロデュース曲「Connecting!!」でファンとコールで掛け合いを行った。「3D Girl」では近未来を感じさせるグラフィックやレーザーライトに彩られながら、メンバーがセグウェイに乗ってクールにパフォーマンス。琴、三味線、尺八といった和楽器を取り入れた横尾渉のプロデュース曲「ほしゆい」では、メンバーと女性ダンサーが2人1組になって鮮やかに舞った。
ライブでも大きな見どころとなったのは、12枚のパネルで構成された円状のスケルトンLED。透けるLEDの内外を移動しながらメンバーがストーリー性のある表現で魅せる。この演出が用いられた「I Miss You」は、電話のコール音がサンプリングされたチルなラップスタイルの失恋ソング。スケルトンLEDによって、メンバーが雨の中や電話ボックスにいるようなシーンが描き出された。
スーパークレーンでみんなの近くへ
「新たなキスマイの世界に飛び込んできてほしい」という思いが込められた「C’monova」でメンバーは6つのサブステージへそれぞれ移動。そして約17mまで上昇するスーパークレーンに乗り、バルコニー席のオーディエンスと同じ目線で「HEARTBREAKER」を歌唱。クレーン同士が近寄る瞬間に、玉森裕太が高所恐怖症の二階堂がハイタッチを試みる場面もあった。銀テープがキラキラと降り注ぐ美しい光景の中で歌を届けた6人はステージに降り、アリーナトロッコに乗って会場の至るところへ。オーディエンス1人ひとりの表情を見て手を振りながら、ライブの定番ナンバー「Kiss魂」「WANNA BEEEE!!!」を熱唱した。
回転する円形ステージを舞台に「Chillax'」をリラックスしたムードで歌い上げた6人。ラブバラード曲「Forever girl」では会場を鮮やかな虹色のペンライトの光で染め上げ、「君といる未来 守るから」と愛を伝えて誓った。「ここから先は後半戦になるんですけど……」二階堂が話し始めると、会場が彼のメンバーカラーである緑一色に。二階堂は「緑にせんでええって。好きな色にしてええって」と照れた表情を見せながらも、「前半戦楽しんでもらえましたか? これからもキスマイのライブ、来たいですか?」と観客に問いかける。大きな歓声を受けると、彼は「本当に? 皆さんの声と僕たちのがんばりがあれば、ライブは絶対毎年できます。これからもよろしくお願いします」と呼びかけた。
純白の衣装にチェンジしたキスマイは、続いてサブステージへ。幻想的な雰囲気が漂う中、ミディアムバラード曲「Luv Bias」をスタンドマイクでしっとりと歌い上げる。「Jenga Love」では鮮やかな照明による演出に彩られながら、思いを寄せる相手に恋心を伝えていいのかと揺れる繊細な感情を、緩急を付けたしなやかなダンスで表現した。バッハの「G線上のアリア」をサンプリングした藤ヶ谷太輔のプロデュース曲「With…」では、メンバーが電飾が施された“スウィングマイクスタンド”を前後左右に揺らして操る。その後6人はメインステージで大切な人との日々に別れを告げる失恋バラード曲「Reset」を切なく歌い上げた。
最後は2895発の“特攻祭り”
大量の安全ピンが施された黒の衣装にチェンジしたキスマイは、宮田俊哉のプロデュース曲「B-SIDE」をパフォーマンス。「人間には弱い部分や汚い部分があるからこそ、きれいなところがよりきれいに見える」という人間の二面性をシリアスな歌声とスケルトンLEDを用いた演出で描いた。近年生まれたアグレッシブなダンスチューン「NAKED」「Catapult」を経て、ライブのダンスパートの核を担ってきた初期ナンバー「FIRE BEAT」ではセンターステージに火花が上がる。個々に用意されたサブステージに降り立った6人は、それぞれ2人のダンサーを引き連れて力強いパフォーマンスを展開し、観客の熱をグイグイと煽った。トロッコで会場を回りながら観客の心を駆り立てるように「Gravity」「Take Over」を届け、盛大なコールを巻き起こしたあと、キスマイ名物の“特効祭り”でライブはエンディングへ。音玉の破裂音で玉森プロデュースのアッパーチューン「WANI-WANI」がスタートした。6人はファイアーボールなど2895発の炎が飛び交う圧巻の光景の中で14人のダンサーとともに激しいダンスを繰り広げたのち、猛烈な火花が上がる中、颯爽とステージから消えていった。
アンコールでは二階堂が「もうね、みんな最高! ガンガン伝わってきて、我々もそれに負けじといくから、もう最高でした! 楽しさは十分伝わってきました!」と声を弾ませる。最後まで音楽を通してオーディエンスと気持ちをぶつけ合ったあと、玉森は「本当に楽しい時間でした! またみんなでこの時間を作りたいと思います」と約束した。そして宮田が「みんな出し切った? 最後にみんなで『Kis-My-Ft2!』って今日一番でかい声を聞きたいな!」と告げる。「みんなと俺たちで」「Kis-My-Ft2!」という言葉を交わし、銀テープが降り注ぐ中、汗だくになった6人は晴れやかな笑顔でステージをあとにした。
このあとキスマイは9月7、8日にバンテリンドーム ナゴヤ公演を行い、ドームツアーを締めくくる。
ライブ情報
Kis-My-Ft2 Dome Tour 2024 Synopsis(※終了分は割愛)
2024年9月7日(土)愛知県 バンテリンドーム ナゴヤ
2024年9月8日(日)愛知県 バンテリンドーム ナゴヤ