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ミセス「ゼンジン未到」舞台はスタジアムへ、4日間で15万人動員「愛と感謝で返していきたい」

「Mrs. GREEN APPLE ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~」神奈川・横浜スタジアム公演の様子。
約1年前2024年07月26日 11:05

Mrs. GREEN APPLEのスタジアムツアー「Mrs. GREEN APPLE ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~」が7月6、7日に兵庫・ノエビアスタジアム神戸、20、21日に神奈川・横浜スタジアムで開催された。この記事では20日の横浜スタジアム公演の模様をレポートする。

「ゼンジン未到」は彼らがデビュー前の2014年から6度にわたって開催してきたライブシリーズ。「ゼンジン未到」と言えば、例えば2018年にエンタテインメント性を追求したきらびやかなホールツアー「ENSEMBLE TOUR」を回ったあと、そのツアーとは打って変わって会場の照明を落としてスティックライトのみのシンプルな演出でライブハウスツアー「ゼンジン未到とプロテスト~回帰編~」を行うなど、オーディエンスとの近い距離感でのライブを意識し、バンドの内面性や真髄にフォーカスを当てる位置付けのシリーズだった。“フェーズ2”開幕後は、2022年に神奈川・ぴあアリーナMMで復活ライブ「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」を行ったあと、初のZeppツアーとして「ゼンジン未到とリライアンス~復誦編~」を実施。そんな歴史があったからこそ、スタジアムツアーで「ゼンジン未到」を掲げるという彼らの大胆な決断は多くのファンを驚かせた。日本のバンド史上最年少となったスタジアムツアーには、4日間合わせて約15万人が来場。“「ヴェルトラウム」=宇宙”をテーマに、オーディエンスはMrs. GREEN APPLEの多面的な魅力あふれる世界へと潜っていくことになる。

スタジアムに鳴り響いた「ゼンジン未到」の始まりの歌

ステージを挟む左右の巨大なスクリーンに「ARE YOU READY?」「SHOW TIME」の文字が表示されると、宇宙を舞台にしたオープニング映像がスタート。1機のスペースシャトルが宇宙を進んでいき、やがて重力に引き込まれていく。オープニング映像が終わると、ステージ上段に3人の姿が。ゆっくりと階段を降りていく彼らを地鳴りのような大きな歓声が包み込んだ。「元気にしてるかい? 最高の日にする準備はできてるかい? 遊ぶぞ! 1、2、3、4!」と大森元貴(Vo, G)が告げると、高揚感に満ちたサウンドがスタジアムに広がっていき「CHEERS」でライブが開幕。サポートメンバーの森夏彦(B)、神田リョウ(Dr)、兼松衆(Key, G)を迎えて、躍動感のあるビートを軸に華やかなアンサンブルが生み出された。大森はさっそく花道を歩き、オーディエンスが囲むセンターステージへ。「CHEERS」ではおなじみとなっている「乾杯!」の掛け声が飛び交い、大森も晴れやかな表情でマイクを客席に向けた。

初のスタジアムライブとは思えないほど、ミセスはナチュラルな空気感でライブを展開。「会いたかったよ、『ゼンジン!』 もっともっと声を聞かせて」と大森が煽り、大きなコールを巻き起こしていく。メジャーデビュー時からミセスのライブを盛り上げてきた「VIP」のような強靭なギターロックナンバーも、“フェーズ2”のミセスの開放感のあるモードにあふれた「ANTENNA」のようなパワーポップも、ごく自然にスタジアムの空気感にぴったりとハマり、スケール感たっぷりに心地よく鳴り響く。夕暮れの風をまといながら、大森は「どこまでも行ける そんな気がしてる」とどこまでも軽やかに歌い上げた。

ピンク色に染まったスクリーンをバックに、ミセスは「ロマンチシズム」を軽快にプレイ。春の陽気のような温かな空気でスタジアムを満たしたかと思えば、次の瞬間には照明がダークな赤色へと切り替わり、怒りの感情に満ちたシリアスなギターロック「ツキマシテハ」の演奏が始まる。雷鳴のようなグラフィックをバックに、メンバーは激しいライティングの中で重厚なサウンドを轟かせた。

2014年7月に行われた「ゼンジン未到とコンフリクト ~前奏編~」からスタートした「ゼンジン未到」シリーズ。本企画でずっと大切に演奏され続けている曲があった。「愛してるよ、『ゼンジン』」と告げた大森がメロディアスなアルペジオを紡ぎ、「ゼンジン未到」シリーズを象徴するとも言える楽曲「CONFLICT」の演奏をスタート。10年という時間が経っても、バンドを取り巻く状況が変わっても、決して変わることのない彼らの信念と本質的なメッセージがスタジアムに鳴り響く。「僕らの抱いたこの夢は 誰のものでも無く」と言葉を紡いだあと少し頬を緩ませ、「『私』のものだ」と言い切るようにまっすぐに歌い上げた。

夏の空気に満たされたスタジアム

「『ゼンジン未到』はデビュー前からやってきた自主企画。こうして10年経っても開催できて、なおかつスタジアムツアーという形でやらせてもらえて、本当にありがとうございます。すごいな、『ゼンジン』がスタジアムでできるなんてうれしいな」としみじみと話した大森。「今日はやりませんから、絶対。封印した」と彼は言いながらもしっかりと得意の“縦眉毛”を披露して「青と夏!」とタイトルコール。スタジアムにライトバンドの青い光が広がり、生き生きとした大合唱が響き渡った。続いて披露されたのは「青と夏」のアンサーソングとも言えるナンバー「ライラック」。今度は客席が紫に染まって花畑のような光景が生み出され、シンガロングによって場内にすさまじいエネルギーが満ちていった。

美しい夕焼けの映像がスクリーンに映し出され、どこからか蝉の声が聞こえてくる。夕焼けをバックに彼らはバラードナンバー「橙」を演奏。ノスタルジックな空気を漂わせながら、過ぎ去った日々を愛おしむように青春の追憶をゆったりと歌い上げた。さらににぎやかな祭囃子の音とともに、神社の鳥居、花火、提灯が映し出され、藤澤涼架(Key)が紡ぐ美しい鍵盤の音色で「点描の唄」の演奏が始まる。切なくも壮大な歌声と、やがて終わりゆくであろう夏の匂いにオーディエンスはじっくりと浸っていた。

新たな人生讃歌でシンガロング

夏の空気に満ちた場面を経て、ミセスは近未来感のあるグラフィックをバックに「Blizzard」をクールにプレイ。涼やかな水色のレーザーライトに彩られながら、オーディエンスが一斉に飛び跳ねる壮観な光景が広がった。そして力強いドラミングから「インフェルノ」で会場は“吹雪”から“猛火”に一気に場面転換。客席が燃えるような赤に染まる。熱いコールを浴びながら、彼らは炎が吹き上がるステージで迫力のある演奏を繰り広げた。その勢いのまま、バンドは「私は最強」へ突入。スモークが噴射される舞台で勢いよくエネルギーを開放するようにこの曲を届けた。ミセスのダークな一面が凝縮されたナンバー「Loneliness」ではさらに激しい火柱が乱立し、レーザーライトが交錯。カオティックな光景の中で大森は、センターステージを這うように膝をついて低くうごめくような歌声を放った。

夏の空気と会場の熱気が相まって、大森から「暑すぎるだろー!」という言葉が飛び出す。若井滉斗(G)も「暗くなって、もうちょっと涼しい風が吹くかと思ったら熱いね」と話し、「最高ですー!」と声を張った。若井は「こうしてスタジアムで『ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~』を開催することができて本当にうれしいです。集まってくれてありがとうございます。みんなの光、見えてるから。すごくきれいです」と目を輝かせる。藤澤は「今日非常に楽しみにしてきた藤澤と、めちゃくちゃドキドキソワソワしている藤澤と2人いまして。だけど、みんなの顔を見たらめちゃくちゃ最高に楽しいです! スタジアムだからさ、全力でいくからみんなも全力で楽しんでほしいと思ってる藤澤と、今日めちゃくちゃ暑いから無理だけはしないでと思ってる藤澤が2人います」と述べ、若井と大森から「2人ずつ?」「4人いるよ、それ」とボソッとツッコまれていた。

その後ミセスは7月3日に配信リリースしたばかりの、パリ五輪中継を盛り上げるテレビ朝日系列 2024スポーツ応援ソング「アポロドロス」を披露。壮大なエネルギーを持つ新たな人生讃歌に共鳴するようにオーディエンスもシンガロングを響かせた。華やかな空気から一変して照明が落ちると、心臓の鼓動が鳴り、陰のあるギターロックナンバー「L.P」がスタート。エモーショナルなギターと孤独に満ちた焦燥感のある歌声が響き渡った。静寂の中で大森がソファに腰掛け、そっと歌い始めたのは「ナハトムジーク」。宇宙の映像をバックに、彼はスケール感のあるアンサンブルに乗せて優しく言葉を紡ぎ上げた。

軽快なドラミングを経て「いつか僕が眠りにつく日まで」というフレーズで「コロンブス」の演奏が始まると、客席からひと際大きな歓声が上がる。テレビ画面風のスクリーン演出をバックに3人はパフォーマンスを行い、最後にはセンターステー

ジに集合。にぎやかにこの曲を届けて会場を盛り上げた。夜空からポツポツと雨粒が降り始めていたが、「もしかして雨降ってきてる? 気のせいだよね!」と大森は気にすることなくそのまま「Magic」へとつなげる。ライトバンドによる光の粒が会場に広がり、雨粒さえもその光の一部へと変えてみせた。「最高の日をどうもありがとう!」と告げ、最後にミセスは映画「ディア・ファミリー」の主題歌「Dear」を演奏。夜風に吹かれながらスタジアムを包み込むように美しいメロディを奏で、「さぁ 次は何処へ行こうか」とここにいるオーディエンス全員を引き連れてさらなる未来へ進んでいく意思を示した。

愛と感謝で返していきたい

アンコールを求める拍手に応えて再び現れたミセスは、まだリリースされていないHonda新型「FREED」のCMソング「familie」を披露。若井と藤澤はそれぞれトロッコに乗って登場し、会場を周回しながらオーディエンスの近くで演奏を繰り広げた。シャボン玉が舞うファンタジックな光景の中で大森は軽やかに歌を届ける。さらに「lovin’」「ダンスホール」をオーディエンスとともに歌い上げ、愛あふれるピースフルなムードを生み出した。「愛情と矛先」の鮮烈なギターサウンドが夜空に鳴り響いた瞬間、会場に満ちた高揚感がまた一段と高まっていく。フェーズ1のライブの中心を担ったこの曲で、オーディエンスはコールを飛ばしてジャンプも楽しんだ。

3人がステージを去ったあとも拍手は鳴りやまず、メンバーは三たびステージへ。大森は「アンコールありがとうございます。すごいなあ。3万人以上いるんだってさ、ここ。すごくない?」とすっかり雨も止んだ景色を見渡し、「改めていい光景です。何回も言っちゃうんですけど、10年経っても変わらずに皆さんの前に立てて、感謝の言葉を伝える場があるのは、全然日常的なことではなく、当たり前のことじゃない。ミセスの活動をしていると、こういうライブは当たり前にあるものだから、当たり前に伝えてしまうけど、すごく感謝しています。ありがとうございます」と思いを伝えた。「3万人以上いるけども、1人ひとりに向かって、1人ひとりとの出会いを歌いたいと思います」と大森が告げて歌い始めたのは「我逢人」。人との出会いの尊さが歌われたこの曲で、オーディエンスの大合唱が響き渡り、会場がひとつにつながった。

「本当にもう満ちちゃうね、こぼれちゃうね、あふれちゃうね、愛が。本当に今日は来てくれてありがとうございました。また会おうな!」と指切りした大森。彼は「今後何があっても愛情を持って関わってくれる、肩を組んでくれる人たちに精一杯僕らは応えたいと思っていますし、愛と感謝で僕らも返していきたい。全員ハグしたい気持ちで、今日は最後に愛を込めて歌いたいと思います。もうそれに尽きます」と真摯に話し、「規模も主語も大きくなってきたけど、変わらずに僕らはやりたいことをやって、作りたいものを作って、皆さんと一緒に手をつなげる時間が多ければ多いだけうれしい。一度手をつないだということもすごく愛おしく、愛くるしいなと思っています」と穏やかな表情を浮かべた。そんな言葉を経て、ミセスが最後に演奏したのは「ケセラセラ」。高らかにファンファーレとともにスタジアムの上空に花火が上がり、スタジアムライブは美しいエンディングを迎えた。

セットリスト

Mrs. GREEN APPLE「ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~」2024年7月20日 横浜スタジアム

01. CHEERS
02. VIP
03. ANTENNA
04. ロマンチシズム
05. ツキマシテハ
06. CONFLICT
07. 青と夏
08. ライラック
09. 橙
10. 点描の唄
11. Blizzard
12. インフェルノ
13. 私は最強
14. Loneliness
15. アポロドロス
16. L.P
17. ナハトムジーク
18. コロンブス
19. Magic
20. Dear
<アンコール>
21. familie
22. lovin’
23. ダンスホール
24. 愛情と矛先
<ダブルアンコール>
25. 我逢人
26. ケセラセラ

撮影:田中聖太郎、石井亜希、河村美貴、MASA、古溪一道、ヨシモリユウナ、金谷龍之介、大場暁史

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