osageが7月27日に東京・WWW Xでライブツアー「ENSEMBLE TOUR 2024」のファイナル公演を行った。
全員が主人公の物語
osageが6月から全国9カ所を回ったこのツアー。そのうち7月14日の大阪・Shangri-La公演、7月27日の東京・WWW X公演はワンマンライブとして開催された。
ステージに姿を現したosageは、“出会い”と“始まり”を感じさせるナンバー「monologue」でライブを開始。みずみずしいサウンドと四つ打ちのリズムに合わせてオーディエンスが一斉に飛び跳ねる光景がフロアに広がった。「俺たちのそばにいてくれてありがとう!」と山口ケンタ(G, Vo)は述べ、「letter」「少年少女」をエモーショナルに歌唱。会場に満ちた高揚感を一層高め、「今日という日、ちゃんと伝説にして帰ろうぜ!」と声を弾ませた。
「そういえばさ、SNSに上がってるらしいんですけど、まだ名前がない曲を聴いたことある人はいますか? それを今日聴きたいっていう人いますか?」という山口の言葉を経て、バンドはまだリリースされていない楽曲「ノータイトル」を勢いよく投下。その勢いのまま「世明けの唄」で疾走感あふれる演奏を繰り広げたあと、「Greenback」をエネルギッシュにプレイした。その後、艶やかな雰囲気が漂う「ニューロマンス」をグルーヴ感たっぷりに届けたosageは、中毒性のあるリフが印象的なナンバー「ニヒリズム」でクラップを巻き起こす。そしてどこか影のある空気をまといながら「フロイト」をクールに演奏した。
ここで山口はツアーのワンマン公演にのみゲスト出演したキーボーディストの幕須介人を紹介。山口は「ちょっとスペシャルなことをやりたい。せっかくだから歌と鍵盤だけで勝負をしてみたいなと思います」と述べ、幕須と2人で「あの頃の君によろしく」を披露し、メロディアスな鍵盤の音色に乗せて胸をくすぐるような切ない歌声を響かせた。ノスタルジックな雰囲気のあるナンバー「残り香」を経て、4人は「夜煩い」をゆったりと演奏。「ホンネ」では軽快なリズムに合わせてオーディエンスが一斉に腕を揺らす。さらに彼らはカッティングギターの音色が心地のいい「赤に藍」をプレイしたあと、「青かった。」で会場の隅々まで夏の空気で満たした。
「これが俺たちだよ! オルタナティブロックを聴いてくれ!」と山口が言い放ち、熱唱したのは「セトモノ」。強いエネルギーと熱のこもったサウンドが場内に広がった。最後に山口は「今回のツアーは“ENSEMBLE CAST”と銘打っていて。アンサンブルキャストって主役がいない、準主役級が構成する群像劇なんです。まさに今日みたいな日だし、俺たちosageみたいなバンドのことだと思っています」と話を切り出す。そして「全員が主人公なんだよ。ここに集まった俺らは主人公同士なんだよ」という言葉とともに、それぞれの物語を彩るように「エピローグ」を優しくオーディエンスに贈った。
どれだけ時間が経っても変わらない歌
アンコールを求める拍手が鳴り響いたあと、スクリーンに「拝啓、osageを応援してくれている全ての人へ」「10年後も20年後もosageの音楽はそこにありますか? どんな未来を歩んでいますか?」という文字が表示される。その言葉に続いたのは、ソニー・ミュージックレーベルズよりメジャーデビューするという重大発表。8月7日に両A面シングル「マイダイアリー / 透明な夏」をリリースすることと、10月から東名阪ワンマンツアー「Brand New AGE 2024」を開催することがアナウンスされた。スクリーンでの発表を経て、大きな拍手を迎えられながら4人はステージに登場。さっそくメジャーデビュー曲「マイダイアリー」を披露し、ポップなメロディと晴れやかなアンサンブルを場内いっぱいに響かせた。
メジャーデビューに際して、ヒロクサマ(B)は「きっとみんなからしたら、『メジャーデビューしても変わらないよ』というのが一番安心する言葉だと思うんですけど、僕らはずっと変わり続けます。進化し続けます。もっともっと大きいステージを目指します。だからこそそんな景色をみんなと見たいと思います」とさらなる未来に向けて意気込む。金廣洸輝(G, Cho)は涙を流しながらリードギターを弾くメンバーとしてのこれまでの葛藤を明かし、「何度も心が折れそうになって。それでも、がむしゃらにバンドを続けてきたから今日があって、俺はここに立ってて、みんなの前でギターを弾くことができてます。ようやく俺はosageのギタリストとして、胸を張ってosageのリードギターって言えるようになりました」と話し、「高校1年生のときに放課後の空き教室でアコギを弾いてるケンタに声をかけて『一緒にバンドやろう』って誘って本当によかったなと思います!」と顔をほころばせた。
田中優希(Dr)はメジャーデビューについて「わかりやすく言うと、今まで俺たちメンバーとeggmanのスタッフのチームががんばってやってたことに、力を貸してくれる人が増えるということなんですよ」と説明し、「みんなをワクワクさせたり、びっくりさせたりすることがこれからもっとできるようになると思う。ここまで来れたのはみんなのおかげ。みんなが今まで応援してくれたおかげで、俺たちに力を貸してくれる人が増えたんだから、俺たちにできる恩返しはこれからもっと面白い景色を見せること。これからもついてきてほしいなと思います」と涙を堪えながらまっすぐに思いを伝える。
山口は「osageの原型となるものは2014年にふわっとできました。今から考えると10年前です。そこから本格的に活動し始めて、2018年に『murffin discs audition』でグランプリをとって、面倒を見ていただけることになりました」と活動を振り返り、「僕らの根底にあるものは10年以上前からできていて、そのうえでこうやって歩いてきました。非常に時間がかかることだし、一筋縄ではいかないし、俺たちってバズとは無縁なんです。何もバズったことがなければ、どんだけいい曲を書いて『明日世界が変わっちゃうな』と思うようなシングルを出しても響かず、めちゃくちゃいいアルバムができて『これを出したら日本が変わっちゃうな』と思っても反響がない」と話す。続けて山口は「でも、何にもなかったかと言われたらそれは嘘になります。そのときも確かに『読み方わからないけど、すごくいいバンド。いい曲』ってSNSで言ってくれた人もいました。いいアルバムができて日本を回ったときに各地で『よく来てくれたね』って言ってくれる人がいて、東京に戻ってきたら、“あなた”が待ってくれていました」とこれまで支えてくれたファンへの思いを述べ、「ずっと見てくれているあなたがいました。見つけてくれて、出会ってくれて本当にありがとう。このスタンスはこれからも変わらないです。だからこれからも歌う理由をください」と述べた。「俺たちの始まりの曲をひとつ。どれだけ心の距離が離れても、環境が変わっても、変わらないものがある。変わらない歌がある。変わらない言葉があるんだよ」と告げ、山口が歌い始めたのは「ウーロンハイと春に」。バンドにとって特別な曲をオーディエンスと歌い上げ、彼らはツアーを締めくくった。
セットリスト
osage「ENSEMBLE TOUR 2024」2024年7月27日 WWW X
01. monologue
02. letter
03. 少年少女
04. ノータイトル
05. 世明けの唄
06. Greenback
07. ニューロマンス
08. ニヒリズム
09. フロイト
10. あの頃の君によろしく
11. 残り香
12. 夜煩い
13. ホンネ
14. 赤に藍
15. 青かった。
16. セトモノ
17. エピローグ
<アンコール>
18. マイダイアリー
19. ウーロンハイと春に