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ユニゾンとオーケストラが五線譜を飛び回った特別な一夜、サプライズゲストも駆けつけ20周年祝福

「UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE オーケストラを観にいこう」の全出演者。(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])
3か月前2024年07月30日 13:02

UNISON SQUARE GARDENが7月25日に東京・日本武道館にてオーケストラライブ「UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE オーケストラを観にいこう」を開催した。

ユニゾンは前日7月24日に結成20周年記念日を迎え、アニバーサリーライブ「ROCK BAND is fun」を同じ日本武道館で開催。これに続いて行われたオーケストラライブはストリングスとブラスセクションを迎え、通常のライブではシーケンスの音源とともに演奏している曲目を中心に生演奏によるパフォーマンスを繰り広げるという内容で、ファンが楽しみにしていた楽曲から予想外の楽曲まで、幅広いナンバーがこの日限りのアレンジで届けられた。

総勢38名のアンサンブル

開演前の武道館にはクラシックの名曲の数々がBGMとして流れ、ステージセットは前日24日と同一ながらまったく異なる雰囲気が漂う。モーリス・ラヴェルの「ボレロ」の音がひときわ大きくなる中、クラシックコンサートさながらに開演を告げるブザーが鳴り、アリーナ席、そして360°のスタンド席の満員の観客からは期待を込めた拍手が起こった。

今回のライブに参加したオーケストラの編成は弦楽器15名、木管楽器7名、打楽器2名、金管楽器9名と、鍵盤を担当した成田ハネダ(パスピエ)、全曲のアレンジとこの日の指揮を務めた伊藤翼の計35名。メンバーが続々とステージに現れると、その人数の多さに客席からはどよめきが起こった。音合わせが終わり、ステージには黒いセットアップ姿の斎藤宏介(Vo, G)が登場。マイクに向かった斎藤はストリングスとピアノに乗せて、1曲目「アンドロメダ」をしっとりと歌い始めた。柔らかなアンサンブルに鉄琴の涼やかな音も加わり、楽曲の世界がオーディエンスの目の前に鮮やかに展開されていった。

ここに同じくセットアップ姿の田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)が加わり、全員で奏でたのは「フルカラープログラム」。総勢38名が繰り出す重厚なアンサンブルに、武道館中から新鮮な驚き混じりの大歓声が沸き起こった。ホーンセクションのメンバーがステージを降りたのち、斎藤は大所帯のステージを振り返りつつ「こう見えて、UNISON SQUARE GARDENです(笑)」と挨拶。「今日だけは“USGフィルハーモニック”と名付けて演奏していただきます。前後半に分けて、前半はストリングスの皆さんとお届けします。ごゆるりとお楽しみください」とライブの構成を説明した。

オーケストラアレンジの「カオスが極まる」に武道館騒然

続いては「さわれない歌」へ。サビの印象的なストリングスサウンドが生演奏で届けられ、オーディエンスは感動に満ちた眼差しをステージに送った。田淵と鈴木がいったんステージを降り、斎藤がハンドマイクを握って歌ったのは「君はともだち」。成田が奏でる軽やかなピアノ、ストリングスと木管のたおやかさと力強さを兼ね備えたサウンドに乗せ、斎藤は心地よさそうに体を揺らしながら透明感にあふれた歌声を響かせた。

田淵と鈴木が再び加わり、成田のエモーショナルなピアノソロから始まったのは「harmonized finale」。壮大なサウンドスケープで客席を圧倒すると、さらに「kaleido proud fiesta」へとつなげて観客を狂喜させた。流麗なストリングスフレーズの数々を笑顔で楽しんでいたオーディエンスだが、続いて「カオスが極まる」が始まるとその予想外の選曲に大きな驚きの声が上がった。鈴木が刻む力強いビートに乗せて観客の大合唱とオーケストラの不穏なアンサンブルが響き合い、武道館はまさにカオスな空間に。間奏では斎藤のギターとストリングスが息もぴったりなユニゾンで奏でられ、客席からは怒号のような歓声が上がった。

「オリオンをなぞる」を終えたのち、MCで斎藤は「ちょっとすごすぎるな……来年以降はUNISON SQUARE GARDENが30人編成になるかも(笑)」と手応えを明かし、「このあと15分の休憩を挟みます。トイレに行くなり休むなり、Xに興奮を投稿するなりしてください(笑)」と前半パートの終了を告げた。ストリングスセクションとのラストナンバーは「春が来てぼくら」。前日24日のライブでは3人の切実な思いとともに届けられた楽曲だが、この日は芳醇な音色とともに幸福感に満ちたナンバーとして観客を包みこんだ。

“妖精”イズミカワソラ登場、ビスたんは「ドラマーの悲願」叶える

15分の休憩後にホーンセクションの9名と成田がステージに登場し、再びブザーの音が鳴り響いて場内の照明が落ちる。ユニゾンの3人と指揮者の伊藤も加わり、後半パートの最初に披露されたのは「like coffeeのおまじない」だ。軽快なサウンドで再び武道館の空気を温めたあとは「フライデイノベルズ」へ。ホーンズのカラフルな音色に彩られ、3人の演奏もより輝きを増してオーディエンスのもとに届けられた。

成田がステージを降りたのち、斎藤は「後半はUSGフィルハーモニック、ホーンセクションの皆さんとお届けます」と紹介。そして「ただでさえスペシャルな夜なんですが、お祝いしてほしい人がいるので連れてきました」とサプライズゲストの出演を告げて観客を驚かせた。ここで登場したのはユニゾンの日頃のライブでオープニングSEとして流れる楽曲「絵の具」を歌うイズミカワソラ。燕尾服風のジャケットにスカート姿で現れたイズミカワは、斎藤から「……お祝いの言葉をもらってもいいですか?(笑)」と促されて「おめでとうございます!」と祝福を送った。イズミカワを加えて披露されたのは、彼女がレコーディングにもミュージックビデオにも参加した楽曲「mix juiceのいうとおり」。ユニゾンの3人の演奏とイズミカワのコーラスとピアノ、ホーンセクションの音がにぎやかに響き合い、観客に笑顔をもたらした。

パタパタとステージを走り去ったイズミカワを斎藤が「……妖精だったのかな?(笑)」と見送ったあとは、さらなるサプライズゲストが登場した。ここで現れたのはBIGMAMAのドラマー、ビスたんことBucket Banquet Bis。大太鼓を抱えて現れたビスたんは「今日は『ドラマーだってたまには動き回りたい』という悲願を叶えます。しかしそれには私より適任がいると思いまして、勝手ながら任命させていただきます。スーパー大太鼓、鈴木貴雄!」と、親交の深い鈴木に大太鼓を渡して自身はドラムセットに座った。ビスたんがドラムを、鈴木が大太鼓を叩いた曲は、力強いドラムが印象的なナンバー「恋する惑星」。鈴木は日頃のライブでの田淵を超える移動距離で武道館中の観客とコンタクトしつつ、センターマイクでコーラスも行う八面六臂の大活躍を見せる。演奏を終えると、斎藤は「御年39歳、がんばりましたよ」と鈴木をねぎらった。

ユニゾンファン代表ukicaster&大先輩スカパラホーンズも祝福

「まだ祝ってくれる友達……というか、ファンが紛れこんでます」と斎藤が紹介した3人目のゲストは、ユニゾンのファンクラブ会員だというハンブレッダーズのギタリスト・ukicaster。彼はユニゾンがファンをエキストラに迎えて撮影した「桜のあと(all quartets lead to the?)」のミュージックビデオに出演していたという経歴の持ち主だ。高校生時代にユニゾンのコピーバンドを組んでいた仲間たちと応募して当選し、出演を果たしたというukicasterについて、斎藤は「当時から輝いていて。映像のチェックをしてるときに田淵が『監督、この子抜いてください』と言ってたんです(笑)」と振り返る。その隣で田淵はukicasterがMVの中で見せた動きを再現してみせ、ファンの笑いを誘った。その後に彼らが披露した曲はもちろん「桜のあと(all quartets lead to the?)」。ukicasterは田淵に促され、向かい合って演奏したりセンターに立ったりと、憧れの存在との共演を存分に楽しんでいる様子を見せた。

鈴木のパワフルなドラムソロに続いて登場した最後のサプライズゲストは、東京スカパラダイスオーケストラのNARGO(Tp)、北原雅彦(Tb)、GAMO(Tenor Sax)、谷中敦(Baritone Sax)。ホーンズが13人体制となって披露されたのは、オリジナルでもキラキラとしたホーンセクションのサウンドが印象的だった「君の瞳に恋してない」だ。スカパラの4人とユニゾンの3人はアイコンタクトを交わしつつ、ド派手なアンサンブルを繰り広げる。さらに豪速キラーチューン「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」が始まると、客席は阿鼻叫喚状態となった。情熱的なパフォーマンスが終わり、武道館中から大歓声が浴びせられる中、谷中は「20周年おめでとう! 祝えるのが本当にうれしいです、奇跡の3人だと思います。スカパラは9人だけど、ユニゾンはそれぞれが3人ずつの働きをしてると思います」と評して祝福。斎藤も「これからもデカくて渋くて、かっけえ背中を見せてください!」と35周年を迎える大先輩の言葉に感謝を表した。

「今日が生きてきて最大のご褒美かも」

スカパラホーンズを見送ったあと、斎藤は「ホントに20年続けてきてこんなことが実現できるとは夢にも思いませんでした。今日が生きてきて最大のご褒美かもしれませんね」と、この日のステージへの思いを明かした。ここでストリングスセクションもステージに加わり、再びフルメンバーの編成へと戻る。圧巻のオーケストラサウンドで「いけないfool logic」を華やかに届けたあとは「シュガーソングとビターステップ」へ。38名が奏でるそれぞれの音が歌詞の通りに五線譜を飛び回り、オーディエンスも喜びと楽しさと感動が入り混じった感無量の表情でその音を楽しむ。大サビではステージ上の全員が立ち上がって演奏し、観客の大歓声に応えた。

「特別すぎる夜を一緒に過ごしてくれてありがとうございました。次で最後の曲です」という斎藤の言葉に続き、披露されたラストナンバーは今回のライブのタイトルにもなった「オーケストラを観にいこう」。荘厳なアンサンブルが武道館を震わせる中で客席の照明が点灯し、紙吹雪が舞ってエンディングを華々しく飾った。全19曲の演奏を終えたあと、斎藤と田淵と鈴木、そして伊藤と成田は握手やハグを交わしてこの日の熱演を称え合う。最後に5人は生声で「ありがとうございました!」と挨拶し、帰り道へと観客を送り出した。

なおライブの終演後には前日24日のアニバーサリーライブ「ROCK BAND is fun」と、今回のオーケストラライブ「オーケストラを観にいこう」2公演の映像作品リリースがアナウンスされた。詳細は後日発表される。

セットリスト

「UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE オーケストラを観にいこう」2024年7月25日 日本武道館

01. アンドロメダ
02. フルカラープログラム
03. さわれない歌
04. 君はともだち
05. harmonized finale
06. kaleido proud fiesta
07. カオスが極まる
08. オリオンをなぞる
09. 春が来てぼくら

10. like coffeeのおまじない
11. フライデイノベルズ
12. mix juiceのいうとおり
13. 恋する惑星
14. 桜のあと(all quartets lead to the?)
15. 君の瞳に恋してない
16. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
17. いけないfool logic
18. シュガーソングとビターステップ
19. オーケストラを観にいこう

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