LUNA SEAが、ヤマハ株式会社が技術研究、開発を進める取り組み「ライブの真空パック」のアンバサダーに就任。東京・ヤマハホールで行われたアンバサダー就任発表会に出席した。
「ライブの真空パック」は、ライブやコンサートの体験を無形の音楽・文化資産として保存することを目指す取り組み。ヤマハの最新技術およびテクノロジーを用いてライブ体験の保存、再現の機会を創出するというものだ。主要な取り組みとして、ヤマハは実際の楽器の演奏をリアルに自動再現する「Real Sound Viewing」、高臨場感ライブビューイングシステム「Distance Viewing」という2つのサービスを事業開発している。
この取り組みのアンバサダーとなったLUNA SEAは2026年3月末までの期間、ヤマハの新技術のトライアルへの協力を行うほか、ライブでの新技術の導入およびライブデータの記録、資産化を実施。さらには「Real Sound Viewing」「Distance Viewing」によるライブの再現コンサート企画などに協力していく。
発表会にはJ(B)とSUGIZO(G, Violin)が参加した。「ライブの真空パック」アンバサダーについて、SUGIZOは「夢の塊じゃないですか。僕らの演奏や息遣いが100年後に残っていく。そこにロマンを感じました」と就任を決めた理由を明かす。なお2人は、昨年行われた公演「LUNA SEA Back in 鹿鳴館」を「ライブの真空パック」の技術で再現したライブを発表会の前に体験。SUGIZOは「ミュージシャンのタッチや息遣いがリアルに記録されて、それが体感できるというのはあるようでなかったこと。この技術がもっと昔に実現していたならば、ジミ・ヘンドリックスやジョン・レノン、フランク・ザッパの演奏を再現できるということじゃないですか。ミュージシャンとしてただただ感動します」と感想を語る。続くJも「バンドにおいて低音は重要な要素を占める楽器で、そういう意味でも僕の演奏した音と違っていたら嫌だなという不安があったのですが、僕が弾いたタッチと音色が蘇っていました。これは音楽業界にとって、とんでもないことなんじゃないかと思っています」と感想を伝え「僕らのライブ活動の中で1つだけ叶わないことがあるとすれば、ライブしている姿を自分たち自身で観られないこと。でも、僕ら今観てきたんです(笑)。演奏が未来に残っていくことの可能性を感じましたし、全ミュージシャンの希望を乗せた挑戦なんじゃないかと思います」と興奮気味に続けた。
トークセッションでは、MCから「自分たちにとってライブとはどういうものか」と問われた2人。SUGIZOが「僕らは35年間ライブで叩き上げてきたので、ライブこそが存在証明であり、ステージこそが自分の居場所だと思っています」と言うと、Jは「もしこの世にライブが存在しなかったら音楽をやっていなかっただろうと思えるくらい、自分にとって重要な位置を占めるもの」と語る。そしてJは「ライブというのはミュージシャン同士、ミュージシャンと観に来てくれた方がぶつかり合ってできあがっていく、形があってないようなもの。その“うねり”が未来に向けて残っていくっていうのは想像を超えるんですよね。今までの音楽になかったものが生まれる瞬間を僕らは見られるんですから」と「ライブの真空パック」の今後の展開について期待を寄せた。これにはSUGIZOも「“次の100年”が始まったような感覚ですね。蓄音機が生まれたことと同じような革命だと思う。お客さんにリアルに楽しんでもらえるレベルにくれば、本当にすごいこと」と同調。「現状、個人的にはドラムの再現がすごいと思っていて。まだまだこれから、さらに進化していくと思います」とコメントした。
自分たちの演奏を鑑賞、体感したことについて「自分のライブを観るのはどんな感覚でしたか?」と質問が飛んだ際には、Jが「照れましたよ!」と即答して笑い「僕自身や幼なじみが演奏している姿を見て、同じ空間にはSUGIZOがいて(笑)。冷静に観ると『まだまだ俺たちいけるな』という部分と『すごい技術だな』という部分と。いろんなことを思いましたね」と回答。SUGIZOも「恥ずかしかったですね」と笑みを浮かべつつ「でも感動はします。Jが言ったように、普通はできない、不可能だと思っていたことなのでね」と、初体験の実感を語る。そしてJは「僕らミュージシャンの演奏には、本当に個性が存在するんですよね。その音符が怒っているのか泣いているのか? どんな形をしているのか、プレイヤーの個性によって変わるのが音楽」と語ったうえで、「ライブの真空パック」の可能性について「自分たちの演奏が残るということは、プレイヤーの魂が残っていくということ」と思いを口にしていた。