TMG(Tak Matsumoto Group)が10月12日に東京・東京ガーデンシアターでライブツアー「TMG LIVE 2024 -Still Dodging The Bullet-」の最終公演を開催した。
20年ぶり再始動、夢のような宴が始まる
TMGは松本孝弘(G / B'z)がギターとプロデュースを担い、ジャック・ブレイズ(B, Vo / Night Ranger)、エリック・マーティン(Vo / Mr. Big)がオリジナルメンバーとして在籍する日米合同バンド。本ツアーにはレコーディングにも参加したマット・ソーラム(Dr / ex. Guns N' Roses、Velvet Revolverほか)、B'zのサポートでもおなじみのYukihide "YT" Takiyama(G)も参加した。約20年ぶりの再始動が発表された際に大きな話題を呼んだほか、9月発表リリースの2ndアルバム「TMG II」にBABYMETALやLiSAがゲスト参加したことでも注目された。
日米ドリームバンドの再始動を飾るツアーには毎公演、大勢の観客が参加した。ツアーファイナルは、和をモチーフにした映像がステージと客席を隔てる紗幕に映し出される演出とともにスタート。 LiSAがレコーディングに参加した「THE STORY OF LOVE」の演奏開始とともに紗幕が下ろされる。紙吹雪が舞う中、豪華メンバーからなるTMGのお出ましだ。ステージにはTMGロゴを配した巨大な提灯が吊るされ、TAKこと松本の背後にはアイコニックな「玲」の文字が書かれたTwo-Rock製キャビネットが、まるで巨大な壁のようにそびえ立っていた。ひとたびTAKのギターとメンバーの演奏が重なれば、そこは完全なるTMGワールド。バンドサウンドと沸き上がる歓声に呼応するかのようにステージから火柱が噴き上がった。
名曲カバーも飛び出す豪華絢爛ロックンロールショー
TAKはこの日、杢目が美しい「Gibson Tak Matsumoto Double Cutaway Quilt Top Brown Sunburst #5001」や、赤いボディが印象的な「Gibson Tak Matsumoto Double Cutaway Prototype 2004 #9」など、彼の代名詞とも言えるGibsonのシグネチャーモデルを使用した。弾むリズムとキャッチーなメロディのシンガロングで盛り上がった「DARK ISLAND WOMAN」では、TAK節全開のメロディアスなフレーズが炸裂。観客はそのサウンドを爆音で浴びながら、腕を大きく振った。和の要素を盛り込んだミディアムチューン「JUPITER AND MARS」ではマットのどっしりとしたドラムと、ジャックのグルーヴィなベースに乗せて、TAKが雅なギターソロを奏でた。
「次の曲は座って歌うよ、美しい曲だ。聴いてください」というエリックの呼びかけで始まった「FAITHFUL NOW」では、彼が階段状になっているドラムセットの前に腰掛けて熱唱。黒いGibson DCを構えたTAKは、ウォームなクリーントーンからリッチな歪みに音色を変える、壮大なソロを奏でた。この日のライブは「TMG II」からの楽曲が中心だったが、ライブ中盤には「Everything Passes Away」「OH JAPAN ~OUR TIME IS NOW~」という2004年発表の1stアルバム「TMG I」からの楽曲が続けて披露された。TAKはマイケル・シェンカーからの影響を存分に感じさせつつも、彼独自のトーンへと昇華させたおなじみの“半ワウ“サウンドを弾き倒した。
一瞬の静寂のあと、波の音が観客の耳に届く。暗がりの中で始まったのはTAKによるインスト曲「Waltz in Blue」。ゴールドトップのレスポールに持ち替えたTAKは、まるでウイスキーのように芳醇なトーンで観客を酔わせた。エリックは「楽しんでるかい? 僕も楽しんでるよ!」と笑顔を見せ、「みんな20年前と変わってないね!」と冗談を飛ばす。マットは「僕の名前はマット・ソーラムです。You are 素晴らしい!」と日本語を交えて話した。パフォーマンス中も陽気なジャックは「こんにちは! ジャックさんと呼んで。美しい日本に来れて光栄に思います!」と日本語で挨拶。そしてアコースティックギターを持ったエリックがスパニッシュコードを弾きながらメンバーの名前を叫び、TAKのことは「Mr.レジェンド」とリスペクトを込めて紹介した。アットホームな雰囲気の中、MR.BIGの名曲「TO BE WITH YOU」が披露され、TAKはアコギで上品なギターソロを奏でた。
TMG × BABYMETALの豪華コラボも
ライブ後半ではサイケデリックでグルーヴィなハードロックチューン「COLOR IN THE WORLD」、骨太なロックチューン「MY LIFE」の2曲によって、場内の熱量が徐々に増していく。爽快なロックチューン「CRASH DOWN LOVE」でさらにヒートアップしたところに、キラーチューン「KINGS FOR A DAY」が投下され、TAKはステージ下手へと走ってからギターソロを披露。躍動感のある盤石のアンサンブルが会場の一体感を高め、フロアが揺れるほどの盛り上がりを見せた。
ライブ終盤、TMGはここでゲストとしてBABYMETALが登場することをアナウンス。TAKが「They are coming!」とBABYMETALのSU-METAL(Vo, Dance)、MOAMETAL(Scream, Dance)、MOMOMETAL(Scream, Dance)をステージに呼び込んだ。3人はTMGのメンバーと観客に丁寧にお辞儀をしたあと、TMGの演奏をバックに、TAKがレコーディングに参加したBABYMETALのオリジナル曲「DA DA DANCE」をパフォーマンス。TAKがGibsonの白いDCで流麗なギターソロを奏で、その音色を浴びながらBABYMETALのメンバー3人が華やかに舞った。MOAMETALがTAKに手を合わせてお礼をする場面もありつつ、MOAMETALとMOMOMETALが退場。そしてエリックとSU-METALのデュエットで「TMG II」の収録曲「ETERNAL FLAMES」が届けられ、ツインボーカルとTAKのギターサウンドが交わる豪華なコラボでライブ本編が締めくくられた。
夢のような一夜、華々しいフィナーレ
アンコールではジャックがセンターに立ち、「Rock in Tokyo!」とシャウト。Night Ranger「(You Can Still)Rock in America」が始まると、ステージ後方には巨大な日本とアメリカの国旗が並ぶ。日米合同バンドらしいダイナミックな演出もありつつ、ジャックは陽気に踊り、歌い、ベースを弾いた。TAKはピンクのボディがまぶしいErnie Ball Music Manの「EVH Model PINK」でアームを使った変幻自在のギターソロを披露。この曲ではYTが“8フィンガー奏法”を繰り出し、歓声を浴びた。エリックが「TMGファンは最高だ! ありがとうギターヒーロー・TAK! TMG is my life!」と高揚した様子で話したあと、ラストナンバー「GUITAR HERO」が演奏された。エリックもジャックもおどけるような仕草を見せながら楽しげにパフォーマンスをし、マットも笑顔を見せる中、TAKはガッツポーズ。TAKとその周りではしゃぐ愉快な仲間たちからなるTMGによる夢のような一夜はエンディングを迎える。最後には寡黙だったTAKが「みんな今日は来てくれて本当にどうもありがとう。気を付けて帰ってね」とファンに優しく声かけ。歓声を浴びながらステージを去った。
セットリスト
TMG「TMG LIVE 2024 -Still Dodging The Bullet-」2024年10月12日 東京ガーデンシアター
01. THE STORY OF LOVE
02. ENDLESS SKY
03. THE GREAT DIVIDE
04. DARK ISLAND WOMAN
05. JUPITER AND MARS
06. FAITHFUL NOW
07. Everything Passes Away
08. OH JAPAN ~OUR TIME IS NOW~
09. Waltz in Blue
10. TO BE WITH YOU
11. COLOR IN THE WORLD
12. MY LIFE
13. CRASH DOWN LOVE
14. KINGS FOR A DAY
15. NEVER GOOD-BYE
16. DA DA DANCE with BABYMETAL
17. ETERNAL FLAMES with BABYMETAL
<アンコール>
18. (You Can Still) Rock in America
19. GUITAR HERO
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