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ASTERISMがライブで再現する「PLANET OF METAL」の世界、演奏を通して“Enemy”と対決

「ASTERISM LIVE TOUR 2024 -PLANET OF METAL」ファイナル公演の様子。(Photo by kazuyakohsaka)
10分前2024年12月05日 9:04

ASTERISMのライブツアー「ASTERISM LIVE TOUR 2024 -PLANET OF METAL」のファイナル公演が11月29日に東京・UNITで開催された。

11月4日のアメリカ・ロサンゼルス公演を皮切りに、福岡、大阪、東京で行われたこのツアー。今年5月にリリースされた、イラストレーターAcky BrightとのコラボレーションEP「PLANET OF METAL」の世界観を踏襲したASTERISMならではの“マスメタル”が展開された。

フロアに充満していく独特のグルーヴ感

定刻が過ぎ会場が暗転すると、美しいピアノの音色に導かれるようにステージ後方スクリーンに光の屈折を利用した映像が映し出される。続いてSEが荘厳なサウンドへと変化し、オーディエンスがそれに合わせてクラップする中、ステージに登場したASTERISMの面々は、ミディアムテンポのインストチューン「Planet Of Metal」でライブをスタートさせた。ツーバスプレイを大胆に取り入れたMIO(Dr)のヘヴィなドラムに、HAL-CA(G)とMIYU(B)が繰り出すテクニカルなユニゾンプレイが重なることで、独特のグルーヴ感が生み出されていく。曲中ではHAL-CAによるメロディアスなソロプレイが大々的にフィーチャーされ、メタリックなインストナンバーながらも観客に親しみやすさを強く感じさせた。

1曲披露し終えると、ステージ中央に立ったHAL-CAが腕を高く掲げてから激しいギターリフを弾き始め、そのまま「Gunfire」へと突入。ダークさを強調したアレンジと赤を基調とした照明演出とが相まって、会場はカオティックな空気に包まれていく。さらに、疾走感の強い「BLAZE」ではタッピングを用いたMIYUのベースソロや、フラッシーなHAL-CAのギターソロも飛び出し、フロアは早くもクライマックスのような盛り上がりを見せた。

ASTERISMがさまざまな“Enemy”と対決

最初のMCではHAL-CAが新作「PLANET OF METAL」の制作過程について触れ、「最初はなんのテーマもなくプロジェクトがスタート。私たちがラフなデモを送ると、それに対してAckyさんがイラストで返してくるという、セッションのようなやり取りから生まれたのが今回の作品。今日はイラストと音楽のコラボならではのライブを楽しんでもらえるんじゃないかと思います」と語る。そして、ここからはさまざまな“Enemy”と対決する、「PLANET OF METAL」の濃厚な世界がライブで表現されていく。

背景にドラゴンのイラストが映される中、バンドは「THE DRAGON」を披露。タイトなビートに乗せて、激しさと耳触りのよさを交えたプレイでリスナーを圧倒すると、続く「THE NINJA」ではダイナミックな演奏でスリリングさを演出するなど、戦う相手が変わるごとに巧みなバンドアンサンブルで“Enemy”と対峙していく。巨大なイカを相手にした「THE SQUID」では、水中での息苦しさを不協和音で再現してみせたほか、HAL-CAとMIYUのボーカルも効果的に取り入れ、多彩な表現力で観客を圧倒した。

息をのむような演奏が続く中、MCでは11月23日に22歳の誕生日を迎えたばかりのHAL-CAが抱負を口にしたり、ライブ会場のある代官山で「人生で初めて流れ星を見た」という思い出話をしたりと、和やかな空気に包まれる。しかし、「THE ZOMBIE」でパフォーマンスが再開すると空気は一変。恐怖心を煽るようなフレーズを重ねながら、ダークなメタルサウンドが構築されていく。ベースのメロウなアルペジオやギターのボリューム奏法を効果的に取り入れた「Church」に続いては、MIOの豪快なドラムソロに突入。バスドラの四つ打ちに合わせてオーディエンスがクラップを始めると、MIOはスネアやタムタム、シンバルなどを巧みに使い、リズムに変化を加えていった。

“最後の死闘”で物語が華々しく完結

そして、グルーヴ感の強いビートからアップテンポに変化する「THE ROBOT」を経て、HAL-CAが自身の繰り出すリフに合わせて「Last World」を歌唱。リズム隊が大きなノリを生み出す中、HAL-CAは細かなフレーズを奏でながら伸びやかな歌声を響かせる。ストレートなアッパーチューン「STARDOM」では各パートが主張の強いプレイを聴かせながらHAL-CAのボーカルを全面に打ち出し、ドラマチックなアレンジの「Light In The Darkness」でライブの盛り上がりはさらに加速した。

メンバーが口々に「楽しい!」と口にする中、ASTERISMの“バトル”も次の曲で最後を迎える。HAL-CAが「次の敵がラスボス、これを倒すことで物語も本当に完結となり、新たなステージへの幕開けへとつながります。最後の戦い、しかと見届けてください」と告げて「THE TITAN」がスタートすると、勇ましさが伝わる演奏と情熱的なボーカル、静と動のコントラストを用いたダイナミックなアレンジで最後の死闘を見事に表現。ラストには勝利の雄叫びのようなギターフレーズが鳴り響き、「PLANET OF METAL」の物語は華々しく完結を迎えた。

「不遇職【鑑定士】が実は最強だった」OP曲初披露

観客の“ASTERISMコール”に導かれステージに再登場したメンバーは、「Rising Moon」でアンコールを開始。安定したビートの上に細かなフックをちりばめていくドラム、バンドの屋台骨を支えながらメロディ楽器としての役割も見事に果たすベース、パワフルさのみならずチョーキングやピッキングハーモニクスを交えて繊細さも織り混ぜたプレイで存在感を示すギターと、その技術の高さから3人それぞれが主役であることを示す。この若き才能の塊に対し、フロアからは盛大な拍手と声援が送られた。

最後のMCでは、思わず感極まってしまうHAL-CAに感化されたMIYUが「僕たち、11月でバンド結成して10周年なんですよ。3人でずっとがんばってきて、こんなにいっぱいのお客さんに集まってもらえて、本当にうれしいです」と感慨深げに話す。その一方で、MIOは「今日はもうそろそろ帰るんですけど……みんなのメタルを見せてくれ!」とメロイックサインを掲げてオーディエンスを煽った。そしてバンドからの“大切なお知らせ”として、来年1月に放送スタートするテレビアニメ「不遇職【鑑定士】が実は最強だった」のオープニングテーマをASTERISMが担当することが発表された。HAL-CAが「今までアニソンカバーをしたり、アニメのイベントに出させていただいたこともあったけど、自分たちオリジナルのアニソンはこれが初めて。せっかくなので、今日はその曲をやっちゃおうかなと思います」と告げると、新曲「Crescendo」が初披露された。キャッチーなボーカルを全面に打ち出しつつも、ASTERISMらしく豪快なテクニカル要素が満載のアレンジを持つこの曲は、バンドをより幅広い層に知らしめるうえで重要な1曲になりそうだ。

ギターのフィードバック音と「本当の本当にラスト。またぜひ会いに来てください」というメッセージに続いて、ライブは正真正銘のラストナンバー「METAL」へ突入する。ASTERISMの真骨頂というべき、バカテク要素を凝縮したファストナンバーはスタジオ音源以上のBPMで演奏され、HAL-CAのまっすぐな歌声とともにフロアの熱気は急加速。大団円と呼ぶに相応しい盛り上がりで、国内外を駆けめぐったライブツアーは幕を下ろした。

セットリスト

「ASTERISM LIVE TOUR 2024 -PLANET OF METAL」2024年11月29日 UNIT セットリスト

01. Planet Of Metal
02. Gunfire
03. BLAZE
04. THE DRAGON
05. THE NINJA
06. THE SQUID
07. THE ZOMBIE
08. Church
09. THE ROBOT
10. Last World
11. STARDOM
12. Light In The Darkness
13. THE TITAN
<アンコール>
14. Rising Moon
15. Crescendo
16. METAL

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