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ビルボードのステージに有安杏果とピアノのみ、88個の鍵盤と豊かな歌声で紡いだ「Piano Note」

「有安杏果 A Little Harmony Live 2025 ~Piano Note~」の様子。(写真提供:Apricot Music Records)
約1か月前2025年02月18日 10:02

有安杏果が2月14日に大阪・ビルボードライブ大阪、16日に神奈川・ビルボードライブ横浜でピアノの弾き語りライブ「有安杏果 A Little Harmony Live 2025 ~Piano Note~」を開催した。

有安は2024年2月にもビルボードのステージに立ち、単独公演 「Jazz Note 2024」を開催したが、そのときに披露されたのはバンド形式でのパフォーマンス。今回の公演「Piano Note 2025」では有安1人がステージに上がってグランドピアノと向き合い、88個の鍵盤と自身の声だけでじっくりと楽曲を紡いだ。この記事ではビルボードライブ横浜公演の模様をレポートする。

静寂の中を自由に泳ぐピアノの音色と歌声

開演時刻を迎えると、チェック柄のブラウンの衣装に身を包んだ有安が客前に姿を見せ、ステージ上で深々とお辞儀をする。ピアノの前に腰かけた彼女が公演の幕開けに響かせたのは、オリジナルバージョンでも跳ねるようなピアノサウンドが印象的なポップチューン「TRAVEL FANTASISTA」だ。落ち着いた空間の中で観客がじっくりと音楽に耳を傾けるのがビルボードライブの特徴で、ライブハウスにはない独特の緊張感が漂うが、有安は躍動感のあるピアノの音色と伸びやかな歌声を静寂の中で自由に泳がせてみせる。2曲目「Drive Drive」でも軽やかなタッチでピアノを弾き、瞬く間に観客を夢中にさせた彼女は「ようこそ『Piano Note』へ!」と笑顔で挨拶した。

続く「オレンジ」は普段のライブではアコースティックギターで披露されているが、もともとはピアノで制作された楽曲。情感に満ちた歌声やミラーボールが放つオレンジ色の光が、切ない黄昏の情景を観客に想像させた。さらに有安が約9年前に人生で初めて作詞作曲した楽曲「ハムスター」もセットリストに組み込まれ、旋律ににじむ温かな感触がピアノの弾き語りによってより一層強調された。

昨年の自身の誕生日にアップライトピアノを購入し、ピアノの基礎を学び直したという有安は「普段ギターでやっている曲をピアノで披露すると、また新たな曲の魅力や解釈が見えてきて。でもすごく大変で、『このギターソロどうする……?』とか(笑)、いろいろ迷いながら今日のこのライブに向けて準備してきました。次の曲もいつかピアノで弾き語りしたいと思っていた曲です」と語ると、次にジャズテイストのナンバー「愛されたくて」を歌い始める。「愛されたくて」は今回のセットリストの中でも特に高難度の楽曲で、有安は曲の途中でわずかにミスをして一度演奏を中断してしまう。しかし「もう1回やらせてもらってもいいですか?」という彼女の問い掛けに対し、客席からはすぐさま大きな拍手の返答が。気を取り直し、イントロから改めて弾き語りを始めた有安は、曲の終わりまで見事なプレイを繰り広げ、再び喝采を浴びた。「愛されたくて」とその次に披露された「遠吠え」はどちらも渡和久(風味堂)の提供曲。彼からピアノの指導を受けたという有安はそのときの苦労を明かしつつ、「この2曲をビルボードで届けられて本当にうれしいです!」と充足感を表情ににじませた。

有安杏果はなぜ音楽をやりたいのか

その後も真摯にピアノに向かい、上質な音楽を届けていく有安。ゆったりとしたテンポの楽曲「裸」では伸びやかで奥深い歌声が場内にこだまし、ステージから客席へとじっくりと染み渡っていく。「音楽の道でがんばっていこうと決心はしたものの、やっぱりすごく厳しいというか、楽な世界ではなくて。でももちろんあきらめないし、マイペースに自分が届けたい音楽を届け続けたいと思っています。なんで音楽をやりたいのかと聞かれたら、皆さん365日の中でハッピーなことばかりじゃなく、それぞれいろんな思いや事情があるはずで。そういうときに私の音楽が少しでも力になったらと思っています」という語りをきっかけに披露されたのは、「Piano Note」に向けて制作された新曲「Prelude」。聴衆に寄り添うような、優しくも力強い歌声に盛大な拍手が沸き起こり、歌い終えた有安の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

「いろんな音楽の届け方をできているんじゃないかなって。それぞれを楽しんでくれたらうれしいし、これからもがんばっていくのでよろしくお願いします」という音楽活動に対する意気込みの言葉を経て、ライブはクライマックスへ。本編ラストに披露された「feel a heartbeat」では手拍子や「Wow wow Yeah Yeah!!」というコール&レスポンスが会場に響き、温もりを伴った一体感が充満した。

「Piano Note」を締めくくった洋楽カバー

アンコールを求める手拍子に導かれ、有安は再度ステージへ。改めて観客に感謝の気持ちを伝えたのち、彼女が「Piano Note」を締めくくる楽曲に選んだのは、ビリー・ジョエルの名曲「Piano Man」。ピアノの弾き語りライブのフィナーレにぴったりなカバーだ。この公演ではジントニックが特別メニュー“ももカクテル”として提供されたが、これは「Piano Man」の歌詞に登場する「tonic and gin」というワードにちなんだもの。昨年「TOEIC Listening & Reading Test」で875点という高得点を記録した有安は、なめらかな発音で英語の歌詞をマイクに乗せ、しなやかな運指で鍵盤を奏でる。彼女がまっすぐに届ける音楽に観客はひたすらに酔いしれた。

有安が初めて鍵盤の弾き語りを披露したのは2017年開催のソロコンサート。そこから月日とともに音楽活動を重ね、アーティストとして大きく成長を遂げた有安は、鳴り止まぬ拍手の中、深々とお辞儀をしてステージをあとにした。なお、有安は30歳の誕生日である3月15日に神奈川・KT Zepp Yokohamaでワンマンライブ「有安杏果サクライブ2025」を開催。4ピース編成でバンドセットライブを繰り広げる。

セットリスト

「有安杏果 A Little Harmony Live 2025 ~Piano Note~」2025年2月16日 ビルボードライブ横浜

01. TRAVEL FANTASISTA
02. Drive Drive
03. オレンジ
04. ハムスター
05. 愛されたくて
06. 遠吠え
07. 裸
08. Runaway
09. Prelude
10. 夢の途中
11. feel a heartbeat
<アンコール>
12. Piano Man

ライブ情報

有安杏果サクライブ 2025

2025年3月15日(土)神奈川県 KT Zepp Yokohama

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