JOYSOUND 音楽ニュース
powered by ナタリー
「JOYSOUND X1」公式サイト「ジョイオンプー」LINEスタンプ販売中

デビュー10周年のTrySail、初の日本武道館公演で新たな出航「この3人だから10年間走ってこれた」

「LAWSON presents TrySail 10周年出航ライブ “FlagShip” in 日本武道館」東京・日本武道館公演の様子。
約1か月前2025年03月08日 10:06

TrySailが3月1、2日にデビュー10周年の幕開けを飾るライブ「LAWSON presents TrySail 10周年出航ライブ “FlagShip” in 日本武道館」を東京・日本武道館で開催した。この記事では2日目の模様をレポートする。

今年の5月13日にデビュー10周年を迎えるTrySail。3人は初の日本武道館公演を行い、デビュー10周年イヤーに向けて“出航”した。

TrySail、10周年イヤー出航です!

会場に入ると、目に飛び込んでくるのはスクリーンに映し出された凪いだ海。どこからともなく穏やかな波音が聞こえ、これから訪れる出航のときを予感させた。しかし開演時間になると、大きな雷鳴が鳴り響き、激しい雨が海面を打ち付ける。そんな嵐の中、ステージにそびえ立つのは1隻の船。ステージに姿を現した麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜はその船の頂上へと上り、TrySailの名が刻まれた旗を堂々と立てた。ひらめく旗をバックに、3人は船上で嵐を切り裂くように「High Free Spirits」を勢いよく歌唱。月が浮かぶ夜の海で3人が同時に右手を掲げて「武道館ー!」と叫んだのを合図に、会場にけたたましいコールが沸き起こった。その勢いのまま3人はステージに散らばり、ロックナンバー「誰が為に愛は鳴る」を熱唱。ライブ序盤から白熱したTrySailのパフォーマンスにつられるように、会場の熱気は留まることなく上昇していった。「TrySail、10周年イヤー出航です!」と麻倉が高らかに告げると、アッパーチューン「WANTED GIRL」がスタート。TrySailはオーディエンスを引き連れ、すさまじい推進力でデビュー10周年イヤーに向けた航海へと旅立った。

「10年ですよ、私たち!」と麻倉が宣言すると、客席から「おめでとう!」という声が飛び交った。ライブタイトル「FlagShip」が意味するのは「旗艦」。雨宮は「最初は小舟だったよね。デビューしたときなんて右も左もわからない中、3人で小舟を必死に船をこいでたんですが、今では旗艦ですって」としみじみと回顧。麻倉は「10年かけてここまで大きくなりました!」と声を弾ませ、夏川は「でも、10周年イヤーはまだまだこれからなので。いいライブをして、最高のスタートダッシュを切りましょう!」と意気込んだ。2月にリリースされた最新シングル曲「そんな僕らの冒険譚!」ではTrySailとオーディエンスが一斉に旗を振って大盛り上がり。さらに1日目とは異なる日替わり曲として「暦物語」のエンディングテーマ「whiz」と「続・終物語」のエンディングテーマ「azure」も続けて披露してオーディエンスを喜ばせた。

ライブ中盤にこぼれた涙

2日目のソロコーナーでは夏川が痛快なロックチューン「シャドウボクサー」を投下。ラウドなサウンドに乗せてまくし立てるように言葉を放ち、唯一無二のカオティックな”夏川ワールド”へと観客を誘った。雨宮は気高き魂が宿るロックナンバー「Eternal」を歌唱。雨宮を象徴する“青色”で日本武道館を染め上げていく。麻倉が歌い上げたのは、HoneyWorksが作詞作曲を手がけたバラード曲「花に赤い糸」。切なくも甘い歌声で赤く色付くような恋心を表現した。ソロコーナーを終え、春を感じさせるピンクを基調とした衣装にチェンジしたTrySailは、美しい桜の映像をバックにHoneyWorks提供の「センパイ。」をキュートに歌唱。麻倉は「セットリストを決めるときに、もしよかったら『花に赤い糸』と『センパイ。』を続けてやりたいですとお伝えして、見事に叶いました」と顔をほころばせた。

「ここまでいろいろな曲を披露してきたんですけど、ここからはまたちょっと違うTrySailの一面を見てもらいたいなと思います」と雨宮が告げると、3人はレーザーライトが飛び交う中でEDMナンバー「Truth.」をパフォーマンス。そして凛とした佇まいで「コバルト」をまっすぐに歌い上げたあと、神秘的なステンドグラスをバックに「ごまかし」を届けた。3人が三段のステージに散らばって座り込み、消え入りそうな儚い声でそっと歌い始めたのは「Lapis」。ピアノとストリングスのアレンジが施されたトラックと、3人の感傷的な表現によって、オーディエンスはシリアスな楽曲の世界観に引き込まれていた。

MCでは3人が思い出話に花を咲かせる。雨宮は「『今までいろんなことがあったね』って楽屋で振り返ってたんですけど、忘れもしないのが2016年の『Odyssey』ツアーですよ」と全20公演にわたるツアーの話を挙げた。夏川は「バッタバッタと倒れました。1人、また1人と……」とメンバーの相次ぐ体調不良を乗り越えてツアーを完走したことを振り返る。麻倉は「つらい思い出だけど、メンバー同士でステージ上でカバーし合って、皆さんにも助けられました」とオーディエンスへの感謝の思いを述べた。さらに夏川は「思えば我々は最初だからドタバタしてたよ」と1stライブでの懐かしいトラブルに言及。するとライブ中盤にもかかわらず、夏川は話の途中で「なんか泣けてきたー!」と突然言い始める。「まだ半分も経ってないよ!」「乾かして乾かして!」と麻倉と雨宮は大慌て。「とっておいて!」と麻倉に言われながら、夏川は早くもポロポロと流れる涙をタオルでぬぐっていた。

“お祭りマッスルユニット”の本領発揮

日本武道館公演に向けて、楽曲投票企画を行ったTrySail。投票結果で上位だった楽曲の中から、2日目には4曲が披露された。まず3人は青空と海をバックに「TAILWIND」でさらなる未来へと進んでいく意思を歌う。ライブでのキラーチューン「マイハートリバイバル」では一体感のあるコールが沸き起こり、会場がお祭り騒ぎとなった。さらに「ホントだよ」「バン!バン!!バンザイ!!!」といったエネルギッシュなナンバーが続き、日本武道館はにぎやかな空気で満たされる。「バン!バン!!バンザイ!!!」が大好きだという雨宮は「熾烈を極めた戦いの中で、まさかの『バンザイ』が滑り込みまして……! ここまで一緒にみんなと『バンザイ』してきた時間はムダじゃなかったんだなって。最高の『バンザイ』をありがとうー! パンフレットにも書いてあるくらい、『バンザイ』をどうにか武道館でできないか祈っていたからすごくうれしいです!」と興奮気味に語った。

ここで「皆さん、忘れてませんか? 我々が“お祭りマッスルユニット”だということを!」と切り出した雨宮。「ラストスパートですが、皆さん、筋肉の準備できてますかー! てめえらの筋肉、まだまだ動けんのかー!」と雨宮は雄叫びを上げるようにオーディエンスを煽った。夏川が「この場所が私たちの『フラッグシップ』です! いつまでもただいまとおかえりを言い合えるように、この船を走らせ続けていきましょう! これからもよろしくね!」と告げると、3人は「Free Turn」を披露。「武道館ー!」と夏川が力いっぱい叫び、割れんばかりの熱いコールを巻き起こしていく。「マイクロレボリューション」をパワフルに歌い踊ったあと、そのまま彼女たちは代表曲の1つ「adrenaline!!!」に突入。会場を爆発的なエネルギーで満たし、ラストナンバー「華麗ワンターン」までTrySailらしい元気いっぱいのパフォーマンスを繰り広げた。

2人と一緒に“TrySail”でよかった

アンコールを求める声に呼ばれて登場したTrySailは、デビュー曲「Youthful Dreamer」を晴れやかに歌唱。さらに1stアルバム「Sail Canvas」のリードトラック「ひかるカケラ」を弾けるような笑顔で届けた。激しい本編のセットリストを経て、雨宮が「本当に限界に挑むようなことになってたけど、みんなの『ひかるカケラ』を見ているとどこまででも行けるような気がしてくる。通常だったらあんなに動けるはずがないんですけど、自分の限界を越えられている感じがするよね」と会場にキラキラと広がる3色のペンライトの光を見渡すと、麻倉は「どうして私たちは限界に挑戦しちゃうんだろう?」と疑問を言葉にする。夏川が「『adrenaline!!!』を出したくらいからじゃない?」と心当たりを話すと、雨宮も「『adrenaline!!!』を作ったことで暴れる楽しさを知ってしまった。ここまで激しいステージをお届けできるのも、私たちの強みだよね」と充実した表情で述べた。

ライブ終盤を迎え、雨宮は「『終わってほしくないな、この時間』って思っちゃいますけど、一度ライブが終わって別れていったとしても、それでも今日一緒に作った時間や今まで過ごしてきたいろんな時間がまた次会う時までのパワーになってくれるんじゃないかなと思います。今日も本当にたくさんのパワーをいただいた。こんなに素敵な場所で素敵な出航ライブを迎えられたのは、ここに来てくれてるみんなとそばで一緒に歩んできてくれてる人たちのおかげ」と感謝の思いを述べ、「みんなのおかげで最高の時間を作ってきたなと思うんですけど、本番を迎えるまではセトリ決めで難航したり、意見がぶつかり合うときもあった。でも、そういうのも含めて今のTrySailがある。全部のたくさんの思い出を胸にこれからも進んでいきたい。さっきみんなも『おめでとう』って言ってくれましたけど、私からも10周年本当におめでとうございます。そして、本当にありがとうございます!」と晴れやかな笑顔を浮かべた。麻倉は「昨日も今日もライブが始まる前は見事に緊張しておりまして、大丈夫かなと思ってたんですけど、ステージに出ると安心するんですよ。みんなの顔を見て声援を聞いて、みんなは大切な乗組員なんだなって今回のライブでまた実感しました。いつも声援をくれてありがとうございます」と観客に言葉を送り、「『ユニット活動するよ』って言われたときから、歌も上手に歌えないし、『私がこんなに大きいステージで歌うんですか?』みたいな感じから始まって、本当に不安だったのを思い出した。でも、こんなに広いステージで楽しんで歌うことができるようになるまで成長したんだなって、そしてMCもこんなに人前で話せるようになったんだなって、自分の成長を感じておりました。まだまだ出航したばっかりなので、ここから先も成長していきたいですし、皆さんと一緒に歩んでいきたいと思っています。最高の2日間、こんな素敵な景色を見せてくれてありがとうございました!」と感慨深げに語った。

2人のMCを横で聞いていて、「耐えられなかった……」と自分が話す前からすでに感極まっている夏川。彼女は「武道館をTrySailのファンだけで埋めるのは初めてのこと。みんながペンライトを持って私たちの話や歌を真剣に聞いてくれてる景色は、私たちにとってはステージに立つと当たり前のようにそこにあるものだったりするけど、今改めてゆっくり客席を見てたら、1つひとつのその光に、当たり前だけど人がいるわけじゃないですか。ただの光じゃなくて、そこにみんなそれぞれの人生がある。そのみんなの人生の中に『TrySailのライブに行く』ということを入れてくれてる証拠なんだなと思ったら、すごく尊い景色だなと思ってうれしくなっちゃいました。当たり前の景色じゃない。この10年間応援してくださった皆さんがいたからだし、皆さんのタイミングで今日TrySailを見つけてここにきてくれたということだなと思った。これからも皆さんにライブに来てもらえるように私たちはがんばるだけだなと改めて思いました」と会場を見渡す。そして「TrySailって最初からずーっと走り続けてきて、好調なときもあれば『Odyssey』ツアーのように体調を崩したりするときもあったり、私個人的にはいつまでも右も左も覚えられませんし、上手も下手もよくわかっていませんが、そんな状態でも2人やスタッフの皆さんに支えられてここまでやってきました。さっきの2人の話を聞いて……やっぱり、この3人だからなんとか10年間走ってこれた。本当に2人と一緒に“TrySail”でよかったです」と涙で声を詰まらせながら語った。その言葉を聞き、涙がこぼれないように天を仰ぐ雨宮と、「こっちも!?」と慌てふためく麻倉。夏川はそんな2人とオーディエンスに「これからもよろしくね!」と鼻を真っ赤にしながら告げた。

最後にTrySailが披露したのは、日本武道館公演に向けて作られた楽曲「声のシンフォニー」。鮮やかに舞う3色のテープに彩られながら、TrySailの軌跡と未来への思いが詰まったこの曲をオーディエンスとともに歌い上げた。寄り添い合ってこの曲を歌い終えた3人は、船上のフラッグの下に集合。「ここからみんなで一緒に出航したいなと思います」と麻倉が宣言すると、「10周年に向けて」という彼女の言葉に続いて、「出航!」という3人とオーディエンスの声が響き渡った。

メンバーがステージを去ったあとも、「もう1回!」コールは鳴りやまない。その声に応えて、3人はステージに姿を現した。ステージ上での作戦会議を経て、麻倉が「せっかくみんなが呼んでくれたので、もう1曲! こんなに幸せな気持ちだから、『私たちといえば』というのを全部出せればいい!」と述べると、夏川も「今も昔もこの曲!」と同意。TrySailはありったけの力を放つように「adrenaline!!!」をもう一度届けて、デビュー10周年の幕開けを飾る出航ライブを締めくくった。

なお本公演の模様を収めたBlu-ray「TrySail 10周年出航ライブ “FlagShip” in 日本武道館」が8月6日にリリースされることが決定。さらに8月にベストアルバムをリリースし、9月から全国ツアーを開催することも発表された。

セットリスト

TrySail 「LAWSON presents TrySail 10周年出航ライブ “FlagShip” in 日本武道館」2025年3月2日 日本武道館

01. High Free Spirits
02. 誰が為に愛は鳴る
03. WANTED GIRL
04. そんな僕らの冒険譚!
05. whiz
06. azure
07. シャドウボクサー / 夏川椎菜
08. Eternal / 雨宮天
09. 花に赤い糸 / 麻倉もも
10. センパイ。
11. Truth.
12. コバルト
13. ごまかし
14. Lapis
15. TAILWIND
16. マイハートリバイバル
17. ホントだよ
18. バン!バン!!バンザイ!!!
19. Free Turn
20. マイクロレボリューション
21. adrenaline!!!
22. 華麗ワンターン
<アンコール>
23. Youthful Dreamer
24. ひかるカケラ
25. 声のシンフォニー

公演情報

LAWSON presents TrySail Live Tour 2025(仮)

2025年9月7日(日)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
2025年9月13日(土)宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21
2025年9月20日(土)千葉県 幕張メッセ 幕張イベントホール
2025年9月21日(日)千葉県 幕張メッセ 幕張イベントホール
2025年9月27日(土)大阪府 グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)メインホール
2025年9月28日(日)大阪府 グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)メインホール
2025年10月4日(土)愛知県 岡谷鋼機名古屋公会堂
2025年10月5日(日)愛知県 岡谷鋼機名古屋公会堂

撮影:江藤はんな、大庭元

JOYSOUND
JOYSOUND.COMカラオケ歌うならJOYSOUND

関連記事

「Animelo Summer Live 2025 "ThanXX!"」DAY1出演者

「アニサマ2025」に奥井雅美、JAM Project、水樹奈々、LiSA、オーイシマサヨシら32組

18日
TrySail

TrySailがベストアルバムリリース、全国ツアー開催も発表

約1か月
上段左から雨宮天、緒方恵美、斉藤壮馬、下段左から千葉翔也、羽多野渉、水瀬いのり。

マイベストトラック2024 Vol.1 声優編

2か月
夏川椎菜

夏川椎菜、“今やってみたいこと”に挑戦した新作EPリリース

2か月
TrySail

TrySailが冒険ごっこ楽しむMV公開

3か月
TrySail

TrySailニューシングル発売、表題曲は「外れスキル《木の実マスター》」エンディングテーマに

4か月
「リスアニ!LIVE 2025」ロゴ

「リスアニ!LIVE」に結束バンド、TrySail、ClariS、Liella!、内田真礼、FLOW、ReoNaら

7か月
TrySail

TrySail、初の日本武道館ワンマン開催

7か月
夏川椎菜

夏川椎菜が9thシングルリリース 作編曲は「ボクはゾンビ」「グルグルオブラート」などの山崎真吾

7か月