鈴木実貴子ズがライブツアー「鈴木実貴子ズ『あばら』ツアー」の初日公演を昨日3月8日に愛知・名古屋芸術創造センターにて開催。お笑いコンビ・オズワルドとのツーマンライブを繰り広げた。
鈴木実貴子ズ、“仲の悪さ”を笑いに変えて
本ツアーは、1月にリリースしたメジャー1stアルバム「あばら」を引っ提げ、全国11カ所を巡るもの。ツアー初日公演は、名古屋芸術創造センター主催の「Special collab 『RESONANCE~共鳴~』」とのコラボイベントとして行われ、このツアーで唯一の“音楽×お笑い”のステージが展開された。
ライブは鈴木実貴子ズからスタート。ズ(Dr)が「お笑いの世界だとコンビ仲が悪くなるみたいな話もあるかと思いますけど、音楽業界も同じでして、我々ももれなく仲が悪いんです」とおなじみの挨拶で観客を笑わせる。「今日はレコ発ツアーの初日でホール公演っていう貴重な機会なので、仲悪いなりにちゃんと気遣っていこうと思って」と続け、楽屋で鈴木実貴子(Vo, G)に気を使いつつ自身のルーティンを守ろうとしたが、「開場の30、40分前に『コンビニでチキン買ってきて』って言われ、ルーティンがボロボロになりまして」と告白。「今日はもうほんとに仲の悪いままのいつもの鈴木実貴子ズでやっていこうと思ってますので、どうぞよろしくお願いします」と締めた。
実貴子が「夕やけ」を歌い始め、力強くストレートな歌声が会場を包み込む。続いて「あか」を披露後、ズが「1曲目でスティック落としちゃった」と苦笑いしつつも、実貴子の歌声に呼応するように、感情を爆発させる演奏で観客を実貴子ズの世界に引き込んだ。MCでは、ズが過去のエピソードを暴露。「この人、僕が誕生日にプレゼントと手紙を送ったら目の前で破いたんですよ。その話が先日のニュース番組(TBS系「情報7daysニュースキャスター」)で流れて」という話に、実貴子は「アンチが増えてもうめちゃくちゃうれしくて」と笑う。さらにズは「去年プレゼントしたペンタブレットをメルカリで売って、3500円のスタバ券になったって」と明かし、「もしそういうのが嫌いな方いたら、この後SNSで『ありえない』ってつぶやいてくれたらアンチが増えるんで、よろしくお願いします」と観客を煽った。
実貴子は「次の曲で最後になります」と宣言し、ズが「今日は3、4曲やったらオズワルドさんに出てきてもらって、交互にやるシステムなので、最初のターンの最後の曲になります」と補足。「うち、まだここにいたいんやけど」と名残惜しそうに語る実貴子が「かかってこいよバッドエンド」を歌い上げると、「右手にスパナでいったろか かかってこいよバッドエンド」という挑発的な歌詞が荒々しい歌声に乗せて響き、逆境に立ち向かう覚悟を観客に叩きつけた。
オズワルド、畠中が裸足で登場
実貴子ズが去り、出囃子とともにオズワルドが登場。畠中悠は「鈴木実貴子ズが好きで、実貴子さんが裸足で演奏してるのに倣って裸足で来たんです」とステージに上がり、伊藤俊介から「え。あの人がやるからカッコいいんじゃん。もう金なし漫才師に見える」と突っ込まれる。2人は直前の実貴子ズMCを拾い、伊藤が「本当に仲悪いと思ったのが、ズさんがオチを話すところで実貴子さんが『あー』って発声練習し始めて聞こえないようにしてきてた(笑)」、畠中が「いい関係性ですよね」とトークを展開。畠中が“口笛ビブラート”を披露し、伊藤にもそのやり方を指南するやり取りによって、会場は笑いに包まれた。
しゃべくり漫才と激情ライブは続き
ライブは実貴子ズとオズワルドが交互に登場する形で進行。オズワルドは日常会話のような“しゃべくり漫才”に加え、「あー」から始まる曲当てクイズなど音楽ファンに寄り添うネタを披露した。実貴子ズは「暁」「36℃」「ベイベー」「違和感と窮屈」と魂のこもったパフォーマンスを繰り広げ、「チャイム」「壊してしまいたい」で感情を爆発させた。実貴子は本編ラストで「歌うこと、ステージに立つこと。それは芸術という最高の“守り”だから、私は自由にできる。そういうものに対して、私はものすごい敬意を払うし感謝をしている」と話し、「ファッキンミュージック」を披露。音楽業界への皮肉や怒りを込めつつ、音楽への愛憎が炸裂する魂の叫びで締めくくった。
たぶん死ぬまで「ファッキンミュージック」
アンコールで実貴子が「それでは出てきてください、畠中と伊藤!」と呼び捨てでオズワルドを呼び込む。畠中は「メジャーデビューして、アルバムを出して、『ファッキンミュージック』を聴いて。マジで昔から何も変わってないなと思ってうれしかった」と感想を述べ、伊藤も「売れていくことで変化するのが怖いとかありますけど、今『ファッキンミュージック』って言ってるやつ、たぶん死ぬまで『ファッキンミュージック』ですよね!」と興奮気味に語った。そしてオズワルドがステージを去ったあと、実貴子ズは最後に「正々堂々、死亡」を歌い、ツアー初日を終えた。
セットリスト
鈴木実貴子ズ「あばら」ツアー 2025年3月8日 アマノ芸術創造センター名古屋
01. 夕やけ
02. あか
03. かかってこいよバッドエンド
~オズワルド~
04. 暁
05. 36℃
06. ベイベー
07. 違和感と窮屈
~オズワルド~
08. チャイム
09. 壊してしまいたい
10. ファッキンミュージック
<アンコール>
11. 正々堂々、死亡
公演情報
鈴木実貴子ズ「あばら」ツアー(※終了分は割愛)
2025年3月12日(水)東京都 下北沢SHELTER
<出演者>
鈴木実貴子ズ / SPARTA LOCALS
2025年3月20日(木・祝)大阪府 雲州堂
<出演者>
鈴木実貴子ズ
2025年3月28日(金)宮城県 enn 2nd
<出演者>
鈴木実貴子ズ / 鉄風東京
2025年3月31日(月)京都府 Live House nano
<出演者>
鈴木実貴子ズ
2025年5月9日(金)福島県 clubSONICiwaki
<出演者>
鈴木実貴子ズ / FRIDAYZ / 常磐シーサイダーズ
2025年5月10日(土)宮城県 FLYING SON
<出演者>
鈴木実貴子ズ
2025年5月16日(金)京都府 磔磔
<出演者>
鈴木実貴子ズ / bacho
2025年6月13日(金)愛知県 HUCK FINN
<出演者>
鈴木実貴子ズ
2025年6月21日(土)北海道 KLUB COUNTER ACTION
<出演者>
鈴木実貴子ズ / and more
2025年6月28日(土)東京都 下北沢SHELTER
<出演者>
鈴木実貴子ズ
