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神聖かまってちゃんツアーファイナルは壮大なスケール感、サプライズゲストも登場し喝采は鳴り止まない

の子(Vo, G)(撮影:真島洸 / Cuon)
12分前2025年03月16日 12:07

神聖かまってちゃんが最新アルバム「団地テーゼ」を引っさげて全国7カ所で行ったワンマンツアー「2025年ツアー」。そのファイナルとなる東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演が3月11日に開催された。

この夜のライブは、バンドが15年の歩みの中で到達した高みを見せつけるものだった。バイオリニストの柴由佳子(チーナ)をサポートメンバーに迎えてステージに立った彼らは、「団地テーゼ」の持つ“ホーリー”な世界観を色濃く反映した演奏で、MCを少なめに計22曲を披露。結成当初の初期衝動はそのままに、バンドがかねてから目標と公言してきた東京・日本武道館のような大きなステージすら似合う、スケール感も兼ね備えたライブが展開された。

「団地テーゼ」序盤の「病み」と「闇」を再現

神々しい光を背に浴びながら1曲目に彼らが披露したのは「コンクリートの向こう側へ」。2015年発表の楽曲ではあるが、その“ホーリー感”は「団地テーゼ」のツアーにふさわしい幕開けだ。観客はその壮大な音像に圧倒され、曲が終わったあともしんと静まり返るほどだった。

そのディープな雰囲気を引き継ぐように、続けてバンドは「病み」と「闇」を感じさせる「団地テーゼ」序盤の曲を立て続けに演奏。カラフルな照明が跳ねる中で「夜のブランコ」が披露され、ワルツのリズムが幻想的に響き渡った。「死にたいひまわり」ではこの世のすべてに呪詛を撒き散らすような負のパワーが炸裂し、観客も力いっぱい腕を振ってそれに応える。「カエルのうた」では暗い暴力性を描き出すかのような激しいサウンドが叩きつけられた。

一転してアッパーチューン連発、ここまでほぼノンストップ

ここまで比較的“ホーリー”な選曲が続いていたが、一転して「Girl2」からは一気にテンションを引き上げるアッパーチューンが連発される。の子(Vo, G)とmono(Key)はステージ最前線で観客を煽り、フロアは踊り狂う熱狂の渦へ。さらに彼らは「イマドキの子」「自分らしく」「スノーボードしようよっ」と畳み掛け、会場のボルテージはどんどん上昇していく。「ヨゾラノ流星群」では、キラキラとしたシンセとクラシカルなバイオリンの音色に、コントロール不能なノイズの塊のようになったギターが絡み合い、音源とはひと味違ったアグレッシブなサウンドに。ここまで9曲、ほぼノンストップでバンドは曲を連投した。

「僕は頑張るよっ」を始める前、の子が1人でギターで弾き語りをし始めたところ、観客もそれに合わせて歌い出し、自然と大合唱に。しかしバンドの演奏がスタートすると、勢いを取り戻すように爆音ギターと手数の多いドラムが会場の空気を震わせる。「フロントメモリー」では、の子が全力で正拳突きをするようなアクションを交えながら観客とコール&レスポンスを交わした。

「お前帰れや! 帰ってツイキャス観てろ!」

MCでは、の子が「みんなこの日を待ってたかい? 誰が一番待ってたと思う? 俺だよ!」とうれしそうに叫び、みさこ(Dr)も「今日のために生きてきたと言っても過言ではないよ」と感慨深げ。彼らがツアーの終わりを惜しむ中で「やっとツアーが終わるぞ!」と喜びの声を上げたmonoに対して、の子が「お前帰れや! 帰ってツイキャス観てろ!」と返すなど、神聖かまってちゃんらしい掛け合いが会場の笑いを誘った。

の子によるピアノの弾き語りでスタートした「卒業式」も、直前の「僕は頑張るよっ」と同様に彼の歌に合わせて観客が合唱。しかし、の子は「やめようやめよう、気持ち悪い(笑)、この曲は違う。そういうんじゃない」と笑いながら制止する。

幻想的な映像演出でガラッと変わる世界観

ライブ終盤は、トランシーなサウンドで奏でられた「聖マリ」を皮切りに、バンドは“ホーリー”でサイケデリックな楽曲を連発。「夜空の虫とどこまでも」からは照明が落とされた薄暗いステージにプロジェクターで映像が投影され、幻想的な空間が演出された。プラネタリウムのような満天の星空の中で奏でられた「最果てフィールド」や、不穏な光が走る「ロボットノ夜」など、映像を照明代わりに使ったパフォーマンスで観客はまるで酩酊状態に。演出により世界観がガラッと変わったこの一連の流れは、ライブ全体の中でも特に大きなインパクトを残した。

「夕暮れの鳥」を経て、本編ラストの曲に選ばれたのは「団地テーゼ」のエンディングを飾るギターロック「1999年の夏」。夏の風景を感じさせるかまってちゃんらしい歌を、メンバーはあふれんばかりの衝動とともにオーディエンスに届けた。さらに終盤の「懐かしいわってさ」で会場中が大合唱に。曲が終わると、の子は観客とコール&レスポンスを交わしながらステージを去った。

サプライズゲストがフロアを圧倒、花束振り回す

「団地テーゼ」の1曲目「墓」が会場に流れる中、再びメンバーがステージに戻り、「るるちゃんの自殺配信」でアンコールがスタートした。その後、ベースとドラムのセッションをバックに、の子とmonoがフリースタイルラップの掛け合いをしていると、サプライズゲストとしてGOMESSが登場。彼を中心に据えて、の子のボコーダー演奏とmonoのサイドMCで「魔女狩り feat.GOMESS」が披露された。GOMESSは気迫あふれるラップでフロアを圧倒。「ツアーファイナルだからって終わらせんなよ! このツアーを終わらせないのはお前らだ!」と叫んで観客に発破をかけた。

壮大な世界観の「僕の戦争」でエンディングを迎えたかと思いきや、ライブはダブルアンコールへ突入。「初期衝動を見せろよ!」「精神開放しろ!」と観客に熱く語りかけたの子は、最後の曲として「ロックンロールは鳴り止まないっ」を歌い始めた。自らの言葉の通り初期衝動あふれるパフォーマンスを繰り広げたの子は、アウトロでフロアにダイブ。クラウドサーフしながら絶叫するようにコール&レスポンスを続ける。するとステージ袖から花束を持ったGOMESSが登場。GOMESSは曲に合わせて花束を振り回し、花びらをちぎって投げ散らかす。の子は観客の上でもみくちゃになりながらいつの間にかパンツ一丁に。カオス極まる状況のまま約7分半にわたって続いたこの曲は、の子の合図で観客と一緒に「ロックンロールは鳴り止まないっ!」と叫ぶことで締めくくられた。

これですべての曲が終わったが、まだライブを終わらせたくないの子は、半裸のままアカペラで「きっと良くなるさ」を歌い始め、またも会場全体が大合唱に。最後の最後まで熱狂的な喝采が鳴り止まないまま、ツアーファイナルは幕を閉じた。なおこの日、全国ツアー「2025年ツアー」の追加公演が7月3日に東京・渋谷CLUB QUATTROにて開催されることと、2010年発表のデビューミニアルバム「友だちを殺してまで。」のアナログ盤が6月11日に発売されることがアナウンスされた。

セットリスト

神聖かまってちゃん「2025年ツアー」2025年3月11日 Zepp DiverCity(TOKYO)

01. コンクリートの向こう側へ
02. 夜のブランコ
03. 死にたいひまわり
04. カエルのうた
05. Girl2
06. イマドキの子
07. 自分らしく
08. スノーボードしようよっ
09. ヨゾラノ流星群
10. 僕は頑張るよっ
11. フロントメモリー
12. 卒業式
13. 聖マリ
14. 夜空の虫とどこまでも
15. 最果てフィールド
16. ロボットノ夜
17. 夕暮れの鳥
18. 1999年の夏
<アンコール>
19. るるちゃんの自殺配信
20. 魔女狩り feat. GOMESS
21. 僕の戦争
<ダブルアンコール>
22. ロックンロールは鳴り止まないっ

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