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TOMOOが初武道館公演で作り出した“透明な器”「曲の向こうには人がいますから」

「TOMOO Live at 日本武道館」の様子。(Photo by Kana Tarumi)
8分前2025年05月27日 8:02

TOMOOのワンマンライブ「TOMOO Live at 日本武道館」が5月23日に東京・日本武道館で行われた。

デビュー以来着々とライブのキャパシティを拡大してきたTOMOOだが、武道館でのライブはこれが初めて。かねてよりTOMOOは武道館でのライブを目標として掲げており、昨年末にこの公演の開催が発表されて以来、多くのファンが喜びの声や祝福の言葉を寄せてきた。そんなメモリアルな公演でTOMOOは、活動初期のナンバーから最新曲まで全24曲を披露。ストリングスやホーン隊も交えた豪華編成で2時間半にわたってライブを繰り広げた。

この場所はなんかホッとします

大所帯の楽器隊が舞台に現れ、徐々に浮き足だった空気が流れ始める場内。客電が落ち暗がりと化したステージにTOMOOが姿を見せると、「Ginger」のイントロが奏でられると同時に、弾けるようなムードが一気に広がる。カラフルな照明の中、気負いを感じさせない軽やかな歌声を届けた彼女は「Friday」を披露したのちに「こんばんはTOMOOです。日本武道館、今日はいい夜にしましょう」とひと言挨拶。オーディエンスがありったけの歓声でそれに応え、「恋する10秒」で力強いハンドクラップを打ち鳴らすなど、開始早々いつも以上の盛り上がりが会場を包み込んでいった。

TOMOOは「今日はここ日本武道館に来てくれてありがとうございます! ここで会えてうれしいです!」と声を上げ、念願の武道館に立った心境を「この場所は想像しているよりも近く感じるよ、ってうわさには聞いていたんですけど、本当だったんですね。この場所はなんかホッとしますね」と語る。「らしくもなくたっていいでしょう」では、ミュージックビデオに出演していたダンサー・えりなっちとダンスを披露したのち、5年越しの共演が実現したことへの感慨をにじませた。ストリングスの荘厳な音色から始まった「17」では、特別編成ならではの、より切なくエモーショナルなパフォーマンスが繰り広げられる。その後彼女は「あめ玉」「Your Friend」「金色のかげ」をアップライトピアノで弾き語り。飾り気のない歌声をまっすぐ届け、会場中の視線を一身に受け続けた。

透明な器みたいになれば

ライブ中盤に披露された「ベーコンエピ」では、アウトロでオリジナルアレンジの演奏が長きにわたって披露され、そのダイナミズムと華麗さが観客を惹き付ける。衣装チェンジしたTOMOOが「Grapefruit Moon」を歌うと、サウンドはスケール感そのままに郷愁を帯び始め、橙色の照明も相まって感傷的な空気が会場に満ちていった。続く「Cinderella」ではサビに突入した瞬間に会場が眩い光に包まれ、「風に立つ」では円形のモニタにさわやかなブルーの映像が流れるなど、歌声や演奏だけでなく、さまざまな舞台演出もまた観る者の心を揺さぶり続けた。

「今日私は『この場所が透明な器みたいになればいい』って思ったんですよ」。そう切り出したTOMOOは、今日のこの公演に込めた思い、ライブタイトルを付けなかったその意図を述べ始める。「今日はみんなにとってどうだったか、ここに来るまでそれぞれどんな近況だったか、みんなが思っているものを、器に注いでもらえたらいいなと思ったんですよね。TOMOOの意図とかじゃなくて、あなたの思い出を持ち帰ってほしいなって」とまっすぐな瞳で語り、「日本武道館で会えて本当にうれしかったなと思います。そして、ここ九段下で会えてうれしかったです」と告げたTOMOOは、「九段下」というワードが登場する「HONEY BOY」をパフォーマンス。再び会場がにぎにぎしく盛り上がる中、「九段下」というフレーズを歌いそびれるというハプニングがありつつも、伸びやかな歌声を届けた。さらに「オセロ」が怒涛の勢いで畳みかけられ、TOMOOのボーカルは一気にパワフルに。それと呼応するようにサウンドもアタック感を増し、大迫力の演奏が観客を圧倒した。

曲の向こうには人がいますから

2つのライトが交差する中で「エンドレス」を弾き語ったのち、TOMOOが再び口にしたのは“器”に関する思い。「私は歌いたいことが自分の中に勝手にあるわけじゃなくて、その時々で透明の器に何かが注がれて、注がれたものの形や色が透けて見えるような感覚なんですよ」「私の中が空っぽかもしれないと思うようなときも、それを嘆く必要はないのかもしれないなって、今になってやっと思うんですよね。曲の向こうには人がいますから。だから続けたいなって思います。今日は本当にここにいてくれてうれしかったです、楽しかったです。本当にありがとうございました!」と万感の思いを言葉にし、代表曲「Super Ball」を披露する。たくましくもしなやかな歌声と、豊かなアンサンブル。それらが色鮮やかな照明のもとでエネルギッシュに混ざり合い、圧巻のパフォーマンスでライブが締めくくられた。

ラストに贈り届けた曲は……

アンコールに応えて再び登場したTOMOOは、新曲「LUCKY」を弾き語りで初披露。柔らかな空気で場内を浸し、続く「POP'N ROLL MUSIC」で再び会場の空気に火を着ける。そして彼女がラストナンバーに選んだのは、受け手への思いを歌った「Present」。時に笑みを浮かべながら、時に真剣な眼差しで、TOMOOは歌を贈り届ける。「曲の向こうには人がいる」、そんな彼女の言葉を体現するように、オーディエンスがハンドクラップを打ち鳴らし、会場がチアフルな空気に包まれた。そして最後に銀テープが勢いよく飛び出し、大団円で初の武道館ライブが終幕。最後にTOMOOは「『九段下』って言えなかった。またここでライブしたいな。旅は続きます」と彼女らしく言い残し、大勢のファンが見守る中、舞台を去って行った。

なお終演後に会場では、秋にニューアルバムがリリースされること、11月からホールツアーが開催されることが発表された。現在オフィシャルファンクラブでは、ツアーチケットの先行予約を受付中。

セットリスト

TOMOO Live at 日本武道館

01. Ginger
02. Friday
03. 恋する10秒
04. 夢はさめても
05. らしくもなくたっていいでしょう
06. 地下鉄モグラロード
07. ナイトウォーク
08. 17
09. コントラスト
10. あめ玉
11. Your Friend
12. 金色のかげ
13. 雨でも花火に行こうよ
14. ベーコンエピ
15. Grapefruit Moon
16. Cinderella
17. 風に立つ
18. HONEY BOY
19. オセロ
20. エンドレス
21. Super Ball
<アンコール>
22. LUCKY
23. POP'N ROLL MUSIC
24. Present

公演情報

TOMOO HALL TOUR 2025-2026

2025年11月21日(金)栃木県 栃木県総合文化センター メインホール
2025年11月30日(日)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
2025年12月12日(金)北海道 札幌市教育文化会館
2025年12月14日(日)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
2025年12月26日(金)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2026年1月10日(土)広島県 上野学園ホール
2026年1月24日(土)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
2026年1月31日(土)石川県 本多の森 北電ホール
2026年2月10日(火)大阪府 フェスティバルホール
2026年2月11日(水・祝)大阪府 フェスティバルホール
2026年2月27日(金)東京都 東京国際フォーラム ホールA
2026年2月28日(土)東京都 東京国際フォーラム ホールA

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