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U-zhaan&蓮沼執太初の香港公演が大盛況で幕、残念な観光体験を昇華した“foggy song”

左から蓮沼執太、Floro Sernande Jr、U-zhaan。(Photo by Andrew Poon)
約1か月前2025年06月02日 9:01

U-zhaan&蓮沼執太が5月28、29日にSalon No.10で初の香港ライブを開催した。この記事では2日目の様子をレポートする。

平日21:00という遅めの開演にもかかわらず、会場は両日ともに満席。香港にはクラブが少ないため、このような音楽とお酒が楽しめる場所に若者が集まる傾向があるそうだ。当日のドリンクメニューではU-zhaanの地元である埼玉・川越のクラフトビール・COEDOビールも提供され、歓迎ムードの中でライブがスタートした。

日本語ラップに熱狂、「Success!」と大喝采

ライブは2部構成となっており、1部ではU-zhaanと蓮沼のみで演奏。1曲目「Good News」の明るくリズミカルなサウンドで観客の心をつかんだ2人は、蓮沼のボーカルで「Green Gold Grey」「Dryer」を続けざまに届ける。客席から大きな拍手と歓声を受けてU-zhaanは「初めてこの場所で演奏できてうれしいです」と英語で挨拶し、「多謝(ありがとう)」と広東語でも感謝を伝えた。

また7拍子の楽曲「七曜日」のセルフカバーも披露。この曲はオリジナルではU-zhaanが伴奏、環ROYと鎮座DOPENESSがラップを担当しているが、蓮沼と披露するときは2人が演奏しながらラップも行うというチャレンジングな1曲だ。曲紹介でU-zhaanは「たぶんうまくいかない」「成功した試しがない」と難度の高さをぼやき、蓮沼が「(成功確率)45%くらい?」と尋ねると「……30%」と苦々しい表情を浮かべて観客の笑いを誘う。そんな2人の必死なパフォーマンスが成功すると、オーディエンスは「Success!」と大いに盛り上がり、喝采と指笛が鳴り響いた。

MCではU-zhaanが、ライブ前に香港屈指の絶景スポット、ヴィクトリア・ピークへ行ったものの、「すごい霧で何も見えなかった」という香港の“あるある”エピソードを語り、爆笑をさらう場面も。「次は僕が日本の曲の中で最も霧がかったイメージの曲をやります」とつなげて、時代劇「大岡越前」のテーマ曲をアルトホルンで哀愁たっぷりに奏でた。さらに世界的にも人気の高い坂本龍一の楽曲「Riot in Lagos」をシンセとタブラでカバーしたほか、蓮沼フィルの代表曲「Oneman」を届けて1部を締めくくった。

タイコ多めの「Go Around」白熱セッション

2部には香港在住のフルート奏者であるFloro Sernande Jrが参加。フルート奏者でありながら1日目はコンガ、2日目はバタドラムというキューバの打楽器も叩き、多彩な音色でその存在感を存分に発揮していた。即興セッションを挟みつつ、「Radio S」でFloroは自由に動き回るフルートのサウンドで華を添え、「Go Around」ではバタドラムを連打し、U-zhaanのタブラと息の合ったセッションで迫力あるパフォーマンスを見せつけた。

ライブがクライマックスに差しかかり、U-zhaanが最後の曲をアナウンスすると客席から名残を惜しむ声が上がる。そこで急きょセットリストになかった「川越ランデヴー」を追加で演奏することに。会場には日本人客も参加しており、日本語朗読パートでU-zhaanを揶揄するセリフ「タイコだけで生活大丈夫なんですか?」では笑い声が沸き起こった。惜しまれつつ最後の曲となったのは「ギンビス」。香港でも「愉快動物餅」の名前で販売されているお馴染みのお菓子「たべっ子どうぶつ」について歌ったこの楽曲ではFloroのフルートに乗せて2人がラップをし、観客が立ち上がって踊り出すほどの盛り上がりを見せてライブの幕を閉じた。

セットリスト

U-zhaan & Shuta Hasunuma 2025年5月29日 Salon No.10

[1st]
01. Good News
02. Green Gold Grey
03. Dryer
04. Septem
05. 七曜日
06. 「大岡越前」オープニング主題曲(カバー)
07. Weather
08. Riot in Lagos(カバー)
09. Oneman

[2nd]
10. 即興セッション1
11. let's_la
12. 即興セッション2
13. Radio S
14. Go Around
15. テレポート
16. 川越ランデヴー
17. ギンビス

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