JOYSOUND 音楽ニュース
powered by ナタリー
「JOYSOUND X1」公式サイト「ジョイオンプー」LINEスタンプ販売中

anoの絶対聖域に響いた全身全霊の叫びと本音の言葉「僕は今を見てほしいから今を生きている」

アンコールで「Past die Future」を歌うano。(Photo by 横山マサト)
6分前2025年07月11日 10:05

anoの東名阪Zeppツアー「BONE BORN BOMB TOUR」の東京公演が、7月4日にZepp Haneda(TOKYO)で開催された。

これまでのanoはライブで、曲によってダンサーを迎えたり打ち込みと同期させたりしてきたが、6月発売の2ndアルバム「BONE BORN BOMB」を引っさげて臨んだこのツアーで彼女が繰り広げたのは、過去にないほどのシンプルでソリッドなステージ。最小限の演出でanoはただひたすらに音楽と向き合った。セットリストも最新アルバムの楽曲が中心で、ライブ初披露の曲も多数。期待を胸に集まったたくさんのオーディエンスを前に、anoはむき出しの感情をほとばしらせた。

もしかしたら僕が求めてる最終地点は

大歓声に迎えられステージに現れたanoが身にまとっていたのは、「BONE BORN BOMB」を象徴する“骨”をモチーフにした白いニット。そんな彼女が最初に放ったのは、ポップチューン「許婚っきゅん」だった。これまでバックダンサーとともにパフォーマンスされてきたこの曲を、1人で踊りながら歌う姿が新鮮に映る。

anoはそのままギターを手に「ンーィテンブセ」を歌い、荒々しいバンドサウンドでオーディエンスの体温を一気に上昇させる。「社会の窓」では破壊的な衝動を炸裂させ、「愛してる、なんてね。」ではミラーボールがきらめく中、オーディエンスとともに軽快にジャンプ。「涙くん、今日もおはようっ」では、フロア全体が一体となって腕を左右に振り、曲の終盤にはanoと観客だけのアカペラによる「らららららん らんらんららん」という大合唱が響き渡った。序盤を走り抜けたところで、最初のMCへ。anoはアルバムを作りながら考えていたことについて語り始めた。

「変な人、どうしようもない人、楽しそうに生きてる人……この世界にはいろんな人がいて、外に出ると1人にはなれないけど、家に帰ると1人ぼっちだなって思うんです。だから、2人だけになるのって一番難しい。『デデデデ(デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション)』もそういう映画だったけど、2人というのが僕はすごく好きで。もしかしたら僕が求めてる最終地点は“2人だけになること”なのかなとか思ったりして。そういうことを、このアルバムを作りながらたくさん考えました」

そう前置きして彼女が歌ったのは「この世界に二人だけ」。オルタナティブなバンドサウンドに乗せて、anoは気持ちを込めてまっすぐにその歌を届けた。「swim in 睡眠Tokyo」でステージ上を漂うように音の波に身を委ねたのち、彼女が披露したのは「コミュ賞センセーション」。最新アルバム収録曲を中心としたセットリストの中で飛び出した意外な曲に、観客から喜びの声が上がる。

ここはどこを探してもない、絶対に守らなきゃいけない場所

アコースティックギターを手に取ると、anoは心の痛みを吐き出すように「YOU&愛Heaven」を歌う。さらにアコギを抱えたまま、ライブの前週に配信が始まったばかりのアニメ「タコピーの原罪」のオープニングテーマ「ハッピーラッキーチャッピー」へ。スクリーンには歌うanoの姿とともに、マンガの吹き出しに書かれた歌詞が曲とリンクして映し出され、視覚的にも鮮烈な印象を残した。

ここからライブは後半戦へ。「スマイルあげない」を皮切りに、再びポップでアッパーな楽曲がフロアを揺らす。「ロりロっきゅんロぼ♡」ではデコレーションされた拡声器を片手に、anoはオーディエンスをアジテートするように熱唱。ステージからスモークが吹き出す中「猫吐極楽音頭」をハイテンションに歌い、「普段つらいことばっかなんだろ? ここで吐き出してけ!」と焚きつける。

さらにこのツアーで初披露されたパンクチューン「骨バキ☆ゆうぐれダイアリー」では、気迫のこもった低音のグロウルとキュートな歌声が交互に繰り出され、振れ幅の大きなボーカルで観客は興奮の渦に。その熱狂のまま「普変」に突入し、高い熱量を保ったままライブは終盤へと向かっていく。

「この曲は振付もありますけど、そんなものは無視して好きなように、周りの目も忘れて全部ぶつけてきてくれますか」いうanoの言葉から始まったのは「ちゅ、多様性。」。オーディエンスはその言葉に応えるように思い思いに体を揺らして声を上げ、まるでステージとフロアの垣根が取り払われたような、自由で奔放な時間が流れた。「F Wonderful World」でハイテンションな大合唱を巻き起こしたあとは、その続編として作られた新曲「Bubble Me Face」へとノンストップで突入し、まるで1つの組曲のような展開に。

ここまで全力のステージを繰り広げてきたanoは、息を切らしながらこの日のステージについて「ここはどこを探してもない、絶対に守らなきゃいけない場所だと思います。これが絶対聖域です」とつぶやく。するとその言葉を合図に「絶絶絶絶対聖域」がスタート。がなるようなエモーショナルなボーカルは、曲が進むにつれてほとんど絶叫のようになり、それに呼応するようにバンドの演奏も熱を帯びていく。その壮絶なパフォーマンスのクライマックスで客席に銀テープが発射され、ライブ本編は幕を閉じた。

僕は今を見てほしいから今を生きているんです

アンコールを求める声が会場に響く中、スクリーンにムービーが流れ、9月3日に開催される東京・日本武道館ワンマンライブのタイトルが「呪いをかけて、まぼろしをといて。」であることが発表される。歓喜に沸く会場に、バンドメンバーとともに再び戻ってきたanoは、フロアに向けて真摯に、そして毅然と語りかけた。

「僕はファンの人の前でしか見せない姿がわりとある人間なので、『このあのちゃんは好き』とか『このあのちゃんは本物じゃない』とか言われることも人一倍多くて。でも僕からしたら全部自分の意思。どれが嘘とか正直ないです。それはわかってほしい。死なないと愛されない自分なんて好きじゃないです。僕は今を見てほしいから今を生きているんです」

そして、その瞳に確かな光を宿しながらanoは観客に対して宣言する。

「過去も今も未来も全部、僕は僕でいるって胸を張って言えます。ずっとそういう生き方をしてきたし、誰に否定されようがそれは自信があります。だからバカにすんなって思う。たぶんみんなもいっぱいバカにされてきたかもしれない。『あのちゃんを応援してるなんて』とか『あいつはしょうもない偽物だ』とか。なのにそれを曲げないで、信じてここまで付いてきてくれてありがとうございます。僕は今君たちが持っている感情すべてに責任を持ちますし、ここまで付いてきてよかったね、って思います。これからも一緒にいろんな景色を見ましょう」

anoの話が終わると、静寂を破るように、会場中から割れんばかりの大きな拍手が送られた。その拍手を受け止めた彼女がアンコール曲として披露したのは「Past die Future」。激しいバンドサウンドを背に、怒りも悲しみも、あふれ出るさまざまな感情を発散させるようにanoは歌う。「僕は全身全霊です」という歌詞の通り、全身全霊のパフォーマンスですべての思いを吹き飛ばすように歌いきったanoは、彼女の“今”を真正面から受け止めた目の前のオーディエンスに向けて、最後に「見つけてくれてありがとう!」と心からの感謝の言葉を叫んだ。

公演後、9月3日に開催される日本武道館ワンマンライブ「呪いをかけて、まぼろしをといて。」のステージ図面が公開され、センターステージ形式で実施されることが明らかになった。チケットは現在発売中で、ファンクラブ会員先行購入者のうち年額コース会員を対象に、アップグレードチケットの受付が実施されている。

セットリスト

ano「BONE BORN BOMB TOUR」2025年7月4日 Zepp Haneda(TOKYO)

01. 許婚っきゅん
02. ンーィテンブセ
03. 社会の窓
04. 愛してる、なんてね。
05. 涙くん、今日もおはようっ
06. この世界に二人だけ
07. swim in 睡眠Tokyo
08. コミュ賞センセーション
09. YOU&愛Heaven
10. ハッピーラッキーチャッピー
11. スマイルあげない
12. ロりロっきゅんロぼ♡
13. 猫吐極楽音頭
14. 骨バキ☆ゆうぐれダイアリー
15. 普変
16. ちゅ、多様性。
17. F Wonderful World
18. Bubble Me Face
19. 絶絶絶絶対聖域
<アンコール>
20. Past die Future

公演情報

ano 日本武道館公演「呪いをかけて、まぼろしをといて。」

2025年9月3日(水)東京都 日本武道館

JOYSOUND
JOYSOUND.COMカラオケ歌うならJOYSOUND

関連記事

喪黒福造を演じる秋山竜次(ロバート)。©藤子スタジオ / TV TOKYO

ロバート秋山主演「笑ゥせぇるすまん」にあのちゃん、OCHA NORMAが出演

1日
「あのちゃんねる」キービジュアル

あのちゃんねる初の公開収録開催

3日
「ハッピーラッキーチャッピー」を歌うano。(撮影:横山マサト)

ano「ハッピーラッキーチャッピー」ライブ映像公開、アニメ「タコピーの原罪」OPテーマ

3日
「Coca-Cola X Fes. 2025」出演者

XG、Creepy Nuts、&TEAM、カミーロ、ano、なとり「Coca-Cola X Fes. 2025」出演

4日
ano

ano初の日本武道館公演のタイトル発表

7日
ano

あのちゃん「ケロロ軍曹」20周年プロジェクト宣伝隊長に就任、粗品と「ケロッ!とマーチ」歌唱

8日
あの

あのちゃんがハマスタで始球式、横浜DeNAベイスターズを盛り上げる

9日
「CANNONBALL 2025」全出演アーティスト

埼玉フェス「CANNONBALL」最終発表でSKY-HI追加、タイムテーブルも明らかに

10日
「転機を迎えた有名人SP」出演者。©日本テレビ

timelesz原嘉孝「踊る!さんま御殿!!」で先輩たちに悩み相談、古舘伊知郎&佑太郎親子の舌戦も

11日