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吉乃が求めるのは人生が変わるくらいの“逆転劇”、初のオリジナル曲中心ワンマンにオーディエンス熱狂

吉乃(撮影:中原幸)
16分前2025年09月05日 6:05

8月29日に吉乃のワンマンライブ「吉乃 1st LIVE “逆転劇”」が東京・Zepp Haneda(TOKYO)で開催された。

開演前から吉乃コール、熱気に満ちたライブの幕開け

これまでカバーライブの形式でワンマン公演を行ってきた吉乃にとって、オリジナル曲中心のライブはこれが初めて。さらに昨年10月のメジャーデビュー後初のワンマンということもあり、この貴重な機会を逃すまいと熱心なファンが多数詰めかけフロアを埋め尽くした。開演前アナウンスが諸注意を読みあげたのち、開演が間もないことを告げると、その瞬間を待ちきれないオーディエンスたちから熱烈な「吉乃! 吉乃!」コールが自然発生的に勃発。開演前から早くも会場のボルテージはうなぎ上りの様相を呈した。

ややあって客電が落とされると、待ってましたとばかりに怒号のような歓声が轟く。フロアのあちこちから力の限り吉乃の名前を呼ぶ叫声がこだまする中、舞台を覆いつくす幕にオープニングムービーが映し出され、重厚なエレクトロテイストのSEがそれに追従。熱狂する聴衆の期待感をさらに煽ったのち、一瞬の静寂とともに幕が一気に落とされ、シルクカーテンのごとく紗幕が張り巡らされたステージセットの様子があらわに。その紗幕の向こう側に長い髪をポニーテールに結った人物のシルエットが浮かび上がると、フロアからの歓声がさらにボリュームを増す。シルエットの人物はおもむろにマイクを構えて「罵詈雑言 むしろ燃料助かります」と特徴的なシルキーボイスを発し始め、それが吉乃その人であることを声ひとつで瞬時に証明した。

圧倒的なステージング、フレンドリーなファンとの距離感

こうして2021年発表の1stシングル「百倍返し」でライブの口火を切った吉乃は、続けざまに昨年10月発表のメジャーデビュー曲「なに笑ろとんねん」「ODD NUMBER」を披露。彼女にとっての“はじまりの曲”3連発でスタートダッシュを決め、緩急自在の色彩豊かな歌唱表現はもちろん、キレのある優美なダンスでもオーディエンスを楽しませる。過去のライブでは半径数メートル程度の筒状の紗幕に包まれた状態でパフォーマンスを行ってきた吉乃だが、今回は平面の紗幕を使用することで可動域が飛躍的に向上。舞台中央にどっしりと構えて丁寧に歌を届けた序盤を経て、曲目を追うごとに少しずつ移動距離を増していき、いつしかその行動範囲は舞台上のほぼ全域にまで及んだ。

セットリストはオリジナル曲のみに限定されず、samfree「ルカルカ★ナイトフィーバー」やすりぃ「ビーバー」などのカバー曲も交えながら進行した。途中ちょっとしたハプニングなども発生したものの、彼女は持ち前の明るさで笑い話に昇華。そのフランクさゆえに、MCの際には客席からフレンドリーな声かけがひっきりなしに飛び交う。時にはあまりの発言数の多さに吉乃が話し始めるタイミングを見失い、「MCの主導権ってそっちにあるんだ?」と漏らして笑いを誘うシーンも。圧倒的な歌唱でねじ伏せるパフォーマンスのみならず、それとは対照的とも言えるほがらかなトークでも大いに場を温めた。

タイトル「逆転劇」に込めた思い

その一方で、ライブの折り返し地点では「逆転劇」というタイトルに込めた思いをシリアスなムードで語り始めた吉乃。「何を“逆転”するんだ?っていうと……単刀直入に言うと、自分の中の自分の認識を変えたかったんですよね」と切り出し、今までは自分を“普通”の人間だと小さく見積もっていたこと、冷静に状況を見渡したときに「これって本当に普通か?」と疑問を持つようになったことを明かす。息をのんでじっと耳を傾ける静寂のフロアへ向け、彼女は続けて「『否、普通ではない!』と思いまして、自分の認識をそのままにしておくのはすごく不誠実なことだなと。私は今回、人生が変わるくらいの変化を遂げなきゃいけないと覚悟を決めて、ライブタイトルを『逆転劇』と決めさせていただきました」と命名意図を解説。「作曲者の皆さまも、今日ここに来てくださった皆さまも、私をここに立たせてくれて本当にありがとうございます!」と結び、拍手喝采を巻き起こした。

そして景気のいい「逆転するぞー!」の掛け声とともに、ライブはラストスパートへ。10月より放送されるテレビアニメ「私を喰べたい、ひとでなし」のオープニング主題歌として制作された新曲「贄-nie-」の初披露や、supercell「君の知らない物語」、じん「サマータイムレコード」といった人気ボカロ曲のカバーなどでフロアをよりいっそう爆発的に沸かせる。ライブ終盤には吉乃の急な提案により、この日が誕生日だという客席のファンに向けて会場の全員でバースデーソングを合唱するプチサプライズが唐突に繰り広げられるひと幕も。続くラストナンバー「BAD MAD」においても、引き続きオーディエンスによる「泣いて 泣いて 泣いて」や「I know, Iknow」の息の合った大合唱が響きわたった。

「いつかまた夢の舞台で」

アンコールでは、ゲストの歌い手・弱酸性が登場。吉乃と2人でコミカルなカバー曲「お願いマッスル」(テレビアニメ「ダンベル何キロ持てる?」オープニングテーマ)を歌い、会場を和やかな笑顔に包んだ。曲中で腕立て伏せやサイドチェストポーズなどを全力披露して喝采を浴びた弱酸性が陽気にステージをあとにすると、吉乃は一転シリアスな「渇き」「ババロア」で鬼気迫るエモーショナルなボーカル表現を叩きつけてフロアを圧倒。そしてオーラスにブルージーなサイケロックナンバー「KAMASE!!」を畳みかけ、盛大な「Oh Oh Oh!」のシンガロングを巻き起こす。すべての曲目を歌い終えた彼女は、おそらく晴れやかな表情をたたえているのであろう明るい声色で「いつかまた夢の舞台で必ずお会いしましょう!」と告げたのち、深々と頭を下げたまま、うやうやしくステージに幕を下ろした。

セットリスト

吉乃「吉乃 1st LIVE “逆転劇”」2025年8月29日 Zepp Haneda(TOKYO)

01. 百倍返し
02. なに笑ろとんねん
03. ODD NUMBER
04. 転校性
05. ルカルカ★ナイトフィーバー
06. 天伝バラバラ
07. ビーバー
08. サンドペーパー・ムーン
09. エンドレス
10. 我が前へ倣え
11. 贄-nie-
12. 君の知らない物語
13. サマータイムレコード
14. BAD MAD
<アンコール>
15. お願いマッスル
16. 渇き
17. ババロア
18. KAMASE!!

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