岡田奈々の3rdアルバム「Unformel」のプレミアム先行試聴会イベントが、11月9日に東京都内で開催された。
初めて歌詞を推敲してもらった
このイベントには、楽天ブックスで「Unformel」を購入した人の中から抽選で招待されたファンが参加。2023年11月発表の1stアルバム「Asymmetry」、2024年11月発表の2ndアルバム「Contrust」のリリース時に続き、今回もアルバムの音源を1曲ずつ流しながら、全曲の作詞を手がけた岡田本人が解説していく形でイベントが進行した。岡田に加え、これまでのアルバムに引き続き作品のディレクションを担当し、ライブでバンドマスターを務めているアオヤマイクミも登壇。会場ではこの場限りの歌詞資料が配られるなど、発売日前にアルバムの世界観をたっぷりと堪能できる場が用意された。
まず岡田は、アルバムタイトルの「Unformel」の由来が“定型に縛られない芸術”を意味するフランス語「Informel」であることを説明。読みやすさと「I(私)からU(あなた)へ贈る花束」という意味を意識した結果「Unformel」というつづりになり、全曲の歌詞に花の名前を入れたことを加えて解説した。また「今回は音楽を楽しむこと、よりクオリティの高いものを届けることも意識して作りました。あと、アオヤマD(ディレクター)に初めて歌詞を推敲してもらいました」と彼女が今作ならではの特徴を挙げると、アオヤマは「2ndと比べると、だいぶ作詞に時間をかけましたね」と言葉を続けた。
作詞に一番苦労した曲は
アルバム全体を総括するトークを経て、さっそく楽曲の試聴がスタート。まずは8月に配信リリースされ、すでにファンイベントでも披露されているオープニングナンバー「インコンプリート」がスピーカーを通して場内に響いた。この曲は疾走感あふれるギターサウンドが特徴の夏の応援ソングだが、岡田は「最初、恋愛をテーマに書いていたんですよ! そのときいろんなアニメからインスピレーションを受けて。でもアオヤマさんに『これは夏曲のほうがいいんじゃないですか?』と路線変更の提案をいただいて、180°変わりました」と制作の裏側を明かす。アオヤマから「この歌詞は一番苦労したんじゃないですか?」と話を振られると、「一番書き直した曲ですね。もう……すっごいがんばりました」「自分に夏のイメージがなかったので」と語り、得意な感情描写ではなく情景描写に力を入れたことを振り返った。
その後も、アルバムの中で最後に制作されたという“郷愁”がテーマの「夏の追憶」や、2分52秒という短い尺に歌詞を詰め込んだボカロテイストの「爆裂ロンリーガール」、もともとは1stアルバムの時期に制作され、ウエディングをテーマに歌詞を書き直したという「ゼロセンチ」など、収録順に楽曲の試聴とそれに関する濃密なトークが続いた。
「勇気をもらって成長することができた」
ABEMAで配信されているミステリードラマ「藤色の封筒」の主題歌である「この枯れない花」は、1stアルバムの収録曲「望まれない朝」のアンサーソング。岡田はこの曲の歌詞について「『望まれない朝』の最後では、曲の主人公が『死んじゃおうかな』と思うくらい落ち込んでいるんですけど、その子に向けてメッセージを書きました。ある意味、2年前の自分に対するメッセージでもあります。こういうメッセージを今書けてよかったです」と柔らかな表情で言及する。そして「自分のことを『好きだよ』と言ってくれるみんながこの2年間変わらずにそばで見ていてくれたから、勇気をもらって成長することができたんじゃないかなって」と自身の変化をしみじみと分析した。
アルバムのラストに収められたのは、岡田が初めて作曲に挑戦した「あなただけを求めてる」。AKB48劇場で盟友・村山彩希の卒業公演を観た日の夜に曲が“降ってきた”と、制作の経緯について語り始めた岡田は「(共作した)鶴﨑輝一さんが私の“こうしたい”という意思を全部尊重してくださったので、岡田奈々らしさ全開のまま完成したなと思います」と手応えを言葉ににじませた。
イベントの最後には、今回も質疑応答の時間が設けられた。歌詞資料を見つつ、じっくりと楽曲に聴き入っていた会場のファンは次々に挙手し、アルバムに対する深い考察を述べながら岡田に質問を直接投げかける。その1つひとつに丁寧に答えた岡田は、最後に「みんなの存在がすごく大きくて、みんなのおかげで作曲もできたし、いい歌詞もたくさん書けました」と笑顔で挨拶し、拍手に包まれながらプレミアム先行試聴会イベントを締めくくった。


